2015/06/19 のログ
ご案内:「歓楽街「」前」に否支中 活路さんが現れました。
ご案内:「歓楽街「」前」から否支中 活路さんが去りました。
ご案内:「歓楽街「セブンブリッジ」前」に否支中 活路さんが現れました。
否支中 活路 > 尻を蹴飛ばされた若い女が道端に転がり出る。
黒い髪をウェーブにした女。
出てきたのはセブンブリッジと看板をかかげた社交飲食店。
中に入れば身なりを整えた男性従業員が出迎えるだろう。
ようはホストクラブというやつだ。

とはいえ女を蹴り飛ばして後から出てきた男は、派手なシャツを着ていてもそこのホストというわけではなかった。
顔を包帯で覆って、見下ろす眼が緑色に輝いている。

否支中 活路 > 「“破門(ゲートクラッシャー)”……! なんでアンタが……っ」

顔をひきつらせ金切り声を上げる女に、ニヤッと笑う。

「ジブンにしてはえらい遅かったな……ハームフルハートのやつがおらんようになったもんな?」

「そ、そうよ!!知ってるんじゃないの!だから早く……は、やく……」

女の言葉尻が急にしぼんんで、顔にあった暴力への怒りが恐怖へと塗り変わる。
己の保身のために仲間を売ってまで公安に取り行った害来腫は、
しかしその地位を得ると同時に権力の甘い汁を吸っていた。
一部の違反部活を支配下において搾取し、あるいは協力関係のもとに欲するものを得ていた。
そう、例えば

「公安の後ろ盾はもうあらへんなぁ――――“雨ニ歌エバ(ブラックレイン)”」

この元ロストサイン構成員“雨ニ歌エバ(ブラックレイン)”のような取引相手と。

否支中 活路 > 焦りきっていた女はようやく気づく。
眼前の怪人は、公安に入り込んだ害来腫という庇護者を失った自分に、今までのような躊躇いは見せない。

ここまで来たのに。
二年前組織を失い、なんとか逃げ延びて自分の持つコネクションを使って新しく“商売”を始めた。
公安に入り込んだ害来腫と取引することで、いくらでも裏を誤魔化す事ができた。
あの男の能力は情報収集、監視、そして連絡に強い。
害来腫が粛清されたことは触覚を失ったに等しく、遅まきにそれを知った彼女は、行われるであろう害来腫の協力者の摘発から逃れようと慌てて仕度を始めていた。

だが一歩、この男のほうが早い。

否支中 活路 > 今までならば、公安にしろ眼前の怪人にしろ“招かれざる客(ゲートクラッシャー)”の来襲には事前警告があり。
だから尻尾を掴まれることもなければ、無防備な状態で遭遇することもなかった。

だがもう害来腫はいない。

目の前の男にあった枷。
公安第二特別教室の所属員に報告をあげられると困る。
というものも失くなってしまった。

「う、う、うううう……」

歓楽街の表に引きずり出されたのだ。
周囲にはすでに野次馬がとりまき始めている。

「セブンブリッジのオーナーじゃねえか」
                                    「なあに、あれ」
     「あいつ、ゲートクラッシャーだろ」
                            「害来腫がいなくなったってマジで? おいなんか聞いてるか」
                   「なんかやってるよ」  「やべっ」
           「関わるなよ、飯行こう」          「ブラックレインも終わったな」
                        「いらっしゃいませ~~~」
         

ご案内:「歓楽街「セブンブリッジ」前」に夢野まことさんが現れました。
夢野まこと > 騒ぎがあった場合。
それに対する反応は逃げる者と近づいて行く者の二通りに分かれる。ここにいる野次馬の一人もまた――。
「いったい何が――」
野次馬が取り囲んでおり、表に引きずり出された状況は遠くからは見えない。早足で渦中へと近づいていく。

否支中 活路 > 「ジブンがこの店を隠れ蓑にやっとった取引……色々喋ってもらえへんかな」

男は女を見下ろしたまま、突き放したように動かない

「探しものが色々あってな……それにジブンやったら、アイツから第二の他のヤツについて知っとるんちゃうかなと思て」

「あ、アイツの同僚……?」

ブラックレインは周囲を見回す。
これだけ人がいる前でべらべらと話せば、自分は完全に終わりだ。
逃げ切れない。
懇願するような瞳で相手を見上げ、わずかに首を横に振る。

