2016/10/09 のログ
ご案内:「異邦人街 -大衆食堂『◎ノ○ マルノウチ』-」に谷蜂檻葉さんが現れました。
■谷蜂檻葉 > 休み。
休日の昼は選択肢が多い。
家で食べてよし、近場で食べてよし、友達と何処かに行ってよし。
今日は、少しだけ『開拓』をする気分だった。
「よし、よし。」
小物を入れたポーチを下げて、異邦人街のお食事通り(私がそう名付けている)にまで足を伸ばす。
交通機関を使わず、翅で飛ぶこともなく、ゆっくり。ウィンドウショッピングがてらに歩いてきた私のお腹は程よく空いている。焦ることはない。じっくりと何を食べるか考えながら歩いて行く。
昨晩は書庫に禁書登録した本の搬入作業が夕方過ぎに入り、遅くになったからとカフェで軽くサンドイッチを食べた程度。朝は連続でパンにする気分ではなく、目玉焼き(醤油派)の白身でソーセージを挟んで小腹を満たした。
■谷蜂檻葉 > そうなると
(洋食、じゃないね。)
候補を一つ減らす。
別に食べたって良い。探した先に洋食で美味しいものは必ずある。
ただ、候補がありすぎては『これだ!』という発見には至らない。欲を捨てるような、厳選の発想。
(意外と、洋食以外も多いのよね。)
洋食を外しても、アジアンテイストなお店も多い。
少しだけある店で足が止まる。
それは見た目の興味も然ることながら、何よりも強烈なインパクトが有った。
(……カレーだ。)
カレー。
カレー、ラーメンは魔改造日本料理の最高峰だ。
私も好物、というのとはまた別のランクにそれらを置いている。ただ、今回は選ばない。
選べない。
(匂いが、ね。)
今日着ている服に匂いがつくのを好ましく思えないから。
けれど、この匂いは本物だ。 『いつか来るお店』として写真を取って更に進む。
■谷蜂檻葉 > 進む、進む。
(そう言えばこの先に―――あ、)
いつぞやのラーメン屋の前を通ると、『今日はお休み』。
と、随分と達筆な筆文字で書かれた大きな看板がかかっていた。
看板にはいくつかの他の読めない文字(英語でも書いてあった)でも何か書いてあり、つまりラーメン屋は使えない。
(入らない、とは思っていたけど『食べれません』って言うと、また食べたくなるのよね。)
少しだけ深まる空腹。
後ろ髪を引かれる思いで、ラーメン屋を後にする。
さて、この先はまた覗いたこともないエリアだ。
ご案内:「異邦人街 -大衆食堂『◎ノ○ マルノウチ』-」にオーギュストさんが現れました。
■谷蜂檻葉 > そして、少し考えを外されることになってしまった。
(参ったなぁ……。)
飲み屋街が並んでいたのだ。
今の時間だといくつかはシャッターが掛かっていたり、暖簾が外れていて少しばかり閑散としている。
(引き返すしか無い、かな。)
そう思い、暫く進んだ所で踵を返した。
その時だった。
(……ん?)
視線を回した先、少しばかり細い路地の奥。
薄暗い入り口に明かりが灯って人を誘っていた。
少しばかり妖しい、けれど温かさを感じる優しい光に私は誘蛾灯に集うようにフラフラと寄っていってしまった。
『◎ノ○』 奇妙な名前の暖簾を、私は潜った。
■オーギュスト > 一人暮らしなら自炊よりか外で食べた方がお得との事。
昨日あわや逮捕まで行きかけたので、落第街へは近寄りたくない。
わざわざ学生街まで行くのもなんだし、今日は手近な異邦人街で済ませるとしよう。
大家さんから、隠れ家的らしい食堂の場所を聞き、暖簾をくぐる、と。
なるほど、確かに隠れ家的なようだ。
狭い店内には、かなりの人数が入っている。
「アイセキデヨロシイデスカ?」
なにやら鉄のような肌を持つ子供くらいの大きさの、給仕人(?)が、相席を求めてくる。
隣の、どうやら人間らしい少女の方を見る。
■谷蜂檻葉 > 「……相席?構いませんけれど。」
入った途端、言われた言葉に首を傾げる。
いや、相席がどう。というわけではない。別にそれは問題ないのだけれど、見れば奥に二人用のテーブルが一つ開いているのだ。誰か予約でも、と思うけれど他のテーブルも特に開いているようには見受けられない。
はて、と首を回せば視線がぴったり。
「―――うわっ。あっ、すいません。……席、お願いします。」
つい、飛び出す失礼な感想。
人、居たのか。居たんだよね。
何を食べようか考えすぎて上の空な思考の隙きを突いて現れた厳つい男に少しばかり肝をつぶされる。
慌ててペコペコと頭を下げて、席の案内をお願いすれば二人分のメニューがテーブルに置かれた。
なんとなく気不味くて、視線をメニューに向けたままペラペラと捲る。
