2015/09/24 のログ
ご案内:「地下闘技場」にダナエさんが現れました。
■ダナエ >
──ゴッ……ゴス…… ゴッ……ゴス……
ゴッ……ゴス…… ゴッ……ゴス……
闘技場に繋がる階段から、不気味な重い足音が降りてくる。
「ほう……ここが……」
フルフェイスの面甲を上げ、辺りを物珍しげに見回す。
剥がされ、えぐられ、窪んだ床。
削れたコンクリートの壁面。
薄暗いが、よく見ればあちこちに血飛沫も染みついている。
「……ふむ」
あいにく、前の試合は終わってしばらく経ったところらしい。
常連客らしい客はまばらにいるが、
対戦相手になりそうな者はいないようだ。
腕組みをして、太い円柱に身をもたせかける。
■ダナエ > 「…………」
客は異形の、しかも初顔の重騎士に、
容赦ないからかいの言葉を投げかけてくる。
舌打ちの一つでもしたくなるが、
顔を背けるに留めて騎士らしく耐える。
ここを訪れたのは、闇社会で名を挙げてロストサインの
情報を手に入れやすくしようという目的から。
だがそれは、ほとんど建前。
単純にこの世界で某かの戦士と手合わせしてみたかった、
というのが本音に近い。
人死にの出ることのない、競技のような手合わせができる場所。
騎士にとっては魅力的だった。
「……ッ、…………!」
しかし。
こうして観客の好奇の目にさらされ、
下らなくもえげつない罵言を浴び続けていると、
観客を引きずり下ろして一方的に試合を始めたくなってしまう。
ギリギリと奥歯が鳴る。
気の長い方では決してないのだ。
ご案内:「地下闘技場」に阿多福ウズメ(自称)さんが現れました。
■阿多福ウズメ(自称) > 「誰も彼もが戦士ジャない。まあそう憤るナ」
別の柱に体を預けていたのか、レインコートにおかめのお面と、もの凄く怪しい風体の性別不詳の人影が動く。
お面に何か細工でもしているのか、声も男とも女とも区別がつかぬダミ声のような耳障りな響きだった。
あまりに怪しい風体ゆえか、その者のまわりだけぽかりと空間があいたように広がっていて。
「観客を引きずり下して戦うのも一興であろうナ。殺しはご法度、手合わセ合法…」
ここは変に秩序だっている。とフードをかぶり直し、ダナエに声をかける。
■ダナエ > \ひっでえ鎧だな/ \あれ鎧か?/ \岩だろ/
■ダナエ > そんな安い煽りを浴び続け、とうとう耐えかねて
腕組みを解き観客席に乗り込もうとしたその瞬間。
何とも耳障りな奇妙な声が、耳に飛び込む。
「むっ……!」
振り返れば、そこにはおかめの面を被った正体不明の謎の人物。
謎の木刀が、彼ないしは彼女が客ではなく
戦士であることの証なのかもしれない。
「…………貴公、剣士か?」
おかめでもひょっとこでも白狐でも、異邦人である騎士には大差ない。
だがとにかく奇妙な面だと眉をひそめ、戸惑っている。
■阿多福ウズメ(自称) > 「ただの阿多福なリ」
剣士ですらなし、と揶揄するように笑う。
周囲からはあんな奴いたっけ? 等などなんだか不穏な言葉が漏れているが、
その佇まいが雄弁に物語っていた。木刀を腰に添えて持つ姿が、いやに堂に入っている。
この者、間違いなく戦士であり剣士。
「そういうお前ハ異邦人カ? 気づいてない可能性を考慮して
念のために言っておくが、ソノ鎧は我らの世界でハ、世間一般にポンコツと言う」
挑発的な言葉に、周囲の野次馬、観客、賭博の胴元一同に騒ぐか。
ドリンクはワンオーダー制、磯臭い騎士と阿多福、オッズはどちらが優勢か。さあ張った張った。
ご案内:「地下闘技場」にルージュさんが現れました。
■ルージュ > 「瓶でコロナを。…ついでにライムを絞ってもらえますか」
クーラーボックスの上に座っている男に声をかければ、注文通りの品が手渡された。
ドリンクスタンドなんて洒落たものはない。客との境界さえあいまいなその男に一番高額な硬貨を手渡すと、背後に聞こえた、観客席の歓声に振り向いた。
手にぶら下げたパイプ椅子を静かに握りながら、せいぜい五メートルと離れていない騒動の中心をまっすぐに見る。
(……もうここ公認闘技場か何かなのでは?)
