2016/03/02 のログ
ご案内:「宗教施設群」に谷蜂 檻葉さんが現れました。
谷蜂 檻葉 > 「静歌、此処入ってみようよ。」

ある日、唐突に『散歩しよう』と言い出しての常世島散策は、
夕暮れの時間になって、宗教施設のある地区―――

二人共殆ど来たことがないこの場所で終わりを迎えようとしていた。

ご案内:「宗教施設群」に四十万 静歌さんが現れました。
四十万 静歌 > 「――えっ。」

連れてこられてやってきたのはいいが、
まさかこんな処で止まって入ろうとは言われるとは思わず、
思わず首をかしげるが――

特に断る理由も見当たらず、

「構いませんけど、
 入ってしまってもいいの、でしょうか……」

と、中途半端な返事になってしまった。
仕方ないといえばしかたない。

谷蜂 檻葉 > 「……ま、駄目なら駄目って書いてあるみたいだし良いんじゃないかな?」

もう私クタクタだよ、と。
好奇心の抑えられない笑みを浮かべたまま大きな扉を押し開く。



―――そこは、『聖域』だった。


紛れも無く、誰かがナニカに祈るための場所。
けれどそこは他の何かを排除するモノを持たず。

誰もが憩いの場とすることが出来るような、そんな場所。

今はもう夕日が右の窓―――ステンドグラスを赤く染めて、「ナニカ」と信者の別れを描いているが、きっと昼ごろに来れば正面の最も大きな青い硝子には神々しい【降臨】の様子を来るものに魅せてくれるのだろう。


「……すごい。」

それを急に眼前に出された檻葉はパチクリと二度、三度瞬きを繰り返し、溜息のようにそう呟いた。



どうやら、今は無人のようだ。
長椅子には誰の姿も見ることは出来ない。


「あ、えっと… 座ろうか、取り敢えず。」

こっちこっち、と。今まさに輝きを増している西日のステンドグラスがよく見える席に座ると、隣をぽんぽんと手で叩いて示す。

四十万 静歌 > 「わぁ……」

思わず口元に手をあて、
そこからもれる感嘆の声。

あまりにも綺麗なその光景に言葉も出ない。

「――」

凄いですね、といおうとして、
思わず首を振ってその言の葉を口から出す事を制止して――

じっと赤く染まったステンドグラスに視線をやりながら、
座ろうかの声に一つうなずき、
隣の席へと腰を落とした処でやっと出た言葉は――

「――まるで奇跡ですね。」

だった。

谷蜂 檻葉 > 「本当。」


『良い』と思う。 


何処かの世界の誰かさんが、こうして私達のいる場所にやって来て作り上げた信仰が、何も知らない私達の心を動かす。

―――成る程。

それは確かに、一つの奇跡だ。


世界を超えた、ナニカを信じた誰かの起こした奇跡。

「ねぇ静歌。……この世界にも……あぁ、えっと……『私達の神様』も、誰かに観測されて、いるんだよね。 居るって、分かるんだよね?」

そんな素敵なものを見て、ふとこの間読んだ本のことを彼女に尋ねる気分になった。

「そんな神様に、『神頼み』ってする気になる?」

四十万 静歌 > 「これほどの奇跡、人の手ではきっと――
 なしえないのでしょうね。」

なんて、うっすらと笑う。

――自分の出来ることなんて、
ささやかなものだという自嘲も少しはらんでしまったかもしれないが、
――いつか、こんな奇跡、感動を自分の手で起こしたいという欲もある。

複雑な感情が浮かんだのは一瞬で――

「それにしても、観測している神様、ですか。」

檻葉さんの言葉に少し考え――

「確かに、いるかもしれませんね。
 でも、そうですね。
 観測する誰かがいたとして――
 私は『神頼み』はしないでしょうね。
 とっさに神様に祈ってお願いするとしても――
 それはきっと観測している神様ではなく、
 ――自分に、そして誰かほかの人にかける願いでしょうから。
 檻葉さんはどうですか?」

微笑みながら答え、聞き返す。
――彼女はどんな答えを出すのだろう?

谷蜂 檻葉 > 「んー ……それは少し違う、かな。

 『人が起こすから』私はきっと感動する。
 神様が奇跡を起こすのはある意味当然で ――――【真似事】だから、価値がある。」

清濁を飲んだ四十万の言葉に、訂正するように指を振りながら話す。

「だから―――そうね、居ようが居まいが 私にとってはあまり意味が無いのかもしれない。

 【神様】っていうカテゴリの【人間】。 神様のように振る舞える、人間。
 神様を”求められる”人間。 だからそうね、人頼みをしても、神頼みじゃあないかな。

 ……それに、人ならまだしも半分人外が神頼みしても―――ねぇ?」


クスクスと笑いながら指を回せば、撹拌された空気が大きくゆったりと渦を巻いて室内を走る。

四十万 静歌 > 「人が起こすから、ですか。」

なるほど、とも思う、
でも――

「……この光景にはまだ、勝てないかな……」

とも思うのだ。
まぁ、さもありなん。

「それにしても、ふふ。」

檻葉さんの回答に思わず微笑む。
何がおかしかったわけでもない。
ただ――

「檻葉さんは人ですよ。
 半分が人外かもしれない、それでも、
 私にとって檻葉さんは檻葉さんですから――」

なんて笑ったところで、
何かしているのに気づいて――

「何か、しました?」

とこてんと首をかしげるのである

谷蜂 檻葉 > 「………?」

勝てない?

