2016/11/08 のログ
クローデット > クローデットが、痛みに足を止めたのはほんの数秒のこと。
少しすれば、クローデットは先ほどよりもどこか険のある雰囲気を纏って、再び歩き出す。

この街の住人達に、「近づくな」「さもなくば死ね」と言外にアピールせんばかりに。

ご案内:「落第街大通り」に相楽 満さんが現れました。
ご案内:「落第街大通り」から相楽 満さんが去りました。
ご案内:「落第街大通り」に寄月 秋輝さんが現れました。
寄月 秋輝 >  
「こんばんは」

静かに声を上げる。
その恐ろしいまでの雰囲気の中に、迷わず踏み込みながら。

制服姿に身を包み、刀を腰に下げた、いつもの姿。
先日同様、わずかに地上から浮いたまま移動してくる。

「ご機嫌いかがでしょうか」

分かり切った質問を放ちながら、ふわふわ近付いていくだろう。

クローデット > クローデットの纏う雰囲気にお臭ないとすれば、よほどの愚か者か、腕に覚えがあるか…あるいは、その両方である。
そして、声をかけてきた人物が少なくとも後者であることを、クローデットは記憶していた。

「あら………こんばんは。
…こんな時期の委員会業務ですから…どうしても、気が立ってしまっていけませんわね」

羽根扇子を広げて口元を隠しながら、目元は柔らかく目を細めてみせる。

目の前の彼は、基本的には「裏」の世界の住人ではない。だから、この険は出来るだけ丸めてみせなければならないが…
クローデットの意図しない「何か」に、「大切な人」の思念が、頭の中で、胸元でぶすぶすと燻り始める。

いつもなら何でもない演技が、ひどい消耗感をクローデットに与えていた。

寄月 秋輝 >  
「いえ、お気持ちは察します。
 寒い時期ですからね」

当人は体感温度をほぼ完全に遮断しているため、そんなことはわからない。
けれど、これは世間話程度の話題でしかない。

彼女が正しい思いから、その言葉を吐いているとは考えられなかった。

「……ですが、つらそうなお顔に見えます。
 こんなところで苦しんでいないで、少し移動しませんか」

すい、と背中を向ける。
まるで無防備。
相手への信頼か、それとも無抵抗を示して自分を信頼させるためか。
心底からの心配か。

クローデット > 「いえ…あたくしは外気温の不快は魔術で退けておりますので、そちらは問題ないんです。
…常世祭が賑やかでしょう?そこで何かがあったらと思うと…委員会の職務上、気が気ではないものですから」

そう言って、目を軽く伏せがちにする。
が、相手が自分を気遣う言葉をかけ、あろうことか無防備に…そう見えるが、体術の熟練の差を考えればさほど意味はないだろう…自分に対して背中を向ければ…

《あいつらを ゆるさないで》

脳内で、「大切な人」の声が響き、脈打つ感覚があった。
思わず羽根扇子を取り落とし、両手の中指で、それぞれの側のこめかみをおさえながら立ち止まる。

「………お気を、使われずとも構いませんわ。
職務を放棄したとあっては、委員会に顔が立ちませんもの」

秋輝の背後から、そう、先ほどまでの気配が嘘のような、優しい声がかけられる。
しかし、その声の主…クローデットは、全く笑っていなかった。

寄月 秋輝 >  
「では体調不良とでも伝えて、ここで堂々と戻りましょう」

背中を向けたまま、クローデットを『視』つめる。
異能の応用、光を発する色の全てが手に取るようにわかる。

たおやかなクローデットの表情が、まるで見えない。
あの日、自分の弱さを告げ、彼女に感謝を告げた時に見せてくれた表情とは、天地ほどの差がある。

放っておいたら、彼女は『ああなってしまう』という確信に近い何かがあった。
寄月秋輝が『八雲亜輝』だった頃に見てしまった、あの姿に。

「祭りの現場が気になる気持ちも、職務に対する考えも察します。
 ですが今は、あなたを大切にしたいので」

ゆっくり、首を回して視線を向けた。
変わらぬ、鋭いながらも静かな瞳で。

クローデット > 秋輝が感じる「違和感」それ自体は、正しい。
しかし、その「本質」を探るのは難しいだろう。

………なぜなら、「それ」とクローデット本人が、分ち難く重なり合っているからだ。

「…そう、出来たら良いのでしょうけれど…」

クローデットの口元にだけ、柔らかい笑みが戻る。

「…どうしても、許せない者達がいるんです。
彼らの尻尾くらいは、掴んでおきたいので…」

秋輝の、静かながらも鋭い瞳に、抑制した視線を返すクローデットの瞳は、それでも臆してはいなかった。
抑制した中に、何か、強い覚悟のようなものが見えそうな、青い瞳。

「………お気遣いには、感謝致します。
ですが………あたくしは、大丈夫ですから」

借りを作りたくないという、強い意思が為せる業か。
先ほどまでの、明らかに大丈夫ではない様子をぐっと押し込めて、いつもの表情を取り戻したクローデットは…一度取り落とした羽根扇子を、拾い直した。

