2017/01/14 のログ
東雲七生 > 体が冷えてしまう前に上着を羽織り、そのままベンチに腰掛ける。
ぐるぐる首を回したり、肩を回したりしながらも公園を見渡せば、あちらこちらに利用者の姿が見えた。
学生街にある常世公園とはまた違って、誰も彼も普通の人間とはどこか異なる容姿である。

此処異邦人街に於いて、普通でない方がよっぽど普通だった。
そんな光景を目にし続けて一年以上経ち、気が付けばすっかりこの区画の空気に馴染んでしまった感がある。

「……もしかすっと、本当に俺は異邦人なのかもなー……」

ぽつりと、そんな呟きが零れた。

ご案内:「異邦人街:公園」に望月ゆきさんが現れました。
望月ゆき > 「えーと……こっちかな?」

セーラー服姿で異邦人街の公園を歩く。
片手にはスマートフォンを持ち、地図アプリを広げながら。
とある目的地を探して歩いており、公園はその目的地までのショートカットのために立ち寄ったが。

「あれ、東雲さん?」

ちょっと離れたところに、以前であった男性の顔をみつけ、つぶやく。

東雲七生 > いや、違う。そんなはずはない。
自分は人間だ。人間の筈だ。……どうしてそう思うのか。
今まで考えもしなかった疑問が不意に沸く。
どうして頑なに、意固地に、自分が人間である事を信じようとするのか。

「──……あ。」

運動直後の熱に浮かされた頭で考えて居た事が、名前を呼ばれた事に気を取られてすべて消えていった。
何か思い出せそうな、そうでもないような気がしたのだが。


「よーっす、望月じゃん!こっちの方まで何か用か?」

まあ、消えてしまった事はどうでも良いか。
そう考えなおして、にぱっと笑みを浮かべて少女へと手を振った。

望月ゆき > 「はいっ、ちょっとこっちのほうに整備士さんがいるって聞いたので尋ねるところです!」

おなじく、にぱーっと笑い、とてて、と東雲へ走り出す。
真っ白な髪の毛がぶんぶか横に揺れるのが、犬のしっぽのようにも。

「東雲さんはこんなところで何を?」

東雲七生 > 「へえ、整備士?」

さて何の整備士だろう。
義肢か自動車か自転車か、それとも何か別の機器類か。
軽く小首を傾げながら色々考えて、ふと、だいぶこの街の事に詳しくなってる自分に気付く。
思わず小さく笑いを溢してから、

