2017/09/27 のログ
■柊 真白 >
(見られてはいないはず。
完全に死角に入り込んでいたし、たとえ見られても見えるはずのない速度だった。
とは言え状況的に自分がやったとしか思えないだろうし、彼の判断は正しい。)
――何の話かわからない。
(とぼけてみる。
通じるとは思えないが、戦闘を回避できるのならそれに越した事は無い。
彼の好戦的な性格から回避できるかどうかは怪しいところだが、通じるかどうかはやってみなければわからない。)
■神代 理央 > 視線を倒れた男に移してみれば、倒れ伏して血を流す男の姿も服装もしっかりと認識出来る。
となれば、認識出来ないのは眼前の何者かのみか、と僅かに目を細める。
「ほう?容疑を否認するか。これ見よがしに自身の正体を隠し、今其処で死んでいる男の間近にいて尚そう宣う勇気は尊重しよう」
正直なところ、直接男を襲った瞬間を見たわけでは無い。
だが、眼前で倒れた男と認識阻害の力を行使する者。この状況で疑うなというのが無理な話というもの―
「大人しくついてくるつもりが無い様ならば、多少手荒な事態を招く事になる。
事情に寄っては留置場を避けられる事もあるだろう。理性的な判断を期待するが、如何かね?」
この街の住民は、大半が正規の学生では無いどころか犯罪者の方が多い有様。場合に寄っては、襲撃者を罪に問うことは難しくなるだろう。
それ故に、一応対話の可能性が0では無い事を相手に示してみる。尤も、その間も異形は相手に砲塔を向け、新たな召喚物を喚び出す為の準備もしてはいるのだが。
■柊 真白 >
恐らくあなたが思うような答えは得られないと思うけど。
この男が狙われた理由なら、推測で良ければ話せる。
(当然ながら、素直に自分がやったと言うわけが無い。
目撃者の中にはもしかしたら自身の速度を追えるものも居たかもしれない。
そんな目撃者を探して話を聞き、証言が得られれば自身の仕業だとわかるだろう。
だがその頃には自身は風紀委員の目の届かないところで仮面を外して日常に戻っている。)
話は聞こう。
だけど正体は明かさない。
どうしてもと言うのなら――
(動く。
一切の予備動作を無しに、)
――手荒な真似をしてでも、やってみると良い。
(彼の目の前、召喚物との間へと割り込んだ。)
■神代 理央 > 「面白い。ならば貴様を這いつくばらせて、その正体確かめるとしよう」
相手が動いた動作も、此方に近付く瞬間も目では追いつけない。
だが、相手が「どうしてもと言うのなら」と告げた時点で、既に荒事になるのは想定していた。
此の島に来た時と比べれば、随分と荒事に慣れてしまったものだと悲しくなってしまう。
事前に準備していた異能は相手が眼前に迫った瞬間瞬時に発動し、相手の足元から湧き出る様に歪な砲塔を生やした異形が現れるだろう。
そして、湧き出た異能ごとその身体を撃ち砕こうと、2体の異形は連射性に優れた機関砲を乱射する。
その間に数歩下がり、異形の陰に身を隠しつつ次の一手の為に再び異能を発動しようとして―
■柊 真白 >
(自身が煽ったこともあるとは言え、やはり戦闘は避けられないらしい。
小さく息を吐き、足元から競り上がる異形を一息で「解体」する。
そこへ迫る砲弾が捉えたのは、自身の残像。
尋常ならざる速度で彼が隠れた異形を回り込み、彼の隣へ。)
首を狙う。
(わざわざ声を掛けてから刀を放つ。
本気で首を飛ばそうなどとは思っていない。
彼が回避か防御に動いたのを確認してからだ。
それでも間に合うギリギリのタイミング。
抜いて、斬り付け、鞘へ戻す。
その一連の流れを一瞬の内に。)
■神代 理央 > 「私の首は、余り安くは無いのだがな?」
金属の異形は、巨体かつ鈍重で彼女の動きにはついていけない。
だが、彼女が声を掛けた時、その砲塔を動かすだけの僅かな時間は与えられた。
本来は敵を穿つ為の巨大な砲塔は主と襲撃者の間に割り込み、主を斬撃から守るだろう。
尤も、その砲塔は呆気無く切り落とされる事になるのだが―
「…近接戦闘は不向きなのだがな。5体満足で帰れれば良いが」
とはいえ、絶対的に不利な状況である事には変わりない。
懐に入り込まれた時点で、半ば詰みなのだから。
正体不明の相手が此方にどの程度殺意を持っているのか判断尽きかねるのも、判断を迷わせる一因だった。
従って、多少強引な解決方法を取ることにした。
即ち、異形の大量召喚による面制圧射撃である。
異能の発動と共に周囲に現れた鉄塊の数々。ソレらは、現れた瞬間から相手に向けて砲弾、銃弾の雨を放つ。
線の射撃が避けられるのなら、面を埋め尽くしてしまえば良い。
