2015/09/01 のログ
ご案内:「落第街大通り」にリビドーさんが現れました。
■リビドー >
「む。」
――相変わらず頭は痛い。
ぼうっと歓楽街を歩いていたつもりだったが、いつの間にか落第街にたどり着いてしまった。
「まぁ、良いか。」
落第街にも幾つかの顔は有る。区域と言っても良いかもしれないが。
死んだ目をした輩が端の方で座り込み、碌でもない薬物に手を出すような自堕落の果ての溜まり。
いわゆる"ギラついた不良"が鬱憤の晴らし先を求め彷徨い、喧嘩に明け暮れるような果ての溜まり。
畜生の如く己の欲望を満たそうとするような、碌でもない悪事を考えるような輩の溜まり。
追いやられ、飢え、乾き、それらを癒やす食事も心も手に入らない。餓鬼のような乞食の溜まり。
深奥に潜み、強敵を求め、不良のそれとは次元の違う殺し合いを渇望する修羅の溜まり。
……落第街に身を置きながらも勝手を知り、不自由や悩みを覚えながらも逞しく生きる人の溜まり。
彼らを一瞥して、路を歩む。
この場は存在しない事になっている。とは言え、己の眼には確かに人々が映っている。
その有り様は、控えめに言えば地獄の一歩手前だが。
■リビドー >
「幾ら存在を無かった事にしておいても、人の存在をなかった事には――まぁ、出来ないよな。
造られしものや異世界人なら兎も角、としても、まぁ。元からこの世界の住人なら、大体は島の外にその証が有る訳だ。」
不法滞在者として此処に居ようが、この島の外には彼らが居た痕跡や記録が残っている。
家族だって居ない奴も当然居るだろうか、居る奴も居る。
この中のほんの僅かな幾らかは、故郷に帰る選択肢も取れただろう。それでも帰る選択肢を取らないのは、まぁ、色々あるのだろう。
「此処で死んだら行方不明扱いかもしれない、か。」
皮肉のような冗句を零しつつ、路を歩く。
……運が良いのか悪いのか、絡んでくる輩も居ない。
同時にめぼしいものもない。
(退屈だな。)
■リビドー >
頭痛晴らしに癇癪の一つでも起こしたくなるが、起こした所でどうにもならない。
結局は自身もそこらの不良と変わらぬか、と、自嘲交じりに舌を打ち響かせてから路傍の屋台へ。
"モケケ"なる生物の串焼きらしい、食べてみる事にしよう。
一串購入して、受け取る。口に運ぶ。
「……少し生臭いが、悪くはない。が。 何の肉だ これ。」
ご案内:「落第街大通り」にシインさんが現れました。
■シイン > 最早この場に置いて『闇』に該当する場所に置いては、自分の龍としての姿を隠すことすら無くなった。
はて、目立たないという最初の考えは何処に行ったのか。
一昨日、昨日と"犬"と交わした会話で変わったのだ。
この場で教育を施して、また人の成長を見届けようと、人を学ぼうと。
そんな考えから隠す事など下策との判断。
ありのままの姿を見せることが、信頼される為の一つ目の行いだと。
適当に大通りを歩けば、最初に行った"見せしめ"の所為で。
道が開くのだが、まずは恐怖を取り払わなければ行けないのが現状だったりもする。
問題は山積みだと溜息をついて。
ふと、路辺に眼を移すと見覚えがある姿が一つ。
ハイヒールの音が自然と屋台の方へと向いて。
屋台に入った者に続いて自分も入り、店主に一言。
「すまない、私にも一つくれないだろうか。」
隣で金を取り出して購入するだろう。
尚、隣の彼には顔を向けずに。
■リビドー > "あいよ。"
妙な風貌の店主がシインに"モケケ"――謎肉の串焼きを渡す。
臭みがあるが、悪くはない。後、ヒト科の肉では無さそうだ。
……当然、リビドーにも姿を隠さず堂々と道を退けて歩くシインは見える。
"歩くだけで道を開かせ"、"龍の姿を隠そうとも"しないシインを睨むように見せる。
――事の顛末はだいたい知っているし、頭痛の種だ。
「ふん。……随分と開き直っているじゃないか。
あの頃のキミは可愛かったと言うのに。」
八つ当たりにも近い、機嫌の悪そうな声が跳ぶ。
視線向けてないけど気づいてんだろ。みたいなニュアンスもある。
■シイン > 金を払い受け取った串焼きの名前はモケケというらしい。
聞いたこともないが、人肉ではないことは"臭い"で分かる。
単純に考えれば生物の名前を取った商品の串焼きか。
当然だが、隣に居るリビドーには気付いていた。
それもうそうだ。気付いたからわざわざ屋台に近付いた。
声を掛けられても顔は向けずのまま。
「可愛いか。可愛いなんて言われて喜ぶほど落ちてない。
開き直った事に関しては認めるがね。」
