2015/09/02 のログ
■リビドー >
「――全く、あの時のキミは素直だったと言うのに。
全く、キミが残してくれた事も含めて頭が痛い。」
片目を抑え、溜息を吐く。
そうして、改めて睨む、
「全く、静歌には非日常の呪いを打ち込んだ事も含めて、頭を悩ませてくれる。
その龍の要素が引っ込められない奈良構わない……本当、気が狂いそうだ。気に食わない。」
三度の深呼吸。
……どうにも今の彼は自分の地雷を踏んでくれる。
人に関わるにあたり、その為の努力をしない。そのままの自分を見て欲しい。
故に、甘え、自身から歩み寄らない――そう、見えてしまっている。偏見が混じっているのも承知の上だ。
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だが、隠せる異形を隠さずに開き直って君臨した上で人との関わりを望むのであれば、それが一番腹立たしい。
そんなの自由だろ、とわかっていても。この多様な種族が住まう島では、言う程大きい事ではないとわかっていても。止まらない。
「……その姿が引っ込められないものであることを祈る。
実の所、どうなんだよ。お前は。それとも、人と関わる事をやめたのか。」
■シイン > 言いたいことは数々と、それなりにあるのだが、まずはと口を開いた。
「私は、いや、僕は人と関わることをやめてない。
それにな、この姿は隠せる。以前に君に会った時と同じ姿に"戻せる"」
――瞬間、瞬きの間にか。
姿は代わり、角に翼に尾を生やした龍人ではなく、そこに居たのは一人の人。
それを見せれば直ぐに戻るのだが、その際に全身を白き炎で身体を包み込ませる。
瞬く間に、今日に出会った時と同じ姿へと。
「非日常の呪いとはよく言ったものだが…気に食わないなら失礼した。謝ってばかりでアレだがな。
ただコレの姿のままなのは理由がある。先の説教じみた言葉の返事と共に教えよう。
アレは、この姿に怯えて離れてるのではない。
収容所から釈放されて、訪れた時に絡まれたからな。
その際に"力を見せ付けた"害は起こしてない。
それだけで清く引いてくれたよ。有り難いことだ。
そして姿を維持してる理由だが、まずは知って貰うために。
私というのがどのような奴なのか。ただそれだけのために。」
素直に、自分の考えを述べていく。
今にも一触即発な雰囲気なのは察している。
察してるが、それでも言葉は抑えずに、ありのままを伝えて。
■リビドー > 「どっちにしろ最悪だな――」
熱気をすら見えるような粗い語気を以って、冷たい言葉を放つ。
その辺に刺さっていた標識を引っこ抜き、壁に叩き付ける。八つ当たりだろうか。
「要するに過剰な力で脅して叩き伏せたのかよ。
"今の身体"でも十分な戦力だっただろうに――怯えさせてどうするんだよ。
……人と関わる事を止めない奴が、歩み寄らないでどうする。いや、脅して終わらせるつもりだったか。
とは言え、誇示してみせて……それで、人と関わるか。」
呼吸のベースが深く、早い。
今にも出してしまいそうな手を、抑える為に。
「その為にキミは篩を掛けるのかい。
お前――キミは誰かを知るよりも先に、自分を知って貰いたいんだな。
それなら仕方あるまいが、腹が立つ。クソ……。お前の様な奴を見ていると、腹が立つ。
ああ妬ましい。全く、こんな奴になると知っていれば……ッ!」
……どうにも、なんか気に食わないらしい。
「……もう一度だけ答えを乞う。お前は、何をするつもりなんだよ。
龍の姿で立ち回り、力を誇示し、おとなしくしないで、何をするつもりだ。」
■シイン > 「――まぁいいか。言っても構わない。
問に答えよう。私は私が創られた本来の目的を果たす。」
「それはな、人の成長を見届けること、人の成長を助けること。
そしてそれを記録すること。それが僕に与えられた使命だった。
ならば僕は、それを今に果たそう。」
「僕はある"犬"から言われた。
この落第街の秩序を持って、闇のルールで此処を守れと。」
「ならば僕は落第街という闇の中で、堕ちた人々に救いの手を伸ばそう。
元教師が秩序から背いて、僕の秩序を持って救おう。」
「僕は人を知りたい。人を知り、人から学び、そして夢を叶えたい。
その為ならば秩序など平気で背こう。それがやり方だ。」
「成すべきことは人の成長を見届けること。
だが僕は正義の味方ではない。常に人の助けにはならずに、時に助ける。」
"それが答えだ"
そう、ハッキリと告げた。
何時の間にか、変わってた一人称を持って、本心を全て吐くのだ。
腹が立ち、自分のような奴が気に食わない様子の彼に対して。
■リビドー > 「――■■■ッ!」
怒りの侭に、吠える。
激昂する。……手を出す事だけは、どうにか、留める。
相手がルールや秩序を持ち出す以上、抑えなくてはならない。
「その理念そのものは認める。賞賛しても良い。
だが、お前の正義を認めたいが――見届けると言ったか!
