2015/09/04 のログ
ご案内:「常世神社」にシインさんが現れました。
■シイン > 背に翼を持たない龍は石段を上り終えて。
神社の境内に一人、黒衣姿の龍人は現れる。
特に人の姿も見えずに、静かで平穏なそんな場所。
まだこの島に訪れる前の話。
自身の姉に至る所の神社に連れ回されてた。
そして、この島にも神社があることを思い出して、ふらっとやってきた。
考えるのに疲れたから静かな場所に行きたかった。
ゆらりと一つ、白い尾を揺らしながら境内を見渡すように歩いて行く。
特にこれといった目的とも無い。
ご案内:「常世神社」に四十万 静歌さんが現れました。
■四十万 静歌 > 「――」
境内を見渡していると、
なにやら熱心に神様へと参拝し、
何かを祈るように願っている黒マントの女性が見えるだろう。
なお、小声で何かぶつぶついっているが、
恐らくは願い事の内容に思われる。
■シイン > 見渡しながら石畳の上を進み、履いているハイヒールの脚音が神社内を響かせる。
コツ、コツ、とその歩は賽銭の前で祈っている少女の隣まで歩む。
そのハイヒールの音に気付くだろうか。
熱心に祈っているようだと逆に気付けないだろうか。
隣の少女には声を掛けずに、懐に手を差し伸ばして小銭を数枚と取り出して賽銭箱へと投げ入れる。
貨幣独特の音を鳴らしながら、箱へと吸い込まえるようにして小銭は消えていき。
特に神に対しての願いはなかったが、瞳を閉ざし手を合わせて。
形だけでも様にと。
■四十万 静歌 > 「――」
一頻り願いをして、終えた後、目をあけて、
ほっと一つ息をもらした所で、
何かふと横に人がいるのに気づく。
はて?
と横をみると、
そこにはシイン先生が。
「!?いつの間に――」
思わずシインのいる反対側へと飛びのいてしまったけど、
仕方ないと思う。
■シイン > 最初から特に願い事もなく、適当に形だけを作ってたので直ぐに瞳を開けた。
当然、その驚きを見せてる声に反応をして開けたのだが、静かにと唇の前に立てた人差し指。
声を荒げないように予め注意を促す。
「――ついさっき神社に訪れた。それで静歌の姿を見かけたからね。」
こうして一緒になって自分も祈ってた。
単にそれだけの理由。
「静歌は神社によく来るのかい?」
と、聞いてみる。
■四十万 静歌 > 「そうだったのですか。
お恥ずかしい所をお見せしてすみません。」
金欠が治りますようになんて願っていたなんて、
口が裂けてもいえない。
「それにしても、私を見かけたから、
ですか?
確かによく神社には来る方ではないでしょうか?」
といっても、普段くるような場所でもないから、
頻繁ってほどでもないですけどね。
なんて照れたように笑って答えるだろう。
■シイン > 「熱心に願ってた所に私が来ただけだよ。それだけのこと。」
何を願っていたのか、そんな野暮なことは聞こうともせずに。
賽銭箱の前から離れ、もし願わくば人に歩み寄れるようにと。
神を信じてないが願った。
にしても昨日の今日という話が最近は多い気がする。
会いたいと思った次の日に会うとか、そういう現象に名前を付けたくなるぐらいに。
「さっきまで境内を見まわってて、そしたら見かけたという話。
――神社にはあまり来ないのか。それだと本当に奇遇だな。」
照れたような笑いを見せた彼女に、笑みを浮かべさせながら会話を交わす。
それは、どことなく薄暗さを持った笑み。
■四十万 静歌 > 「ううう……
本当にお恥ずかしい所を。」
ムムム、と。
後は内容を聴かれてない事を祈るとして――
「まぁ、頻繁に来るような場所でもないですからね。
別にここで仕事をしている訳でもなく、
誰かここに目的の人がいる訳でも無し――
大体においては、
何か願いがあって、願いを叶えれるようがんばるので、
運を分けて下さい的な事が多いですね。」
と、一つ頷き――
「何か有りました?」
なんて首をかしげるだろう。
■シイン > 「……そこまで気にするようなことか。私のほうが申し訳なくなってきたよ。」
余程大切な願いでもしてたのか。
そんな実は彼女が金銭面でのことで願ってたなど露知らずに。
勘違いは巡って。
「仕事などでなければ日常的には来ないだろうしな。
