2016/05/13 のログ
ご案内:「常世神社」に東雲七生さんが現れました。
■東雲七生 > 学生通りで出会った少女を無事に女子寮へと送り届けた帰り──
もうすっかり日も傾いて、薄暗くなった神社の石段を七生は上っていた。
まだ、夕飯の時間には少しある。
「ちょっと遠回りだけど……これくらいの時間なら飯には間に合うかな。」
軽い足取りで石段を上って行き、最上まで着くと大きく息を吐いた。
女子寮からここまで小走りで来たのだが、それでも息が上がっているという様子は無い。
■東雲七生 > 「うーん、流石にこの時間になってくると参拝してる人も居ないか。」
薄闇と静寂に包まれた神社はそこはかとなく不気味な雰囲気が漂う。
しかし真夜中に比べればまだマシ、と遠くから聞こえる街の喧騒に耳を澄ましながらのんびりと鳥居をくぐって玉砂利の上を歩いた。
誰か見知った顔が居るという訳でもなく、気分転換である。
割と七生にとってこの神社には昨年度色々な事があった思い出の場所でもあるからだ。
ご案内:「常世神社」にフィアドラさんが現れました。
■東雲七生 > ぐるりと辺りを見回してから、ゆっくりとベンチへ向けて歩き出す。
元々参拝が目的では無いので、せめてこの後誰か参拝に来た時に邪魔にならないようにとの七生の心ばかりの配慮だった。
ベンチに腰を下ろすと、木々の葉擦れやまだまだ賑やかな居住区の生活音に耳を澄ます。
そして大きく深呼吸をした。
「すぅー……はぁー…… うんっ」
何だか少し体が澄んだ気がする。
信心と呼べるものは生憎持ち合わせていない七生でも、やはり雰囲気の所為か少し他所とは違う気分になる。
■フィアドラ > この世界には神様なんて凄い人がいて頼めば願いを叶えてくれたりくれなかったりするらしいです。
その神様が住んでいるのがここです。そう、神社なのです!
図書館で今日一気に読んだ漫画に出て来て早速到着したのがこの時間になります。
キョロキョロと周りを見回しながら進みます。
夜ですけど私は割と暗さに強いのではっきりと見えるのです!
「えーっと、確かオサイセンを入れて鈴を鳴らすと神様が出てくるんですよね。」
そんな曖昧な知識で来たのですがきっと何とかなるはずです。
…多分。
■東雲七生 > 少しのんびりしてから帰ろう。そんな事をベンチで考えてたら不意に足音がしてそちらを見遣る。
不思議な容姿の少女が、割と挙動不審な感じで賽銭箱に近づいていく。
まさか賽銭泥?なんて考えが一瞬頭を過るが、直後に少女が呟いた独り言に、杞憂だったと胸をなで下ろして。
「……いや、流石に出て来たりはしないと思うけどな。」
言葉の内容に、少しだけ苦笑を漏らしたり。
■フィアドラ > 多分あれが神社です。あそこに住んでいるはずです!
「神様ー!神さーま!そこにいるのは分かってるんですよ!」
鈴をガラン、ガランと鳴らします。
「出て来て私の願いごとを聞いてください!お願いします!」
ガラン、ガラン、ガラランと鈴を鳴らしても出てくる様子はありません。
どうしてでしょうか?あっ分かりましたオサイセンを入れてないのです。
私は財布を取り出すと100円入れてはガラガラと100円入れてはガラガラとを
繰り返しました。
「出てこない…。」
■東雲七生 > さてあの子は神様を呼び出して何をする気だろう。
少しだけ興味を持った七生が見守る傍らで、立て続けに鳴り響く鈴。
流石に少し眉を顰めて、片耳に指を突っ込みながら跳ねる様にベンチから立ち上がると、騒音を止めるべく向かった。
「ちょ、ちょっとちょっと。一体そこまでして神様に何の願いがあるってのさ!」
鈴の音に負けないように少し声を張って。
フィアドラの横合いから声を掛けてみる。
■フィアドラ > がらがらがらがらがらどんがら。
投げ入れたオサイセンの額が食堂のAセットの額を超えたころ横から声が聞こえました。
「ふぃっ!?」
てっきり他に誰もいないと思ってたので急に現れた人間に驚きます。
いや?本当に人間なんでしょうか?童話の話にありました。
神様が人間の振りをして人を試す話をそういう話では大抵正直に答えた方がいいのです!
