2015/09/03 のログ
ご案内:「落第街大通り」にリビドーさんが現れました。
リビドー >  
「ふむ。」

 ……大通りへと足を踏み入れる。
 暫く歩いた所で、ふと、立ち止まった。

「……いや、そもそも宝町にはどうやって行くんだったか。
 あの奥に用が有ったが、久しく行かない――いや、行くような場所でもないから、忘れてしまったな。」

 とは言え、困っている風な口ぶりではない。
 とりあえず適当に、歩いてみるかと、歩みを進める。

「研究区で購入できる材料だと、少々な……。
 ……いっそ、自分で取りに行く事も考えるか。」

リビドー >  
「とは言え、だ。
 日食の時にしか採取出来ない奇跡の植物なんかはな……
 調達に癖のあるものは中々流通してくれないのが曲者か。
 その辺りは、此方のが強い――許可がなければ単純所持すら禁じられているものを不用意に売るのはまぁ、如何なものとも思うが。」

 路を歩く。
 異様な雰囲気の酒屋、ラブホテルであろう城じみた風貌のホテル。
 刺青をしてようがお構いなしに浸かれる大銭湯。 如何わしいストリップショーを行う劇場。
 いかにもと怪しい。あるいは一見しても分からない様な悪の結社じみた違反活動部活や違反活動組織群。

 落第街の夜を横目に眺めながら歩いていた、が――

「……む。」

 元の大通りに戻ってきてしまった。
 ぼうっと歩いていれば、こんなもんか。

ご案内:「落第街大通り」に『エフェネリカ』さんが現れました。
『エフェネリカ』 > 夜が来れば彼は現れる。
いや現在は彼女なのだが、女性な彼はゆらりゆらりと大通りを歩く。
彼女であり彼の姿は、この場所では娼婦の姿と思われても可笑しくはない。
背は大きく開かれて、白い肌が晒されて、身を守る服はワンピースの唯一つ。
軽く剥いでしまえば、露わと女体の隅々まで見えてしまうだろう。
されど彼女に寄ろうとする者はおらず。声を掛ける者もまたおらず。
当然とも言える。
誰が角が生えた女を、誰が翼を生やした女を、誰が尾を生やした女を。
以前に力を見せ付けた者の特徴を持つ女に触れるのか。

不敵な笑みを浮かべる彼は見せ付けるのだ。
自分の姿を。何一つと隠さない。知ってほしいが為に隠さない。

ふと、見かけた。
一人の者を見かけた。

ニタリと大きく笑みを浮かべる。

「ふふっ、ふふ。」

数回と小さな笑い声を出して、彼に近付くだろう。
人が避けながら現れる道を、ゆったりと歩きながら。

リビドー > 「……」

 その見せつけているであろう翼や角で、察する。
 ……もしかして昨日喚いたからあんな姿を取っているのだろうか。
 堂々と町を練り歩き此方に近付く彼女?の姿を見て、実に困惑げに――

「……いや、だからと言って女装しろと言った覚えはないんだが。」

『エフェネリカ』 > 「……なんだ、随分と冷めた反応なこと。」

ちょっと残念そうに。
溜息を吐いて、彼の眼の前まで歩き寄って行く。

「ま、この姿にも理由はある。
女性になることで、また別視点から"知れる"かなと。」

声まで変わっており、顔も他にも姿形全てと、変化してるのが見て直ぐに分かるはずだ。
ワンピースのスカート部分を上げないようにか、尾を地面に触れないギリギリの位置に固定してたりと。
少々不自由な様子だ。

リビドー > 「そりゃ、熱も引くとも。
 一日合わぬ内に、なぁ。」

 ……別の意味で頭痛を思えれば、一つ溜息。

「どうだか。
 世界は男女で二分するものでもなければ、当然ゴルフの出来る奴と出来ない奴で二分するものではないとも。
 とは言え、相変わらず龍か。」

『エフェネリカ』 > 「そうかそうか――それで怒りは少しは収まったかな?」

二日前に会った時と比べれば落ち着いたように見えた。
吠えて訴えかけてきた彼とは大違いであり、だからこそ聞いてみた。
疑問に思えば、直ぐに聞く。当然の行動だ。

「ま、物は試しと言うだろう?

