2016/05/10 のログ
ご案内:「歓楽街」に伊都波 悠薇さんが現れました。
伊都波 悠薇 > 走った。
ただただ、闇雲に走った。
放課後、時間は夕方。賑わうちょっと前。
学校が終わってから、方角も何もかもかんがえず
ただただただただ。、走って”逃げた”

現実から、事実から。どうしようもない、結果から

伊都波 悠薇 > 遡ること、正午。
今日は、体力測定の日。
身長などを測りさらには常世独自の異能の測定、持久力、瞬発力……
などなど、いろんな”総合力”を検査する。
新入生はほぼ、島のそとから来たと言って良い。
それに胸を躍らせるもの、初めてで緊張するもの――
いろんな人がいる中で、悠薇は別の意味で緊張していた

伊都波 悠薇 > 何度も受けたことがある。
そして、貴重な自分の位置を確認する機会だ。
成長を、数字で理解できるというのは嬉しいものだ。
それは文字通り、わずかでもまだ”近づける”ということを意味する。

だから、気合を入れていたのだ。

『……あーんしんしろって、はるっち。大丈夫だよ』

言い聞かせるような声。でもそれに応える”余裕”はなかった。
すごく、すごく”嫌な予感”がしたから。

その予感は、いつもあった。
特に、”姉が何かできるようになったとき”は特に。
そういう時に限って、自分もと意気込むのだが。
どうしてか”失敗”する。できない。
時が悪かっただけで、時間をかければできるようにはなるのだが――

今。姉は間違いなく前に進んでいる。
では――自分は……?

『次、伊都波。伊都波悠薇』

呼ばれた。ベストなコンディションとはいいがたい。
だけど――

「……よし」

行くしか無い。言い訳はできない。
そして――

伊都波 悠薇 > 結果は――

”去年と全く、変わらず”


成長はなかった。この、育ち盛りという、時期に。
伊都波悠薇の時間は、止まった。
最盛期、という文字が悪寒とともに襲ってくる。
理解が出来なかった、だってだってそれじゃあ――

「おいつけ……おいつけ……ひぐ……ごめ、ごめ……」

測定の後は全く覚えてない。ただ終業を待って――
聞こえたあとは――
走る走る、ひたすらに。
はしってはしってはしって――着いたのは……

「……ここ。どこ?」

どこか、暗いくらい。
薄暗い裏路地の、一歩手前。
どこか、手招きされているような――薄暗い……

ご案内:「歓楽街」に寄月 秋輝さんが現れました。
伊都波 悠薇 > ここはどこだかさっぱりだ。
でも、暗いところが妙に落ち着く気はした。
もともと、地味だし。そういうところは嫌いじゃない。

でもどこか。どこかブレーキが掛かる。
だめだ、やめろ。やめておけ――

そんな警鐘が頭に響いている気がして。

「……いたっ」

頭がいたくて、うずくまった

寄月 秋輝 >  
その裏路地の入口付近。

「そこまで。先には進まない」

後ろから声をかける。
刀を携え、その先をにらむように。

少女が先日会った相手とは気付いていないようだが。

伊都波 悠薇 > ズキン、ズキンっと頭が痛い。
ひどくひどく、痛む。

『――まで。 す―ま―』

聞こえにくい。でも聞こえたから、応える。

「……だ、だれですか?」

寄月 秋輝 >  
「嘱託の風紀委員です。
 そこから先の治安は保証しかねますので、こちらに戻ってください」

暗い路地の先、とりあえずは何もない。
今すぐに連れていく必要があるというわけではなさそうだ。

「こっちへ」

今一度招き、一歩だけ近付く。

伊都波 悠薇 > ――風紀委員。

文字通り、この街の風紀を護る人だ。
悪い人じゃ、ない。
でも、この先の治安、とは……それに、この――声……

「…………………………へ、へんたいさんだ!?」

がばっと立ち上がり、一歩後ろに下がった。

寄月 秋輝 >  
「……っ!!」

ズキン、と心臓が跳ねる。
同じような感覚の痛みが頭を駆け抜ける。

だがその痛みを抑え込み、無理矢理蓋をして、変わらぬ無表情を作り出す。

「先日のことは謝罪します。
 ですがその先には進まないでください。
 このままですと、あなたを飛び越えていかなければならない」

足を止め、逆に一歩引き直す。

伊都波 悠薇 >  
「………………へ、変質者じゃ、ないんですか?」

『いや、そんなことないぞ! きっとはるっちの柔肌できゃっきゃうふふシテたに違いない! そうだろ、坊主!』

携帯ストラップから声がして。でもその声は少女のものと同じで。

そして悠薇はといえば、相手が一歩引いたので一歩前に出た。
なんとなく

寄月 秋輝 >  
「そう言われても仕方がないとは思います。
 この際その認識でも構いません」

首を横に振りながら、それすらももはや否定せず。
それでも少女を案じ続ける。

「……その先には、行かないでください」

どこか悲壮感すら漂う語気。
今度は奥ではなく、まっすぐに少女を見ていた。

ご案内:「歓楽街」に古志野 緋色さんが現れました。
伊都波 悠薇 > 前髪をぱぱぱっと、直す。
目がちゃんと隠れるように。随分走ったからか
じっとりと衣服が、肌に張り付く。少し、キモチワルイ。