コロナを傾けつつ、試合が始まるとしたら――
いずれ殺り合うことになるかもしれない同僚の戦う姿を見られるなら、儲けものだと思いながら。
ご案内:「地下闘技場」にヴァルトラウテさんが現れました。
■ダナエ > 堂に入った姿勢に、恐らくこの闘技場の経験者、
あるいは相応の場数を踏んできた戦士と見る。
「オタフク……」
目を見て話したいが、相手はおかめの面。
しかもおかめは糸目なので、どこを見て話せばいいか困る。
窮してフルフェイスの面甲を下ろし、こちらも顔を覆う。
面には面、佇む二人のマスクマン。
「ポ、ッ……!」
戸惑いはおかめの一言でどこかへ吹き飛んだ。
背中の大剣を引き出し、大盾をゴドン!と乱暴に体の前へ。
ゴゴッ、と半身に構えて、
「良かろう、ポンコツかどうか試してみるがいい!!」
観客席からは歓声半分、笑い声半分か。
試合開始のゴングが鳴るより早く、重騎士が動く勇み足。
怒りに駆り立てられた重騎士の重い一閃が、
ブオンとおかめの胴を狙って襲う──
■ヴァルトラウテ > ……本日は賑わっているようですね?
(中の様子を見、入ってくる少女
戦闘が行われるところと知って嬉しそうである
小規模な大会とはいえ、優勝者でもあり、またその見目は際立った美少女の騎士然とした剣士である
流石に闘技場ではいるだけで目立つ風貌であり、噂も含め知られている方だと言っていい)
■阿多福ウズメ(自称) > 「ムッ…!!」
ひらり、どころではない。閃光のように青い白い残像を残して、阿多福が飛ぶ。
背に預けていた柱が一本、両断されたか。
歓声と同時、誇りと破片を被った観客からバカヤローだの何だの声が響くか。
慌てるようにレフェリー達のコング…、いや、どうも空気を読んでドラか太鼓にしてくれたようだ。
腹に響くような、太い音が地下中に響く!
「ふふん。猪騎士カ。面白いぞ、こっちが試合場ナリ」
はよ来イ、と挑発兼、誘うように手をクイクイ動かし…。
「阿多福ウズメだ…推して参る」
木刀を大上段に構え、迎え撃つ。大地を吹きすさぶような、
嫌な気配の殺気が阿多福を中心に吹いたか。
嗜む者ほど、おやっと気が付くだろう。この勝負、なかなか派手な事になりそうだ。
■ヴァルトラウテ > (破片が飛ぶ前に察知していたのか、被害が少ない方に移動している)
……広域戦闘になりそうですね。
出来れば参加させてもらいたいところでもありますが、無粋ですかね?
