2018/11/18 のログ
ご案内:「歓楽街」に雪城 氷架さんが現れました。
雪城 氷架 >  
なんとなく、放課後に時間を持て余して歓楽街をぶらぶら
ブティック他、商店街とはちょっと色の違うお店なんかもあって以前はよく来ていたのだが…

「なんか、少し変わったかな…」

…落第街に近いこともあるせいだろうか
以前もひどいものだったが最近は変なのや、好き放題やってる風紀委員だとか…
色々と治安が悪化しているらしい

落第街には更に注意が喚起され、一般学生は入らないようにと言われている
此処歓楽街だって、日の高いうちはともかく、夜は一歩裏手の路地に入れば治安が良いとは言えない

「…まだバスまで時間あるな」

日が沈む時刻も早くなってきた、夜までには、寮に帰らないと

雪城 氷架 >  
珍しく買い食いはせず、表通りを歩く
裏通りにもちょっとした良いお店があった気はするが、
今の時間にそちらへいって変なのに絡まれるの面倒だ

──異能の力を見せれば、変なのに絡まれても大抵はどうにかなると思うけど
それはそれとして自分の周りの人間には心配性が多いし、無駄な心配をかけるのは忍びない…

「(…ま、でもちょっとぐらいいいか)」

まだ日も沈んでいないし、と
確か1本裏の通りに小さなアクセサリー屋があったはず、と記憶を頼りに、外れの路地へと歩いてゆく

雪城 氷架 >  
「~♪」

足取り軽く、鼻歌混じりに細路地を歩く──ふ、と

「ん……?」

ちょっとしたビルとビルの隙間
薄暗いそこに人の気配を感じて立ち止まる

「(…こんなとこで何してるんだ?)」

……まぁ、まともなことではない、と思う
気づかないフリをして横切ろうかどうか、考えて……

目的の場所にいくには此処を通るしかないのだし、まぁ声をかけたりしなければいいか…と、知らないふりで歩みだした

雪城 氷架 >  
………

……



「──ちぇ、ついてないな…」

目的の店は今日は休み
小さく溜息をつきつつ、もと来た道を戻ってゆく

さっき無視したところまで戻ってきて、足を止める
……さっきの連中がまだいたらいやだな、と

そっと、ビルの隙間を覗き込む

雪城 氷架 >  
──誰もいなかった、誰も

「…ふぅ、何をしてたんだよこんなとこで…」

安堵にない胸を撫で下ろしつつ、ビルの隙間に踏み込む
日がまだ落ちていないとはいえさすがに暗い
指先にぽっと小さな火の玉を灯して、照らしながら、進む

思ったよりも早く、奥にはついてしまった
さっきの連中はここで何かしていたようだったけれど───

「…何だ、別に何もないじゃん」

動物の死体でもあったらどうしようかとおもった、が
好奇心も満たせたことで戻ろうと踵を返す

こつん、と脚が何かに当たった

ご案内:「歓楽街」に神代理央さんが現れました。
雪城 氷架 >  
「……?」

足元の鈍色に光る小さな箱、それに気づく
少し蹴り飛ばしてしまったそれを、屈んで手にしてみて

「…何だ、これ?」

拾い上げたそれを…

「うわっ!?」

ぬるりとした触感にそれを振り払うように落とす
落とした箱の中は……空だった、そして……

「──……え……」

足が震える
ぬるりとしたそれは、赤黒い液体だった

神代理央 > 学生街の自宅へ戻る帰り道。
歓楽街を巡回する同僚と軽く雑談していたら、幾分時間が遅くなってしまった。

元より時計を気にする様な事も無いが、余りに遅くなるよりはと歓楽街の路地から路地へと近道を急いでいた。

その最中。ネオンが煌めく歓楽街にあって尚薄暗い路地裏から、少女の悲鳴が耳に届く。
面倒事かと腰の拳銃を引き抜いて声がした方に駆け出して―

「…何事ですか?悲鳴が聞こえて……大丈夫か?」

駆け寄った先で見たものは、赤黒い液体を纏う箱と、怯えた様に見える小柄な少女の姿。
はて、どうしたものかと取り敢えず拳銃を腰のホルスターに仕舞いながら淡々とした声色で少女に声をかけるだろう。