「ああ、いや……俺は日課のランニングを終えたとこ。
 これから何すっかなーとか考えてた。」

望月ゆき > 「日課、ですか。
ランニングということは、このあたりを走ってるんですよね…」

渡りに船か、今更というべきか。
手元のスマートフォンの地図はもう少ししたら目的地、と書いているが
目的地は公園から出た先の、住宅街の中だ。

「東雲さん、このあたりに詳しければで良いんですけど。
この場所ってわかりますか?」

そっとスマートフォンをみせ、目的地の場所がどこかを訪ねようとする。

東雲七生 > 「まあね。正確にはこの辺りも、って感じだけど。」

今日は異邦人街をスタートして居住区、学園地区、歓楽街を抜けてまた異邦人街に戻るといったルートだった。
それはともかく。

差し出されたスマートフォンの画面を覗き込み、しばし頭の中の地図と照らし合わせて。
ああ、と感嘆すれば笑みを浮かべて。

「わかるわかる、そう遠くないぜ。
 こっから5分も掛かんないんじゃないかな。」

あっちの方、と真っ直ぐ方角を指さした。

望月ゆき > 「ほんとですか!
よかった、なら後はどうとでもなるかな」

スマートフォンを鞄にしまう。
方角もわかったし、とりあえずは大丈夫だろうと思いつつ。

「ありがとうございます、東雲さん。
これで迷わずに済みそうです!」

ぴょこぴょこ揺れる髪の毛はもはや望月の気分を表しているかもしれない。

東雲七生 > 「細かい道が解らなかったら、近くの人に聞いてみると良いよ。
 大丈夫、見た目は特殊だけど基本的に良い人たちばかりだから。」

落第街近くならともかく、この辺りの治安は悪くない。
この後輩の少女が荒事に巻き込まれる恐れもないだろう。

「別に良いよ、礼なんて。
 先輩だから後輩の為に何かするのは当然だし。」

あはは、と声を上げて笑いながら首を振った。

望月ゆき > 「そうなんですよ。
異邦人の方ってわりと見た目特殊な方がいたりしてちょっと声をかけづらくて……。
なので、東雲さんがここにいてくださって助かりました」

もちろん、普通の人もいるだろうが、見ず知らずの人に声をかけるのは難しい上に、見かけも違っていたらそれはさらに難易度があがる。
ゆえに、助かったわけだ。

「東雲さん、このあたりに住んでるんですか?」

東雲七生 > 「まあ、気持は分からなくもないけど。
 それこそ、俺らと彼らの違いなんて見た目しかないわけだし、気構えなくても良いよ。
 ……って言っても、難しいもんだけどさ。」

あはは、と苦笑に変わり、それもすぐに納まる。
この目の前の少女は、別段人との会話が苦手という訳でも無さそうだから、後は慣れの問題だろうと思う。
それは七生に如何こう出来ることではないし、如何こうする心算もない。

「ああ、うん。
 前も言ったかもだけど、居候でさ。」

こくん、と頷いた。
実際に家があるのはもう少し先、落第街近くの治安が良くない辺りだけれど。

望月ゆき > 「……差別ってわけじゃないんですけども、ただやっぱり……。
わたしが、まだ子供なだけかもしれませんけども」

へにょん、と髪の毛が垂れ下がって――もちろん、最初から垂れ下がっているのだが――元気がなくなったようにみえる。
別に人見知りというわけでもなければ、異性恐怖症だとか年上怖いとかそういうわけではない。
やはり、ある意味で子供なのだ。

「あ、そうでしたね。
お姉さん……みたいな人?と住んでらっしゃるんでしたよね。
お姉さん?とはランニングとかはされないんですか?」

東雲七生 > 「まあ、誰しも最初はそんなもんだって。
 でもほら、いずれクラスメイトとかにもなるかもだし、もうなってるかもしれないけど。
 ……そういう時に気軽に声を掛けられるようにはなるからさ。」

慣れとくのは大事だよ、と若干元気の無くなったように見える頭を軽く叩いて元気づけようとする。

「そうそう、お姉ちゃんみたいな、お母さんみたいな……
 でも最近ちょっと考えてたんだけど、よく考えてみたらすっごいお婆ちゃんなんじゃないかって……思えて来て……。
 ランニングも、特にする気は無いみたい。まあ鍛えたりしてなくてもすっごいスタイルは良いんだけどさ。」

