2016/11/26 のログ
ご案内:「異邦人街【常世祭期間中】」にシング・ダングルベールさんが現れました。
シング・ダングルベール > 祭もピークが過ぎ、来島者も落ち着きを見せた。
街並みには露店がぽつりぽつりと点在しているものの、普段の姿を取り戻しつつある。
雑多ではあるが活気のある、多文化入り乱れた気風の街だ。
青年はいつもどおり、人波の中を歩いている。
するとどうだ、貴婦人が彼の前に躍り出た。

◆「貴方のその石、いただくわ。」

悲鳴があがる。泣き叫ぶ子供。
貴婦人の顔は醜く爛れ、その両腕は蝙蝠めいた翼となった。

シング・ダングルベール > その翼がはためくと、生じた風が刃となり景色を乱雑に切り刻む。
ここでしか味わえない料理を出すレストランや、多次元のアクセサリを出す雑貨屋もあっただろう。
風はそういった建物ですらも無慈悲に裁断する。崩れ落ちる上階が、局地的地震のように地鳴りを引き起こす。

「早く逃げてくれ! できるだけ遠くッ!」

逃げ惑う人波とは真逆、怪人に向かいながら青年は周囲に叫ぶ。
駆け出す一歩を踏み締めるごと、その姿は硬質的な外骨格を纏っていく。
長剣を握り締め、さながら金属甲冑のように出で立ち。
その姿は貴婦人が求めている、"石"の力の発露であった。

「何故だ! お前たちは過去、竹村さんたちに滅ぼされたんだろうッ!?
 それが今になって……何故だッ!」

青年が襲撃されたのは一度目ではない。
一週間ほど前、用務員である竹村 浩二と帰路に付く最中だ。
彼はその時初めて知った。
過去、ブラックデザイアという犯罪組織があったこと。
それは竹村を含む当時の学生らに壊滅させられたこと。
そして竹村は用務員として日々を送る傍ら、その力を秘密裏に行使していたこと。

一度目の襲撃の際に現れた鮫怪人には辛くも勝利を収めたが、それは竹村が手を貸してくれたからにすぎない。
剣は通じず、魔術も通じず。竹村が用意してくれた隙を付き、火力で押した。
しかし今、怪人に立ち向かうのは自身ただ一人。
背を向ける選択は、取れない。

ご案内:「異邦人街【常世祭期間中】」に三谷 彰さんが現れました。
シング・ダングルベール > 刃の一閃を逃れた蝙蝠怪人に、火球が群れを成して襲い掛かる。

◆「さぁねえ……私に答える理由がないからねえ。ひひ。」

上空から翼圧の一打。火球は掻き消え、地面へと大量のクレーターを残す。

「くッ!」

不可視の壁を縫いながら、迫るタイミングを見計らう。
遠方にはサイレンの音。風紀委員の避難誘導が始まっているのだろう。
被害規模は青年には想像する余裕もないが、被害者が出ないことを祈るばかりであった。

三谷 彰 >  大きな破壊音。ただ事ではないと判断し無線で一言だけ告げた後即座に現場に急行してきた。
 無論決戦兵装など持ち出せるわけも無くただの棒しかないがそれでも風紀委員としていかないわけにも行かない。
 現場では逃げ惑う人々と謎の女のような破壊活動をしている化け物。そしてそれと相対している青年。どちらに味方するかは考えるまでもなかった。
 目が紅く染まり逃げ惑う人の隙間をまるで開けられたかのように軽やかに走り抜ける。
 そうして人たちの先頭にまで踊り出て推定味方と思われる青年の傍へかけよる。

「おい! 大丈夫か!」

 駆け寄ると同時。すぐに臨戦態勢を取り棒を怪人に向けながらボソリと3度呟く。
 風を纏い重くそして強固に成ったそれを構えながら怪人に告げる。

「風紀委員だ、今すぐ戦闘行動を停止しろ! 従わないのなら」

 実力行使に出る。そう威圧を飛ばしながらも後ろを警戒する。
 他の風紀委員も到着し今避難誘導しているところだろう。 

シング・ダングルベール > 「《焔》(フレイム)、《濃霧》(ミスト)、ガス……」

◆「遅いねえ、あくびが出るわあ!」

詠唱連なるその前に、死角から蝙蝠怪人の強襲が突き刺さる。
鋭利な爪の蹴りを受け、ビル外壁の中へと青年はその姿を消した。
撒き上がった粉塵が、火山活動のように黒煙を湛える。

◆「私も荒事を楽しみたいわけじゃないんだけどねえ。
 ただ、ゆっくりと、これからの自由を謳歌したいだけなの。
 彼に言ってくれないかしら。『手向かうな』って。
 そしたら帰るわあ。みんな死ぬよりそっちの方がいいでしょ?
 簡単な算数。わかる? ねえ?」

街頭の上に立ちながら、醜悪な顔でくつくつと嗤う。

三谷 彰 > 「な! おい!!」
 
 青年に声をかけ安否を確認したい所だが。見るくらいしか今の状態では出来ない。彼は無事だろうか。
 相手の攻撃能力は強大。ただの棒では荷が重いかもしれないが……やるしかない。
 一瞬逸らした視線をすぐに怪人へと向けた。

「言いたいことはわかるが。そうするつもりはない、結局何らかのものを奪おうとしている……って所だろ?」

 彼の中で相手が話し合いに応じるタイプでないことは理解できている。
 だからこそ相手をしっかりと睨み言い放った。

「そもそもだ、簡単な算数なら皆死ぬか1人かで1人を選ぶより。ここでお前を捕まえて被害者0。俺的にはそっちを選びたいんだが」

 そう言い放ち靴が軽く光り風を纏う。
 体勢を低く保ちもう一度だけ、さっきより冷たい声で告げる。

「最終勧告だ。そこから降りて投降しろ。さもなくば……強制的に連行させてもらう」

シング・ダングルベール > ◆「ひひ。そんなのは能のない立てこもりとかにやんなさいよお。
 相手見てやんないとほうら……こう!」

逆巻く風の大渦が、置き看板、信号、路中の車を飲み込み粉砕してゆく。
その様、さながらミキサー。加減も躊躇もなく、その力は三谷にも向けられた。

「ひひ……は、あはっ。あははははははは!!
 邪魔をするなあ! 小僧があっ!!」

風は一層強く、貪欲に。

三谷 彰 > 「っ!!」

 靴に通した風の魔力で一気に前へ……と考えていたが相手は相性が最悪の敵。目も何も無い広範囲の攻撃を使える相手だ。
 前に飛び出るつもりだったがすぐに後ろへ飛び最低限でも威力を殺す。だ暴力的なその嵐をその程度で何とかできるわけも無く一気に吹き飛ばされ青年が飛び込んだビルの壁に叩きつけられる。

「ガッ……ったく、こりゃ1人じゃ本気で無理なんじゃねぇかおい」

 そう呟き自分の周りに落ちている石を拾う。
 石に風の属性付与と重量付与をつけ牽制の様に相手に投げつける。
 と同時に。

「おい! 起きろ! 流石に1人じゃ無理だ手を貸せ!」

 その青年のいるであろう穴の中へ声をかける。
 最も今の時点で出てこないということは気絶しているか死んでいるかという事なのかもしれないしそうであるなら一人で何とかしないといけないという事になのだが。