……何のメニューか、頭に入ってこない。気不味すぎる。
■オーギュスト > 「おう、よろしくな」
まぁ、いきなり後ろにこんな大男がいりゃびっくりするだろう。
オーギュストは驚かれるのには慣れているので、気にしない。
「俺はこっちの世界に来たばっかりでな。なんか失礼があったらすまん、勘弁してくれ」
あらかじめ言っておく。
何か変な慣習があったりしても、わからないからだ。
そして、メニューを開くと……
「……分からん」
文字を見つめたままうなる
■谷蜂檻葉 > 「あ、いえっ。その、よろしくお願いします……?」
見た目は随分と厳ついけれど、随分と礼儀正しい人らしい。
そして、彼は異世界人。らしい。
「いえいえ。でも、お気になさるようでしたら何かあればお教えしますね。」
真面目な人、なんだろう。
この世界に馴染もうと努力をしているところに、なんだか微笑ましさを覚えてしまう。
少しばかり落ち着いた心持ちで改めてメニューに視線を落とす。
『おつまみ』から始まり、小皿のメニュー、ちょっとした鍋物まで。最後のページにはお酒がズラリ。
いわゆる、「お昼の居酒屋」らしい。
値段は普通のお店と変わらないのが有り難い。
そうなるとオススメでも頼むのが定石――――
「あ、何が食べたいんですか? ええと、お名前……」
と、相席の男性が早速「壁」にぶち当たっていた。
メニューには文字でだけ(このあたりでは、珍しいが)書いてあり、『着たばかり』では大変だろう。
給仕の人に聞けば解る。というのを教えるには、流石に不親切だから。
■オーギュスト > 先日の『ふぁみれす』でもよく分からなかったが、こっちは更に謎だ。
となると……
「おぉ、肉系の飯で、腹に溜まるのはどれか、分かるか?」
メニューを見せて尋ねる。
知ってる人間に聞くのが一番早い。
ちなみにオーギュストの中でオススメを頼むのはアウトである。
マグメールでそんな事をすれば、余った食材で適当に作ったクソ不味い料理か、普段誰も食べないやたら高い食事が出てくるのがオチである。
「俺はオーギュスト。オーギュスト・ゴダン、『異邦人』だ。あんたは?」
■谷蜂檻葉 > 「私は谷蜂檻葉(タニハチオリハ)―――檻葉、と呼んで下さい。この世界の『学生』です。
オーギュストさんは学園の図書館にはもう脚は運びましたか?
私、そこで「図書委員」をやってるんです。これからも何度かお会いになるかもしれませんね。」
改めて、よろしくおねがいしますね。
そう微笑んで返す。 これも袖振り合うも多生の縁、というものだ。
「それで、肉系ですか。 ええとー……これかな。 特製◎豚丼、デカ盛りカルビ丼。
うわ、カルビ丼いい値段する。 どんなサイズなんだろ。
……あっ、すいません。この2つか、あと其処の看板に出てる『お肉盛り定食』ですね、きっと。
私どれにしようかな……んー、お鍋はアレだし……やっぱ定食……。」
指したのは、『丼物』から2つ。
他のかき揚げ丼やら天丼、山かけ丼は彼の要望とは違うだろう。
共通に読める通貨の値段は、豚丼は普通。ただデカ盛りカルビ丼はその1.5倍はしている。
最後に指した定食は、お昼一食としてはスタンダードな値段が書かれている。
取り敢えずとオススメしながら、まだ決まっていない自分のメニューに頭を悩ませる。
小さくお腹がなってきた。此処は集中どころだ……。
■オーギュスト > 「……カルビ? よく分からんが、まぁ、デカ盛りって事は量も多いんだろ」
オーギュストは並以上食う為によくお代わりをする。ならば、量は多い方がいい。
それに、この世界は前の世界と比べ肉の値段が安い。この程度なら許容範囲だ。
「うっし、俺はこのデカ盛りカルビ丼にするぜ」
カルビというのが何かは分からないが、肉ならば大丈夫だろう。
この世界の肉は、臭みも少なく香辛料をたっぷり使っている為、本当に旨い。帰ったら肉を食えるか心配だ。
「あぁ、図書館か。そのうち足を運ぼうと思ってるんだが、まだ金が無いから閲覧料がなぁ」
図書館の閲覧料は高い。しっかりと生計を立ててからでないと、あっという間にすっからかんだろう。
「元の世界に戻る方法探したいから、はやめに行きたいんだがな」
■谷蜂檻葉 > 「わかりました。 んー、私はコレにしておこっと。
すいませーん! ええと、此方の方がデカ盛りカルビ丼で、私は海鮮定食でお願いします」
ガヤガヤと賑わう店内で、大きな声を張って店員を呼び止める。
幸い、近くに寄っていたので店員の女性はすぐに気づいて注文を取ってくれた。
後は、待つだけ。
「閲覧料、ですか? ……あっ、そういうシステムがあったんですね?!