まあ、見てるだけでもよいのですが。
(少女は基本的に戦闘を好む方である、問題のある戦闘をしないだけのことだ
複数戦であればそれはそれで面白いのであるが、かえって戦闘そのものと言うよりかは立ち回りの重要性が増すため
戦闘そのものの純粋な良さを確認するなら一騎打ちにのほうが良いとも言えるため、どちらでも楽しめると踏んだ)
ご案内:「地下闘技場」に”望月満月”さんが現れました。
■ルージュ > 『オイオイオイ客席でおっぱじめやがった!?』
『ちょ、マジふざけ、飲み物にゴミ入ったんですけど!?』
非難轟々の客席の中で、ルージュが傾けていた頭をぐらりと元の角度に戻した。
ゴトン、とついでとばかりに頭から柱の破片が床に落ちる。
顔の右半分を覆うようにして、額から血が流れ落ちて。
顎先から滴ったそのしずくは、とっくに割れて床に散乱しているコロナ瓶の中身に向かって落ちていった。
「……この瓶代でそこそこ賄える安ジャージですから、
血のシミが落ちないとか泣き言は言いませんけれど」
情報収集ついでの見物のつもりだったけれど、参加する動機ができてしまった。
……少なくとも、あの人に挑むなら。
他の人員なし、例の兵器なしの状況までは追い込みたい。
つまり、これまでに見たどの戦いよりも今。この試合が最も参考になる、ということだ。
この痛みとかなんやかんやは次の試合にでも回すとして。
首元だけが残ったコロナ瓶を、行き先も見ずに背後に放り投げた。
■ダナエ > 残念ながら、観客が増えたことにはまるで気づけない。
怒りで視野は極端に狭くなり、見えているのは目の前の敵、
おかめの剣士のみ。
おかめの意外な?速度に動体視力が追いつかず、
一瞬残像に視線を残す。慌てて本体を目で追い、
「速いな!」
分が悪い、と面甲の下で顔を歪める。
速くてもスタミナや攻撃力が低ければ持久戦に
持ち込めるが──果たして。
試合開始から遅れてドォンと腹に響く合図に、
ぎゅっと奥歯を噛みしめておかめの後へついて行く。
散らばる破片が当たるが、流石にものともしない。
──ゴッ、ゴス、ゴッ、ゴス、ゴッ、ゴス……
これでも走っている。全力で。
無様な走りに、観客席からはどっと笑い声が上がるだろう。
オッズはおかめに傾くか。
やっとのことで追いつけば、待っていたのは不穏な殺気。
「くっ!?」
何かが起こる予兆。
咄嗟に大盾で身を隠し、さらに盾の向こうに大地の防御魔法。
メコメコと床が盛り上がり、物理的障壁を作らんとする。
ただし視界は遮りたくないので、胸までの高さ。
障壁は物理攻撃には強いが、
それ以外には大した防御力はないだろう。
■阿多福ウズメ(自称) > 「…。二の太刀要らずの機動」
ボソリ、と何事がつぶやく。
瞬間。阿多福が早送りの映像のような不自然な速度で飛び出す。
フェイント、勘繰り、一切なし。いきなり土壇場の大勝負である。
マッハを突破した斬撃が、防御壁をビリビリと揺らす!
「イヤァァァァッッ!!!」
ノイズ交じりの裂帛の声が響く。木刀がただ袈裟にふるわれ、騎士が盾と形成した大地に対し真向のガチンコ勝負を挑む。
火花と爆音と衝撃。
その結末、果たしてどうか。
■”望月満月” > 先日は戦闘経験を積むか戦闘を観るつもりで、結局どちらも出来なかった。
あれはそれで十分充実していたけれど、そこはそれ。
もう一度今度はちゃんと参加か観るかするつもりで地下闘技場の観客席の入り口へ。
「あら、丁度良かったかしら?」
観客席にも熱が入っている空気、これなら期待できそうだと見回して。
観客席が乱闘の空気にっぽい事までは気付いていなかった。
■ヴァルトラウテ > ……なるほど、蟹と蜻蛉ですか
防御力次第ですかね? 抜ければ蜻蛉のほうが強いですが、さて。
(重騎士の防御力次第と踏んだ
アレがどう防ぐか傾くかで決まるのではなかろうか
蜻蛉が羽をもがれるか、甲羅が割れるか、どちらかだ)