望月ゆき > ポムポム叩かれた頭をハッと上げる。
そういえば、この島は学生がおおいのだ。
もしかしたら道行く人は同じ学校の人かもしれない。

「そ、そうですね!
もしかしたら学友さんかもしれませんし!
慣れておくのは大事ですね!」

ぶんぶかぶんぶか揺れるしっぽ兼髪の毛。
ふんす、と気合の入った答えをする。

「おばあ……ちゃん、ですか?」

あれ、この人、この間その人のこと好きだとかなんとかいってなかったっけ、と首をかしげる。

「……東雲さん、甘えん坊なんですか?」

純粋な目でそんなことを聞く。

東雲七生 > 「ああ、その意気だっ!
 それに何か嫌なことされたら俺に言えば、すぐ飛んでって仕返ししてやるから。
 だから、何事も挑戦だ挑戦。」

へらへらっ、と笑いながら頷いて見せる。
実際七生もそうしたし、喧嘩だってちょくちょくあったけど。今はこうして平和に暮らしていられてはいる。

「うん、おばあちゃん。
 ……いや本人に確認したわけじゃないし、本人は見た目すっごい若くて綺麗なんだけど……。」

真剣な顔で呟いてから、はた、と我に返り。

「あ、甘えん坊!?
 ……いやいや、そんな事は無い……とは、思う、けど。
 
 あー……実際のとこどうなんだろうな。」

断言できない辺りに自分の不甲斐無さを感じつつ。
視線を逸らして、頬掻きながら答えた。

望月ゆき > 「えへへっ、その時はよろしくお願いします、先輩っ」

ふわふわ笑いながらそんな約束をしつつ。

「だって、お姉さんとかお母さんとかおばあちゃんとか
年上好きは甘えたがりって本で――」

そんなことを言っているときに、鞄の中で音が鳴る。
スマートフォンからのようだ。
言葉を途中でやめ、スマートフォンを取り出し、何かの操作をおこなって音を止める。

「ごめんなさい、東雲さん。
私そろそろいかないと」

東雲七生 > 「おう、任せとけって!」

素直に頼られるのって気持ち良いんだな、とこれまでに遭遇した後輩たちの事を思い返す。
本当に碌な後輩が居なくて少しだけ先行き不安になりかけたがそっと心に蓋をして。

「しょ、所詮は本に書いてある事だしぃ!?
 
 ……っと、時間取らせちまったかな。
 早いとこ行った方が良いな、転ばないように気を付けろよー?」

あっちだぞ、あっち、と改めて目的地への方角を指さす。

望月ゆき > 「いえ、こちらこそお話ありがとうございました!
また今度、学校で!」

ぺこり、と頭を下げてからぱたぱたと走り出す。

ちょっと離れたところで再度振り返り、もう一度ぺこりと頭を下げてまた走り出した。

ご案内:「異邦人街:公園」から望月ゆきさんが去りました。
東雲七生 > 「おう、じゃーな!また学校でー!」

ひらひらと手を振りながら見送って、ふぅ、と息を吐く。
立ち話で少しだけ身体が冷えたかもしれない、歩いて帰るうちに暖まるだろうか。
そんな事を考えながら、七生もぶらりと公園を後にする。

「……でも実際深雪って何歳なんだろう。」

帰ったら訊いてみようか、と小さな決意と共に帰路についたのだった。

ご案内:「異邦人街:公園」から東雲七生さんが去りました。
ご案内:「異邦人街大通り」にセシルさんが現れました。
セシル > 『ありがとうございましたー』

そんな声をかけられながら、店の1つから出てくるセシル。
滅多にない私服姿に、アパレルショップの紙バッグを提げている姿は、風紀委員の男子制服をしっかり着込んでいるセシルしか知らない者からすれば驚愕かもしれない。
…本人は、入った店が初めてでないのもあって、けろりとしたものなのだが。

セシル > 「…」

寒そうに、口元に手を当てて強めの息を吐く。

日本近海に強い寒波が押し寄せた休日。
流石に薄手のコートでは持たないと悟ったセシルは、本格的な冬用のコートを調達すべく、体型の都合で秋頃から世話になり始めた異邦人街のアパレルショップでコートを入手したのだった。

日本人からすれば今更にもほどがあるタイミングだが、寒冷な気候の地域出身なのか、今までさほど気にしていなかったのだろう。

セシル > ベンチの傍に、スパイス入りミルクティーの屋台が出ていた。
声をかけて、1杯買う。
ベンチの傍には移動するが、座らないまま紙のカップを口元に寄せた。
あまり長居するつもりはないのだろう。

軽く息を吹きかけて温度の様子を見てから、口を付けた。

セシル > (流石に、この気候が一ヶ月続くのであればこのコートではもたんからな…)

ミルクティーを飲みながら、街並みを眺める。
寒波に襲われた休日、いかに多様な人々が住むとはいえ、人通りは少なかった。