2016/05/25 のログ
ご案内:「落第街大通り」に水月エニィさんが現れました。
水月エニィ > (うぅん、……この地図は外れだったわね。)

 地図を片手に夜の落第街を往く。
 以前調達した落第街の地図の精度を確かめに足を運んだのだが、
 イマイチ合っている様には思えない。
 
 少しだけ身なりを崩し、わかりやすく銃をぶらさげ、
 それなりのハッタリを効かせて絡まれ避けは試みている。

 今のところは、問題ない。
 

ご案内:「落第街大通り」に柴木 香さんが現れました。
柴木 香 > がらこんがらこん。通りの向こうから何かを引きずる音。
ほどなく青ジャージずくめのちっちゃいのが、大八車ずるずる引いてるのが見える。

と。

「――わふ?」

なにやら難しい顔で悩んでいる顔には見覚えがある。
何処かで見た顔だ。かくり。

――あ。思い出した。

「美味しいく食べる人だ。」

ぽむ、と手を叩いた。

水月エニィ >  
「エニィよ。美味しく食べる人って何なのよ。
 まぁいいわ……にしても。」

 軽い突っ込みで切り返した後、
 気の抜けた様な息を吐く。息を吸い直して、獣の耳を見て、尻尾を見て、顔を見つめる。

「こんな所で見かけるなんて。
 意外と勇敢なのかしら。それとも雑誌の早売りがあるのかしら?
 とにかくこんばんは、柴木君。」

柴木 香 > 「わふ、どーもです。」

ぺこり。勢いよく頭を下げた。

「……?雑誌は売ってないです?
 あ、お仕事です?後ついでにこの辺りの道の把握です。」

こくこく。とりあえず不審者ではないアピール。
相手と対照的に手ぶらであるあたり、危機感がないというか。

水月エニィ > 「そう。残念ね。読みたいものがあったのに。
 ……お仕事。そう言えば運送業だったわね。これが件の商売道具、かしら?」

 視線を逸らしてあげて、大八車へと視線を移す。
 良くできた荷車。内心でそう評せば、小さくうなずいた。

「私も道の把握。
 でもダメね。地図を買ったけど外れだったわ。」

柴木 香 > 「あ、ですです。特注品です。
 いい木材が拾えて便利です、あの広場。」

こくこく。
広場――というのは転移平野のこと。あっちは行くけど運送とはちょっと違うお仕事。

「薬に……そりゃあ、治安悪いですし。
 道なんか調べたところで結構変わっちゃいますし?……最新とか謡ってても役に立つのは大通りの配置くらいです。わふ。」

買ったという地図はどんなものかはわからないけれど。
細い路地くらいなら簡単にふさげるし、広げられる。こういう大通りならそうもいかないけど。

水月エニィ > 「広場?」

 何処の事だろう、と、小首を傾げた。

「もしかして公園からかっぱらってきているのかしら。
 ……うぅん、そうね。やっぱりこまい所は変わっちゃうわよね。
 仕方ない。定期的に調べておきましょ。でないといざって時に困るし……」

柴木 香 > 「あ、うん、むこうのほうの。なんとか荒野?とかいう。よく変なの落ちてるとこ。
 公園からかっぱらうと怒られます、管理人さんに。」

物とか人とか、変なモノ。
一応ちゃんと常識はあるのである。

「うん?何で困るです?」

かくり、と首を傾げた。
仕事で使う――とかならともかく、普通はこの辺り寄り付く人の方が珍しいと思う。
ちょっと考えてみるけど……ものの30秒もしないうちに諦めた。

水月エニィ > 「管理人さんは怒らせちゃダメね。
 ……ああ、転移荒野。そう言えばあったっけ……」

 確かまだ行っていなかった筈だ。
 少し遠いが、何れ足を運んでおこう。

「ええ。私は怖がりで負け犬だから、いざって時のための逃げ道は把握しておきたいの。
 それだけ、なんだけどね。
 ……近づかない、関わらないってしても、不安で仕方ないし、
 それに、運が悪いからきっと関わる。」

