2016/10/16 のログ
ご案内:「落第街大通り」にリビドーさんが現れました。
■リビドー >
落第街。
お天道から逃れたもの流れ着く果ての街。
年若き男がカバンを片手に歩いている。
「さて、と、後は真っ直ぐ進むだけだが――
――寄り道に付き合わせて悪いな。」
ご案内:「落第街大通り」にカインさんが現れました。
ご案内:「落第街大通り」に蕎麦屋さんが現れました。
■カイン > それは、唐突に道に転がっていた。
誰にも省みられず、誰にも注目されないかのごとく道に転がっていた。
しかしその姿はみすぼらしくも美しい、金のランプ。
その中には何かが居る。
何が居るかはわからないし、何かが居るかも分からない。
だがそれは、「その中に何かが居る」という予感を、見る者に与え続けていた。
「(……………?)」
かたん、と軽くランプが動いたような気がする。
■蕎麦屋 > 「はいはい。
暇潰しも人生の潤いなどと申しますし?」
付いて歩く、此方は至って軽装な上に手ぶらである。
少しばかり寒くなってきた自分でも半袖のネタTシャツ。
背丈の差もあってなかなかに目立つ。
「――ん?」
そんな視線の端、何か映った気がする。
■リビドー >
整った装いは落第街において目を引くものだろうが、
大人と子供、あるいはお姉ちゃんと弟めいた背丈の差は落第街でなくとも目を引くに足る。
恐らくだが、そんな二人だ。
「しかし、寒くないのか。Tシャツの単語には突っ込まんが――
……ふむ。取りあえず拾ってみるか。」
隣の女性――蕎麦屋の声に促されて移動の傍らで路傍に転がるランプを目視する。
このような街で高価そうな調度品が転がっている事自体が珍しい。
興味本位で拾い上げ、手持ちのハンカチで汚れを拭く。
■蕎麦屋 > 「心頭滅却すればなんとやら、と申します。
――と、冗談にしても、生憎とそちらとは縁遠いもので。」
言いながら相手の手に取ったランプをはてと。
見たことがあるような。むしろ『視た』ことがあるような――。
「……」
あ、ヤな予感がする。
ちょっとだけ離れておこう。ちょっとだけ。
■カイン > 「…………。」
そのランプを、擦った。
その瞬間、ずごう、とそのランプの口から炎が吹き上がる……
ことはなく、ボッ、と小さな炎が灯るに至ったのみである。
そして、そのランプ…おそらくはその中…から、雄々しい声が響いてきた。
『……何用だ、神を引き連れた青年よ。
残念だが、我は満ち足りた者の願いを叶えることは適わぬぞ。』
その声は、雄々しく、逞しく…しかし、何かどこかに呆れたような声。
地獄の底を焼き焦がすような声が、さほど真剣でもないトーンで聞こえてきた。
『貴様もだ、そこの女よ。戦乙女が何故に地に降りている。
…いや、戦乙女というよりは、また別の者だな。何者だ?』
■蕎麦屋 > 「あー……」
隠れる前に見つかった。
というか隠れたところで見つかるのでそもそも無意味。
諦めて青年の横に戻る。
「そのまま熨斗つけてご返却いたします?
