2015/08/30 のログ
ご案内:「歓楽街-吟遊小路-」に谷蜂 檻葉さんが現れました。
ご案内:「歓楽街-吟遊小路-」に四十万 静歌さんが現れました。
■谷蜂 檻葉 > 歓楽街に数多くある通りの一つ。
人通りの多い歓楽街でも、蜘蛛の巣のように路地同士が入り組む誰が呼んだか『吟遊小路』。
通行の邪魔だと露天が避けられる中、二畳三畳で行うような大道芸はむしろ盛んに行われる。
他にも幾つかの思惑・思索が重なりあって、ちょっとしたコミュニティにもなっているこの場所で。
キラキラと輝く鱗粉を煌めかせながら、
まさしく『妖精』といった風情の少女がクルクルと踊るように。
時に宙に立ち、声を張って人を呼ぶ。
「シジマ・シズカのマジックショー、間もなく始めさせて頂きますっ!
大道芸の初顔ですが、お目に叶うひと時をお約束します!
さあ、どうぞお立ち寄りくださーい!」
輝く燐光は、煙と人の香りを塗りつぶし、まるで森に居るかのような。
穏やかな香りと、嫌悪ではなく鼻に残る香りで少しずつ人を引きつけていく。
一人二人。
三人四人。
一人減って、また二人。
流石に、人混みと言えるほどではなくとも。
彼女”たち”の舞台を囲う程度の人数は、やがて集まってきていた。
■四十万 静歌 > 「――」
舞台の袖でひっそりと、
開幕の時を心臓をばくばくならせながら、
出番を待つ。
合図があったら――舞台の幕はあがる。
幕があがれば、失敗は出来ない本番の舞台。
不安、焦燥。
人の目の恐怖、
目に晒される恥ずかしさ。
様々な感情がない交ぜになって、
思わずぎゅっと握りこぶしを作る。
だが、ここで引けない。
引くわけにはいかない。
――檻葉さんの整え用意してくれたものを、
無駄にするわけにはいかないから――
じっと、開演の時を待つ。
■谷蜂 檻葉 > 「はい! お集まり有難うございます!
皆様の貴重なお時間をこれ以上お預かりするのは私達の風呂敷では拾いきれませんし、
そろそろ始めさせていただきましょう! それでは、術師のご紹介。
四十万 静歌ちゃんです、拍手と共にお出迎え頂けると嬉しいですっ。どうぞ!」
パチン。
檻葉が指を鳴らし、妖精がその風を蹴り散らして大きな”合図”が響く。
開幕だ。
合図に合わせて、四十万が衆目の集まる中央へ躍り出る。そういう予定。
(大丈夫だよ、落ち着いて。いつも見せてくれる貴女を――――)
きっと、ある意味での、とっても小さくて大きな「一歩」。
最重要、『掴み』の瞬間は――――
■四十万 静歌 > 合図されると、
――トォン、
舞台にボールが空から舞い降り、バウンドする
その隙を縫って静かに暗がりを利用して、
舞台の中央へと移動し、
ボールにつけた糸を手繰り寄せ、
ボールをキャッチする。
観客からしてみれば、
気づけば私が現れ、
ボールが引き寄せられたように感じるだろうか。
そして、大きく優雅に礼をしながら息を整え――
「本日は私――
四十万静歌のマジックショーへお集まりいただき、
ありがとうございます、
ささやかながら幾ばくかの趣向を凝らし、
皆様に楽しんでいただけるよう心がけているので、
どうぞよろしくお願いいたします――」
顔を上げて、
ゆるりとした口調で滑らかに前口上をいいきり――
「さぁ、それでは、開幕と参りましょう!」
そういって大きく手にもったステッキを大きく縦に振るいつきたてると、
左右からパァンとクラッカーが弾け、
ふわりと宙に浮く。
実はステッキに透明な板がついてあり、
そこに座っただけではあるが。
そして、チラリと檻葉に視線を送る。
――例の手品を早速やります――
とアイコンタクトを送る為に。
■谷蜂 檻葉 > 大丈夫、大丈夫だ。
(やれる。このまま、『完成』まで持って行こう。)
歓楽街の人口の灯りの中で、まるでそこだけが切り取られているように。
四十万の周囲、人混みを境にして、気持ちを落ち着かせる匂いがついた”鱗粉”が散っている。
必要かはわからない。
どこまでが彼女の意思で、彼女の決意が奮い立たせているのかはわからない。
どこまで私が"穢して"しまっているのか、ワカラナイ。
けれど、今はただ。
彼女との約束を果たそう――――。
(ん、いつでも行けるよ。)
四十万のアイコンタクトに、ウィンクで返す。
■四十万 静歌 > ――檻葉さんの合図を受けて、
檻葉さんへ、そして観客に、
艶やかな笑みを浮かべ
宙に浮いたまま、
すっとウィッチハットを取って、
小さなステッキを取り出す。
「さぁ、御照覧あれ、
種も仕掛けもありません――」
そういって帽子を逆さにしたり、
中をみせたりしながら、
ステッキにも仕掛けはありませんよ?
