2016/01/01 のログ
ご案内:「常世神社」に橿原眞人さんが現れました。
■橿原眞人 > 「……年が明けてしまったか」
年が明けて間もないころ、眞人は一人常世神社に参拝に来ていた。
寒空の下、冷たい風が肌をなでる。
もともとこういうイベントごとに友人とくるという習慣もないため、寂しさという感慨がわくこともない。
今日は一度参拝してすぐに帰宅する予定である。
本来、年が明けてすぐの夜に来るものでもないだろうと思ってはいたものの、既に何人かの姿は見かけた。
「朝や昼に来ると大変だからな」
常世島の宗教施設の中でも、この常世神社の歴史は特に古い。
正月ともなれば、神職や巫女として雇われている学生や教員は大忙しということになる。
眞人はマフラーとコートを取ると、神社の境内に足を踏み入れて、手水舎にて手や口を洗い、その後に神前に立つ。
「神も仏も現実とものとなってしまったこの時代だが……やはり人は人だ。
この常世島を守る神がいるのならば、どうか俺の今後を見守っていてほしいものだな」
旧世紀、神や仏、超常的な存在は普通の人間には見えなかった。
だが今は違う。生徒としてこの学園に来ている神もいるという。
それでもなお、この神社には参る人がいて、祈る対象とされている。
■橿原眞人 > 神前に賽銭を入れて、腰を折り手を叩いて拝礼を終える。
この旧世紀の人々の神観念、信仰の形を残す宗教施設については、眞人も思う所があった。
今眞人がやろうとしていること、追っていること。それらは旧世紀の、世界の変容前の世界にも関わることだ。
しかし、今はそれについて深くは考えない。ただ、守護を神に祈るばかりだった。
常世国ともいわれたこの常世島。今年も多くの入学者がいることだろう。
少しでもこの島が平和になり、自身も穏やかに過ごせるように目的を果たせることを神に祈った。
「電子の神の打倒を神に祈るのも変な話だな。……人が来る前に帰るか」
眞人は踵を帰して神社を後する。
帰り道に、高台へと足を向けた。
常世島がある程度一望できる場所だ。そこに眞人は立つ。
月の光で学園が照らされていく。
「……あけましておめでとう、師匠」
常世島を見て、そして空を見上げて。
今は亡き己の師匠への言葉を述べた――
■橿原眞人 > こうして、常世学園の新年が迎えられた。
今後、この島が、世界がどうなるかはわからない。
ただ、眞人は己の為すべきことを為すまでだった。
「……行くか」
そうつぶやいて、目を閉じる。
すると、眞人の体は緑色の燐光に包まれ、古代文字のようなものが周囲を巡っていく。
体は電子の記号へと次々と分解されていき、常世島の風とともに消えていく。
新たな<<電子魔術師>>は、新年とともに、再び電子の海へと潜っていった。
己の師匠が用いた力。受け継いだその力を以て。
その身そのものを、電子の海へと投じた。
ご案内:「常世神社」から橿原眞人さんが去りました。
ご案内:「常世神社」に加賀背 雄さんが現れました。
■加賀背 雄 > (来てしまった。 とうとうやってしまった。 女装で外出はしていたけれど、
ここまで人が多いところに訪れるのは初めてだ。 否が応にも緊張する。)
ええと、本殿、本殿はあっちで……
(寒いはずなのに、じわりと額に汗がにじむ。
もしかして服やりすぎた? 目立っちゃってる?
もしかしてこの中に僕が女装してる人を知ってるひとがいる?
