2015/08/20 のログ
薬師寺 瀬織 > ひとまずの目的は果たし、帰路につかんと来た道を戻るうち、
一人の男子学生が瀬織とすれ違う。二級学生、あるいは違反学生の類か。
染められた金髪に、各所に開けられたピアス。いかにも不良然としたいでたちの彼は、
しかしすれ違った瀬織に対していきなり凶行を働くことはせず、一旦足を止めた後振り返り、背後から声をかける。
「おい、姉ちゃん」
すると瀬織もまた、振り返り。
「……何かしら」
答える。二人の間に、冷たい空気が流れた。

薬師寺 瀬織 > しばしの沈黙ののち、金髪の男子学生の口が開かれた。
「お前……『銀腕』<アガートラーム>だろ。へっへへ……」
金髪男が口にしたその名は、瀬織には聞き覚えのないものである。
「知らないわ。少なくとも、私は人からそんな名前で呼ばれたことは一度もないのだけれど」
大方、自身がその『銀腕』<アガートラーム>とやらであると答えれば碌でもない目に合うことなど容易に想像できる。
この場で嘘を吐く事に瀬織自身へのメリットは皆無。そう考え、素直に否定する。
「あんたの所じゃそうかもな。だが、こっちじゃちょっとした噂になってるぜ。呪われた『XIII』のサインが刻まれた銀色の腕……それを持つ女が学園地区にいるってな。最初は見間違えかと思ったが……髪は紺色、瞳は緑、おまけに頭よりデカい胸ときた。あんたがそうなんだろ」
男が語った特徴は、瀬織が持つ装甲義手――ひいては、瀬織自身と一致していた。
銀色の腕に装着された紺色の装甲には、義手の製造者を示す『XIII』のサイン。紺色の髪と緑色の瞳。そして豊満なバスト。
間違いない。この男は自分を探している。瀬織はそう察していた。――しかし、何故?

薬師寺 瀬織 > 「……妙ね。他人にしては特徴が似すぎているわ。でも何故かしら。私はこの街を歩くの、今日が初めてのはずなのだけれど」
まだ、はっきりと肯定はしない。感じただけの疑問を口にし、揺さぶりをかける。
「なんでもいい。あんたのその"右腕"を貰って来いって言われてんだ」
「言われている?誰にかしら。言っておくけれど、私の右腕はあなたの思っているようなものではないわ。これは『力』じゃない。ただの義手に過ぎないものよ」
明らかに苛立つ様子を見せる金髪男に、瀬織は淡々と事実を伝える。
すると、金髪男は懐から何かを取り出す。
「飽くまでしらばっくれる気か。……なら、こうだ」
男が取り出したもの、それは――注射器!

薬師寺 瀬織 > 内容物の詳細は不明。このような場所で取り出されたからには、危険な代物であろう。
それを見るや否や、瀬織は躊躇なくホルスターから拳銃を引き抜き、安全装置を外すと、
即座に注射器を持ち迫る男の右手へ発砲!慣れない射撃ながらどうにか注射器に命中、内容物が飛び散る!
「てめェ……!」
壊れた注射器を取り捨て、瀬織に殴りかからんとする男の拳を右腕の装甲で防御、その後左手で引鉄を引き、数発の銃弾を男の鳩尾へ撃ち込む!
命を救うことを目的とする保健課生徒としてはあるまじき行動であろう。だが今は非常事態、やむを得ない!

薬師寺 瀬織 > 片手での銃撃を行ったことで、瀬織の左肩には相応のダメージが及んでいる。
加えて、瀬織自身荒事慣れしてはいない。
なぜ男が自身とよく似た特徴の女を、ひいては自身の『右腕』を探しているのか。
それに関する情報も聞きだしたいところだが――ここは一旦、逃走を図るべきだ。そう判断する。
銃弾を受けた鳩尾を抑え、うずくまる金髪男。その生死を確認せぬまま、瀬織は走る。
「(まだ足りない。やはり……これではまだ足りないわ。所詮『人間の力』では)」
瀬織の中で、『力』への妄執は少しずつ、だが確実に大きく膨らんでゆく――