いや、何こんな所でアラビアの魔神の真似事してたりしちゃうわけですか。
あ、何をしているかと聞かれれば――何しているのでしょう?趣味?」
感覚的には親戚の叔父に偶然遭遇したくらいの感覚。
初対面だけど。
■リビドー > 吹き上がった焔と共に"何かが出た"。
姿は見えぬが、声を聞いて、なるほど、と、小さく呟く。
「この程度で満ち足りている訳がない、が……
……ああ、アレか。リア充爆発しろを言い換えたのかな。」
呆れ混じりのトーンからざっくりと心情を推測して言葉を返す。
鋭い勘働きと言うよりも、大雑把な把握と言った具合のものだ。
「で、何だ、お前たちは知り合いか。
近けれど遠いようなものは覚えるが……。」
青年の後ろに隠れようとしても背丈の差はある。
少なくとも立ったままでは青年の頭の上に胸が乗りかねない。
■カイン > 『我は我の事情がある。貴様らこそ、羽毛の一辺たりとも残さず焼き滅ぼしてやったかと思ったが……
この世界にも「似た話」があったということか。』
ゆらゆらと炎が揺れる。その揺らめく炎の奥に、うっすらと…目が見える。6つの、射抜くような鋭く切れた目が。
『この場で二回目の灰を作っても良いが……事を荒らげるつもりも特にない。
知り合いかと聞かれれば……まあ、近いか。とにかく、願いは後で聞いてやろう。』
ゆらりと揺らめく炎は、相変わらず大きくなったり小さくなったりする気配はない。
もちろんランプを振っても、中に油が入っている気配はない。
何故燃え続けているのかと言われれば、つまりそういうことなのだろう。
『我が名はカイン。不毛なる者。…アグニ、カグツチ、そしてスルトとも呼ばれたこともあった。
別の世界の戦乙女と世界樹を焼き滅ぼした事がある故な。違う存在だとしても多少は分かる。
それはそこの女も同じだろうがな。』
■蕎麦屋 > 「うーん……知らない人ですけど知ってます。
これは説明が難しい……です……けど、えー……」
何を言っているのか。
胸を乗っけたりはせずに戻ったのでそこはセーフ。
説明はどうしたものかと様子見――してたら自分からぶっちゃけたよ、この人。
「はい、大体その通りで。
いやもうぶっちゃけますけど、私の場合は『燃え尽きなかった』話があっただけ、ということです。
戦争とかやめません?あんなの二回もやるとかとても面倒くさいので。」
■リビドー >
「裏までは分からんが大体把握したよ。火炎崇拝そのものと見た。
カインと名乗ってる理由は知らんが、そうだな。
カインが焔を扱ったか、と言うと激情の喩えや子孫の話になる。それとも嘘へ罰の……にしては飛躍のような気もするな。
"もっとも旧い"……神秘的だからかもしれんが、まぁいい。」
ランプの中から挙げられた名は何れも炎に連なるものだ。
神話的存在そのものなのか、それとも人々の普遍的無意識からなる炎の力の象徴かまでは分からぬものの、
概ねそのようにランプの中を認識した。
「やるなよ。やったらとても怒るからな。
……ああそうだ、蕎麦屋、これをキミの契約主へ土産に持ってくか?
言うことを聞かん気もするが……」
■カイン > 『…残念ながら、我は誰に従属する気もない。
何度も言うようだが、こちらにも事情がある。契約などさせられては我が迷惑だ。』
ぼしゅっ、と炎が一瞬大きくなって、すぐに元の大きさに戻った。
自らの正体については、特に言及することはない。補足もしなかった。
興味が無いのか、大体合っているからなのか。
『やれと言うなら断るつもりもないが、最悪この島が沈みかねんからな。
世界樹を焼き滅ぼした我ではあるが、今更戦争の焼き直しをしても不毛なだけだろう。』
気付けば辺りに人は少ない。人気払いの力でも持っているのか、単純に昼時でみんな飯を食いに行ったのか。
それを察知したかのように、かたかたとランプが揺れ…
『……。この姿を見せるのは、貴様には初めてということになるか。』
近くの地面から、突如炎が吹き上がる。その炎の柱から現れたのは、魔神。
黒曜の如き煌黒の肌に包まれた筋骨隆々の体からは、6本の逞しい腕が伸び、
その体には入れ墨のように赤い光を放つ罅。そしてその顔には、亀裂のような鋭い6本の瞳のない目があった。
■蕎麦屋 > 「持って行ってどーするんですか。
私ですら持て余すようなのにこんなのぶつけたら辺り一帯火の海だ!ってなものですよ。