不安と焦りがじりじりと自分を急かす。 お正月の神社は人で賑わっている。
もちろん皆振り袖であったり、普通の格好であったり、人間でなかったりするが。
まずはお参りを済ませよう。いそいそと本殿の方に進む。
人混みにまぎれてしまえば、この心配も薄れるだろうし。)
■加賀背 雄 > (参拝列に素早く入る。 ここなら心配はいらないだろう。
のろのろと前に進む。 寒空とはいえ人はいっぱいだ。
リアル神様とかいるぐらいだし、信仰も大事なのだろう。
そんなことを考えながら、手慰みにスマホを弄る。
新年の挨拶もあるし、服のセールなんかも狙いたいし。)
去年も色々あったな…。 よし、ことしもがんばろう。
(女装自撮り配信がバレたり、ちはや君やビアトリクスくんと仲良くなったり、
コスプレ喫茶のお手伝いを始めたり、淫魔になりかけたり、ヨキ先生に諭されたり。
そんなことを考えていると、長い待機時間もあまり気にならない。)
■加賀背 雄 > (ようやくお賽銭箱の前へ。 お賽銭をいれ、鈴を鳴らしてから目を閉じて手を合わせる。
『どんな形でもいいからヨキ先生のそばにいたい…あと可愛くなりたい…』
色々な願い事が頭のなかに流れるけれど、はたして神様は聞き届けてくれるのだろうか。)
よし。
(目を開く。 お祈りは終わった。 くるりときびすを返して帰ろうとしたところで、
ぴたりと動きが止まる。 寒空の中ずっと待機していたせいで、お手洗いに行きたい。
しかしこの格好だ。 すごく悩む。 普段部屋の中か、外に出たとしても
短時間の女装で 済んでいたのだが、今回は色々と条件が違う。
もじもじと太ももをすり合わせながら、周囲を見回す。
人の列。 アレがおそらくお手洗いだ。 つらい。)
■加賀背 雄 > うう…ううーっ…
(おろおろする。 リミットは近づいて来ている。
果たして女性用に入ろうか、それとも男性用に入ろうか。
色んな意味で女性用に入るのはまずいが、
かといって男性用にこの格好で入るのも大変まずい。
結局我慢することにして、大急ぎで神社を後にしたのであった。)
ご案内:「常世神社」から加賀背 雄さんが去りました。
ご案内:「常世神社」に不凋花 ひぐれさんが現れました。
■不凋花 ひぐれ > 【その場に座っているだけで良い――と言ったのは誰だったのだろう。
否、誰かは分かっている。自分をこのバイトに誘った学友の一人だった。
常世島の祝(はふり)において、巫女たる職が下位とされ、投売りされたのははたしていつ頃からなのだろうか。
自分はその仕事においてあまり意識したことはなかったが、改めてこうしてみると――なんともいかんしがたい。】
「……疲れてきました」
【参拝客へのお守り販売なぞこの目では出来ないので、主立って別の役割が強かった。
参拝客が賽銭を投げ入れる音、逆に取り出そうとする罰当たりなものを餞別してもらうための聖徳太子ポジションとしての仕事がメインである。
"警備員"などを撮影しても楽しくもなかろうに、人目の着く場所で瞑目して座る巫女服姿を撮影する音が聞こえる。】
■不凋花 ひぐれ > 【異能の都合により一歩離れた場所で、座布団を敷いて正座。目の前には己の愛刀である『廻鴉』を鞘に収め、ただ只管瞑目。
音を為さん呼吸を経ている姿は精巧な人形にも紛うやもしれんが、それを面白がる一般市民ならびに生徒。同僚が機転を利かせて撮影は控えてくださいねー、と言ってくれたのが幸いなことくらいか。
不埒な参拝客の"音"を認識すると、懐からクナイ(を模した木製の玩具)を射出すべく片膝立ちで応対。賽銭箱の傍でそんな挙動をする者だから、一瞬の間をおいて「おぉ~」なんて歓声が時たま上がる。
それに増長して見るからにチャラ男の集団が「御前やれよ」「いやだべ御前が」などと悪ふざけを企む始末。こういうのは大概未遂に終わるので然程胸囲ではないが、本物の賽銭泥棒でも訪れない限りは平和そのものである。
裾を直し、粛々と静かに座りなおす。】
「……背を向ける社の方も、楽ではありませんね」
【祭り事となれば多忙を極めるのがバイト以外の本職の方々。いつもお疲れさまですと心の中で労うとしよう。】
■不凋花 ひぐれ > 「……あぁ、はい」
【裏にいる同僚から声をかけられる。曰く仕事はもう十分だからあがっていいとのことだった。