ご案内:「地下闘技場」にリビドーさんが現れました。
■リビドー > 「随分と賑わっているな。」
猫を起こした帰り道。
何気はなしに立ち寄ってみれば、盛況なことだ。
少々危なっかしい所だが、遠目にぼんやり、濃厚なピーチ汁を口に含めながら観戦する。
時折言葉を発するかもしれないが、そうでなければ話し掛けられない限りは眺めるに徹しそうだ。
■ルージュ > (やはり客も目が肥えている、ということなのでしょうか)
「本来なら、トンボは周囲を飛び回ったほうが良いと思いますけれど。
あの打ち込みなら、数を稼いでいれば自然と勝ちを拾えそうです」
聞こえた呟きを自らの糧としながらも、しかしその思考の筋道は異なる。
蜻蛉の型より蜂のように刺すほうが良いのでは、と。
甲冑と魔法。わざわざ分厚い箇所を狙わなくとも、
見るからに相手は素早さに翻弄されていた。
「……あれも性格、でしょうか。」
有利不利ではなく。音に聞こえる真っ向勝負の気性ゆえ。
■ダナエ > 攻撃をかわしたおかめの速度から、
おかめの攻撃はそれをさらに上回る速度で来るだろう、
という予測は立てていた。
「ふッ!?」
だがその予測を、遙かに超える速度。
見たこともない速さに、視力はとても追いつかず。
当然、半端な高さで止めていた障壁を嵩ましする時間などなく。
──ゴバァァンッッ!!!!
障壁を軽々と吹き飛ばした一撃は、そのまま大盾へぶち当たり──それをくの字にへし曲げながら、大盾ごと重騎士を後方へ吹っ飛ばす!
重騎士は、重い。
吹っ飛んだ先に観客がいないことを祈ろう。
■阿多福ウズメ(自称) > 「ドウシたポンコツ!? 殴られるだけなら犬でもできるゾッ!
突いてこい斬ってコイ…! 死力を尽くしテかかってこいッ!!」
砂煙を挙げながら減速、そして残心。正眼に木刀を構えたまま、
阿多福のお面からノイズ交じりの怒号が響く。
レインコートの中が微妙に青く光っている気もするが、気のせい、だろう。
勘の良いものはあれってもしかして…となるかもしれないが、
毛先一本見せぬレインコートのガードは硬い。
ただ王道を真正面からぶち抜いていくお面の剣士の動き、相手が一度吹き飛んだ程度で!
という徹底ぶりが覗く。
■ヴァルトラウテ > ……ああいう蟹みたいなのはだんだん重くなる場合が多いように思うのですが、どうでしょうね?
だいぶ荒れ模様に思いますが、アレでどうにも出来ないならほぼ決まりかしら。
(観客なのでいいたいように言う
オッズには一切かかわらないのだけど、立場が立場だけにそばで聞いているものは気になるものもいるかもしれない)
■”望月満月” > 戦場を見るまでもなく、激しい衝突音。
高速でエネルギーがぶつかった音。
「と、なるとぉっ!?」
その方向を見れば吹っ飛ぶ騎士、に加えてお面の木刀使い。
おかめのお面で戦ってると言う予想外にも程のある、異形の戦士ならまだ解らなくもないが、レインコート…なんだあれ、と吹っ飛んだ騎士よりもどうしても目が向く。
他の観客の会話も聞くべく、横歩きに移動開始。
■リビドー >
「騎士と剣士か。雑に考えれば木刀では話にならない――とは行かないのがこの島の常だ。
木刀ではなく打撃武器、剣術を以って強力な"打"撃で攻めてくるとなれば、鎧にとっちゃ鋼の剣と変わらん。
いや、軽い癖に速度も重さもある分、鋼の剣より厄介か。」
木刀で重戦士をなぎ飛ばせは"まじかよ"と、楽しげに軽い口を叩いてみせる。
試合を眺めて呟いてから、他の客はどんなものかと見渡す事にする。
目星についたのは――
「――あっちの麗しい剣士はよく見る顔だな。確か何かの優勝者だったか、
観客席のあの眼鏡娘はどっかで見たな。別の意味でよく見る顔だ。
ポニーの子は――ふむ、可愛いな。あまり見ないが。
……ああ、眼鏡の子だっておとなしい感じが可愛いとも。」
当然独り身で立ち寄った観客故に言いたいように言う。