割と冗句抜きで、そうなったときの諸々の責任は一寸とれませんよ?」
腕組みしつつ、一蹴。
まぁ、そもそも契約が取れないだろうが、取れたとしても問題にしかならない気がする。
「不毛というか意味がないというか。
そもそも焼き滅ぼすべき場所も最早ないでしょうに。
いや、ここがそうだというなら止める役目は負いますけれど。
それにしたってもうロートル引っ張り出さなくてもほかに適任がいくらでも居るでしょう……」
本来の姿を見れば、すこしばかり引くのも無理はない。
敵意がないのが――敵意ないよね?分かっているからこそ引く程度で済んでいるが。
■リビドー >
「ふむ、キミが言う程に"無法な奴"か。表だって歩き回らない分、分別があるように思えたが……
……分別なく辺りを火の海に変えるような奴だと処理せねばならんから、一旦は聞かなかった事にしておく。」
眉を顰めて言い返し、大きな溜息と共に言葉を続ける。
「キミたちが分別のある隣人であることを祈り、望む。
どれ程強きものなどかは知りたくはないが、哲学者としてはお前たちが強いのは良く知っている。」
言い切った後、顔を伏せてから小さく首を横に振った。
そうしてから見上げ直す。
「デカいな。
……姿を見せてくれた事には感謝をするが、ボクはキミが分別のある隠者であることを望むよ。
怪物《グレンデル》でも英雄《ベオウルフ》でもなく、な。そうしてくれるなら、キミに昼飯位は奢るよ。」
■カイン > 『……我が人を殺すと思っているならば、その心配はない。
我は人は殺さん。利用価値もある。…とはいえ、我の戦いの余波で死ぬことはあろうが。
法はなくとも、分別はある。』
本末転倒である。
まあ何にせよ、人に対する明確な殺意はないようだ。
『もはや神の名を捨てた身、人間の前に姿を見せて何の不都合があろうか。
人間の願いを叶えるならば、人間の前に姿を現すのは必要なことだ。』
そう言って、腕を組む。
『隠者となるつもりはない。だが、魔王にも神にも修羅にもなるつもりもない。
我は人間の願いを叶える。それだけだ。
我が真に力を振るうのは、もはやあらゆる世界を辿っても一人しか残っておらん。
世界を焼き滅ぼすことも、この島を好き好んで沈めることもないだろう。』
そう言って、何かを思うように秋晴れの空を見上げ…そしてすぐに視線を戻した。
■蕎麦屋 > 「あ、意外。――でもないですか。
いや、その言い方だと私がとても無法な奴に聞こえるのですけど。」
一応抗議。
私にだって分別の一つくらいはあります。失礼な。
「とまぁ、私もそうですけど。
好き好んでこっちに居るようなのは基本無害……だとは思いますけどね。
例外はあれど。」
視線につられて空を見る。
なるほど、清々しいまでに高い、秋晴れ――
■リビドー >
「願いを叶えるのも隠者だよ。
願いを叶える事と神の助けを与える事は概ね同義だからな。そして旧き王道で、鉄板だ。
気に入った奴にしか願いを叶えぬとしたら、尚更だが……
……いや、この辺りは定義やニュアンスの話か。ここまてにしよう。」
明瞭な敵意が無ければ話題を打ち切る。
これ以上の追求はしない。良く分からないもの、で、認識を留めておくことにした。
「キミが神?かどうかではなく、願いを叶える為に姿を現してくれた事に感謝しているんだよ。
キミが認めてくれた事に他ならない。……嫌いな奴には姿を見せんだろ、って話だ。
とりあえず、満ち足りてはいないが……先ほどのもの以外願いは無いよ。絵を貰った所で絵を描く事を楽しむ事は出来ん。
……良い絵を貰った事そのもの、願いを叶えてくれることそのものはとても嬉しい事であるけどな。」
「少なくともボクのような面倒くさい奴に構ってくれる程には無法だよ。
キミのしでかす秩序と無秩序の上を往復するタップダンスは苦くもあるが……。」
何となく、何となく。所謂半ば無意識的な行動ではあるが、
蕎麦屋に身体を寄せて腕を組もうとする。
蕎麦屋が降ろしている腕にぎゅーっとする奴だ。
■カイン > 『神の身でありながら人に積極的に関わり交わる者のどこに法があるのだ。』
ばっさり。
『……それが願いか。奇特な男だ。
まあ、我は願いを叶えるという行為が達成できればそれでいい。嫌悪もない。
願いを叶えるという行為に、人格の好悪は関係がないからな。認めるかどうかは、その者が欲を持っているかどうかだ。』