寄月 秋輝 >  
目を細め、そのままゆっくり閉じた。
もう一度体の向きをクローデットから背けた。

「わかりました、余計な口出しをして申し訳ありませんでした」

本当ならもう少し掘り下げたい気持ちもある。
祭りと委員会と嘯き、最後に告げたのは『許せない者達』のことだ。
おそらくそちらが本音なのだろうことはよくわかる。

それでも、今口を出して手を出して、彼女が答えるとも思えない。
ならば彼女を信じて。

「では十分にお気を付けて。
 ……それと、次は退きませんよ」

最後に、釘を刺しておく。
弱みを見せるならば、もう少し踏み込んで行くぞと。

クローデット > 「………こちらこそ、折角気を遣って頂きましたのに、申しわけありません」

もう一度自分に対して背を向ける秋輝に対して、背中越しにそう声をかける。
その声は、秋輝が今まで持っていたクローデットのイメージより、幾分優しく響くことだろう。

クローデットの身に起こっている「異常」と、クローデットが探している『許せない者達』は、実はそれぞれ別件だ。
…だからこそ、クローデットは急いでいるのである。『許せない者達』の存在を、委員会の俎上にのせることを。

「…ええ…気をつけましょう」

釘を刺されれば…伏し目がちにしながらも、口元にはたおやかな微笑を刻んで。

「それでは…あたくしは、あちらに向かいますので…

ああ、そうです」

背を向ける前に、何でもないことを語るかのように。

「今年は、研究区の研究発表ブースに展示を出しましたの。
…ご興味がおありでしたら、是非ご覧になって下さいな」

完全に、いつも通りのような声でそんなことを語って。
クローデットは、より暗がりに姿を消していった。

………なぜ、相手に展示の話などしたのか、自分の感情をいまいち掴みきれないまま。

ご案内:「落第街大通り」からクローデットさんが去りました。
ご案内:「落第街大通り」から寄月 秋輝さんが去りました。
ご案内:「落第街大通り」に黒龍さんが現れました。
黒龍 > この島へと「門」を通じてやって来てから、もう1週間以上は経過しているだろうか?
最初こそ出現した荒野で過ごしていたが、今はこうして人の姿で徘徊している。
意外と発展していると思しきこの島の全容こそ未だに分からぬが…中々に面白い。

「…で、何処だぁ?ここは。…またスラムっぽいつぅかカタギの連中とは縁遠そうな場所だがよ…」

サングラスで瞳を隠しつつ、黒いスーツ姿のチンピラかマフィアかヤクザ風味の男が一人。
左袖を夜風に靡かせた隻腕の出で立ち。胡乱げに迷い込んだ大通りを見渡して。

「…よくわかんねぇが、ここらは俺が紛れ込んでも目立たそうだな…仮の塒としちゃ上出来かぁ?」

呟くも、まだこの辺りの詳細が分からないので早計ではあるか。こちらの言語は翻訳術式が使えた。
なので、読み書きの書きは兎も角、読む方は基本的に問題は無い。が、どれもこれも覚えの無い単語や地名ばかり。

(それに、あちこちに人外の気配や魔力を感じやがる…共生でもしてんのか?)

黒龍 > そして、堂々と往来のど真ん中を闊歩しているが、先ほどから何度かタチの悪いのに絡まれてはいた。
無論、その全てをきっちりぶちのめしておいたが。売られた喧嘩は最後まで買う主義だ。
そして、授業料として有り金やら何やらは一通り全て奪い取った。次からは連中も相手を選ぶ…かは分からないが。

(まぁこっちの金品が手っ取り早く手に入ったのは悪くねぇ…が、雑魚ばかりなのもな…歯応えが無いと俺がつまんねぇ)

喧嘩は勝敗云々よりまず歯応えがあるか、楽しめるか。そこが大事だ。
少なくとも、強い方が長く楽しめるしこっちの糧にもなる。
無論、雑魚ばかりという訳ではあるまい。強いヤツ、賢いヤツ程立ち回りが上手い。

「こっちはあんまし目立つ気はねーのに、余計な手間を掛けさせてくれやがるしなぁ」

この島の治安機構に目を付けられたら面倒だ。が、服装に無頓着なせいで今の服装は逆に目立つのだが。

黒龍 > (こっちの連中の魔術やら戦闘手段は興味あったんだが…ま、焦る事でもねーか)

この島の住人の戦闘能力がどの程度のものか、その内容は、興味惹かれるとすればそこだ。
その主だったものが戦闘関連なのは男の…いや魔龍としての性だろうか。

「しかしまぁ、さっきから歩いてるが割と規模がデケぇなこのスラム…治安維持なんて無理だろうなこりゃ」

すれ違いざまにこちらの懐から、先ほど巻き上げた財布をスろうとした男の手首を掴む。
そのまま捻りあげてポキンッと圧し折りつつ投げ飛ばしておいた。躊躇いも無く無慈悲だ。
そして、そのスリの事など眼中にも無かった、とばかりに思考に耽りながら歩く。

ご案内:「落第街大通り」に黒龍さんが現れました。
黒龍 > 「…あー、そういや左腕の代わりも調達しねーといけねぇんだよな…この島で手に入るかわかんねーが」

義肢を扱う店、があるかどうかは分からない。このスラムにも探せばありそうな気はする。
が、法外な値段を吹っ掛けられるか粗悪品を掴まされる可能性も高い。
どのみち、今すぐに調達するのは無理な話だろう。前途は多難だ。

「ま、この辺りを活動拠点に…ってのはほぼ確定だな」

身を潜めやすい、紛れ易い、治安機構の手が入っても逃れやすい。
万が一の場合の人柱も調達し易い、というゲスな思惑もあるにはあるが。

黒龍 > …そんなこんなで、暫くは地理の把握に努めることにする。
とはいえ、これだけ雑多だと細かい箇所は覚えても常に変化していそうだが。
そうやって黒い龍の化身は落第街の散策を続けるのであった。

ご案内:「落第街大通り」から黒龍さんが去りました。