2016/08/04 のログ
ご案内:「街外れの小さな家」に深雪さんが現れました。
ご案内:「街外れの小さな家」に東雲七生さんが現れました。
■深雪 > 世間は夏休みを謳歌しているのだが,この少女にとってそれは何の意味もない,普段どおりの日常でしかなかった。
深雪が今学期取得した単位は,驚くべきことに0単位である。
昨年はまだ,目新しさから授業に出ようという意欲もあったが・・・。
「・・・・・・・・・・・・。」
今年はそれさえ失ってしまったので,深雪は完全に自由を謳歌していた。
今も,制服姿のまま,深雪はソファに横になって寝息をたてている。
身体を伸ばすのではなく,きゅっと丸くなって,まるで仔犬のように。
■東雲七生 > 「ただいまー」
朝から外遊びに徹して一度お昼にしようと帰って来た七生は、部屋の中の静けさに首を傾げた。
家を出る時は確かに家主である深雪が居て、帰って来た時も施錠なんかされていなかったから、
てっきりまだ家に居ると思ったのだが。
「……どっか出かけたのかな……?」
額から零れる汗を拭いつつ、すっかり我が家の様に慣れ親しんでしまった家の中をリビングへ。
一旦ソファにでも座って深雪の帰りを待とうかと思ったのだが、
「……あ。居た。」
どうやらその必要は無かったらしい。
■深雪 > 七生が座ろうとしたソファに先客の姿。
夏休みだというのに,深雪は家でも制服を着ることが多かった。
理由は,きっと,これと寝間着の他に,あんまり服が無いから。
「・・・・・・・・・ん・・・ぅ・・・。」
貴方の声と気配を感じたのか,僅かに身をよじって・・・
・・・残念,起きない。少し動いたから,七生が座るスペースはギリギリありそうだ。
幸せな寝息が聞こえてくる。
部屋はクーラーもついていないが,ソファに近付けば,ひんやりと涼しい空気。
■東雲七生 > 「深雪がこんな無防備に寝てるなんて珍し……くもないか。」
そろそろ一年になろうかという居候生活。
自由気ままに暮らす深雪の様々な姿を目にしてきたためか、多少の事じゃ動じない七生が居た。
今やすっかり弟めいてきているのは、僅かに自覚もある。
「まったくもう、気持ちよさそうに寝ちゃってまあ。」
呆れ顔で少女の寝顔を見た後、せっかくだからとソファの空いたスペースに座ろうとして動きが止まる。
……丸まって寝てる所為か制服の、スカートが際どい。
■深雪 > 七生が来るまでは,持て余した時間を1人で過ごしていた。
けれど今は,こうして帰ってくる七生がいる。
これまでも何人か,こうして近付いてきた相手は居ただろう。
けれど,気紛れな深雪にとって,こんなに長い時間を共に過ごした相手はそう多くはない。
「・・・・・・七生・・・?」
起きた・・・わけでは無さそうだ。姿勢も変わらず,丸まったまま。
スカートの裾からは色白の脚が綺麗な曲線を描いて伸ばされている。
・・・・・・見ようと思えば見られるだろうし,見ようと思わなくても,角度によっては見えてしまうだろう。
■東雲七生 > 自分が来るまで、深雪がどんな生活を送っていたのかは知らない。
だが、この家の立地や初めて来た時の生活感の無さなどからある程度想像することは出来る。
でもそれらを詮索するつもりは今のところ七生には無いし、多分これからも無いだろう。
「わ、深雪、起きてるの……?」
名前を呼ばれて、思わず一歩後ずさる。
別に疾しい事をしようとしたわけではない、座ったら見えちゃわないかな、大丈夫かなって心配しただけだ。
そもそも下着なんて選択するときに散々見てるんだから気にすることは無いとも思うのだが。
まあ、そこはそれ。
ひとまず起きてるならちゃんと座り直して貰おうと確認のために声を掛けてみる。
■深雪 > 声を掛けられれば,眠りに落ちていた意識もやっとこちらの世界に引き戻される。
「・・・・・・んぅー・・・・・・っ!