尤も、その《面》の中には自身も含まれているので、相手に砲撃しつつ自身に命中しないようにする為にはそれぞれの個体に細やかな指示が必要になる。
それ故に、相手に向けていた集中力が途切れ、無防備な姿を晒す事になるのだが―
■柊 真白 >
(刀は砲塔に阻まれ、そこで動きを止める。
鋼鉄の異形を用意に両断出来るのは、刀の切れ味が鋭いからだけではない。
勿論それもあるが、それ以上に対象を切断出来る箇所――所謂刀線刃筋を正確に通す技量が伴ってこそだ。
人を斬るつもりで放った刀で鋼鉄は斬れないのだ。)
安心して良い。
命はとらない。
(仕事の標的以外を殺すことは自身の信念に反する。
次はどうするかと、彼の次の一手を予測していれば、現れる大量の異形達。
なるほど、点や線で捉えられないならば面で、と言うことか。
それは正しく、有効な戦術だ。)
だけど、まだ甘い。
(常識的な速度の相手ならば、だが。
射撃と同時に地を――いや、地だけではなく、壁や街灯、果ては召喚された異形まで、足場に出来るものを余すことなく足場にし、跳ね回る。
砲弾や銃弾の間をすり抜けるように、迂回するように、空間を縦横無尽に。
残像が白い線にしか見えない程の激しい動きにも関わらず、足音はただ歩く程度のものだけ。)
■神代 理央 > 「…成る程。ならば、多少の切り傷で済ませてくれると言うことか」
どうやら、此方の命を狙っているわけではないらしい。
その理由は定かでは無いが、何方にせよ、追い詰められた状況であることに変わりはない。
「…ちょこまかと目障りな事だ。曲芸士でも目指したらどうかね?」
高慢な口調で言葉を吐き出すも、その動きは全く捉える事が出来ない。
HMTの同僚が居れば話は違ったかもしれないが、生憎今は自分一人。その剣先が喉元に突きつけられる前に、状況を改善しなければならない。
「…曲芸士らしい事をさせてやろうじゃないか。その俊足で、果たして何処まで避けきれるか見ものだな」
銃弾は兎も角、砲弾では全く相手を捉える事が出来ない。銃弾も掠りもしていないのだが。
ならば、武器を変えるべきだろう。此方の異能が持つメリットは、使用可能な兵器の多さ。
そして、空間を制圧するという点で最良の兵器をつい最近も使用したばかり。
即ち――数体の異形の砲塔から、辺り一面を飲み込むほどの業火が空間を舐め回す。
液体燃料を噴射しながら火焔を撒き散らす火炎放射器。威力は兎も角、面制圧という点では十二分に活躍出来る旧世代の兵器。
とはいえ、空間を覆い尽くす程の火焔が放たれれば当然視界は零。その熱気に表情を顰めつつ、銃弾と火焔が跳梁跋扈する空間で相手がどう動くか目を細めるが―
■柊 真白 >
――ち。
(新たに現れた異形を目視し舌打ちをする。
明らかに形が違うし、その装備も他と違う。
タンクのようなものから伸びたチューブと、それが繋がった銃口。
いや――放射口。
とっさに自身の左手に噛み付き、自分の血液を飲み込む。
更に右手でそれらの異形へナイフを投げつける。
その瞬間、身体が炎に飲み込まれた。
それと同時に、火炎放射器型の異形が爆炎に飲み込まれた。)
ひどいことをする。
(彼の背後から声を掛けた。
服は左脇腹から右腰に掛けてのラインより上側が完全に焼け落ちていて、スカートも左側が半分ほどなくなってしまっている。
それでも尚まだ燃えているそれを破り捨て、ぱんつとニーソックス、あと靴と仮面と言うマニアックな姿になる。
白い肌のあちこちを火傷しているのだが、その範囲は水蒸気を立てながら小さくなっていく。)
風紀委員と言うのは、罪が確定していないものを焼き殺すのが仕事なの。
(自身の血を摂取することによる一時的な強化。
しかしそれは一時的なものだし、反動の貧血が酷い。
現に今は効果は切れてしまっているし、白い肌もいつもよりも尚白い。)
■神代 理央 > 業火に飲み込まれる異形。だが、異形など幾らでも――鈍い頭痛を堪えれば――召喚出来る。
それよりも、同じく火焔に飲み込んだ筈の相手は――
「…貴様なら容易に避けられるだろうと判断しての事だ。実際、背後に立たれては抵抗も出来ん」
背後から聞こえる声に舌打ちしながらゆっくりと振り返る。
次いで、その視線のやり場に困る格好にきょとんとした表情を浮かべた後、慌てて視線を反らせる事になる。
「正当防衛だ。先に襲いかかってきたのは貴様の方だろう?第一、こうして無事なのだから文句を言われる筋合いは無い。……それと、そのみっともない成りで私の背後に立つな」
病的なまでに白い肌が逸した視界の端に映る。
この距離では最早抵抗は無意味だろう。仮に抵抗出来ても、無傷で済む自身は無い。