雪城 氷架 >  

突然現れた影に驚くように、その背をビルの壁へと押し付けるようにして後退った
 
「あ、えっ…誰かここにいて、それで、拾ったら、ち、血……──」

少女は動転しているのか、言葉がうまくまとまっていない

足元の空っぽのケース…
風紀委員ならば、それが落第街で主に"制御薬"のアンプルを取引するのに使われているものだとわかるだろうか

神代理央 > 「…先ずは落ち着け。言いたいことは分かった。それに、私は風紀委員だ。必要ならお前を保護するし、危害を加えたりはしない」

怯えた様に後ずさる少女の姿に小さく苦笑いを零すと、幾分穏やかな口調で声をかける。
だが、その視線が再び箱に移れば、表情は僅かに険しいものになるだろう。

「……落第街で押し止められていなかったのか。不味いな。これでは幾ら落第街やスラムで流通を絶っても…。誰かここに居たと言ったな。その姿をはっきりと見たのか?」

僅かな独り言を零した後、少女に質問を投げかけながら足元に転がる箱を拾い上げようと歩みを進める。

雪城 氷架 >  
「っ、う…うん……」

風紀委員だ、と言われればごくりと息を呑んで落ち着こうと自分に言い聞かせて…

「み、見てない…怪しいヤツだと思ったから気づかないフリして通り過ぎて、戻ってきたら───」

脚の震えはまだ止まっていなかった
落ち着いたことで逆に、つまりあの時あそこにいた誰かは、此処で……ということにきづいたからだ

壁を背に立ち尽くして、少年が箱に歩み寄る様を目で追った

神代理央 > 硬質な足音を響かせて少女の側まで歩み寄り、懐から取り出したハンカチで箱を包んで持ち上げる。
しげしげとその箱を眺めた後、ハンカチで包んでポケットに仕舞い込んだ。

「そうか。後ほど詳しい事情を聞くことになるかも知れないが、今の所お前に危険が迫る事は無い。……だからそんなに怯えるな。必要なら、自宅まで風紀委員の警護を―」

改めて少女に視線を移し、宥める気が全く無さそうな淡々とした口調で語る。だが、その言葉は間近で少女の顔を視界に捉えた事で中断されるだろう。

「……何処かで見た顔だな。会ったことは無いはずだが」

間近で見た少女の美貌に感心した、というのもあるが、それ以上に少女の顔に既視感を覚えた故の怪訝な表情。
彼女程見目麗しい少女であれば、雑誌かテレビで似た様なタレントを見たのだろうかとも思ったがどうにも違う。
風紀委員会に入りたての頃、自学用に眺めていた過去の事件のファイルで見たような――

とはいえ、はっきりと思い出せる訳でも無く、僅かに首を傾げた状態でじっと少女の顔を眺めるに留めているだろう。

雪城 氷架 >  
「そう、じゃなくて……もし私が最初にそいつらに声かけてたら…
 ……や、ごめん、…なんでもないよ」

怯え、怖い、というよりも…
もしかしたら、見殺したのかもしれないということ
──真実を知ることはできなくなったのだから、どうしようもないのだけれど

「……?」

間近で互いの顔を合わせれば、何処かで見た顔だと言う
軟派にはよくある手だけれどそんなタイプではなさそうだし、何よりも風紀委員だと彼は名乗った
となれば…炎の巨人事件のことを調べたりして知っていてもおかしくないだろう