ともてあそびながら披露した後、
「――それでは、
1,2……3っ!」
そういってステッキをウィッチハットへと振り下ろすと、
ぽんっと被る部分から大輪の花が咲くだろう。
それに驚く様子もどこ吹く空で、大きく帽子を動かし、
中の花を空へばら撒きながら天高く帽子も一緒に投げ――
ちらりと檻葉を見た後に檻葉さんへ、再び視線。
手を天高く伸ばし
――パチンっ!
伸びきった所で指を鳴らし、
花だけを消失させて、
帽子を指を鳴らした手でキャッチして被りなおし、
すっと座っていた透明の板をマントの中へと回収しながら、
地へと降り立ち立ち上がる。
――そして、この手品はこれだけではない。
この手品の合間には――
もう一人の素晴らしい手腕もまた隠されていて、
観客は多いに沸き立つだろう。
■谷蜂 檻葉 > 『――それでは、
1,2……3っ!』
今度は、彼女からのタイミング合わせ。
彼女が取り出した花。
幾ら数があろうとも、それはこの場所では視覚的な面しか刺激出来ない。
だけど―――
(1,2……3っ!)
風を操り、切り取られた空間に『花の匂い』を直に広げる。
その差異は目に見えず、視覚の変化にあわせた劇的な香りの変化だけが残る。
観客の目が見開かれるのが分かる。
そして飛び散った花と観客たちがいるラインの先にまで飛ばした匂いに、更に注目がこちらへ向く。
そして、指を鳴らした瞬間。
フッと、花が消える。
同じように、風に乗って飛んでいた匂いが"通過"しきり、
そして再び、観客たちの間に満ちていた、微かな「森の香り」に塗り替えられる。
現れた花をこれでもかと演出し、丸ごと消す。
パチ パチ
パチパチ パチパチ パチパチ
パチパチパチパチパチパチパチパチパチ
パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ
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一人が手を打つのにつられて、拍手の雨音が雷鳴に変わる。
感心するように、種を見ようと訝しむように。
更に視線が集まる、更に人が集まる。
後は、もう。
―――マジシャンの舞台だ。
■四十万 静歌 > ――流れは完全に掴んだ。
後は――
なんの変哲もない玉が自由自在に体の上を動き回ったり、
消えたり、現れたり――
かと思えば、
マントをぬぎすてて、
何ももってないとアピールしながら、
両掌の上に一瞬で作る炎を作り出したり、
宙に浮くステッキなど、
様々な手品が披露した後に――
「それでは、最後に――
私の親愛なる妖精に、
舞台にあがってもらうとしましょう。」
そういって、誘うように檻葉さんへと手招きをして、
両手を広げるだろう。
■谷蜂 檻葉 > 四十万の合図に
マスター
「はい、《御主人様》。」
ユルユルとした飛行から地に降りて、優雅に一礼。
芝居がかった様子で、言葉を紡ぐ。
妖精らしく、可憐に、そして妖しげに。
「皆様、お楽しみいただけましたでしょうか。
次に皆様にお会いできる日を楽しみにお待ちしております。
では、《御主人様》。 契約の対価を―――――」
台詞を言い切れば、くるりと向かい合うようにしてからゆっくりと跪き、
頭を垂れ、片手の甲を差し出す。
■四十万 静歌 > 「ええ、本当にありがとうございました――」
と、柔らかく微笑み、
そっと姫が騎士にキスをするように、
手の甲にキスを落とすだろう。
それと同時に、魔術を起動する。
光の外套――
淡い光が対象を包み、姿を消す魔術だ。
違和感を消すことで、
それはまるで妖精が本当に妖精の世界に帰る様に幻想的に映るだろう。
契約が終わり、かくして舞台に幕は閉じ、
妖精は妖精の世界へ帰りましたとさ。
「――かくして――
魔女と妖精の舞台はここに幕を閉じ、
皆様を幻想から現実へとお返しすると致しましょう――
本日は、ご照覧ありがとうございました。」