否支中 活路 > 微動だにせず見下ろしている男に、引きつった女の眼が周囲を走った。
髪を振り乱して周囲を見やる。

まことにピントが合ったのは、ほとんど偶然だった。

夢野まこと > あの格好は噂に聞く「ゲートクラッシャー」だ。
騒動の中で飛び込んで火傷するわけにはいかないが、「門」に関わりのある人物だという評判は以前から知っている。やはり騒ぎは見物してみるものだ――渦中の騒動自体は把握できていないうちから、まことはそう思った。

「……!」目を合わせてきた女に、嫌な予感を感じた。

否支中 活路 > ブラックレインにとって、夢野は完全に未知の女生徒というわけではなかった。
害来腫に頼っていたと言っても、犯罪に手を染めている以上周囲へのアンテナはいつも立てていたし、
違反活動に手を出すような者についてはひと通りチェックしている。

あれは確かちょろちょろと裏の仕事に関わっているバカな女。
うちの取引にも下っ端に使った気がする。
と。

とはいえ偶然だ。見たのも覚えていたのも、今も偶然。
しかしそれでいい。

「あ、貴女ッ!!
はやくアレもって逃げて!!!!」

ブラックレインが夢野に向かってそう叫び、ほぼ同時に緑色の瞳が即座にそちらへ向きを変えた。

夢野まこと > 目が合った瞬間、予想していた展開だったが。
身体から嫌な汗が噴き出す。
だが、ここで一緒に突き落とされる訳にもいかない。
「何を言ってるんですかっ! わけのわからないことを言わないでくださいよっ!」
緑色の瞳が向いているせいで、やや声がうわずってしまった。

否支中 活路 > 夢野の反応に、緑の眼が一瞬細まった。
……違法行為に関わっているという事実は確かにあり、だから慌てた。
そういう夢野の一瞬の態度に迫真性があった。

これが全くそういう事に関わりがない者であれば、
活路も迷わずブラックレインの苦し紛れを切って捨てていただろう。

だが、夢野は違反部活に関わるなど後ろめたいことはあるものの今回は関係ない。
という状態からくる微妙な焦りに、夢野の言葉に気を向けてしまった。

活路が女の脚を踏み砕こうと蹴りおろした瞬間にはもう遅かった。
転がるように跳びだした女が、その異能を発動させている。

黒い飛沫が舞った。
“氷贋桜(ブラックレイン)”。空気中の水分を使用し、幻影を作成する。
それほど強力な異能ではない。
問題は、この能力が誤魔化すことに特化していることだった。
活路の程度の低い妖精眼では、何もなければ魔力や熱を感知出来るが、少しでもそれを誤魔化す力がある場合極端に効果が下がる。

否支中 活路 > 逃げた女が、人だかりを抜けたところに別々に二人見える。
活路が舌打ちした

夢野まこと > 「分身した……?」
呆然とした様子で二人になって逃げた女を見やる。
「……どうしよう……あ、あ……」
気まずそうな表情で男の方へと眼を向けた。

否支中 活路 > やや遅れて、活路の指先から茨のルーンが発動する。
使うのは二回。
別々に逃げ去ろうとする女の背中に向かって、地面から伸びた茨が巻き付いて――

両方氷の粒になって消えた。

「両方フェイクけ!
…………っかんな」

急襲するならともかく、幻影系の能力者相手に鬼ごっこなどあまりにも不毛。
そう言えば二連続で鬼ごっこに負けているな……と考えながら、夢野の方に視線を戻した。
気まずそうな顔がある。

「あー…………えー、ジブンはー…………」

恐らく何か後ろめたい事自体はやっている。
ブラックレインの演技なのは明らかだが、一応話を聞こうと、ちょいちょいと指で空中をつつくような動作をする。

夢野まこと > 「私は……」
逡巡する。そもそもこの状況でなんと名乗れば良いのかわからないのだ。
しかし、誤魔化すべきではないだろう。
この状況で嘘がばれれば、何をされるかわからない。
「私は夢野まことです。学園の二年生。騒ぎがあったから気になってきたんですが、邪魔をしてしまったみたいで……ごめんなさい。実は去年から『門』のことを調べてて……『ゲートクラッシャー』さん……ですよね?」