・・・・・・・・・あら?」
ぐぐぐっと伸びをして,ぱちっと目を開いた。その仕草は,子犬と言うより猫に近いかもしれない。
七生がスカートの中が見えてしまうことを心配していたのなんて知る由もなく,
目を覚ました深雪の瞳が,貴方へまっすぐと向けられる。
「・・・・・・・・・・・・おかえりなさい,寝ちゃってたわね,私。」
その言葉を発するまでにはさらに時間がかかった。
座る?と自分の横をトントン、と叩いて示し,首をかしげる。
■東雲七生 > 「お、おはよう……ただいま。」
目を覚ましたらしい姿を見て、さっき名前を呼ばれた時にはまだ起きていなかったのだと知る。
少しだけ名残惜しい気もしたが、慌ててそんな考えを頭から追い出して。
「あ、えっと、うん。」
隣に座るかと訊ねられれば、少し逡巡した後素直に頷いて腰を下ろす。
先にシャワーで汗を流してきた方が良かったか、と座ってから気付くがまあ後の祭りである。
■深雪 > 何だか少しぎこちない返しだった気もするが,七生の思考を読めるわけでもない。
横に座った七生を見て,くすっと笑った。
「外は暑いんでしょう?
私にはそんなに汗をかいてまで出かける理由が分からないわ。」
けれど,隣に座れば,汗もすぐに引くだろう。深雪は悪戯っぽく,七生にふーっと息を吹きかけた。
深雪がいつも纏っている香水の柔らかな甘い香りと,冷気が貴方を包みこむ。
■東雲七生 > 「暑かったよ。
でもほら、やっぱり鍛錬は欠かせないから。」
強くなるんだもん、と少しだけ真剣な顔で告げる。
暑さには弱い七生でも、最近は少しずつへばる事も減ってきている気がした。
少なくとも去年よりは暑さでダウンすることは少なくなったと思う。
息を吹きかけられれば、擽ったそうに身を竦めて。
そして笑みを浮かべると、深雪へと振り返った。
「ねえねえ、それよりどんな夢見てたの?」
■深雪 > 「あらあら・・・あんまり期待してなかったけれど,貴方,本当に一番強い男の子になっちゃうかも知れないわね。」
冗談交じりにそんな風に返しつつ……けれど確かに,この1年で七生は逞しくなった。
初めに出会ったころは,小さな可愛い男の子,でしかなかったのだけれど。
「・・・夢?変なこと聞くのね?
そうね・・・・・・よく覚えてないんだけれど・・・・・・」
七生が,夢の中にも出てきた気がする。けれど今ではなくて,遠い遠い未来。
この忌々しいリボンを外せるくらいに,七生は強くなっていて・・・・・・
「・・・・・・多分,七生,貴方の夢よ。」
・・・・・・それから,横に座った七生の身長を自分と比べるような動作。わざとらしくそんなことをしてから,楽しげに笑って・・・
「うーん,でも,もっと背が高かったから,違う人かしら?
それとも,おっきくなった七生?」
・・・おぼろげにしか思い出せない夢の断片を,つなぎ合わせながら。
■東雲七生 > 「なーるーの!
約束は守るんだから。」
ふん、と頬を膨らませて抗議する姿はまだまだ幼く見えるだろう。
ついでに身長も一年で伸びたどころかちょっと縮んだがそれは言わなければ気付かれない筈、だ。
「……俺?」
だから俺の事呼んでたんだ、と得心がいったのか笑みを浮かべる。
まだまだ身に覚えは無いけれど、人の夢に出るのも悪い気分はしないななんて少しだけ機嫌を直したら、
身長の話になって、また少しだけへそを曲げる。
「うー……
大きくなるし!たぶん、深雪よりも大きくなるし!」
もう高2なので成長期があるかどうかは、少し怪しいけど。
■深雪 > 「それじゃ,夢に出てきたのはずっと未来の七生ね。
・・・はいはい,そういうことはおっきくなってから言うのよ。」
へそを曲げている七生を見て楽しそうに,これ見よがしに頭を撫でた。
実際,まだ完全に見下ろせる身長差なのだから,仕方が無い!