それでッ!お前がッ!見届けると言ったかッ――なら、なら聞く。
お前は――『知りたい』のか『知ってもらいたい』のか、どちらが強い……つ」
分からないとは言わない。
妬ましいだけに、正しくないとも言えない。
だが、彼から覗けてしまうものが、見てしまうものが、認める事を拒む――
「……っ、はぁ。それだけなら、龍の姿形は"要らない"だろう。
龍の力を誇示するにしたって、日頃からそれで歩いている必要はない。
知りたい筈の人を、篩に掛けるか。龍のお前を認めてくれるような人間の事を、知る事は出来る、だろうな。」
粗く、抑えきれぬ衝動を、"この言葉をぶつけてやる"の一心で留める。
「人を知る為に、人の姿形を取り、人に近付く事をしないのか。
神が如き力を抑え、人の世に紛れる気はないのか。
そこが、そこが気に食わない。人を知りたいと言っておきながら、
先ずは俺を知れとお前は要求するのか。ああ、そりゃあボクだって知ってもらいたいさ――ッ!」
人を知るのに、超越的な力は要らない。
人と触れ合うのに、神が如き出自は要らない。
人を見届けるのに、知っても貰う必要は無い。
「……どっちなんだよ。お前は。
両方取る気か。お前なら出来るかもしれないだけに、妬ましい。
そうだよな。寄せる尽力をしないでも、有りの侭の自分を愛してもらえるだろう、なッ……」
■シイン > 変貌ぶりに、まず最初に驚いた。彼がここまで変貌することに。
荒れて怒りに染まった彼とは対照的に、至って冷静で何も含ませない瞳で、彼を見続けて。
慎重に言葉を紡いでいく。彼に近付きながら。
「――僕は僕を知ってほしい。」
一歩。
「――そして相手も知りたい。」
また一歩。
「僕は強欲だからな、どちらも同じぐらいに強い。」
瞳は逸らさずに。
「全部が全部。全て比べても同じぐらいに強い。」
顔を向けたままに。
「僕の夢を教えようか。僕の夢は"人になること"
滑稽だろう?人の姿を取ってて、なるべく人に似せてるのがその証明。
そして、実の所は、何一つ近付いてない。」
乾いた笑いを浮かべて、両腕を広げさせて。
「知りたいだけじゃない、触れ合いたいだけじゃない、成長を見届けたいだけじゃない。
僕は人になって、人の全てを知って、人が持つ力の境地に辿り着きたい。」
眼の前まで寄り、首をほんの少し傾げて次の言葉を締める。
「それが僕の『リビドー』だ。」
■リビドー >
「……ちッ。ボクの言う事などは置いておかれたな。
お前の格好良いリビドーを聞かされて、ボクにはそれで我慢しろっていうのかよ。
相手を知りたいなど言っておきながら、ボクの気なんか知ったこっちゃねー、って感じだな。まぁ。そうだよな……
別にお前は俺の母親でもねーからな、ボクの癇癪を聞き入れる必要などありはしない。
わかっちゃ、いるんだけどさ。」
色々言った、が、この分だと、
ボクがまどろっこしく曝け出したものを彼は読み取っていないのだろう。
ボクが彼を認められない理由の一つは、決して明言してやらないが"そういうことだ"。引き下がれない理由がある。
何も含ませない瞳を、恨めしげに見据えた。きっと、ボクがいくら喚いた所で、
きっと心を動かす事も、揺さぶって考えさせる事も出来ず、何も感じていないのだろう。
「……リビドーだけで、世の中通るかよ。
とは言え、お前のようなやつなのは、通ってしまうのかもな。
無理だって通せば、道理は引っ込んじまう。……まあ、やってみればいいさ。」
……呪いを吐くかの様な、落ちた気を以ってぼやく。
■シイン > 「いいや?リビドー、貴方の言う事は全て聞いてるよ。
聞いてて、聞き入れてもいいが、それで君は満足するのかい?