「えーと、それはですね…あの友達がたくさんできるようにって頼もうかと思って…
あ、あとあんぱんと焼きそばパンもいっぱいほしいです。よ、よろしくお願いします!」
頭を下げてお願いしました。
■東雲七生 > 「ああうん、驚かせてゴメン……。」
思ったよりも熱心に神様を呼び出そうとしていたらしく、驚いた様子のフィアドラに軽く頭を下げる。
しかし、そこまで熱心に何を頼もうとしていたのだろうと更に興味を惹かれたところで、何だか相手が妙な納得をしている気配を察し、
「……え。
あ、ああ……友達と、あんぱんと……焼きそばパンね。」
何故、自分に向けて頭を下げているのかとか、色々気になる事はあったけれど。
純粋な願いに妙に心打たれて、同時にこれどうしたものか、と戸惑う七生の姿があった。
■フィアドラ > 「大丈夫です!こっちこそもう少し早くオサイセンに気が付けばよかったです。」
笑顔で返します。何もなしに頼まれただけでかなえてくれるなんて都合がよすぎるのです。
それこそ、世界からお店屋さんはなくなります。
「はい!出来た友達の分のあんぱんと焼きそばぱんもお願いします。
神さ…人間さん!」
パン、パンと手を打って頭を下げます。
危機一髪です…。もし神様だって知ってるってばれたら。
あまりいい目には合わないのです。本を読んで学んでいます!
■東雲七生 > 「いや、お賽銭は入れ過ぎ……って事も無いとは思うけど……」
いや、居れ過ぎか。と賽銭箱を一瞥してからフィアドラが景気良く投げ込んでいた100円玉の数を思い出す。
それだけあれば焼きそばパンもあんぱんも手に入るのに、と思ったが、どう説明したものか逡巡し。
「えーと……あんぱんと焼きそばパンは、学食かパン屋さんにお金持って行こ?
それと、人間さんじゃなくて……ななみ。東雲七生っていうんだ、俺。」
一瞬何か違う種族にされかけた様な気がして、念の為名乗っておく。
■フィアドラ > 「でも、ここに入れた分で買えるのは五個くらい。神様はそれよりいっぱいくれるんじゃ…。」
もしかしたら違うのでしょうか?神様もオサイセンで買い物してそれで願いを叶えているのでしょうか?
なんか思ってたのと違います…。
「えっ、いえ東雲七生さんですか。私はフィアドラです。よろしくお願いします。」
やっぱり、人間じゃないみたいです!案外隠してないものなんですね神様って。
おもっていたより小さい見た目です。おじいさんでもないし。
「えーと、神様って意外に若いんですね。大きさも思ったより控えめだし…。」
思ったことをストレートに伝えました。
■東雲七生 > 「あ~~……どう説明したら良いもんかな……。」
七生自身、参拝についての知識なんて殆ど無いに等しい。
その“ほとんど知らないこと”を説明出来るかと言えばNOだ。とことんNOだ。
ましてや相手は純粋故に曲解する節があるとなれば尚更だ。
「フィアドラ、ね。うん、よろしく。
そんで……えーと、何か意外とか言ってるとこ悪いんだけど、
俺、神様じゃないからな!?」
サイズに関しては聴かなかった事にしてあげる優しさも含みつつ、とりあえず一番はっきりさせなきゃいけない事を告げる。
落胆されてしまうかもしれない、とちょっとは思ったが、流石に神様にされてしまうのはたとえ勘違いでも遠慮したい。
■フィアドラ > 首を傾げて『どう説明したらいいもんかな』って言葉を聞きました。
何か私間違っていたのでしょうか?
