2016/06/27 のログ
ご案内:「常世神社」に蕎麦屋さんが現れました。
蕎麦屋 > 「いやぁ――怒ってます、かしら。」

朝方の神社、というのは人は居ても比較的まばらだろう。
境内と外とを区切る鳥居を見上げてぽつりと呟く。

夜間の訪問、も考えたのだが。これ以上の不審者扱いは面倒になるだけである。
何よりも寝てる時間に叩き起こされて機嫌のよい、なんてこともなかろう。
そういう諸々の思案の結果のこの時間、ではある。

「さて、失礼します。と。」

いつまでも見上げていても仕方がない。
一礼してから、境内へと足を踏み入れる。

蕎麦屋 > 最悪足を踏み入れた瞬間弾きだされる可能性も考えていたけれど、それはなさそうで。

「――や、一安心。」

そのまま手水舎へ。
柄杓を右の手に取り、水を掬う。
左手を洗い、持ち替えて右手を。もう一度持ち替えて左手を。
最後に柄杓を立てて、残った水を柄へと流して、戻す。

そして拝殿へ――あ、やっぱり端を歩いた方がいいですよね。

蕎麦屋 > 拝殿。その奥に見えるのは本殿と。その更に奥に見える岩が御神体、というモノだろうか。
暫し何かを見定めるように眺めた後、視線を拝殿へと戻した。

「えー……と。」

此方の方式は余り詳しくはない、思い出しながら。
浅い礼から始まり――賽銭100円玉を適当に何枚か、静かに。
そうしてから。深い礼を、二度。

「――」

続けて、拍を打つ音が大きく、一度、二度と響き渡った。
願う内容も伝える感謝もありはしないが、敵意と害意がない事だけ伝われば、まずは良い。
後ついでに、顔出しが遅れた詫びと、蕎麦屋の出店の事も、一応断っておく。

最後に、もう一度、深い礼を――

蕎麦屋 > 「――よし。と。」

とりあえず、本来なら最初にやっておくべきことは、終わった。
終わったと思おう。

拝殿から離れて、近くにあるベンチへと腰を下ろした。
後は何か、やっておくべき作法などはあっただろうか。

蕎麦屋 > 「ん、あー……」

ぼけー、っと境内を眺める。
最近は夜間になると未開拓地区か落第街の辺りで屋台を出していた所為で、こういう時間は中々無かった。

綺麗に整備された境内、杜も手入れが行き届いている。
かいがいしく世話を焼く巫女に神主、眺めている間にもちらほらと参拝客が訪れては、去っていく――

ご案内:「常世神社」に寄月 秋輝さんが現れました。
寄月 秋輝 >  
ばさり、空から風を裂いて降りてくる。
もちろん偏光迷彩を忘れずに、周囲からは姿が見えないようにしてある。
道の端のあたりに来た時点で、偏光迷彩を解除して姿を現した。

と同時に、視線を向ける。

やたら背の高い女性に。

蕎麦屋 > 「おや――」

気の抜けたまま境内を見回す――その視線がつい、と空に向いた。
何か、飛んできて、降りてきた。見えないけど。たぶん生物。

道の隅に降りたそれが、姿を現した、――思いっきり視線がかち合ってます。

寄月 秋輝 >  
わずかに目を細める。
腰の刀、その柄頭に乗せた左手に力が籠る。

(……神性持ち自体は珍しくないが……)

にしたって、ここまで歪な存在が居ていいものか。

額を指先で抑えて小さく唸った。
何でこう、神とか神の血筋とか神に仇為す者とか、そういうのと縁があるんだろう。
やはり自分の運命は呪われている。

大分イヤそうに、歩いて近寄ってきた。

「……住民としての身分を証明できるものはありますか?」

嘱託風紀委員の仕事を始めた。

蕎麦屋 > 最初に視線がいくのは、腰の佩刀。
最近の学生は何というか。碌でもない得物持ってて怖いですねぇ、ホント。
ついで外見に――額を押さえて何やら悩む様子。
自身の格好を見直す。――特におかしい所はない。ということは。