ご案内:「落第街大通り」から薬師寺 瀬織さんが去りました。
ご案内:「落第街大通り」に久藤 嵯督さんが現れました。
久藤 嵯督 > 「……ふう、やっと全員か」

一人残らず簀巻きにした違法部活所属の生徒らを一人ずつ護送車に運んでいって
ようやく最後の一人を護送車に乗せたところであった。

久藤嵯督は薬物売買を行っていた違法部活に単独潜入した後、その全員を無力化。
銃弾一つ飛ばす間も与えず、一人、また一人と気絶させていく。
最後の一人にはたっぷりと尋問して情報を引き出した後
拘束に使っていた左手の『糸』からテーザーガン程度の生体電気を流し、それでひと段落。
間も無く到着した護送部隊に部員を引き渡して今に至るのだ。

久藤 嵯督 > 『そんじゃーまー、ご苦労さんです鬼サン』

労っているとは言いがたい、護送部隊である同僚の言葉。
それだけ言うと彼らは護送車を走らせていった。

その仕事ぶりだけは評価されているとは言え、同僚からの評判は頗る悪い。
大方新人らしからぬ傲慢で生意気な態度が気に障っているのだろう。それで実績まで上げているのだからなおタチが悪い。
だがそれでいじめを受けているなんて事は無いし、仕事に私情を持ち込むほど同僚も莫迦ではない。
交わされるのはビジネスライクなやり取りのみであることが大抵で、嵯督と進んで関わろうとする者はごく一部である。
たまに助けた生徒から礼を言われることはあっても、それ以上の交流は行わない。
そういうのを一人ひとり相手にしていてはキリが無いし
有能である自分は有能である分、その力を十全に扱って然るべきなのだから。

友好的な相手ならばあえて突き放すような事はせず、ただ自然消滅させるのみ。
それが、久藤嵯督なりの処世術なのだ。

ご案内:「落第街大通り」に白い仮面の男さんが現れました。
白い仮面の男 > 「あぁ…いけない、これはいけない」

走り出した護送車に上空から落下運動を帯び重量が数百㎏にも及ぶ巨体がのしかかる
想定外の方向からの衝撃に護送車はバランスを失い駆動系にダメージを負い停止するだろう

久藤 嵯督 > それなりに装甲の張られた護送車と言えど、どうにも当たり所が悪かったらしい。
駆動系をやられた護送車はタイヤを横に引き摺った後に停止した。
これを狙ってやったのであれば中々計算高いものであるが
あの巨体にそのような脳味噌が詰まっているかと聞かれれば怪しいところだ。
大方何者かが手引きしての事だろう。罠や増援の可能性も頭に入れておくべきか。

「こちら久藤、無事か?」

何はともあれ、"風紀委員として"優先すべきは人命。
二足歩行の巨体の動きを注意深く観察して何時でも動けるようにしながらも、無線で同僚及び車内の違反生の状況を聞きだす。

『こちらアンカー1。自慢のハンサム顔の額以外、何もかも無事ですよ。
 あーフラフラする……一体何が落ちてきたんスか?』

外から見えてる状況を説明しつつ、左手の糸を構える。

白い仮面の男 > 護送車の上から護送車の後方に降り立つ巨躯
よく見れば武装をしたリザードマンにも見えるがその体は普通のリザードマンよりも大きく逞しい

「あぁ…また風紀委員かね。先日も狩りをしていた様だが…まだ足りない様だ」

コツコツと足音と共に白い服の男が護送車の横を歩いてくる
突如現れた男はリザードマンとは対照的に体格は普通の人間のそれだがその顔には白い悲劇の仮面を着けている

久藤 嵯督 > 異常発達……と言うにはまだオーバーか。
アレにしては随分と大きいように見えるが、まだ常識的な異常の範囲内だろう。
何より注意すべきは、得体の知れない仮面の男。
こういった輩は大抵いやらしい異能や魔術を持っているものであるので、何かされる前に片をつけるのがいい。

くいくいっと左手の薬指を引いて、ぎちぎちと『糸』が音を鳴らす。
糸は常に周囲に張り巡らされており、構えた時点で指向性は定まっている。
前準備を重ねておいたが故に、その少ない動きから仮面の男を拘束せんとするだけの動作を
今ここで、金属製の『糸』に行わせることが出来ているのだ。