十分聞こえるし、聞いているものもいてもおかしくはない。
■ルージュ > 「……死力を出し切るのは禁止なのですけれどね」
だが示現もんはちがう!とでも言うような煽り文句を並べるオタフクレインコートの言葉に、少しだけため息をついた。
恐らく自分だけの杞憂。本気を出して戦ったうえで、相手の生存を考えるなんて経験がない故の不安だろう。
おそらくあの二人、試合後には手を取り合うに違いない。
「とはいえ。
生まれた時から殻を背負っている甲殻類と違って
あのスタイルを"選んでいる"わけですから…
そう簡単に終わる、とも思えませんけれど」
その異形の重鎧の所以はつゆ知らず。
賭けるなら出場して自分に賭けるタイプなのでこちらも気楽そのものに。
この後で誰をひっつかんで試合を吹っかけようか、と考えているのは確かなのだけれど。
ファミレス以来の騎士の少女か。
先日の試合、意外とやると見えた教員か――
■ダナエ > 大盾ごと後ろに吹っ飛ばされるのはいつ以来だろうか。
懐かしい屈辱に、面甲の下で思わずニィと笑みが浮かぶ。
いつかのアドバイスで得た地の魔法、重力操作で鎧の重みを束の間軽減し、素早く起き上がる。
瓦礫がゴトゴトと鎧や兜から落ち、砂埃が舞う。
「……速いし、重い」
楽しげな声で。埃に、一度咳払い。
「正攻法では──勝ち目は薄いな」
曲がってしまった大盾が、グワングワンと揺れている。
それには顔をしかめて、大剣を掲げ。
床に突き刺すと、自分を中心に半径2mほどの窪みが。
さらに圧を掛けると切っ先はさらに床に沈み、
──メゴ、ゴゴゴォォッッ!!
窪みは地割れのような深さになり、重騎士の姿は、消えた。
しばらくの静寂の後。
元地下鉄というこの舞台に相応しく、
地の底から鈍く重い地響きが近づいてくる。
客席の揺れにご注意ください。
──……ォォン………………ゴォォン…………
──ゴオォォン…………ドォォォォンッッ!!!!
床下から突貫。飛び出す重騎士、愚直な突撃。
狙いはおかめの真下だが、地中から探るため精度は高くない。
姿勢を崩せれば、そのまま大剣で襲いかかることだろう。
■ヴァルトラウテ > あの格好で攻撃を受け慣れていないはずはないですものね
そうなるとやはり引き出しの数次第というところかしら
当たったらすごいけれど、当たらないだろうし……
(そもそも疾さを主体とする相手にはカウンターがうまく当たればいい、というところだろうと思う
交通事故を意図的に起こせるかどうかだ
それまで持てば重戦士の勝ちだし、先に削られれば仮面の勝だろう)
■ルージュ > 「引き出しの数、というなら」
先程から見せる、早く簡潔なものもあれば、今のようなしっかりと練られた大規模な物もある土の魔術。
……流石に土の中を掘って走って居るわけではないだろう。くぼみから土が出てくるわけでもないし。
「あの騎士、待つだけのスタイルではないみたいですね。しっかりと戦術をサポートする土の魔術を習得しています」
「ただ……」
呟いてから、顎先に指を当てる。ザラリと血液の乾いた感触がした。
「……あの外見で、土属性というのがどうも引っかかるのですけれど」
■”望月満月” > 観客の声が戦闘音に紛れて聞こえる。
打撃と速度のある木刀有利、鎧の騎士が事故らせられるか、大まかに耳で捉えたのはそんな感じ。
ならば、常に動くのは木刀使い側だろうと、視線を木刀使いに向けていて、床を陥没させた騎士の動きを見落とした。
「この音、振動…ま、さか。」
まっず、と姿勢を下げて重心を落とす。
それからゆっくり壁に沿って歩き、落ち着けそうな場所まで自分の安全確保に入る。
「次が、大一番の賭け、かしら」
■阿多福ウズメ(自称) > 「ハハハッ…! 下カッッ!!!」
この窮地、むしろ望むところ! と、地中から飛び出してきた騎士のチャージと相対す。
重さ、良し! 鋭さ、良し! 威力、良し!!