…奇遇なものだ、変な縁があるのかもしれないな、私と静歌には。」
嬉しそうに分かりやすく尾を揺らして石畳を歩む。
無意識なのか、声量は変わらずだがバレバレだ。
そこからの問いに相も変わらずに勘が良いなと再確認。
どうしようかと考えたが、隠さずに答えようと。
「あったと言えばあったのだが、アレだ。
私はどうすれば人に踏み込んで話せるかなと…少々自分に自信を無くしてしまってな。」
■四十万 静歌 > 「いえいえ、本当にたいした願いじゃないですから!」
ただ、切実なだけである。
本人にとってのみ。
「袖振り合うも多生の縁といいますし、
縁というのなら、それなりに多いのではないでしょうか。」
良い縁か悪い縁かはわからないけれど。
尾が揺れるのを見て、
なんていうか竜になってから感情が分かりやすい犬のようだ
なんて感想をもちつつ――
「自分に自信をといわれると、
私も自分には自信がないのでなんともいえませんけど、
人と踏み込んで話すのは……難しいのではないのでしょうか。」
だから気にする事もないと思うのですけどね。
なんて呟いて
■シイン > 「………?」
首を傾げて不思議そうな顔を見せるのだ。
そんな声を出して否定するようなことなのか。
逆にこうまでなると気になるが、静かに願ってた事を聞くのはやはり野暮だ。
好奇心は抑える。
「偶然にしては、そうだな。
名前やら仕草やら笑顔やら――と静歌は静歌だ。見失う所だった。」
今でこそ見れてるが、気を逸らせば見えなくなってしまう。
個を個として見なければいけない。似てると同一にしてはいけない。
反省その二である。
「難しいだろうなぁ、少し欲望の塊に言われてしまってね。
私は人に求めているが、人を受け入れようとしてないと。
――事実考えてみればそうなんだが、一方的過ぎるのだよ、私はさ。」
余程昨夜の言葉が効いたのか。
未だに考えを引き摺ったままに、答えを見出せないままに。
それはそうだ。答えを出したとしても行動できるとは限らないのだ。
理解してるからこそ悩む。
うなだれた様子を見せる尾は、石畳に触れるか触れないのすれすれの位置で垂れている。
■四十万 静歌 > 「偶然ですよ。偶然。
これが必然ならシイン先生はストーカーさんになってしまいますよ?」
なんてクスリと笑って。
「まぁ、一方的だと分かったなら、
受け入れればすむ話だと思うんですけどね。」
そりゃあ、簡単にはすまないでしょうけど、
「相手を理解して肯定する。
とでもいえばいいのでしょうか?
でも、シイン先生の場合、問題はそこではないと思いますよ。」
■シイン > 「ストーカー…?それは勘弁してくれ。
それより酷いのになったが、私の中ではストーカーはお断りだ。」
苦笑を浮かばせた、シインの中では殺人容疑者以上に嫌らしい。
「理解な、理解することが難しいのだが…イマイチどう考えればいいか分からず、それに別問題ときたか。」
それが果たしてどんな問題なのか。
教えてくれないかと頼む。
■四十万 静歌 > 「私も簡便願いたいですね。
まぁ、ですから、偶然ではあると思いますよ。」
クスクス笑って、
だって、必然なら私の行動調べてるって事じゃないですか。
なんていうだろう。
「ちなみに理解するなんて、
考えてやるような事じゃないですよ、
相手がどんな人なのかなって考えれば済む話ではあると思いますし。
だから別問題です。
だって――」
ウィンクをしながら口元に人さし指をあてて、
うっすらと笑い、いうだろう。
「シイン先生は、恐れているのではありませんか?」
――ただ微笑んでいるだけのようにもみえるし、
――何か怖い笑みに感じるかもしれない。
■シイン > 「偶然というのは必然よりも怖さがあるな。
あ、当然だが調べてないからな……本当だぞ。」
続けて苦笑。
信頼はされてるかどうかわからないが、弁明するしかない。
今日だって偶然だったのだから。
「――恐怖か。
もしそうならば、怖いから一方的に済ませて、怖いから受け入れたくない、か。」
その時に答えてくれた静歌の微笑みが、何故だろうか。
怖かった。
今の今まで生きてきて、恐怖を感じたことは指で数える程度。
恐怖に関しては人一倍以上に恐れを抱いてるのかもしれない。
「私自身…答えがわからない。だからそれがそうだと肯定は出来ない。」