空いた右手でリボルバーを抜き、リザードマンの足の爪の付け根に向けて一発。
二、三発目は脇近くの胴を狙う。
消音された7.62mmの弾丸が三発、飛んでいく。

「生憎、満たされた試しも無いんだがな」

白い仮面の男 > 足への一発は避けようともせず腕を交差させ籠手で弾丸を弾くだろう、動作から弾丸を目で追えていると分かるかもしれない
足へ当たった弾丸は傷を負わせられたものの強固な肉体に阻まれ貫通にも重症にも至らずかすり傷程度の物

「ふむ、何か妙な動きを感じるね…機竜、彼の同僚を連れてきてほしい」

左手の薬指だけ妙な動きをしたのが目に留まる
糸までは関知していないが何かあると警戒する
男の声に従う様にリザードマンは跳躍し運転席側に移動し

「あぁ、今は殺さないように…優しく頼む」

フロントガラスを突き破り中に居る風紀委員を引きずり出すだろう

ご案内:「落第街大通り」に流布堂 乱子さんが現れました。
久藤 嵯督 > リザードマンが何やら護送車をまさぐっているようだが、何も問題は無い。


――何故なら既に、護送車の中はもぬけの空なのだから。


このような妨害あることも見越して、護送部隊には必ず一名、転移魔術の使い手を同行させているのだ。
それなりの魔力と努力、そして……優秀な『教師』がいればこそ使える魔術。
かの教員には感謝すべきことだろう。

運転していた風紀委員はおろか、拘束されていた部員さえいない。
一人であれだけの人数を転移させるとなると手間だが、そもそも護送車自体にあらかじめ陣を仕込んであるのだ。
最悪運転手のアイツが、魔力枯渇でぶっ倒れる程度で済む。

[1/2]

流布堂 乱子 > 大通りから路地裏へ通じる幾つもの通りの内の一つから、微かにコツリと杖を鳴らす音がした。

この落第街においては治療を満足に受けられるものも少ない。
違法部活の摘発を見物して居た者の立てた杖の音だろうか。
ともかく、不審に思うようなことはない。

衆人環視の状況下で、誰が怪しくて誰が危険でないのかを判断することは、
容易いことではないのだから。
それこそ異能を使って察知でもしない限りは。

ご案内:「落第街大通り」にリビドーさんが現れました。
白い仮面の男 > メギメギと音を立てて護送車の後方の扉を突き破りリザードマンが現れる
収穫物無し、それを見て男は悲しむように俯く

「あぁ…優先順位を欠いてしまったか…これは失敗をした」

仮面越しに額に手を当て、思案する

「ふむ、仕方ない…直接施設に赴かねばならないか」

目的の者達が居なければここに用はない、そう移動しようとした矢先
リザードマンが通りの一つを見つめる
音の反応したのかはたまた偶然か…否
人間よりも優れた知覚能力と本能に近い野生の感
身体を機械に改造しようと最低限の意識、第六感が何かを感じ取る

「ふむ…新しいお客さんかね?」

リザードマンにつられる様に男もその通りを見つめる

久藤 嵯督 > そして、糸は既に発動していた。
しかしそれからと言うもの、左手の指を動かすことはない。
"蜘蛛の巣とは相手自らが突っ込んでくるもの"である。この通り一体は既に、『巣』と化している。
蜘蛛はその中で、獲物を追い詰めればいい。
仮面の男の右足に向けて、リボルバーを二発。まずは相手の能力や動向を伺うことから始める。

いきなり実弾をぶっ放す風紀委員など傍目から見れば危険人物でしかないが、
彼が本物であることはその腕章から見ても明らかなことであろう。
加えて嵯督自身の悪名も高い。

新たに感じた気配は、どちらの味方か。
それは一秒先にでもなればわかることだろうし、自分はただ、備えればいい。

[2/2]

白い仮面の男 > 「飛び道具は私には効かないよ」

陽炎のように姿が掻き消え、また現れる
同じその場に立ったまま姿勢も崩さず男は弾丸を躱し
リボルバーの弾丸は標的を失い飛んでいく

魔術に深く通じた物であればそれが異能ではなく転移による回避だと感じるかもしれない

リビドー > 「何だ何だ。よくある騒動にしちゃ音が大きいが……」

 大通りから幼さの残る風貌の、年若い男が一人。
 腕には古そうな本が突っ込まれた取っ手付きの紙袋をぶらさげている。
 ……衆人環視の中の一人。よくある、野次馬の一人だろう。