「えっ東雲七生さんは神様じゃないんですか!?」
がくりと膝をつきます。凄い勘違いです。
とんでもなく恥ずかしいヤツです私。
「えーと、ごめんなさい!さっきまでの話は全部聞かなかったことにしてください!」
神様だと思ってた頃よりも深く頭を下げてお願いします。
■東雲七生 > 「はは、東雲、でいいよ。」
さっきよりも深く頭を下げて懇願するフィアドラを見て苦笑を浮かべる。
誤解は解けたようだが、何やら恥ずかしい思いをさせてしまったようだ。
これは一応、少女の幻想を打ち砕いた責任としてきちんと説明する義務がある……ような気がする。
「えっと、まあ良いんだけどさ。
お賽銭、あんなにいっぱい入れなくても、大丈夫だと思うよ。
そもそも、えーと……あ、そうだ。
神様じゃなくてごめんだけど、良かったら俺と友達にならないか?」
神様にお願いするつもりで来たんだろ?と苦笑を浮かべたまま首を傾げる。
このまま自分が神様でない事をハッキリさせたままで終わらせてしまえば、この少女は再びありったけの効果を賽銭箱に投げ込むかもしれない。
流石にそれは何かと非生産的すぎる。見てて心が痛い。
なので神様では無い七生にも叶えられそうな願いを、ひとまず叶えてあげることにしたのだった。
■フィアドラ > 「そうなんですね…。」
お賽銭もどれくらい入れたらいいか値札ついてたらいいのに…。
分かりにくいことこの上ないのです。
「私と友達に…?私とですか?で、でも私ヒュ…ド、ドラゴンなんですよほら!」
そういって手袋を脱いで見せます。拳は思いっきり握ってるので掌の口は見えないはずですが
二の腕から先が黒い鱗に覆われてるのは見えるはずです。
「あと、歯もギザギザですし眼も怖いんですよ!本当にいいんですか!?」
もしかしたらこれで前みたいに離れられるかもしれません。
もし、友達になったって言った後から嫌だって言われるのはもっと嫌でした。
■東雲七生 > 「多分、だけど。
気持ちさえちゃんと篭ってれば、100円じゃなくても、10円とか5円とか、それくらいで良いと思うよ。」
実際のところどうなのか、七生も知らないけれど。
それでもさっきの行いは、ちょっとやり過ぎだったんじゃないかとか思ったり。
「うん、友達出来るようにって、神様に頼みに来たんだろ?
……え?ドラゴン?」
きょとんと、呆気に取られた顔で居る七生の前に示された腕を見て。
ああ、本当だ鱗があるなあ、なんて気の抜けた感想を言いつつ。
「そうか、ドラゴンか……遂にそういうレベルまで来たか。」
何故だか感慨深げに腕組みなんかして、数度肯いたりし、
少しヒートアップしてる様な気のするフィアドラへと向き直ってから、
「良いよ別に、カッコいいじゃん。」
と、あっけらかんと答えた。
狼、ゴーレムや邪神を筆頭に、様々な種類と友人だったり、顔なじみだったりする七生にとって、腕に鱗くらい何ら不都合は無いのであった。
■フィアドラ > そんな少ない額で行けるなんて返してほしい気持ちが込みあがってきました。おのれ神様!
「はい、四分の一だけですけど。ドラゴンみたいなものです。」
正確にはヒュドラですけど。
だいたい、そうだいたい似たようなものです。
「カッコいい?カッコいいですか?なんか微妙に嬉しくありません…。」
やっぱり、ドラゴンの持つイメージに引っ張られてる感じがあります。
ドラゴン=強い=カッコいいみたいな。
「でも、本当にいいんですね!後から断られたら私泣きますからね!」
■東雲七生 > 「四分の一……何て言ったっけ、くぉーたー……?」
フィアドラの自己申告に軽く首を傾げる。
まあ実情がどうあれ、普通の人間という種族では無い知り合いがごまんと居る七生にとって細やかな問題である事に変わりは無い。
「あ、えっと……カッコいいじゃダメだった?
んじゃあ、その……可愛い……かな?」
凄く無理した感じで顔を赤らめながらも訂正する。
そもそも何を以て可愛いと称すれば良いのか、七生にはとんと見当がつかなかったが。
「ああ、別に。断る理由も特に無いし。
別に、俺に何かしようって訳じゃないんだろ?」
■フィアドラ > 「それです!クォーター!」
知り合いに同じクォーターって言ってた人がいました。
ドラゴンじゃないですけど。
「私が可愛い?それならまだ、まだ嬉しいですけど…。」
東雲さんにとって私のどの部位が可愛いのでしょうか?