常世島では『財団』が支援しているので無料で閲覧できますよ。
その、ここでは「そういうシステム」なんです。無料で運営できるように支援してくれている組織があるので―――あ、でも一部の本は閲覧に制限がかかるかもしれませんけど。ともかく、何か調べものであれば是非ご利用くださいね♪ 図書委員会は知識を求める人達の味方ですから。」
渋い顔でうなるオーギュストに、一瞬キョトンとした顔を見せるがすぐに『カルチャーギャップ』だと気づいて手を打った。 最早遥か昔の話ではあるが、”公共図書館”になる以前の蔵書施設は、その管理運営のために閲覧量を取るのが普通 ―――というか、本が貴重である為その施設自体が道楽レベルなのだ。
こんな所(食事処)で少しばかり、図書館の公共化への苦難、努力に思いを馳せる……。
■オーギュスト > 「は、無料?」
驚いた顔で檻葉を見つめる。
図書館の閲覧料が、無料?
マグメールでは、図書館の閲覧は基本、有料である。
教会図書館は言わずもがな。王立学院の図書館は、そういえばどうだったか?
いずれにしろ、学院の図書館は学生か関係者でないと閲覧できないが。
「なぁ、聞きたいんだが……この世界、本、安いのか?」
そういえば、学生通りにあった貸本屋(オーギュスト視点。本当はただの本屋)は、本を随分無用心に置いていた。
もしかしたら、この世界の本は安いのだろうか?
■谷蜂檻葉 > 「値段、値段かぁ……。物によりますって言う他ないですけれど……。」
そして、ふとメニューに視線を落とす。
「あ、そうですね。 『1回の食事と同じぐらい』って言えば分かりやすいですかね。
大量生産の印刷技術、紙そのものの価値。
……知識そのものも偏在してそのぐらいの価値にまで『安くなりました』
昔は、高かったみたいですけどね。今はそのぐらいのお値段で手に入りますよ。
勿論、希少・貴重な本は値段が跳ね上がりますけどね。
うん、そういう意味でもやっぱり『1回の食事と同じぐらい』です。」
そんなことを言っていると、先にデカ盛りカルビ丼がやってきた。
ぐぅ、とお腹がなる音はドッカと置かれた音にかき消される。
「それ一杯で、安い本なら2冊買えますよ?」
両手で抱えるサイズの丼に、コレでもかとタレで輝く肉の山。
ゴマの香ばしさにネギが緑を添え、もくもくと上がる湯気には『旨味』が乗る。
食べなくても、解る。「ウマい」。
■オーギュスト > 「は、このどんぶりで2冊!?」
目を丸くする。
いや、確かに肉の値段もマグメールじゃぁ高いが、本の値段の比ではない。
なにせ、本は一冊で王都の郊外に小さな家が買えるくらいの値段はするのだ。
「なんで、そんな安いんだ? 写本に奴隷でも使ってるのか……?」
分からない。
いくらなんでも、写本の手間を考えれば、この丼一杯で2冊は……
「あぁ、安い本って、2ページくらいの」
それならばまだ、分かる。
羊皮紙の値段は安いのだろう。だから、この丼の値段で2冊も買えるのか!