否支中 活路 > 「……はあ、夢野な。
あー……あー、うーん……あー、まー、なー……」

考えてこんでうーうーと唸る。
逃げずにいるということは、多分直接関係はないのだろうと。
疑えばいくらでも疑えるが、ブラックレインと違っていきなり締め上げれば今度はこちらが風紀や公安の世話になりかねない。
ブラックレインがいなくなった以上周りの野次馬も邪魔になってくる。

「門て、別に門なんてよう空いとるやんか。
だいたいはすぐ締まりよるから、みんな帰られへんねんけど……まあ、そうや」

野次馬の中にも耳が長いものや、肌の色が青いものや、あるいは二足歩行の昆虫のような者たちが見える。
呼ばれた名前に頷きながら、多分そういうことではないのだろう。と考えてうなじに手をやる。

歓楽街にいること自体は、別に一般生徒として何ら特異なところはない。
とはいえブラックレインが眼をつけて利用したということは、あの一瞬の態度は、
何かしら後ろめたいことに手を出しているのだろうな、と

「さっきの女、何か知っとる?」

夢野まこと > ずっと空いている門は貴方が閉じたということでしたからね。
とは言えない。ここでいきなり皮肉を言うほどの度胸は、まことにはない。

「……役に立ちそうなことは何も。以前、荷物を渡す『アルバイト』をしたくらいで。何も関係のない人間を使うほうが好都合な荷物だったんでしょうね、きっと」

否支中 活路 > 厄介事に関わっていれば、いつかは知ってしまう。
あるいは知っていると思われてしまう。
とぼけているのか、本当にわかっていないのか、夢野の言葉にうろんな瞳を向けて

「何が役立って何が役立たへんのかは相手の問題や。
…………まあ、ジブン正規の学生なんやろ?
俺からはあんまり関わらん方がでええでとしか言えへんな……」

これで目の前の相手が関係者であれば己は阿呆の極みだ、と考えつつも
ブラックレインを逃したところで気が抜けてしまったのも事実。
だからパタパタと手を振って

「少なくともあの女は“沈む”。
近づかんときや、怖いヤツらに疑われよるで」

夢野まこと > 「……ええ、一応は。最近はもうやってませんよ」
とんでもない眼に会うことは、今日も再度わかったことだ。
「そうですね。あんまり変なところには手を出さないようにします。……もし情報があれば、お教えしますから。『ゲートクラッシャー』さんほどではないにしろ、このあたりには顔を出すこともあるので。――いや、そういうのが良くないんでしょうかね?」

困ったなという様な顔をして。

「ところで、なんとお呼びすれば良いでしょうか。あだ名しか存じてないもので……」

否支中 活路 > この女は間違いなく何かの尾を踏むな……
と思いつつも、別に自分は全ての人と平和を守るヒーローではない。
あとは手前のケツは手前が吹くという原則でやってもらうしかないな、と。
考えてみれば自分もそれができていないからこうしているのだが。

「せやな。
名前?ああ、ヒシナカでええよ」

首をすくめると、隠しているわけでもなく名乗った。
もとより立場は自分だって正規の学生なのだ。

そして毒気を抜かれたように大きく嘆息する。

「はーーーーー………………まあ、ほんじゃ俺もういくさかい。
あの女逃してんのに、いてもしゃあないしな」

夢野まこと > 「ごめんなさい、お邪魔をしてしまって……
 ひしなかさん、ですね。
 また、機会がありましたら……」

かしこまりながら仕事用の連絡先を渡す。
名刺のようなものだ。

夢野はそのまま立ち止まっている。
周りの野次馬もほとんど散ってしまっていた。

夢野は、否支中が去ってから、その場を離れるだろう。

否支中 活路 > 一応受け取るだけ受け取って懐にしまい込み、「あいよ」とだけ言って歩き去っていった。
ご案内:「歓楽街「セブンブリッジ」前」から否支中 活路さんが去りました。
ご案内:「歓楽街「セブンブリッジ」前」から夢野まことさんが去りました。