あと、龍としての部分は隠せるが、隠してないとあまりにも掛けられる声に鬱陶しくてな。
そして女となってみて"別の部分"を知れたよ。
男というのは、あそこまで女に貪欲に欲するようになれるのか、とね。」

中性的な声で淡々と告げた。
彼には知識として"そっち"方面の事は分かるが、イマイチ欲としては分からなかったのだ。
四十万の件を出されたとしても、四十万を欲したのは"側に居て欲しい"なので別である。
性の欲を満たすとはまた大きく違う。

リビドー > 「……ふん。
 穀物を加工したものに牛乳を掛けて食わされた気分だよ」

 怒りはともかく、頭は冷えた。
 冷さざるをえない。

「もう答えを出すとは、キミは随分とせっかちだな。
 ボクもまぁ人の事を言えまいが、キミの見る人間はそこまで簡単に答えを出せる程度のものなのかい。
 ……全く、心理学者も商売あがったりだ。」
 
 再び苛立ちを見せる。
 強く、睨んだ。
 
 ・・・・・・・・・・・・・・・・
「何を一日で悟った気になってんだよ。
 もしかしてお前、人間が嫌いなのかい。」

『エフェネリカ』 > 「それは……美味しい食事になのかな?私にはイマイチわからない。」

冗談を装いながら、ふふっと笑って。
睨まれると、変わらずの笑みを浮かべる。
何も変わらない笑み。

「いいや、大好きだよ。
それに答えは出していない。そういう人間も居るという勉強になった話。
私は、今迄男女の"その部分"に27年間と稼働してた時期に触れてなかったからな。
触れる機会を失われてたとも言える。
それで戸惑い半分、新鮮さ半分。」

奇遇にもリビドーと同じ身長。
会話をするのに見上げることも見下すこともなく。
真正面を向いて真剣な表情で答えた。

リビドー > 「どうだか。」

 言葉を短く切り、返す。あまり信じていなさそうにも、見えるだろう。
 戸惑いや嬉しさと言う割には、"人避け"をしている彼女?の姿には少々の不信を覚える。
 あるいは、

(龍である。"新たな自己を得た事"が事が嬉しくて、執着しているのかもな。)

 前回の調子も含めると、口にはしないがやっぱこっちが。
 何かに付けてで龍――はともかくとして、新たな自分としてのシンボルを出したいのだろうか
 軽い仮設・推論を浮かべながらも彼女を見る。
 ……今のところ、あまり好きになれそうにはない。

「……用件がないなら、ボクは行くぜ。」

『エフェネリカ』 > 「…信じてくれない?
私はこんなにも真剣なのに。」

目を細めて残念と呟く。割りと本気で残念だったりする。
話し相手として、もっと話したいと知りたいと願うのだが。
あまり好かれてない現状、素っ気ない態度を取られてしまうのは致し方無いのか。

「もう少し話したかったけど、行きたいならばどこになりと。」

ワンピースの裾を掴み、小さな礼を一つ。

リビドー > 「真剣であることは分かるとも。
 とは言え、相手のことを知ろうとも歩み寄りも踏み込みもせずに人を知りたいなどと嘯く様な奴は嫌いだ。
 ……意識的には無意識的にかは知らないが、その態度がどうにも癪に障る。」

 睨む。
 舌を打つ。
 踵を返す。

「人が知りたいと良いながら――一面だけとは言え、直ぐに結論付けて仕舞うのも
 そこで止まるなよ。、どうして彼らがお前を求める理由を考えない。
 股を開けと言うつもりはないとは言えだ――ボクは人が好きだから、キミの人が好きを見ていると、やっぱり気に食わない。」

 ……そのまま一歩、二歩、と歩き、離れる。

「キミは人の何処が好きなんだい。
 キミはどうして人に歩み寄らないんだい。
 キミは人に"求める"が、決して人から"受け取ろう"とはしないように見えるぜ……少しばかり、考えてみな。
 違うのならば、まとまった頃にでも考えを聞かせておくれ。
 ボクの偏見を、解いてみせておくれ。」