リビドーの無意識の動きを見て、目を細めた。
微笑ましいのか、それともイラッと来たのかは定かではない。
■蕎麦屋 > 「どこに、と聞かれればどこかに、と答えておきましょう。
まぁ、そうですか。無法ですか。これでもふれんどりーだったつもりなのですけどねぇ……。」
友好的であることがイコールで法を順守しているわけではないのだが。
この際細かいことは無視しておくこととして――
腕組み、とはいかないのが悩ましい所。主に体格差の所為です。
とはいえ、拒絶するわけでもなく――
いっそのこと抱きかかえちゃおうかとか思ったけど流石に自重した。
■リビドー >
「キミが判断に迷った時、そう言えばこのような事を言われたな。
それだけのもので在れれば幸いだ。お前の行動がどうしようもなければどうにかする他ないが、
ボクにキミの考えをどうにかする程のものはない。」
キミと呼んだかと思えば、お前と呼ぶ。
ぶれているのではなく二人称を使い分けているのだろう。
怒気と呼ぶ程までのものは露わにしていないが、お前と口にするときはやや語気が強い。
「お前……いや、キミはふれんどりー過ぎるからな……。
取り敢えず、これは元の位置に置いておくか。」
ゆっくりと組んでいた――と言うよりは抱き着いた腕を離し、路傍にランプを置き直す。
寸分違わず元の位置だ。
■カイン > 『…まあ、良い。我は我のやりたいようにやる。指図も受けん。
その結果がどうなろうと、それは『結果』だ。善意も悪意もない。どうにかしたければどうにでもするといい。
我は願いある者と強者を待つのみだ。』
そう言い残し、その体の罅から炎が吹き上がる。
眩い光の中に黒い体が溶けるように消え、その炎は吸い込まれるようにランプへと入っていった。
『それと貴様ら。
…仲睦まじいことを否定はしないが、辺りの目を気にするべきだと思うが。
通行人共が丸い目をしているぞ。』
十中八九程度はカインの存在のせいだと思うのだが。
そして実はイラッとしていたらしい。
■蕎麦屋 > 「羨ましいなら彼女の一人でも作ると宜しい。
――というか間違いなく私たちよりそっちの所為だと思うのですけど。」
白昼の大通りに六本腕の炎をまとった巨漢とか、風紀委員が飛んできそうなシチュエーション。
腕を組んだ相手は怒ったようだがそこはそれ。怒っても可愛いので問題なし。
と、そういえば――
「――あ。願い叶えるのも結構ですけど。
あっちこっちに火種撒くのだけは頂けないと思いますよ?
当人が望んだからって、貴方の持つ火はそのまま渡していい類のモノじゃないでしょうに。」
思い出した。
うちの客にもそういえば持ってるのがいたな、と。――正確には客ではないけど。
そんなことを、路傍に置かれたランプに投げておく。
■リビドー > 「……。」
背丈、装い、会話、仕草。
どれを取っても非常に濃い。最早どの要因が注目を集めているのすら分からない。
危険さの意味では2,5m弱の六つ腕六つ目の炎の巨人ではあったが、それもランプの中に戻っている。
いずれにせよ、反論をせず黙っている。
黙っている理由も定かではないが。
「行くぞ、蕎麦屋。
……蕎麦屋以外の呼び方も考えておきたい所だな。」
彼女が言葉を投げかけた辺りで腕を掴んで揺らし、離脱を促す。
話題の再燃を回避する意図もあるのだろう。
■カイン > 『……………。』
ボッ、と炎が一瞬吹き出る。
勢いで、ランプがかたん、と傾いた。
『望まれたが故だ。』
それだけ答えて、ランプは静かになった。
辺りにこもっていた熱気も、秋風がすぐに冷まし、どこかへ吹きちらしていく。
そこに何かがいたことなど嘘のように、何もない日常は唐突に孵ってきたのだった。
■蕎麦屋 > 「はいはい――あ、別に君でもお前でもなんでも好きなようにどうぞ?」
呼び方にはそこまで拘っていない。
流石に戦乙女だとか言われると怒るけど。
まぁ、この島に居るならまた会いそうだなー、とは内心。
「望まれたからって地球破壊爆弾渡す馬鹿がどこにいますか。まったく――」
聞こえた声にはぽつりと答えつつ。
促されて、本来の目的地の方へと歩を進める――
ご案内:「落第街大通り」からリビドーさんが去りました。
ご案内:「落第街大通り」からカインさんが去りました。
ご案内:「落第街大通り」から蕎麦屋さんが去りました。