「はい?あー……今申請中です。
 なんでも少々時間が掛かるとかで。」

あ、やっぱり寄ってきた。
ベンチにだらりと座ったまま、聞かれれば素直に答える。一応、嘘ではない。

寄月 秋輝 >  
「……そうですか。失礼しました。
 では申請時のお名前を聞かせてください。
 後見人の方がいらっしゃるなら、そちらでも構いません」

端末を取り出し、ぱたぱた叩きながら聞いてみた。

さすがにこんな人物を捨て置くことは出来ない。
怪しかったらなおさら。

蕎麦屋 > 「後見人ですか、えー……」

暫し、空を仰いで悩む。
誰の名前を出したモノだろうか。

「この学園の生徒の、高峰の親戚です。
 後見人、というなら、リビドー教諭か、獅南教諭か、保健課の括流教諭か、その辺りになるんでしょうか、この場合。

 あと、境内ですから。流石に目に見える形の帯刀は余り褒められないと思いますけれど。
 というか武装して詰問とか怖いのでご勘弁願えません?」

仕方がないのでとりあえず話の通じそうな名前を挙げておく。後で蕎麦でも出前しよう。
あと、やはり境内でそれは、気になる。筋を通しに来た手前、余計に。

寄月 秋輝 >  
これだけの名前を挙げるならば、十分信頼に値するだろうか。
携帯端末を確認し、一応は安心したらしい。
その端末をポケットにしまい直した。

「わかりました、ご協力ありがとうございます。
 怖いかと思いますが、一応嘱託とはいえ風紀委員ですので。
 帯刀許可ももらっていますので、ご理解ください」

ぺこりと頭を下げた。

「……本当は小型化させられるのですが、こちらに転移された際の影響か、
 いくつかの機能が停止されるかオミットされていて困っているんです。
 そうして怖がられないようにするためにも、早く直したいのですが……」

帯刀してる人間なりの悩みがあるらしい。
またぺこりと頭を下げた。

蕎麦屋 > 「はい、毎度。
 あ、こんな感じですが、流しの蕎麦屋やってますので、見かけたら是非どうぞ?」

とりあえず納得は得られたらしい。
ならよし――また逃亡したとかなったらそれこそどうなるやら。
ついでに蕎麦屋の宣伝もさらっとしつつ。

「ああ、いえ、公務ご苦労様です。早めに取得できればよいのですけれど。
 ――はぁ、流石にこの島面白いモノが多いですねぇ……」

小型化だとか、先ほどの迷彩であるとか。
この島に来てからというもの、感心してばかりです。
転移、オミットなどというからには別世界から、というものであろうか。そんな疑問に僅かに首を傾げながら。

寄月 秋輝 >  
「……神性持ちが蕎麦屋……?
 ……いや、サクラさんも下級隊員だったし、そう思えば……

 あ、いえ、失礼。
 では見かけましたら、是非」

小声でぶつぶつ呟く。
眉をひそめて、それでも一応納得した様子だが。

「次から他の風紀委員に声をかけられた場合は、すぐに先生方のお名前を挙げるようにしてくださいね。
 この島は異世界技術の流入も多く、便利なものも多いですよ。
 正式に住民登録されたなら、いくつか調べてみることをオススメします」

便利なもの、といっても秋輝自身馴染みのありそうなアイテムしか使っていなくて、何が便利かはわかってない。
せいぜい電気オーブンやIHコンロが便利とかしか思ってない。

蕎麦屋 > 「はい?味の方はそれなりに自信もございますよ?
 出前もやってますので、そちらも合わせて、よろしければ。」

なんでしたら一杯――と思ったけれど、流石に境内で商いはまずかろうと思いとどまった。
代わりというには不足だが、メモを取り出して、渡す。電話番号と蕎麦屋出前連絡先、とだけ簡潔に書き込まれたもの。
それにしても保健課の張り紙の剣なら納得しますけど、なんでそんな不思議そうな顔をするのか。