とても僕はそうは思わない。余計に嫉妬して妬むだけではないか?
ま、僕の勝手な思い上がりな考えかも知れないがな。」
だから半分無視した形で進めた、と。
敢えて知ろうとせずに、敢えて聞かないふりをしたと。
逆にこの事を教えては悪化するだけではと思いつつ。
「もしかしたら格好が良いリビドーなら通るかもしれない。
世の中は可能性で溢れている、ほんの僅かな可能性だとしても賭けてみるには値するさ。
やってみせるとも、やり遂げてみせるとも。」
優しい笑顔を浮かべながら高らかにして宣言をする。
■リビドー >
「聞き入れられるならな。
……キミの無理が叶えば、ボクの道理が引っ込む訳だからな。
その可能性がなくなると思えば、ボクは満足……安堵するとも。」
片目を抑えながら、溜息を吐いた。
こんな駄々を、聞き入れるとも思えない。
返事を聞く前に、言葉を継ぐ。
「糞ッ。帰る。
今はお前が強い。リスクを見ないで両方取ろうとするような強欲でも、お前が正義だ。お前を殺せる道理はない。
両方取ると言ってしまえば、叶うかよ。
ボクはどっちかを優先すればどっちかを殺す事になると、所謂カルネアデスの板の問答をぶつけた訳だ。
それを両方助けると強欲に答えられたら、そうですかとしか言えないぜ。
それが良いに決まっている。出来るかよと言う以外に、ケチの付けようがないだろ。」
踵を返す。
控えめに言って最悪の気分だ。帰りたい。帰る。
……溜まった鬱憤が、余計な捨て台詞の一つを落とさせる。
「だけど、そうだな。かち合った時は覚えてろよ。割りと容赦無く潰すからな。
ボクはキミに気を使って行動する気もないし、お前も気を使って行動する必要はない。
静歌の事だって、そうだ。闇……なんてボクは思っちゃいないが、
キミ達の言う闇の住人として生きるなら、非日常の象徴の銃を渡したキミは、気に食わない。
全く……ああ、そう言えばすっかり忘れていたが、シイン、か……
……シイン・ベルフォーゼ・バロム、か……」
恨めしく呟いて、空を見上げる。
心を動かすものは何もない、が。
「……まぁ、また逢うだろ。多分。」
激情は見えない。疲れたようにも、諦めたようにも見える。
何処か哀愁と絶望が見える様に、思えるかもしれない。
……そのまま、歩き去ってしまっただろう。
ご案内:「落第街大通り」からリビドーさんが去りました。
■シイン > 返事をしようとした所で、また言葉を強引に入れられて。
返すタイミングをつい逃した。
怒涛の勢いとも言える言葉の応酬に、圧倒されそうになった。
が、去ってから言葉を、ぼそっと。静かに。
聞こえないことを知ってて、呟いた。
「"名前が違うな"
僕の名前は"バロム・ベルフォーゼ・シイン"だ。」
リビドーとは別に、反対方向へと踵を返して、歩は進む。
ご機嫌な様子で尾は揺らぎ、ふふっと笑みが漏れるのだ。
「――またまた知りたい人物が出来てしまった。
なんて嬉しい事か、リビドー。僕は君を知りたい。」
この島はなんと知りたいことで満ちているのか。
あぁ、満たされる。満たされるのを感じる、素敵だ。
是非に潰して欲しい、是非に容赦せずに潰して欲しい。
自分を認識して"敵対視"いう事実があるだけでもなんと素敵か。
「必ず、必ず逢いましょう、リビドー先生。」
龍は闇に消えて行く、落第街の闇に。
ご案内:「落第街大通り」からシインさんが去りました。