■四十万 静歌 > 「まぁ、偶然でいいんですよ。
偶然というのは、ある意味もっとも当たり前の事ですから。
偶然そうなった、偶然何かが起こる。
そこには誰かの意思の介在はありませんしね。」
だからといって必然は嫌かといわれると、
過程次第だと思いますけどね。
なんて笑って――
「まぁ、もしもの話ですけど、
私がシイン先生なら――
物凄く怖いと思いますよ。」
■シイン > 「過程が大事なのは同感だな。
始まりや終わりも大事だが、そこに至るまでの過程。
偶然にせよ、必然にせよ、そこは変わらないかな?」
考えは人それぞれだが、シインはそのように考えてるらしい。
迷いがないような発言からして、察せるだろう。
そして、仮定の話として、彼女が私だったら恐怖を抱くと。
何故?と聞けなかった。聞こうとして口を開いたのだが、言葉が出ない。
口を開けたままに、声が出せなかった自分が理解出来なくて、ゆっくり口を閉ざした。
聞きたくないのか、それとも。いや、わからない。
視線は自然と下がってしまう。瞳に映るのは灰色の石畳、黒髪の女生徒の姿ではない。
機械から龍となり、力を得たのにも関わらず。
こんなことすら聞けない。何故だろうか。何も分からない。
分からない自分がとても腹立たしく、情けなかった。
■四十万 静歌 > 「ですね。
過程があって結果がある。」
まぁ、過程がいいものであれば、
それが最善でしょうか、なんて笑って、
言葉が出ない様子に、
不思議そうに首を傾げながらも、
視線が下がる様子に何かを察したのか、
目を閉じてさもありなん、
といった表情を見せるだろう。
当たり前だ。
極、当たり前の事なのだ。
少なくとも、もしも、静歌がシインの立場だったなら、
たとえどれほど力があっても、
同じような恐怖を抱く。
このままにしておいてもいいが、
――少なくとも静歌としての答えはいうべきだろうと、
口を開く――
「ええ、とっても怖いですよ。
どうしていいのかわからないほどに。
足が竦むほどに。」
じっと、首をかしげながらシインをじっと見て告げる。
「――だって――
人の事を知りたい、分かり合いたいのに、
分かれば分かるほど、
理解すればするほどに、
“自分がどれほど人とかけ離れているのかを知るでしょうから”」
本当に、怖いと思いますよ、と呟いて。
「私としては気にする必要はないと思うんですけどね。」
と柔らかく笑うだろう。
■シイン > 「…私は…そうだな。」
人と比べれられたら、どれだけかけ離れているのか。
姿形だけじゃない。力に。体力に。能力に。異能に。
数え始めたらキリがないだろう。
「自分と明らかに差があるものに果たして上手く関わり合えるのか。
私は受け入れられない事を前提として無意識に恐怖してたのかもしれないな。
化物が人間に受け入れられるかどうか。
人間だけじゃなくて同じ化物でも、恐怖を抱いていた。」
のかもしれない、と。
「だが、実感が無い。恐怖という実感が。」
■四十万 静歌 > 「――そうですか。」
微笑みを崩さずにただ一言そういって頷く。
「では、そうですね。
少なくとも人とは違うシイン先生を、
全てではありませんが、
多少は受け入れている私がここにいます。」
少なくとも人と違うからといって拒絶はするつもりはありませんし?
なんてクスリと笑ってじっと真剣にみつめて真面目な顔になり。
「――それで、
私を理解しよう、分かろうと。」
そういいきった所で
踏み込む事はできますよね?
と微笑むだろう。
その微笑は――
――ただ微笑んでいるだけのようにもみえるし、
――何か怖い笑みに感じるかもしれない
当然だと迷いなく言い切れるなら――
恐らくは前者の優しい笑みに見えるだろう
■シイン > 「――僕は。」
彼女は自らの言葉で言った。
多少は受け入れている、嘘ではないだろう。
こんな時に嘘で装う人ではない。
確かな言葉として伝えてくれた。
"ならば自分も受け入れられるはずだ"
はずだ。
顔を上げる。
真面目な顔の彼女が見えた。
此方を見て、微笑みを――
「………いや、"わからない"」
顔を手で覆い隠す。何故なんだ、何故に踏み込めない。自問自答。答えは出ない。
「そもそも理解するとは、踏み込むとはなんだ?