片手で念仏を唱えるような姿勢でもって、木刀の鎬でその重戦車の一撃を受け止める。
―めり
「…ッ!!」
いかん、と思って木刀をかばうように重心をずらしたのが良くなかった、
天井に叩き付けられると、体がそれこそ漫画のようにめり込む。
かはっ、と小さく息を吐いて数秒後。
ぐらりと阿多福が自由落下を開始する。
意識不明か、地に落ちたら試合終了の音を鳴らす。
そうレフェリー団だが胴元だか仕切り屋どもがドラだの太鼓だのを構え。
医療団(ヤミもいる)さえも前のめりになり、観客たちが口のたばこをぽとりと落とし。
凝集されたような数秒間。阿多福が、ぎらりとダナエの方を向いた…ように思う。
■リビドー >
今のところは何かの会話に加わる様子は無く、気楽に独り言を呟いている――と言った体だ。
「しかし、こう見ていると疼いてくるな。
それ程には魅力的な戦いをしてくれる。」
何をしているかはまだ分からないが、恐らくしていること地下からの奇襲。
正攻法ではないが、当てても外しても流れを引き寄せるには好手だろう。
見切られて対処されてしまえば悪手ともなるが――想定できる、初見で想定して見切れる輩はそうはいない。
「……ふむ。」
飛び出す絵本ならぬ飛び出す重戦士。
――行く末を見れば、誰に向けるでもない相槌を零す。
■ヴァルトラウテ > ……あ
(利点を活かさず、受けた。
つまりアレは判断ミスだ
仮面もそれなりに攻撃力は高いのだろうが……土を割るような攻撃、防御無視の全力攻撃が来るに決まっている
だいたい相手は防御全捨てでも問題のないような対応である、それに打ち合わせるのは明らかに失策と思った
……つまりあの仮面、誘いに乗る
そう思った)
■ルージュ > 「流石に……二回続くと確信できますね」
これだけ分が悪くても態度を変えないのが、我らが――
「とはいえ……流石にもう一度は御免被りたいですね」
右手で目にかかる血痕を拭って視界を確保すると、左手でパイプ椅子を軽く握る。
多分次は衝撃で、近くを歩いているこのポニーの眼鏡の少女辺りがぶつかってくるのではないか。
なぜなら。我らがオタフクレインコート女史もまた、アレでは終わらないからだ。
■”望月満月” > 地響きから判断できる地中からの攻撃。
それを、動かずに受けた。
闘技場だからエンターテイメントとして受けたか、それとも仮面の性分か。
前者ならショービジネスに携わる者としてプロなのだろう。
後者なら、正々堂々、戦いか1:1に対して何かの信念を持っている、と言う事か。
受けられると確信を持ってだろうけれど。
「次は、次は…?」
壁伝いに歩き、この次、このままでは終わらない予感を胸に、天井に打ち上げられた木刀仮面を見上げる。
■ダナエ > 「むう……!?」
このおかめ、攻撃は重いが体は軽い。
天井まで吹き飛ばしめり込ませるのは予想外、一瞬姿を見失う。
となると、自然な防御本能として振るう行き場を失った剣を盾代わりに己の前へ。
視線はようやくおかめの剣士を捉える、
面ゆえに気を失っているかどうかまでは分からない。
落下してくる相手に止めの一撃を振るうべきか、
あるいは──
迷ったのは一瞬。
おかめの面がこちらを向いた、気がする。
とはいえ、身を守る大盾は既になく。
距離を空けるだけの移動力もなく。