何度かその頭をなでてから・・・・・・思い出した。
夢の中と,逆だ。夢の中では七生に頭を撫でられていた気がする。
「・・・・・・ちっちゃいままでも良いわよ。夢の中の七生はちょっと生意気だったわ。
ほら,私より大きくなっちゃったら,撫でてあげられないもの。」
こうして七生の柔らかな髪を撫でているのはとても心地が良い。
だからこのままでも良い気がする。・・・・・・夢の中での感触は,もう思い出せない。
■東雲七生 > 「ううぅぅ……」
恨めしそうな顔で唸りながら撫でられていたが、少しすれば幾分か機嫌を直したのか唸り声もしなくなる。
お互い座ってればそれほど身長差なんて無いのに、とまだどこか不満げにしつつ。
「別に、そしたら今度は俺が深雪を撫でるもん。」
いずれ見返してやるんだ、と。
こればっかりは鍛錬しても身長は伸びないので如何ともしがたい。
だから今は撫でられる身に甘んじているのだ。今だけ……のつもり。
■深雪 > 1年も経つというのに,七生はいつも可愛らしい反応を見せてくれる。
不満も隠すことなく表情に出すようになったのは,慣れだろうか。
深雪にとってはそれも,可愛らしくて良かったが・・・
「・・・あら,こっちの七生もいい度胸してるわね? 撫でてみる?」
・・・妙な夢を見た所為だろうか。
いつもと逆の立場,夢の中での自分と七生,それがどんな気分なのか,試してみたくなった。
座ったままで七生より少しだけ高い身長なのだから,手を伸ばせばいくらでも撫でられるだろう。
挑発するような視線を,七生に向けて。
■東雲七生 > 将来、本当に背が伸びるだろうか。
そんな事を考えながら、撫でられていた七生。
もし、将来大人になって背が伸びるなら、深雪ももしかしたら今より成長した姿になっているのかもしれない。
少女ではなく、女として美しさに磨きをかけるのだろうか。
「……。」
あんまり変わらない気がした。
「……えっ、あ、うん!」
そんな事を考えていた所為か、一瞬何の事か分からなくて戸惑うも、すぐに頭を撫でるかという話であったのを思い出す。
こくん、と頷くと、すっ、と深雪の頭に手を伸ばして。
そのまま頭を抱き寄せると、よしよし、と撫でようとするだろう。
■深雪 > 未来のことは分からない。運命の女神なら全てを知っているのかもしれないけれど。
少なくとも,深雪はこの1年間で何一つ変わっていないように見えるだろう。
それこそ身長も体重も,肌の色も,出会ったあの時のままだ。
「・・・・・・?」
一瞬の間に首をかしげながらも,手を伸ばされれば抵抗せずに抱き寄せられた。
こうして,深雪が自分から撫でられにきたのは初めてかもしれない。
目を瞑ってそのままなでられていたが,その姿勢に疲れたのか,
そのままぽふ,と七生の膝の上に頭を乗せて,横になった。
「・・・・・・悪くないわね。」
と,心の中で思ったつもりが,つい,口から声になって漏れた。
■東雲七生 > 「……ん?」
撫でている間に次第に深雪の身体がこちらへと傾いで来るのに怪訝そうな顔をしたが、
とうとう膝の上に頭を載せられてしまい、驚いて辺りを見回した。
もちろん自分たちの他に誰が居る訳でもなく、狼狽えながらも落ち着こうと大きく深呼吸をして。
「そ、そう。それは良かった。」
悪くない、と言われて少しだけ落ち着きが戻る。
見た目は変わらなくとも、中身はだいぶ変わった気がした。
■深雪 > 七生の膝の上に寝転んで,そのまま目を閉じていると・・・急激に眠気に襲われる。
まるで,さっきまで見ていた夢の続きを見ているようだった。
「・・・・七生,ちょっと・・・・・・私,眠くなっちゃったわ・・・。」
七生のお腹に顔を埋めるようにして,身体はきゅっと丸まった。
これだけ密着していても,深雪の身体はひんやりとしていて冷たい。
中身はだいぶ変わった。本当に,その通りだった。
愚直に努力する七生の姿が深雪を変えたのかどうか,それは分からないが,
「・・・・・・・・・・・・。」
少なくとも,こうして膝の上で静かに寝息をたててしまうくらいには七生を信頼しているし,
撫でられても屈辱を感じないくらいには七生を気に入っているし,
「・・・・・・・・・。」
夢に見るくらいに,その距離は縮まっていた。
ご案内:「街外れの小さな家」から深雪さんが去りました。
■東雲七生 > 「え、あの、ちょっと……深雪、さーん?」
眠くなった、と一方的に告げて少女は再び寝の体勢に入ってしまった。
汗かいたばかりだからシャワー浴びたかった、とか
男子の体の構造上そういうことされると非常に困る、とか
言いたい事は山の様にあったが、あっという間に、少女は眠りに就いてしまい。
どうにかして抜け出そうとはするものの、危ういスカートやら弛んで肌がのぞく襟元とか、危険が危ない物だらけなので。
七生はすっかり動けなくなって、深雪が目を覚ますまで無我の境地で枕に徹するのだった。
それでも何だか、悪い気がしないのは確かだった。
ご案内:「街外れの小さな家」から東雲七生さんが去りました。