どこを、どのようにどう…して?どう、やれ…ば分かる?」
明らかに声が震えてる。
平常心が保てない。おかしくなりそうだ。
■四十万 静歌 > 「――そう、ですか。
それもまた、恐怖ですよ。」
と、顔を手で覆い隠し、
震える声を聞いてそう告げる。
「恐怖というものは、恐怖と向き合って初めて――
恐怖になるのですから。」
実感できないのも当然なのではないかというかのように、
静かに告げるだろう。
そして、柔らかい微笑みを浮かべ――
「踏み込むことに正しいやり方はないんですよ。
分かり方の方法が一つでもないように、
私としてはゆっくりと積み上げるやり方がすきでしょうか。」
なんて、優しい声色でいいながら――
「――今はまだやり方はわからないけど、
自分のやり方を見つけて、踏み込んでみせる。」
――ただ、それだけをいえれば良かったのですよ――
あなたは立ち止まっているのだと告げるように。
■シイン > 言葉を出せないままに。
頷いて肯定をする様子も見せずに。
恐る恐るに顔を覆ってた指に隙間を生ませる。
優しい声も相まって、柔らかな微笑みがより一層に綺麗に見えた。
そして、顔を隠す両手の内の片腕を一つ。
掌を見せながら四十万の方に手を伸ばす。
震えたその手は、以前に見せてた姿とは比べることも出来ない程に弱々しい。
何故伸ばしてるのか、本人も分からない。
掴んで欲しいのか、払って欲しいのか。分からない。
■四十万 静歌 > 「――」
その手を掴み取りも払ったりもしない。
静かに両手を広げるだろう。
少なくとも、
ここで何かをしては駄目だと感じるから。
■シイン > 両手を広げた彼女の手を、自ら掴もうとはしなかった。
掴めなかった、掴みたかったけど、自分からでは駄目だ。
あと一歩が踏み出せない、あと一歩が足りない。
手でも十分事足りる距離なのに、どうしても掴めない。
それならばと歩む。
だが歩みとはとても呼べない、地面を引き摺る音が聴こえる。
少しずつ少しずつと、引き摺りなら寄る。
数十秒時間を掛けてようやく一歩分。二歩分となれば二分近い。
三歩分の歩みの距離を進んで今一度と手を伸ばす。
苦しくないのに、胸が苦しい錯覚。
苦しくないのに、息が苦しい錯覚
痛みはないのに、胸が痛い錯覚。
不要なのに何度と何度と呼吸を繰り返して、震える手は"ナニ"を掴む。
伸ばされての行く先は?
それは眼の前の彼女の頬へ。
その手は震えており、ゆっくりすぎて避けようと思えば簡単に避けれるだろう。
■四十万 静歌 > 「……」
微動だにせず微笑んだまま
じっと見つめて両手を広げ続けている。
何もしない。
だが、最後の一歩を果たして踏み込めるだろうか?
■シイン > 手を取ってくれてもいいじゃないか。
頬を寄せてくれてもいいじゃないか。
歩み寄ってくれてもいいじゃないか。
内側でそんな我儘な言葉を幾度と繰り返す。
だが言葉として口からは伝えられない、無理だから。
声に出せない。出てくれない。
内心を暴露してくれる道具がアレば何億でも出したい。
食い縛り、歯軋りを鳴らし、身体をわざと震わせて、兎に角なにかしらで誤魔化した。
誤魔化したと思ってやった。
そうでもしないと、進めない。
そうでもしないと、逃げてしまいそうだったから。
頬に触れようとする手。
怯えて震えて脆弱な龍は、ようやく触れるだろう。
触れてやっと震えが止まる。
止まってくれた。
■四十万 静歌 > 「……ちゃんと踏み込めたじゃないですか。」
相手が何もしなくても、
相手が歩み寄らずとも、
自分の足で、
自分の力で、
自分の気持ちで、
相手が動かずとも、
相手が逃げてもちゃんと捕まえる、
それが踏み込むことなのだと、淡く微笑んで――
「――そろそろ時間なので私は帰ります。」
そっと触れる手に手を重ね、
しっかり握手をした後、
しずかに立ち去るだろう――
ご案内:「常世神社」から四十万 静歌さんが去りました。
■シイン > 「……………。」
境内に一人取り残された龍。
放心状態とも言えるだろう、頬に触れた後に握手を交わしたまでは覚えている。
どのように静歌が帰ったか、どのタイミングで帰ったか。
あまり覚えてなかった。記憶に残ってなかった。
本当に自分で踏み込めたのか。
自分以外に進める者が居ないのだから、答えはYES。
「…帰ろう。」
酷く疲れた様子の彼は、白き翼を生やして落第街へと帰るのだった
ご案内:「常世神社」からシインさんが去りました。