そして、改めて観客に礼をする。
万雷の拍手、
万雷の喝采の中、
静かに頭をあげ、
――後は、檻葉さんの合図で、
檻葉さんの姿を隠した魔術を解くだけである
■谷蜂 檻葉 > 四十万の魔術の光のなかで、受ける視線の感覚が変わっていくのが分かる。
自分の立っている「位置」に視線が向いている。
多分、既に魔術は起動し終わっているのだろう。
そっと、自分に”気付けなくなった”事に戸惑う風の妖精に言伝てした置いたつむじ風を残して、
舞台裏、細い路地へと引っ込む。
彼女の礼に合わせて、つむじ風は檻葉の異能も押し流し。
「舞台」を「普段の歓楽街」へと元に戻していく。
***
***
***
「静歌さん、お疲れ様でした♪」
風が舞台の幕を引いたのを合図に四十万の魔術が消え、
ふよふよとやってきた妖精達を指であやしながら
初めての「舞台」を終えて戻ってきた静歌を満面の笑みで出迎える。
■四十万 静歌 > 全てを終えて、自分もまたマントを翻し、
妖精の外套を使って姿を隠して道具も回収すると、
檻葉さんの下へいく。
魔術を解除すると満面の笑みでお疲れ様をいわれたので、
こちらもまた満面の笑みを浮かべ――
「ありがとうございます、無事終わりました。
き、緊張しましたぁ……」
へなへなと腰砕けに崩れ落ちるだろう。
■谷蜂 檻葉 > 「うわっとと…! あはは、でも、やれたね。
大舞台……にはまだちょっと小さいけど。やりきったじゃない。」
横に一緒に腰を下ろして、からかうように頭を撫でる。
「―――お客さん、笑顔だったよ。」
上から、演出係として静歌の様子は見ていた。
けれど、それ以上に彼女に注目している客達の表情を檻葉は見ていた。
「大成功。 そういって、いいんじゃないかな。」
そういって、キュッと手を握る。
■四十万 静歌 > 手はじっとりと汗にぬれている。
緊張していたのがどっとでたのだろう。
全身汗びっしょりだ。
「これも何もかも檻葉さんのお陰ですよ。
本当に緊張しました……
いなかったら私――」
多分途中で倒れてましたよ、と首をふって。
「でも、本当に良かった。」
握られていないほうの手で少し胸に手をあてて、
「誰かに喜んで貰うのは最高の報酬。
本当に、よかった。
それと……檻葉さんも、楽しんでいただけましたか?」
そして、もう片方の手も握られた手に重ねて、
上目遣いににっこり微笑むだろう。
■谷蜂 檻葉 > 吹き出した汗に苦笑しながらハンカチを取り出し、静歌の手と顔の汗を拭う。
「確かに、私は静歌の後押しはした。
―――でも、舞台を作って観客の皆を沸かせたのは、静歌、貴女の力よ。
……自信を持って、胸を張って。」
重ねられた手に、更に自分の手も重ねる。
4つの重ねられた手のぬくもりを感じながら目をつむって、微笑む。
「勿論、最高に楽しかったわ。 有難う、静歌。」
重ねた手を外して腕を引いてハグをする。
ぎゅっと身体を押し当てて背中をぽんぽんと叩いて、再びグッと離して立ち上がる。
「さて、帰るとしますか! 本当にお疲れ様、そしておめでとう静歌!初舞台、大成功よ!」
■四十万 静歌 > 「――はい!」
檻葉の言葉をしっかりと噛み締めなおし、
何か、心の鎖が一つ外れたような気がした。
――やっぱり自分は、手品が好きなのだと。
自信をもって手品が出来ると、
今ならいえる気がした。
「楽しんでもらえて、
本当に良かった。」
そして、にっこり笑みを浮かべながら、
ぎゅっと抱きしめ返し――
離されると震える足で立ち上がり――
「はい、大成功ですね。
帰りましょう、あ、
帰ったら打ち上げしませんか?」
なんていいながら、舞台は本当の意味で幕を閉じるだろうか――
■谷蜂 檻葉 > 「いいわね、それじゃあ――――
ご案内:「歓楽街-吟遊小路-」から谷蜂 檻葉さんが去りました。
ご案内:「歓楽街-吟遊小路-」から四十万 静歌さんが去りました。