『うわー、否定しなかったよ、このボーイ。気をつけろはるっち、スイート・スイートボーイだこいつ!?』

がるるるるっと馬の携帯ストラップらしきものが威嚇している、らしい。

先に行くな、そうここまで念を押されれば行かないようにしようとは思うが。

「この先は、何なんですか?」

寄月 秋輝 >  
「そこから先はいわゆる落第街、というところです。
 学園側は歓楽街の一部として認識していますが、ほぼ無法の空間ですから。
 なので進まないでいて欲しいのです」

少しだけ力を抜き、小さく息を吐く。
ようやく少女の容姿にも慣れてきて、彼女自身も進む気は無くなったようだ。
なんとかいつも通りの対応が出来る。

古志野 緋色 > 「何かと物騒な場所だ、ここに住んでいれば分るだろ?」

何やら路地裏の近くで話しあい(?)が行われている。
そう思い見に来ればどうやらこの女子、路地裏に入ろうとらしい
―これは風紀委員として見逃せぬ
そう判断した緋色は2人の元へ駆け寄り、少女に言い放った。

伊都波 悠薇 > 「落第街……」

聞いたことがある。うん、父母共に、よく口が酸っぱくなるくらいに。
ただ、意識もせず家の逆方向に走っていたら随分と遠くまで来てしまったようで。
それに、こっち側には全くと言って来ないくらいだ。
――そしてまた、人が増えた。

ので、慌ててまた前髪を正す。
綺麗に治っているのにほうっと息を吐いて。

「それはごめんなさい。その、道に迷って」

目が見えなければ、きっと”腫れている”のもわからないだろうと。
一歩前に出て、路地裏に進む気はないとアピール、したつもり

古志野 緋色 > 「迷った、ね……そうか、なら案内してやろうか?」
少女の言葉を反芻し、少しの間をおいて答えた。
仮に嘘だったとしても、道案内と称してここから遠ざけることも可能だ。

寄月 秋輝 >  
「……ふぅ……」

ようやくなんとかなったか、と息を吐き出す。

「……では、お願いします。
 彼女を安全な場所まで案内してあげてください」

これで一安心か、と肩の力を抜いた。

古志野 緋色 > 「了解だ、後は任せといてくれ」
寄月にそう答えると、伊都波に向き直った。

「さ、どこら辺に住んでるんだ?」
後頭部にてをやりながら、話しかける。

伊都波 悠薇 >  
「……で、できたらお願いします」

初対面の人と話すのは得意じゃないし、ぼっちにはこうした会話ですらどきどきものだ。
こっち側には生まれて初めてきた。来る用事もほとんどないし
両親が、ダメと言っていたからだ。だから案内は素直にありがたい。

しかし、ぼっち生活が長いのと。
この前のことが思い返されて、近づくのもなんかこわい。
ので――どうしたものか。

「あ、青垣山です」

とりあえず、その位置をキープしたまま話する

古志野 緋色 > 「古志野だ、古志野 緋色、よろしく頼む」
さて、任せられたはいいが……何となく怖がられているような気もする。
高い背と、やや悪い目つき、そして無愛想な口調。
そういった要素が絡むためか、どうしても初対面の人間からは勘違いされやすい。
誤解を解くべく、こう続けた。
「一応、これでも風紀委員だから安心してくれ」

寄月 秋輝 >  
「……では、僕はこれで」

なんとか未然に防げたようだ。
これで自分の仕事はひとまず終えた、と。

そのまま別の方向へと足を進めた。
その方がきっと、彼女は安心できるだろう、と。

伊都波 悠薇 >  
「……は。はい……」

あくまで悠薇のコミュニティ能力の問題なのだが、それを彼が知るはずもなく。
萎縮した感じのまま……

「え、っと……」

最初に声を書けてくれた男性の方を見る。
一応、わざわざ警告をするために寄ってきてくれたのだ。
それがたとえ偶然だったとしても。もしかしたら、見かけて追いかけてきてくれたのかもしれない。
それは――良い方向に考え過ぎか。
違う方向に、向かうのを見れば。残念なような、安心したような
複雑な表情と、息をこぼして。

「……えっと、どっちへいけばいいのでしょう?」

古志野 緋色 > 「まぁ、行き先にもよるだろ……どこ住みだ?居住区ならこっちだが」
基本的には多くの生徒は居住区に住んでいる、が、何事にも例外は存在するものだ。
それでも一応、多くの場合案内するべきであろう居住区への道を示す。

伊都波 悠薇 >  
「あ。えっと、青垣山、です……未開拓地区の……」

萎縮してるせいか声が、小さい。
よくよく耳を澄ませば、歓楽区からはがやがやと賑わう声が聞こえる。
ここから一番盛り上がる時間、聞こえにくかったのも無理はない。
もう一度、少し大きめの声で告げて。