それに気づくと思わずハッとした表情をしてしまう、そして…

「──が、学校で、すれ違ったりしたのかも…」

思わずその顔を背けてしまう
心臓が少し高鳴って、挙動不審…そうとしか見えなかった

神代理央 > 「迂闊に首を突っ込んでいれば、怪我だけでは済まなかった可能性もある。自分が無事だった事を素直に喜んでおけ」

少女ほど慈悲の心があるわけでもなければ、損得以外の心の機微に対しては疎いところがある自分では、きっと此処まで落ち込む事も無いのだろう。

元より損得以外の心の機微には疎い事を自覚している為、ろくな慰めの言葉も思い浮かばず、僅かに穏やかな口調ではあるがつっけんどんな言葉をかけることになってしまうだろう。

「…まあ、そういう事もあるかも知れないが…。一応、名前を聞いておこう。どちらにせよ、第一発見者の名は報告せねばならないからな」

顔を背けて言葉を発した少女の姿は実に可憐なものだ。同級生の男子が噂していたのを耳にしたか、写真でも見たのだろうかとも思うがどうにもすっきりしない。
名を聞いて思い出せなければ気の所為だったのだろうと結論を出し、少女の顔から視線を反らさずに思案する様な表情で名を尋ねた。

雪城 氷架 >  
「……そうする」

どの道、悔やんでも過ぎたこと
過ぎた時を戻すような力は自分にはない
血に濡れた自身の手をようやくハンカチで拭う
家に帰ってこのハンカチを見たらまた思い出すんだろうな、と若干落ち込んでしまう

「…え、あ、名前、は……」

とぼけても結局同じことだった
名前を言えばきっとあの炎の巨人事件の中核になった異能者だとばれてしまうだろう、が……

「…雪城、氷架」

視線を逸しながら、そう答えた
言わないで怪しまれるのはもっと困る───

神代理央 > 「…まあ、落ち込むなとは言わん。忘れろとも言わん。どうせ気づけば忘れる事だ。気にしすぎるな、とだけ言っておこう」

こんな時、他の風紀委員――いや、普通の人間ならもう少し気の利いた言葉を投げかけられるのだろうかとも思う。しかし、そういう事はそういう気の利いた人間に任せれば良いか、と僅かに肩を竦めながら落ち込む少女に声をかけた。

「…ああ、成る程。雪城、氷架か。思い出したよ。公安の管轄だったから此方に詳細な資料の閲覧権限が無かったから、思い出すのに時間がかかった」

合点がいった、というように僅かに喜色を滲ませた声色で納得した様に頷く。

「中々良い異能を持っている様じゃないか。ファイル名はそう、確か……『炎の巨人事件』だったか」

自身の記憶に間違いが無かったか確認する様に、それでいて彼女の様子を観察する様に、静かな口調で彼女に声を投げかけながらその姿を眺める。

雪城 氷架 >  
「……ん」

一応気を使ってくれているということはわかる
素直にそれは受け取っておくとして………

炎の巨人事件
その言葉には僅かにその細い肩を震わせる
どこまで知られているのかはしらない
公安委員会の女に拉致され、暴走薬…クスリを使われ、暴走した異能は大火事を引き起こした
そう、あれもまた違法薬物が起こした事件だ
……あらぬ疑いがかかるんじゃないか、と思ってはいた

「あってるよ」

そうとだけ、呟き返す
憂いを帯びた横顔のまま、俯いていた

雪城 氷架 >  
俯いた顔に、ビルの谷間に差し込む紅い夕日が掛る

──それから何を話したのか

以前大きな異能の事故を引き起こした少女に、風紀委員の少年は何を想ったのか
その顛末は、誰知れず──

やがて日が沈み、歓楽街に賑わいの光が溢れ…
何事もなかったかのように、街の時間は過ぎていった

ご案内:「歓楽街」から雪城 氷架さんが去りました。
ご案内:「歓楽街」に神代理央さんが現れました。
神代理央 > 異能を強化する制御薬の流通と、かつて異能を他者に利用された少女との出会い。
それらが何を意味し、此の島に何を齎すのか。

その深淵を理解出来る程の情報も知識も無く。
結局は、少女を別の風紀委員に保護させ、自身はこれから新たな調査に乗り出す事になるのだろう。

ご案内:「歓楽街」から神代理央さんが去りました。