そろそろ疲れてきたし、この単調作業にも飽きている節はあった。
周囲から聞こえる様々な声、一喜一憂する音も楽しかったが、動いていないというのは案外きついものがある。
しかして正座慣れしている故に立ち上がりも問題なく、しずしずと裏のほうへと歩いて引っ込む。
一瞬の隙を突いて賽銭を盗もうとした小坊主がいたのでクナイをプレゼントしてやるのは忘れなかった。】
「お疲れさまでした」
【そのまま自由に過ごしていいといわれたので、表に再び出てから溜息をついた。目を開くと紅眼に数多の光が刺さる。
日は沈みライトアップされた境内を一瞥した後に、刀を両手に抱えて石段の上に座り込んだ。ぐ、っと足をまげて、伸ばして、リラックス。】
■不凋花 ひぐれ > 【ぐ、と腰を伸ばした。外気に晒す足と隙間から入り込む風が心地良い。
寒いことは寒いのだけれど、不快なものではない。
普段着る着物とも、学生服とも異なる着心地。目を閉じていると様々な光景が入り乱れて"見える"。
たとえ多くの姿を写し取る眼が無くとも、把握するには申し分ない。】
「……ふぁ」
【いけない。日中から活動を続けた所為だろうか。
それとも朝に食べた雑煮の腹持ちが良すぎた所為か。
はたまた仕事を終えられたという充足感で気が抜けた所為か。
はたと瞬きをしながら立ち上がる。】
「動かないと……」
【たぶん、きっと、寝る。】
■不凋花 ひぐれ > 【そうして暫くして、友人が終わる頃には縁日を巡るのに付き合ってもらいながら満喫したそうな。
――願わくば、あの方とも行けますように。】
ご案内:「常世神社」から不凋花 ひぐれさんが去りました。
ご案内:「常世神社」に久方 透子さんが現れました。
■久方 透子 > (活気の溢れる場所は、そう不慣れではないはずなのに、昼間のにぎわう時間を少しでも避けるように、やってきた神社の境内。
晴れ着を纏うわけでもなく、煌びやかに身を飾るわけでもない、いたって、普段通りの姿を夜の闇に隠すように、境内の端を歩くようにするけれど、それでも参拝者の為にといたるところに設置された外灯から身を隠すほどの能力はない)
「……まあ、昼間よりは、マシ…かな。うん」
(参拝者の流れに逆らう事なく、本殿へと。
今年の初めてを祝う程度の贅沢は、年に一度のおめでたいこの日ならば許されるだろうと。財布から多くはない小銭を取り出し、手のひらに握りしめながら、順番を待つ)
■久方 透子 > (神社の――初々しい巫女などを一瞥する。
アルバイトだろうかと首を傾げるも、それ以上目線を向けるでもなく、すぐに興味を失ったかのように本殿へと視線を戻す。
順番を待つ間は、長い髪の先を弄って乾燥と痛み具合に眉を寄せたり、携帯の着信、またはメールの確認をしたりと手持無沙汰に過ごした。
程なく、自分の番が回ってくれば、二礼、二拍手、一礼、のお決まりの動き。
瞳を閉じるものの――願う事など何もない、心は無心)
「……よし。おしまい。
これから、どうしよっか。
…お土産の一つでも、買えたらいいんだけど」
(お守りや、福矢。参拝客目当ての出店の類。
おみくじの木箱とて、視界に入っていないわけではないのだけれど。
財布の中と相談せずに安易に使う事も出来ず、外灯から逃れるように、境内の木の合間へと。
場所が、場所。
正しい人たちが集う場所。
人気がない場所の方が、どうしてもこういう場は落ち着くのか、肩の力が抜けて、零れる息は、深く、白く)
■久方 透子 > (お財布の中を暗がりの中で確認し、真っ先に消える金額的に高額に位置する福矢やお守りの類。
出店で何か一つぐらいは、正月なのだから。
一度開けた財布を閉じてコートのポケットの中にしまう。
暗がりから出れば、暫く出店を転々とし。
声をかけてくる店主の調子のよい言葉に愛想笑いを返しながら、やがて小さく赤い、いちご飴を一つ手に取った。
幾つかの店での商品の中でもかなり安価で、そして小さなそれに金銭を支払えば、ビニール袋に入れ。口に入れる訳でもなく、本殿に背を向けた。
鳥居の前をくぐり、礼をする訳でもなく、境内から足早にその場を去っていくのだ。やはり、学内を除く、”正しい場所”は、居心地が悪い、と言いたげに眉間に皺を寄せながら)
ご案内:「常世神社」から久方 透子さんが去りました。