で、その丼はといえば。
「本当美味いな、この世界の飯は!」
大喜びでかっこむ。
■谷蜂檻葉 > 「(写本、奴隷……)」
どうやら、彼の知る『技術』のレベルにはこの世界とだいぶ差があるらしい。
どう説明したものか、と思うがそこまで知識として精通しているわけでもないので……
「その、科学って凄いなーってご理解いただければ……。」
あはは、と笑ってごまかした。科学って凄い。
「いえ、ああいうのです。」
変な納得をしそうになるオーギュストに、いやいやと手を振って目に入った本を
カウンターにおいてある、漫画雑誌を指差す。
『金の匙』―――酪農&料理漫画らしい。十数巻が置いてある。
コミック二冊分だと、流石に少し本のほうが高いか。
しかし、それよりも今の檻葉の興味は
「おぉぉ……凄い食べっぷり……。 あ、私のも来た。頂きますっ。」
目前の実にうまそうに食べる男である。お腹が空く、見ているだけで。
そうこうしている間に自分の分もテーブルにやってくる。
半分をしっかり占領する盆にのった刺身盛りとご飯にお味噌汁。そして刻んだ沢庵に日本茶。
純和風の盛り合わせだが、魚の内容だけはわからない。
……ラーメン屋でもそうだったが、このあたりだと独自のルートでもあるのだろうか……。
■オーギュスト > 「……ああいう本は、初めてみるな」
オーギュストの知る本というと、豪華な装丁に羊皮紙が止められているものである。
あの本は、装丁に色がついているが、そこまで分厚いものではない。後で見てみよう。
「おぉ、そっちも……あ?」
一瞬手を止め、まじまじと見てしまう。
魚が……どう見ても、生だ。
「お、おいおい、生魚って……腹こわさねぇのか?」
港街ダイラスの連中ですら、魚は一応火を通して食う。
生魚をそのまま食べるなど、さすがにしない。
いくら流通が発達しているとはいえ、大丈夫なのだろうか。
それに、臭みもあるだろう。とてもではないが、生で食べるべきものとは思えない。
■谷蜂檻葉 > 関心が移り、手を止めたオーギュストを尻目に檻葉も食事を始める。
まずは味噌汁。
味噌の香りに心を安らげ、乾いた喉を潤して通りを良くしてからが本番。
光って、しかしピンとは立っていない米はテラテラと艶かしく茶碗を満たしている。
そこに沢庵を少し摘んで口にほうれば、柔らかな甘味と、パリっとした塩気が混ざって『もっと』と心を揺り動かす。しかし、このままご飯を減らすのは得策ではない。
メインは、今目の前にいるのだから。
よし。と醤油を手にとって小皿に垂らす。
ツゥ、と音もなく満たされた黒い芳醇な香りの池に魚を落とし―――
「――――ん、美味しいっ♪」
オーギュストの不安そうな声をまるで無視するように口に放り込んで噛みしめる。
ギュッ、ギュッと噛むほどに魚の『旨味』が滲み出ていく。
そのまま、ご飯を一口入れて喉に流す。 ……これだ。
感動を胸に、お茶を啜って
「オーギュストさんも、食べてみます?
あ、お腹を壊す心配はないですよ。”そういうもの”ですから♪」
■オーギュスト > 「……マジかよ」
この台詞、この世界に来てもう何度言った事か。
まぁ、しかし……
彼女が普通に食べているのだから、そういう物なんだろう。
あの『ぱふぇ』とかいう、甘すぎる食べ物のようにも見えない。
「じゃあ、ひとつ……」
カルビと刺身をひとつ、交換する。
そして、そのまま醤油とかいうタレに少しばかり魚をつけてみて……
「……うめぇ!?」
臭みなどない。あるのは、焼き魚では到底味わえない、芳醇な旨み。
はぁ、と感嘆の息を漏らし。
「酒が欲しくなるなぁ、この味は」
素直な感想を述べる。
■谷蜂檻葉 > 「あー、お刺身は日本酒と。って聞きますね。 ……注文します?あるみたいですけど。」
そういって、読めないだろうけれどメニューの最後を指差して
「此処が全部お酒なんです」と彼に伝える。
「……あっ。お、お刺身は自分で注文してくださいねっ。」
また、食べ始める檻葉。
この女、見た目よりも随分と食事に熱心らしい。
■オーギュスト > 「あぁ、いや……」
ふと思い出す。
初日に生活委員に言われた事。
そういえば、この世界では、20歳以下に酒を飲ませちゃいけないんだったか。
「今日はやめとくわ。今度の楽しみにしとく」
そう言って、再びカルビ丼に戻る。
しかし、美味い。
■谷蜂檻葉 > やがて。
大男も、学生の少女も食べ終えた。
「ふぅ……。」
至福そのものな表情で一息をつく檻葉は随分と無防備に寛ぐ。
相席、というのも珍しかったが悪くない。
いや知らない人だろうと、こうして不快無く食べる食事は多ければ多いほど良いものだ。
心身ともに充足した心地に浸り、分けられた伝票を取って立ち上がる。
「ご馳走様でした。 ふふ、楽しい食事でした。オーギュストさん。
……それと、折角ですし図書館までご案内しましょうか?」
■オーギュスト > 「おう、ごっそさん」
こちらも食べ終わる。
図書館へのお誘いはありがたいが、今日はこれから先にやる事がある。
なんとか生計を立てる算段をしなければ
「じゃあ、縁があったらまたな」
食堂を後にする。
ご案内:「異邦人街 -大衆食堂『◎ノ○ マルノウチ』-」からオーギュストさんが去りました。
ご案内:「異邦人街 -大衆食堂『◎ノ○ マルノウチ』-」から谷蜂檻葉さんが去りました。