人間は謎が多いです。
「はい、しいて言えば一緒にあんぱんとか焼きそばぱんとか食べたりするくらいだと思います。」
友達同士ですることって言えばまずそれが思い浮かびます。
それ以外は…何かあるのでしょうか?
■東雲七生 > 「合ってた?クォーター、前に聞いた事があってさ。
……あれ?どこで聞いたんだっけ。」
友人になるのにあんまり血統なんて気にする理由もないので、案外あっさり忘れてしまったりする。
親がどうだろうと先祖がどうだろうと、七生にとっては些末事である。気にしたところで自分に得があるわけでもない。
「……それなら、ええと。うん。そういう事で。」
言ってる七生自身がさっぱり可愛さを見出せていないので謎は深まるばかり。
これは人間のと言うよりは、七生個人の問題である。
「うんうん、それくらいだよな。
ていうか、そんなに好きなのか?焼きそばパンと、あんぱん。」
さっきからその名前しか聞いていない気がする。
他にももっと色々あるだろうに、と小首を傾げて。
■フィアドラ > 「は、はい。分かりました。そういう事で。」
この話題は続けていると何となく私が恥ずかしい気持ちになるのでここらへんで置いといて…。
「好きですよ。初めて買い物した時に食べたパンなんですよ!凄いおいしいんですよ?」
特別な思い入れがあるのかもしれません。
それはともかくおいしいんですけど。
「東雲さんは何が好きなんですか?」
自分の答えを返すとこっちも、首を傾げながらそう尋ねます。
■東雲七生 > そういうことで、と大きく頷いて話題を一つ、脇に退けて。
パンについて力説する姿に、ほん、ほん、と相槌を入れる。
そして自分の好みを問われれば。
「え、俺?
……うーん、そうだなぁ。やっぱ、肉かなあ。
焼き鳥とか、串カツとか、売ってるの見たこと無いか?」
美味いんだぜ、と笑みを浮かべる。
最近はしてないものの、下校中の買い食いの定番だった。
■フィアドラ > 屋台は見たことありますが通るころは丁度いつも人がいっぱいで買いにくいのです。
「見たことはありますけど買ったことはないです…。あっでも肉なら定食の唐揚げがおいしかったです!
外側はカリカリしててでも中は柔らかくて味もしっかりついててご飯が進みました!」
思い出しながら話して一回口の周りを拭います。
垂れてはなかったけど念のためです。
「…思い出しただけでお腹がすいてきました。」
お腹を押さえて空を見上げます。
見ればもうこんな時間太陽は殆んど沈み切って星も空に昇り始めています。
■東雲七生 > 「あー、なるほど。唐揚げも美味いよな。
って、何だ。フィアドラも結構色々食ってんじゃん。」
てっきり焼きそばパンとあんぱんしか食べた事が無いのかと心配していたのだが。
どうやら杞憂で済んだらしい。内心でほっと胸をなで下ろす。
「……そーだな、そろそろ飯時だし。
すぐに暗くなってくるだろうし、そろそろ帰った方が良さそうだな。
……フィアドラはどの辺に住んでんだ?俺は異邦人街だけど……方向一緒なら途中まででも一緒に行こうぜ。」
■フィアドラ > 「流石にこっちに来てもう四か月ですから。色々食べてますよ!」
私をなんだと思っているのでしょう。
「異邦人街ですか。そう言えばそっちは行ったことないですね。
私は女子寮に住んでるのでえーと、とりあえず駅までいけばいいんでしょうか?」
まだあまり地理には詳しいとは言えません。そんな事を言いながら歩き始めて…
「…駅ってどっちでしたっけ?」
ご案内:「常世神社」からフィアドラさんが去りました。
■東雲七生 > 「いやいや、悪い悪い。」
あはは、と笑って誤魔化しながらゆっくりと石段の方へと歩き出して。
「女子寮か、だったら──」
簡単な地図を頭に思い浮かべながら説明しつつ。
ひとまずフィアドラを駅の近くまで送り届けて、帰路へ。
少しだけ夕飯に遅刻して居候先の家主にいじめられたのは別の話。
ご案内:「常世神社」から東雲七生さんが去りました。