それはつまり―――

「んふふ、向上心が高いようで何より。」

クスクスと、今度は抑えきれない笑いを堪えて口元を抑える。
それなら今度は趣向を変えて魔法使いから神の御使にでも仕立てるべきだろうか。

……それもなんだか、罰当たりというものだろうか?
だけど演出で彼女を奇跡を呼ぶ信者、私を神と人の間を繋ぐ伝達者にするのは中々いいアイディアだと思う。うん、このネタをお蔵入りにしておくには―――


『檻葉さんは人ですよ。
 半分が人外かもしれない、それでも、
 私にとって檻葉さんは檻葉さんですから』


「―――………それは、どうも。」

なんというか、恐縮してしまう。
この感情はなんだろうか、恥ずかしいとも違う。迷惑でもなくって……?

言葉に出来ない不思議な感覚に戸惑っていると先の仕草を問われて

「ん、ううん。何でも……ああいや、”部屋に居た子”と少し遊んでいるだけ。
 風の霊気―――何処でにも居るそよ風の子供よ。」

でもまた可愛いのよ、これが。 と、優しく微笑んだ。

四十万 静歌 > 「ええと、その、恐縮です。」

向上心が高いようでなによりと笑われて――
思わず顔を真っ赤にしてうつむく。
なんだかとっても気恥ずかしい。

それはそれとして、
何かぞくっと背筋に寒気が走った気がするけど、
気のせいだろう。
いや、きっと気のせいに違いない。

戸惑う様子を見せているうちに、
こちらも気を取り直し――

「部屋にいた風の子ですか。
 結構な数いるんでしょうか?
 私には見えませんけど、
 ――檻葉さんはとても優しいですね。」

と、優し気な微笑みに上目づかいにほんわかとした微笑みを浮かべるのであった。

谷蜂 檻葉 > 「ん、此処に居たのは一人だけ ……。 一匹かな?見た目だけ言えば。」

こう、このぐらいの。 と、手で示すのはサッカーボールのような大きさ。
あまり大きくないらしい。 人型なのか球体なのか、彼女は何も言わなかったが。

「居る時は居るけど、風にのってふよふよーってしてるのが大半だから、
 普通はいっぺんに沢山見ることって無いかな?

 ――――うぇ? や、優しいって……私が?」

唐突に褒められると
「そ、そうかな…。」 と、少し顔を赤らめて頬をかいた。

「ちょっと寄ってきた子を構ってるだけよ、優しいとか…そういうとはきっと違うわ。」

四十万 静歌 > 「なるほど、ふふ。
 かわいらしいんでしょうね。きっと。」

なんて笑う。
どんな形かはわからないけれど、
小さいことは確かみたいだし。

「それにしても、ふよふよーということは、
 風が強い日なんかくらいでしょうか?
 多く見れるのは。」

どんな光景なのか想像して、
見れないのが残念に思いながらも、
照れるようすに微笑みながら、
続く違うという言葉に小首をかしげ――

「優しいですよ。」

と首を振って告げる。

「――誰だって、手の届かないものに、
 何かをしてあげることなんてできないし、、
 手を伸ばし届いた誰かに何かをしてあげることさえも、
 誰だって出来ることじゃありませんね
 構ってあげられる檻葉さんは、
 とても優しい、そんな風に私は思いますよ?」

そしてじっと見つめていいながら、
言い終わると
ね?とにっこり笑うだろう。

谷蜂 檻葉 > 「そうそう、こうぶわーっと。 ほら、鳥が一杯群れて飛ぶじゃない?あんな感じに見れる時もあるわよ。 大きな、成長した子が一人で風を引き連れてる時もあるけどね。」

一口に風の霊っていってもいろいろ居るから。と、話を区切る。

今度は、それについてまた話題にすると良いだろう。




「……それは―――」

手の届かない誰かに、手を差し伸べるというのは

「それは、【そういう存在】だから……だよ。
 私が、あの子達の側に立っているから。」

神様に奇跡が求められるのと、同じように。



「―――でも。 『優しい人であるように』っていうのは、良いね。 …ふふ」

さて。と、腰を上げる。

「そろそろ戻ろっか。日が完全に暮れちゃったら流石にちょっと怖いからね。」

四十万 静歌 > 「うわぁ――」

話を区切られると、また今度いっぱい聞かせてくださいね。
とドキドキワクワク頬を赤らめ上目遣いになりつつ念を送るだろう。
楽しみである。

さておき――

「そういう存在なのだとしたら、
 きっと、優しいから選ばれたんですよ。」

なんて嬉しそうに笑うだろう。

「――もし何かありましたらいつでもいってくださいね。」

でも、抱え込まないようにというかの如く、
そんな言葉を腰をあげ立ち上がる檻葉さんに告げて、
ゆっくりと遅れて立ち上がり――

「そうですね。帰りましょうか。
 あ。帰りに何かお菓子かっていきませんか?
 晩御飯は冷蔵庫の残り物でいいと思いますけど、
 こう、何か食べたい気分なので。」

と、戻ろうの言葉にウィンクしながら答えるだろう。

谷蜂 檻葉 > 「ん、それじゃあ学生通りの『MARY』でも寄ってこうか。シュークリーム食べたい気分かも。」



こうして、二人の日常の一コマを終える。
揺蕩う言葉遊びの先は考えず、しかし見えない運命の鎖は必ず何処かに繋がっている。




無人の教会には、別れを告げる紅が煌々と黄昏の光を飲み込んでいた。

ご案内:「宗教施設群」から谷蜂 檻葉さんが去りました。
ご案内:「宗教施設群」から四十万 静歌さんが去りました。