柴木 香 > 「わふ、ありますあります。……ここよりもっと地形は悪大変だと思います?
 よく形変わりますし。」

縁のなさなら落第街といい勝負の気がする場所だけど。

「……逃げ道の確認は大事ですけど。一番の逃げは近づかないことじゃないです?
 うーん。運が悪い。だけでそんなことになるですか。」

かくーん。運が悪い、って言い切るくらいなのだから余程なのかなぁ。
ジャージの裾から見える尻尾がゆらゆら不思議そうに揺れている。

水月エニィ > 「ひらけた荒野な分マシよ。
 ……行くときはついて行ってもらおうかしら。運送転移荒野、荷物私。」

 冗談めかして軽く告げる。
 ……続く問いには、それこそ困った顔をしてみせた。
 目つきこそ、鋭いと言うか、険しいが。

「近付かないで済む なんてものは勝ち組の発想よ。
 何時逃げ込むか、あるいは追いやられるかなんて分かったもんじゃない。
 私は運が悪い――もっと言えば実力がない、
 異能のシステムで保証されるぐらい勝てない負け犬だから、備えなきゃ不安で不安で仕方ないのよ。
 敗者にはろくな選択肢なんてないの。……不安で仕方ないし。それ位の経験はある。」

 其処まで言えば、何処か負い目がありそうに視線を逸らした。

柴木 香 > 「わふ?や、運ぶくらいなら構わないです。
 でもその時はエチケット袋持参を推奨するです。」

こくこく。お安い御用である。
はっちゃんの乗り心地はあんまりよろしくない、というかサスペンションもなにもないのだから最悪なのだけど。

「ほえー……」

なんとなく言いたいことはわかったような、わかってないような。
暫く真意を測りかねたかのように、かくん。かくん。と首が左右に揺れる――

「あ、でもでも。
 運が良いんじゃないのです?実力あるのじゃないのです?
 運が悪い、って嘆く人にいうことじゃないかもですけど。うん。」

話を聞く限りだと、そんな気がした。

水月エニィ >  
「……その時は見ないでくれると嬉しいわね。
 "決して振り向いてはいけません"。ま、頼むは電話でもするわ。
 ついでに帰りの荷物持ちもお願いしようかしら。」

 話を聞くに色々落ちているなら、
 荷車があれば相当持ち帰れるはず――問題は、加工ないし売りさばきのアテがあんまない事だ。

(その辺のアテもないわね、そう言えば。)

 思案げにしている所に差し込まれる問い。
 強いし運もあるのでは――と、問われたと認識すれば。

「負けても生き延びられるだけの実力を付けただけよ。
 それでも実らない、何処まで行っても負けるのだから、結局弱いわ。勝者の下に敷かれて踏まれる側よ。
 認められなければ、望めもしない。赦されもしない。戦うか逃げるぐらいしかないけれど、勝てない――」

 ……愚痴に混じった恨み言が呪いを呼ぶ。
 少しばかり、周囲の空気が妙な冷えを見せた。

柴木 香 > 「振り向きませんけど吐かない方向でお願いしますです?
 運ぶならなんでもどーぞ。乗る分だけですけど。……あ、普通の物なら引き取ってくれそうな所も知ってるです。」

はっちゃんの上で吐かれるのはちょっと困る。
と。

「……負けたら普通は死ぬですよ?そもそも勝つ必要ってあるです?
 負けても生きていられるなら負けずに逃げちゃえばいいですし。負けなきゃいつかは勝てるです。
 それに――うーん。」

不思議そうに首を傾げながら。なんで勝ち負けにこだわってるんだろう、とか思う。
で。聞いてて思うこと。言うと怒られそうだなぁ、とか思う。
言っちゃおうか、どうしようか。言っちゃおう。

「勝ち負けはおいといて。
 自分で許せない、認められないのに誰かが許してくれる、認めてくれる、ってちょっと都合良すぎると思うです?」