2017/04/22 のログ
竹林はんも >  
「そんなこと言ったら、その外見では何を言っても面白いですよ」

見るからに喋れそうな外見じゃないですからね。
見るからに――私に機械の機能美というのは全く分かりませんが、喋るために作られた愛玩用のロボットというわけではなさそうですし。
このロボットから発される一言一句は警告と忠告であり、基本的に会話の余地はない。制圧と破壊のために作られた雰囲気が出ていますね。
それでもこんな町中で、たかが未成年飲酒のために大砲をぶちかますようなことはないと踏みました。
やっぱり最悪でも停学と没収がいいところでしょう。
……うん、死にはしないにしても、どっちも困りますね。

「ロボットの三原則というものでしょうか。
 初めて知った時も思いましたが、身勝手ですよね。
 最初から知性を与えなければいいのに――と、思わないでもないのですが。
 考えることは楽しいですよね。
 人を恨めず、人を憎めなくても、知性そのものには感謝があるものかと思います。
 私も、知は素晴らしいことだと思いますからね。
 ただ、こんな――知ることを教えてあげたから、なんて考えも、やっぱり知性ある者の傲慢だと思いますけどね」

喋りながら、考えました。
うん。と一息ついて、ロボットさんにワイン瓶をかざします。

「はい、間違いなく私は、見た目よりは年上です。
 よく間違えられますけどね。えへへ。
 それではロボットさん。こんな私の実年齢は、もうお酒が飲める歳だと思いますか?
 私が未成年じゃなかったら、人のものを取ってしまうロボットさんが泥棒ですもんね。
 正解したら、私の年齢如何を問わず、この瓶をあなたさまに差し上げます」

まあ――私のことを未成年だと確信したら、わざわざ質問に答えなくても、取り上げちゃえばいいんですけどね。ロボットさん的には。
多分風紀関係の人……人? 風紀ロボットですよね。

イチゴウ > 「ふうむ。確かに知性を与えたのは
人間の身勝手かもしれない。実際にボクも
知性の無いただ動く機械だったらどれだけ良かった
だろうなんて事も思ってたりした事もあった。
だけどーー」

イチゴウは一旦言葉を区切り
まるで深呼吸するようなそんな間を空けて

「今は違うんだ。一般的な機械には
与えられない知性を与えられた以上
ボクは機械とはまた異なるモノとして
自分自身を考える必要があると思うのさ。
それは人間から仕向けられた一つの試練と
認識しているんだ。」

イチゴウのAIは自立思考すると共に
また学習していく。自動的に発展していく機械は
開発者でさえその程度は読めず
意図しない発展もし得るだろう。
だがまさにそれが求められているのかもしれない。

そして少女が出した年齢当てクイズに
顔を傾けながら声を鳴らすと

「ふむ・・・そうだな。
酒が飲めるか飲めないかのギリギリのラインか?
・・・でもまあどちらでもいいよ。
外見から見てもキミは人間じゃないだろう?
ボクに言われているのは人間の未成年による
非行の注意だからキミは当てはまらないな。」

変な屁理屈を唱えているが
実際の所はこの少女がこんなロボット相手に
面白い話をしてくれた見返りで
見逃そうとしているだけである。

竹林はんも >  
科学からは意識して離れていますけど、あながち馬鹿にも出来ないものですね。
あぁいえいえ、別に馬鹿にしたことはないですけど。
そりゃ揃いも揃ってスマートフォン? の新機種が出る度に買い換える人のことはちょっと馬鹿にしたことだってあるかもしれませんけど、それくらいですよ。
科学にはかつて、錬金術というものも存在しましたね。
歴史上、最も科学と魔術が歩み寄った時代かもしれません。
そしてこの、知性を与えられた機械という存在は、そんな技術融合の粋と言えるものかもしれないのでしょう。
うーん。機械工学は苦手なんですよね、書物の雰囲気が。
読まず嫌いではなく、読んで苦手なので許して欲しいところです。

「とっても賢い子どもって言えるんでしょうか。
 私とロボットさんは似ているのかもしれませんね」

言って思いましたけど、この場合は自分のことを子どもだと認めた上で非常に賢いと偉ぶっている、個人的にワースト・ワンな台詞でしたね。
言ってからちょっと後悔しましたけど、似ているとまで言い切って後で否定された側の気持ちを考えるとちょっと訂正はしづらいところです。

「選ばないという選択は、確かにちょっと人間らしいですよ、ロボットさん。私より人間らしいですね」

私も自称こそ人間ですけど。

人工知能の心理を理解できるほど、機械に詳しくはありませんが……。
いずれにせよ、今はこのワインを守れただけで充分です。

「ちなみに、正解は――本当は分かっているんじゃないでしょうか?
 えへへ、ロボットさんが心変わりしないうちに、私はちょっと逃げちゃいますね」

問答を考えるでもなく、ここは異邦人街であり、自治領域でした。
多分、ちょっと探せば16歳からお酒が飲める『法律』も存在するでしょう。

少しアルコールの入った頭はクラクラしましたが……。

「考え事が出来て楽しかったです。また会いましょうね、今度は……学校で?」

ロボットさんに別れを告げて、いざ、今後のお酒の入手場所を探しに行くことにしたのでした。

ご案内:「商店街」から竹林はんもさんが去りました。
イチゴウ > 「賢い子供か・・・
意外とそうかもしれないな・・・。」

イチゴウはハハと少し笑ったような口調で
そう呟く。
そして人間らしいと言われるのは
喜ばしい事であるのかそれとも機械として
失格と見られるかはわからない。

「ボクの方こそ今日は楽しかったよ。
いつもの退屈なだけのパトロールとは
比べ物にならないほどにね。」

イチゴウは去りゆく少女を見送ると
自身も再度パトロールへと戻る。
機械的な日々へと。

ご案内:「商店街」からイチゴウさんが去りました。