かといって何もせず落下を待つほどのん気でもなく。
切っ先を瓦礫の中へ。
「はっ!」
床の瓦礫もろとも大剣を振るうと、
落下してくるおかめに向けて剣の軌道に沿って瓦礫が飛んでいく。
威力は弱く、様子見と攻撃体勢を取らせないための一撃。
──この一瞬は、チャンスだったのかもしれない。
この時様子見をしたことを後で後悔することになる予感が、
瓦礫を放った直後からすこし、していた。
ご案内:「地下闘技場」にリビドーさんが現れました。
ご案内:「地下闘技場」にリビドーさんが現れました。
■阿多福ウズメ(自称) > 「その一手…高くつくぞ」
飛んでくる瓦礫を無視し、そのまま落ちる。
面にひびが入るが、まだボイスチェンジャー機能は死んでいない。
ならばゆける。
「…『 』。徒手機動!!」
空中で、ガクンと動きが変わる。本来はあり得ない動き、魔術か異能だ。
ゲームのキャラクターのようにフレームを飛ばして方向転換するという、ひどく不自然な軌道だった。
あろうことが木刀を捨て、ダナエの背後から絡みつこうと。
回れば最後、二本の腕と両足で、蛇のように絞め落としにかかる。
一般に、チョークスリーパーと呼ばれる技を、騎士と剣士?の戦において、
この阿多福はかましてきたのだ。
「いくゾ異界の騎士…これに耐えればお前の勝チ。そうでなけレバ…。
私の勝ちダァーーーッッ!!!」
万力、どころではない。重機のような力強さを持つ手足が、顎のガードを兜の隙間を狙うように喉を、
胴体を、その両腕を締め上げるべく伸びる!
ゲェェー! とか観客から歓声とも罵声とも悲鳴ともつかないわけのわからない声が響くかもしれんが、
そんな事はこのユ…阿多福さんには関係ない。超実戦といふ奴だ。
ものすごく泥臭い様相を呈してきた戦いは、いよいよ佳境へと入る。
■ヴァルトラウテ > ……決まりましたかね?
(あの重戦士、死合であればともかくそうでないが故に日和った、そう見えた
動くは重く防御と攻撃に全てを振った者が様子見の牽制などと
そういうものは圧でやり取りするものではないのか
でなければ、その攻撃力も防御力も意味が薄くなる
翼をもいだのだから、身も始末せねば
少女にはなぜ敢えて牽制をしたのか、わからなかったから)
ご案内:「地下闘技場」にリビドーさんが現れました。
■リビドー > 「……む。」
対空に礫を選んだ所までは良いとしても、やや弾幕の薄さを覚える。
迷った故に準備が足りなかったのか、それとも。
ともあれ、流れは再び剣士に戻り――絞め技を繰り出した。
言葉通り、此れで最後にする気なのだろう。獲物がなければ、仕切り直された所で詰みになりかねない。
■”望月満月” > 「構築の間?」
呟く。あの騎士は地中からは攻撃できても、地面や瓦礫を地面から離れた相手に打ち込むのには魔術構築が必要だった、魔術師としてはそう捉えた。
飛び上がるだけの跳躍力がないのであれば、仕方ない間と取れる。
しかし、それは、あの木刀仮面には―やっぱり時間を与えすぎていたか。
受ける自信を持って受けた相手が、その間はまず逃さない。
瓦礫を木刀で打ち返すと思っていたが、空中での方向転換、組み付きに掛かろうとするとは、また剛毅な。
「受ける、それとも――?」
騎士の応はどうだろう。鎧での戦いで締め技の経験はあるのだろうか?