言い放って串焼きのモケケを一口。うん、なんとも言えない味だ。
■リビドー >
「全く、ボクとしてはその開き直りを叩き直したい位だよ。
やっぱりキミは、知られたがり屋なのかい。リビドーの深い事だ。」
明らかな威圧を以って睨む。
顔を向けないシインに、更なる苛立ちを見せたか。
「可愛げのない奴だな。
……誰かと話す時に顔を向けないのが、キミの人との向き合い方なのかい。
あまり失望させてくれるなよ。」
分かっていた上で頑なに顔を向けない訳だ。
苛立っている事もあってか、ぞんざいに扱われる事がどうにも腹立たしい。
一つ、舌打ちを響かせた。
久々に会った従兄弟が不良になっていてショックを受けたような、そんな気分だ。
■シイン > 「知られたがり屋ではないが、そうだな。
成すべきことの為なら、目立つのも手かな、と。」
普通に向けられる視線とは別な、苛立ちを含ませた威圧と睨み。
流石にそろそろ良くない。
「いいや、私は誰かと話す時は、常に相手の顔に瞳を見るよ。
ただ、今は付き添いの客ではなくて、別の客として入店したからな。
だから顔を向けてなかった。」
苛立ちを抑えられない様子の彼に、申し訳ないと横に顔を向かせてから一言を告げた。
舌打ちまでしてるのだ。この程度で苛立ちを表に出す人とは思ってなかったが。
人とはわからないものだ。
「で、何故こんな場所に来た?それともよく来るのかな。」
此処に来た目的をモケケを食しながら聞いてみる。
■リビドー >
「成すべき事、な。それをお聞かせ願いたい。
返答次第では即座に背中、両腕、両足、頭部、腹部、思考、首部を順繰りに叩き壊してから断頭台に叩き込んだ上で地獄に送り込む。」
ふむ、と、一つ相槌を打ち、平静に戻した声で軽く脅す。
本当に即座に仕掛ける事は無さそうだが――冗談めかしてもいない。
「些か信じられないよ。
……とは言え、今回はそういうことにしておく。」
思う所はある。
ある、が、重箱の隅を突いても、揚げ足を取っても始まらない。
意図や意識をしてなかったのは、確かだろう。
「頭痛晴らしにぼうっと歩いていたら、いつの間にか此処に居たとも。
とは言え、それなりに来るよ。誰が何と言おうが、公式には認められないだけで此処だって常世島だ。」
■シイン > おー怖い怖い。確かにそう呟いた。
「ま、聞かせたいのだが、なんせまだ何も用意出来てないのだ。
そんな状況なのに聞かせるのもどうかと思う故に、今は話さない。」
怖じけた様子も見せずに申し訳ない、と謝りを入れる。
彼の発言が冗談には聞こえないが、此方も他人にまだ話す時ではない。
一部例外を除いて。
「失礼を働いてしまったな、すまなかった。
コレに関しても謝ろう。」
なんだか最近は謝罪することが多い。
自分の不注意が多いせいだが、改善せねばいけないか。
「頭痛…?そんなぼうっとするほどにまだ酷い頭痛なら治療を進めるがな。
で、それなりに来てるのか。現教師が認められない場所に来るのはどうかと思うが…。」
■リビドー > 「――」
より一段深く睨む。
怒気と癇癪を孕ませ睨む。――周囲の空気が熱されたような感覚すら、覚えるだろう。
「脳ある鷹が爪を隠すのは敵を狩る為だけではないとも。
身を守る為――早い話が『受け容れて貰う為』だ。
コイツは化けモノだ、相いれぬ存在だ。そう思われない為に、爪を隠す。野性を潜める為に身だしなみを整える。」
異形の龍の姿を見て取れば、苛立ちを膨らませては抑えながらも言葉を介してして並べて晒して発する。
唐突な説教じみた言葉には、少々違和感があると言えば、あるかもしれない。
「それをしないで、先の様に人を遠ざけたい訳ではあるまい。
……まあ、少しこの場から離れよう。」
シインの行った"見せしめ"は知らない。故に、この様に誤解釈をすることも、ある。
歩いて離れ、邪魔にならなそうな路傍へ因る、
■シイン > 睨まれても尚も動じずに。
身長の差からか、どうしても見下す形になってしまうが、視線を刺す。
視線を刺している間に――空気が変わった。熱を含ませた空気に。
先に告げた事でも仕出かすのかと思いきや、唐突に告げられたのは説教じみた言葉。
言葉を静かに読み取りながら聞いていけば、遠ざかる人々を見ての事かと。
知らなければ、そう捉えてもなんらおかしくない。
素直に聞いて頷くか、そのことを説明するか。
「…ま、あまり人に見られているのも良くないからな。」
今はまず彼の言葉に従い、この場から離れてリビドーに付いて行く。
が、そのの前に、もう一つモケケを買う。
どうやら気に入ったらしい。