 周囲を一瞥すれば、見知った顔――乱子へと視線を移す。
 

流布堂 乱子 > 『……トカゲをこちらに引っ張ります。心底慣れておりますので』
風紀委員の無線……嵯督の耳に飛び込んだ声はいつぞやの屋上で聞いたものと同じ。
本来の回線に比べて粗い音質は、それが強引な介入であることを示していた。

直後に転がり込むように大通りに現れた紅い制服の少女が、
スカートの下、元は左足の占めていた部位から指よりも細い鉄条を五、六本束ねて取り出すと、
リザードマンへ向けて纏めて投げつけた。

目、鼻、鱗の隙間、それぞれ"弱い"部位を目指して、酷く細い鉄が真っ直ぐに飛んで行く。
左手で杖を頼りに立ち上がりながら、右の手には再び鉄条を準備。

無表情な眼差しが、嵯督を見る。

白い仮面の男 > 「『躱しなさい』」

ボイスチェンジャーを通した独特な声
男の仮面から響く声に呼応するようにリザードマンの瞳が色を失い
今までよりも明らかに速く、目で追うのも困難なスピードで後方へ下がり男の隣にまで後退する

「ふむ…いきなりとは、とてもご挨拶な事だ」

停止したリザードマンからは蒸気のような物が上がり息を荒くしているのが見て取れる

久藤 嵯督 > 男の行った瞬間移動。
瞳に反応がなかったことから少なくとも『門』でない事は確かだが、魔力の無い自分がそれを深く理解するのは難しい。
少なくとも拳銃の弾を回避するほどの反応・発動速度がある事は解る。
それが解っただけでも大いに戦術を組みやすくなる。
遡行詠唱を行おうにも、術の正体を掴みきれていない今は発動遅滞すら期待できない。

それにしてもいつぞや屋上で見かけたアイスの少女。
前は正規の無線を所持していた気がするが、制服の持ち主に返したのだろうか。いや、それは後でいい。

「ごっこ遊びだとは思うなよ、流布堂 乱子」

横目で流布堂の方を見れば、色の無い視線同士が交差する。
少なくとも今は敵では無い、という事はその行動を見ればわかる事だ。それに、それなりに戦えるようでもある。

「ともあれ了解……近隣への被害には留意しておけ。
 "一般生徒"との共闘を許す以上、責任を問われるのは基本的に俺なんだからな」

[1/2]

流布堂 乱子 > 「……!」
ありえないほどの早さの機動を見て、その瞳が映すのは驚愕ではなく。
その口元に浮かぶのは…牙を剥くような笑い。

続けてもう一度投擲。
狙いは変わらず、たとえ改造されていようともその生態的な弱点を目指して。
その程度の異形などこの目を欺くには足りないと。
そんな無茶はそうそう効きはしない、と。

追いすがるのは無理だ。あのスピードは手に余る。
いつもの手榴弾は"庇わせる"ことになる。
鉄条もあと一つで流石に弾切れ。

『後ろ向きな心配も人柄、というところでしょうか』
風紀の無線帯域すべてをカバーするための改造インカムを通して、再び割れた声が響く。
『それとも。後輩に手柄を奪われそうになるのは初めて?』
あの屋上より時を移して、傲慢な赤龍の影を潜めて。
嘘偽りと冗談で構成された"最も新しい風紀委員"は先輩へ向けて軽口を叩いてから、

左手の杖を、銃のようにリザードマンに向けて構えた。

久藤 嵯督 > 「……フン、大方あの悪趣味な仮面の男がリザードマンを指揮していると言ったところだな」

ともあれ相手が転移使いでは、『巣』の性質を変える必要がある。
転移封じは以前の本部に罠を張った時に覚えたので、後は魔力を持ってくるのみ。
懐から紫色の液体の詰まった注射器……『マジックカートリッジ』を二本取り出すと
それを自らの首に突き刺す。
刺した箇所から紫色の筋が全身に広がっていき、魔力のない肉体に無理矢理ソレを宿す。
吐き気と頭痛などもうとっくに慣れたもので、苦痛程度で腕が鈍るほど甘くもない。