ご案内:「落第街大通り」からリビドーさんが去りました。
『エフェネリカ』 > 「…………。」

いつになく真剣に、その瞳に冗談などの装いは一切と無い。
言葉を聞き、考えてみる。
踏み込んでいる"つもり"だった。歩み寄っている"つもり"だった。
だけど、彼が言うにはそうではないようだ。

「私は――私は。」

考えて。考えて。
私は人を求めているのではない
何度も何度も"私は"と譫言のように呟き、改めて考える。
果たして自分は

「そうか、私は私から求めてないから。
だから歩み寄れない。そのつもりでも寄れてなかった。

未だに"こうした"姿で歩くのも、知ってほしいから。
知ってほしい欲のが実は強いから。」

解を見付けた。一つの解を。
目立つのを嫌がっていたが、実の所は自分から目立ってる。
自分で自分を矛盾させた考えを作っている。

離れていくリビドーに向けて静かに、静かに、語って。

「私は一方的なのだろう。
一方的にしか受け取れない、一方的にしか語れない、一方的にしか動けない。

二日前にリビドー。貴方に告げた欲望は嘘ではない。
嘘ではないが、蓋を開ければこのザマか。」

失笑。自分に対して。

『エフェネリカ』 > 嫉妬されるような、妬まれるような立場ではない。
自分のリビドーは脆弱で格好悪い、そんなリビドー。
彼が去ってから踵を返し歩を進める。
その歩みは寂しそうで、赤いハイヒールの動きは何処か重苦しい。

今迄に自分が行動していた内容が否定されて、それに納得してしまった。
ただ知ってほしい欲のが強かった。
勿論…知りたいという欲もあるが、あるにはあるのだが。
項垂れながら重い足取り、昨日の軽やかさは何処に行ったのやら。

いつの間にか翼は消えて、尾も消えて、角も消えて、そこには一人の女性としての姿だけが残った。

『エフェネリカ』 > ちょこんと大通りの隅に置かれたボロいベンチに座って体育座り。
揺々と身体を動かしながら、考えてみる。

人に歩み寄るとはどういうことなのだろうか。
今の今までに真剣に一度も考えたことがなかった。
稼働して27年間。
一度とて疑問にも思ったことがないのだから当然とも言えた。

それに踏み込めていない。
相手の懐に踏み込めていない。
一歩前か、二歩前か、それ以上に前の場所で止まっている。

何故。

『エフェネリカ』 > 女性であり男性の彼は小さな唸り声をあげながら、まだ考えている。
やはり"知られたい" "知ってほしい" その欲求が強いから?
多分恐らくそう。
だが、それは踏み込めない理由にはならない。
深く踏め込めない理由としては弱すぎる。

何故?

答えは出ない。解は求められない。

人に嫌われるのが怖いから?
否定はできない。

人に好かれるのが怖いから?
それはない、断言する。

では一体答えは何処に?

女性は膝に顔を埋めながら考え続ける。

『エフェネリカ』 > 「……誰かに聞ければいいのだけど。」

そんな信頼出来ない人物は居ただろうか。
パッとすぐに思い浮かんだのは二人。
静歌とグランドマスター。
だが、グランドマスターに関しては"人"と呼べるか怪しい。
やはり静歌…だが簡単には会えない。

もう一人。部下の"やなぎ"を思い浮かべたが、彼は頼りにならない。

「……どうしたものか。」

人間が好きなのに、人間に対して踏み込めないで話せない。
これでは矛盾の塊だ。

自分に対して溜息をまた一つ、吐くのだ。

ご案内:「落第街大通り」に流布堂 乱子さんが現れました。
『エフェネリカ』 > 急に自分に自信を持てなくなってしまった。
リビドーと話す前は違ったのに、一つの言葉でここまで変わるものなのか。

「――"人"か。」

ボソッと呟く声はあまりにも自信がない。