「はい、そうさせて頂きます。
 何よりもまずはインフラは早く使えるようになりませんでしょうか。」

溜息一つ。落第街からここまでは結構遠いのです。
使えるならば公共機関の方がよほど楽です。

「―――――あ。
 お名前聞いても、よろしいですか?」

寄月 秋輝 >  
「……いえ、外食は月に数回に抑えているので……」

普段から金銭的に切り詰めているのだ。
クセになってしまった節約生活。
けど一応そのメモは受け取った。

「……水道や電気とも無縁の生活ですか……
 さすがに申請すれば、もう少しまともな生活が出来ると思いますが……」

インフラの意味を多分ちょっとズレて把握している。
自分より貧乏なのかな、などと哀れみの目を向けてしまった。

「僕は秋輝と申します。
 ……そちらのお名前も伺っても?」

先ほど後見人の名ではぐらかされた名前を聞いてみる。

蕎麦屋 > 「あら、それは残念。
 ですけれど、そんな目玉を剥くような価格でもございませんので――」

治安の維持も学生の手によると聞く。
学生ならば金欠も仕方ないのだろう、と勝手に納得した様子。

「あ、いえ。そちらのほうは滞在先では使えておりますよ。
 移動手段であるとか、連絡手段であるとか、の方でございます。」

憐れむような視線にはひらひらと手を振って。
携帯電話だけは持たされましたけど。と使用感のあるスマートフォンを取り出した。
実際登録がなければ、ハイテク化された島の機関はどれも使用が制限されてしまう。

「あき。良い名前ですね――
 はい?あ、申し遅れました。蕎麦屋、と名乗っております。」

名を聞かれれば、まったく名前に聞こえない名を告げる。
分りやすいでしょう?

寄月 秋輝 >  
「そうですね、一度はごちそうになりたいところです」

値段さえ安ければいいのだが。
そんなことを考える。

「あ、あぁ……なるほど。
 確かに、移動に関しては電車が使えないと少し不便ですね。
 ……蕎麦の出前をするのに、そんなに移動が困難な場所にお住まいなんですか?」

だんだん怪しくなってきた。
というか最初から怪しかったのだが。
もう少し信憑性を持たせる設定にしてもいいのではないだろうか、とも思う。

「……お仕事を聞いた覚えはないのですが……
 それが名前ですか」

なんでこんな相手を目にしてしまったのだろう、と頭を再び抑えた。

蕎麦屋 > 「はい、どうぞお気軽に。」

価格設定は最近見直しているけれど。それでもなお、少々安すぎるくらい。
そんな価格設定を聞けば三度頭を抱えることになりそうだ。

「いえいえ。出前でしたら自転車でもカブでも良いですけれどもね。
 気軽に何処か行きたい、少し飲んで帰りたい、というときには困るでしょう。」

なんかどんどん疑う顔になってますけど。
公共機関一切使えないのってかなり不便ですよ実際。

「はい。――さて。」

名前か、と問われれば頷く。何かご不満でも、といった風情すらある――
頷きながら、立ち上がる。

寄月 秋輝 >  
「……まぁ、住民登録がされていないなら、それこそ落第街あたりにお住まいなんでしょうけれど……
 本当に、一日も早く登録されることを願います」

もう一度哀れみの目になった。
怪しいけど。怪しいけど。

「……なるべく早く、まともな姓名を考えておいてください……偽名でいいので。
 個人を呼ぶ名がないと、困りますから。
 では僕はこれにて失礼します……」

偽名でいいから考えろとまで言い出した。
色んな意味で、青年が正義とは程遠そうなことは伺える、かもしれない。
どっと疲れた様子で、ぺこりと頭を下げた。

蕎麦屋 > 「はい、どうもお気遣いありがとうございます。……?」

あれ、なんかさらに憐れまれた。
不思議そうに首を傾げながら――

「善良な一市民に偽名を推奨するのもどうかと思いますよ?
 はい、ご苦労様です。巡回頑張ってくださいね?」

どの口で言うのか、と言った塩梅の事を言い放ちながら。
礼に対しては小さな礼で返して、参道を戻っていく。

鳥居を潜ってしまえば、その姿も見えなくなるだろう――

ご案内:「常世神社」から蕎麦屋さんが去りました。
寄月 秋輝 >  
「ありがとうございます。
 蕎麦屋さんもお気をつけて」

ぴしっと背筋を正して見送って。

(……あまりに無秩序すぎるだろう、この世界……)

多くの物が存在するにしても、これほどに世界のキャパシティが大きいというのは妙な話だ。
大変容というのは、世界の在り方どころか、世界のサイズすら変化させてしまったのだろうか。

「……帰ろう……」

これ以上考えたくない。
なんとなく、さっさと帰りたかった。

再び偏光迷彩を纏い、空へと舞い上がっていった。

ご案内:「常世神社」から寄月 秋輝さんが去りました。