『いいや、新人の俺でさえザラにあるぐらいだ。だがそれに拘ることも無い。
 何より優先すべきは治安と生命。それに俺は誰よりも優秀だから、手柄なんてモノは…明日ハナをほじってたって取れるのさ。
 上手くやれよ、流布堂』

腰に携えた大量生産品の打刀を引き抜き、白い仮面の男に向けて構えた。
後は、リザードマンと男を分断するのみ。
そして次に男が転移した時、ソレが発動しなかったタイミングが最大のチャンスだ。

[2/2]

リビドー >   
「風紀委員会と、妙な輩なのが交戦中。
 ん、ああ……そう言えば、丁度戦っている奴に白い仮面の奴がどうとかこうとかと聞かれたな。
 白い仮面を付けた人さらい、だったか。」

(彼女が言ってたのはアレか。)

 そう思いながらも、暢気に戦闘へと視線を遣る。
 今の所、何かする様子は無い。

「……帰るとなると迂回しなくちゃならないが、ふむ。」

 練度の高い攻防に、興味を持った。
 一つ呟き、観戦を続ける事にする。

白い仮面の男 > 「なるほど、君達は友人。もしくは仲間の様だね」

二度目の投擲
それと同時に風紀委員の男が首に何かを注入している
ここで打つとなればおそらくブースタードラッグの類だろう

「機竜、標的を男に固定。彼女の事は任せなさい」

一歩前に出て手を前に出し風の魔術を発動
破裂する様に風は男の前方へと弾け鉄条を弾き落とすだろう
そしてリザードマンは嵯督を睨みながらまだ動こうとはしない

流布堂 乱子 > 「有り難い教訓は確りと受け取りました。栴檀は双葉より芳し、というところですか」
刻まれたばかりの刻印が、砲身の外と内で煌々と輝く。
螺旋を描くその紋様は甲高い起動音を立て、傍目にもわかるほど強く魔力を集中させていく。
「ですけれど、私、方法が選べるほどにはまだ経験が足りないものですから」

これで弾丸まで用意できれば最高なのだけれど、生憎ここまでで資金切れ。
だから手持ちで流用するしか無かった。
以前拵えた、赤龍の棘鱗による武装の一つ。
"当たる直前に人を覆う程度に爆ぜて、棘として突き刺さる"鏃を持つ矢を、
無理矢理に仮想魔術砲身で加速、誘導させて
「下手に飛び跳ねられたら被害の一つも出てしまうかもしれません、ね」
……撃ち放つ。

…狙いは、上空。
発射寸前で空へ向けられた杖から、爆ぜる魔力とともに赤い一閃が放たれる。
風の魔術を飛び越えて、
リザードマンの頭部、感覚器を纏めて潰す為に誘導弾頭となった矢は飛翔する。

当然ながら、左手一本で行われた狙うまでもないその射出に合わせて。
右手からは最後の鉄条がやはりリザードマンへ向けて撃ちだされる。
爬虫類の盛り上がった眼部は、例え背後からであっても狙い得る。

杖を振り上げたためににバランスを失って道路へと倒れ、ふたたび乱子が立ち上がるまでの数秒の間に。
この二重の攻撃を男がどう凌ぐか。
……そして、それを嵯督がどう乗り越えるか。
「仲間でも友達でもありません」
「ただの、先輩と後輩ですから。」
まばたきさえせずに、少女はゆっくりと路面へと傾いでいく―

白い仮面の男 > 「何度も同じ物とは…少々芸に欠けるね」

それは扉ほどの大きさの白一色の四角形
風景に絵の具で付け足したような違和感を放つ白い四角は二つ
1つは紅蓮の一閃、もう1つはこれまでと同じ鉄条。
2つの飛来する脅威を阻む壁の様に立ちはだかり矢と鉄条を呑み込む

「恐らく一つ目の物は色から察するに爆破を伴うのだろう、二つ目は先ほどまでと変わらない…だが、どちらも私にとっては脅威になりえない」

触れる直前に爆発、なぜそれが作動しないのか
答えは単純明快
そもそも何にも触れずその前振りもなくどこかへ行ったからだ
転移術の独自開発
別の空間を移動するのではなく空間通しを繋げ小窓を開く
その一手順だけで男は女性の攻撃を凌いで見せた