「……えっと――気をつけて。変質者、じゃなかった人」

そうとだけ告げて、少年を見送りつつ。

寄月 秋輝 >  
かくん、と最後に抜けたような感覚で頭をずらす。

少女からも、同い年の男性からも見えないだろうが、その口元には小さく微笑みが浮かんでいただろう。

腰に携えた、使われずに済んだ刀をぽんと叩く。
最後にぺこりと、正規の風紀委員に軽く頭を下げて。青垣山方面とは明らかに逆方向に向けて歩を進めた。

ご案内:「歓楽街」から寄月 秋輝さんが去りました。
古志野 緋色 > 「青垣山、っつー事は反対側か。」
学園地区を中心とすれば、そこを挟んでちょうど反対側だ。
少し遠いが、学校帰りか何かだろう。

「じゃあ案内するが……どこか寄っておきたい所とかあるか?別に遠慮なく言ってくれて構わんが」
眼つきは悪いが割と親切な男である。

伊都波 悠薇 >  
「……とくには――」

今のところは、ない。しいていえば、汗で湿った服を着替えたいというところだが
男の人にそれを言うのも、恥ずかしいので言わない。
ほんの少しガマンすればいいだけのことだし――……

「じゃあ、お願いします」

歩き始めるのを待つ。今の距離は、どうやら保つつもりのようで

古志野 緋色 > 「じゃあ、ついて来てくれ」
そう言って歩き出す、背が高いためか歩幅も大きく
結果早足になってしまう
自覚があるのかしばらく歩いては後ろを振り向いている。

眼つきさえ良ければ、それなりに微笑ましい光景である
眼つきさえ良ければ

伊都波 悠薇 > そこは男子と女子。しょうがない差である……
とは言え、ここで迷子になるわけには二の舞いなので
必死についていく。振り向かれれば、前髪を弄りながらいますよの合図で手を軽く振ったりして。

(いろいろ大変そうな人だな)

自分も遠巻きに見られるタイプだからか、どこか共感する部分もありつつ道案内に従っていく。
さながら、小動物の散歩? か

古志野 緋色 > 「……その、大丈夫か?もう少しゆっくり行った方がいいおな?」
眉をハの字にして話しかける
一応気を使ってるつもりだが
同時に彼自身が無口なためか、相手に圧迫感を与えていないか少し不安なのだ

伊都波 悠薇 >  
「あ、っと……大丈夫。です。体力には自信ありますし」

無口。だが動きは誠実、時折こちらの心配もしてくれる。
だったら全く問題ない。なにせこうした活動が仕事、とはいえ親切心でしてくれているのも分かっているのだ。
それに――足早で歩いてくれているのはきっと――……

「暗くなったら、物騒ですもんね。さっきみたいなところの近くですし。むしろ、ちょうどいいですよ」

普段からこれくらい、喋れればいいのだけど――なんて姉がみていたら言われてしまいそうである。
それくらい、テンパっていなければ普通なのだ

古志野 緋色 > 「そう、か……、まぁ何かあったら俺に任せてくれ。一応、腕に覚えはある」
合気道の有段者であり、また他の武術も齧っている彼は、腕っ節だけならば中々の物だろう。
実際、それを生かして立てた手柄も少なくは無い。
「暗くなるまでには少し時間はあるが……急ぐに越したことは無いしな」

伊都波 悠薇 >  
「助かります。……あ、えっと駅。駅まででも大丈夫です。そこからは帰れますから」

はっと、思い出したように。交通機関にさえたどり着けば真っ直ぐ帰れる。
あまり付き合わせるのも酷だと思ったのかそう付け足して。

「……すみません、お手数かけます」

古志野 緋色 > 「そうか、ならもうそろそろだな」
程なく行けば駅が見えて来る筈だ
彼女を送った後はいつもの業務に戻るだけ
なんとなくだが、彼は風紀委員と言うよりは
お巡りさん、と言った方が正しいのでは
と時折思っていたりした。

伊都波 悠薇 > 駅に着けば、静かに息を吸う。
ある意味、今日は不幸で……その不幸の中にも一個の幸いというところだろうか。

「ありがとうございました。次、がないように気をつけますね」

苦笑しつつ、駅の中。改札に向かう。
風紀委員――大変そうな仕事だ。あんな場所に出向くことも、あるんだろうかなんて思ったりもして。

(あれ、お姉ちゃんってそういえばどんな委員にいるんだっけ)

ふと、気になったから家に帰ったら聞いてみようと思いつつ。
最後に、送ってくれた青年に手を振って。ホームへと消えていった

ご案内:「歓楽街」から伊都波 悠薇さんが去りました。
古志野 緋色 > 「気ぃつけろよ」
消えてゆく少女の背中にそう言う
手を振られた事に気づき、彼も小さく手を振った。

ご案内:「歓楽街」から古志野 緋色さんが去りました。