降参だ、と言わんばかりの淡々とした口調で話しつつ、制服の上着を脱いで無造作に彼女に突きつける。
自身を追い詰めた相手なのだから、せめて素肌くらいは隠して欲しいという切実な願いなのだが、果たして受け取ってくれるだろうか。
■柊 真白 >
――信頼と受け取っておく。
(お気に入りの服を焼き払われた。
ぶすっとしつつも、その言葉には皮肉の色が無かったので納得することにする。)
殺すつもりはないと言った。
――それに女性の裸をみっともないと言うのは如何なものかと思う。
(制服の上着を受け取って羽織る。
羞恥心は感じないが、この格好で落第街をうろつくのは面倒だ。
投げ捨てた自身の服からさまざまな暗器――ナイフや爆発物やトラップの類――を取り出し、上着のポケットへ突っ込む。)
いたいけな少女の服を無理矢理剥ぎ取った風紀委員には代わりの服を用意してもらおうと思うのだけれど。
(断ればそれを言いふらすぞと。
言葉にはしないが目で訴えた。)
■神代 理央 > 「あれだけの砲弾、銃弾をああも容易く避けられてはな。火焔の波も避けられぬ事は無いだろうと思わざるを得まい」
僅かな溜息と共に首を緩く振る。
実際、空間を薙ぎ払った業火ですら彼女は避けきってみせた。
信頼、と言うには何とも苦々しい思いだが、そう形容せざるを得ないだろう。
「殺意が無くとも、五体満足でいられる保障も無かったものでな。大体、後衛向きの私が接近戦を挑まれた時点で加減等出来ぬわ。
……そのことについては言葉が悪かった。謝罪しよう。その、何だ。ふしだらな格好でいるのは止めろ」
フン、と鼻息混じりの傲岸不遜な態度を見せつつも、女性に対するデリカシーの無さについては気まずそうに――視線を逸らせたままではあるが――謝罪した。
上着を羽織ってくれた彼女に漸く視線を向けつつ、次々と上着に仕舞われていく暗器に興味深そうな視線を向けていたが―
「…人に襲いかかっておいて、服を用意しろ、だと?盗人甚だしいとは貴様の事を言うのだろうな。
……だが、そのままではこの街も歩き辛いだろう。服くらいで良ければ都合してやる。有難く思え」
言いふらされる事自体は、職務を真っ当しただけなのだから多少見聞されてもどうにかする自信はあった。
しかし、取り敢えず矛を納めた彼女を今のままの服装で放り出す訳にもいかない。
深い溜息を一つ吐き出し、彼女の要求に応える旨を顰めっ面と共に告げるだろう。
■柊 真白 >
避けられない。
銃弾とか砲弾とかなら弾いたり避けたり出来るけど、炎は無理。
(避けているなら服は燃えていない。
切り札を使ってただ耐えただけだ。
銃や砲のように隙間があるわけでもなく、刀で払えもしないものはどうしようもない。
そう言う意味では、彼の判断は間違っていなかった。)
私は無駄な殺生はしないし、手足が落ちたら不便でしょう。
――その気がない私の服を無理矢理剥いでこんな格好にしたのはあなた。
(謝罪されても尚むすりとしている。
勿論顔は見えないが、雰囲気がむすっとしている。
言葉にも若干のトゲがあった。)
助かる。
けど、襲ってきたのはあなた。
(自分は間合いを詰めただけだ。
最初に攻撃をしたのは彼の方だと。
とは言え服を用意してくれるというのなら、その好意は受け取ろう。)
動きやすさと暗器の隠し場所、死角の多さのある白い服。
妥協はしない。
(財布に対する容赦もしない。)
■神代 理央 > 「…そうなのか?何食わぬ顔で背後に立たれたから、炎の中をすり抜けて来たのだとばかり思っていた」
火焔によって視界が零に近い事もあったが、仮に視界が明瞭だったとしても彼女の動きは追いかけられなかっただろう。
そもそも、今回の一戦では最後まで彼女の動きを捉えられなかった。速度に加えて火焔に対処出来る能力もあるのか、とげんなりした様に再び溜息を一つ。
仮に命のやり取りを行っていたとしたら―果たして、何秒生きていられただろうか。
「…分かった。分かったからもう少し言葉を選んでくれないか。俺が悪かったのは認める。だから、人を暴漢紛いの様に言うのは勘弁してくれ…」
別にフェミニストを気取る訳でも無いが、言葉の節々に不機嫌なオーラを漂わせる彼女に対しては些か気まずそうに再度謝罪の言葉を述べる。
先程まで戦っていた相手に何で此処まで譲らなければならないのか、と思わなくも無いが、女性の服を駄目にしてしまったのも事実なので何も言い返せない。
「…あの状況で間合いを詰められれば襲われたと思うに決まっているだろう…。会話する距離感と状況を考えて行動して欲しいものだな」
正当防衛だ、と再度主張しようと彼女に視線を向けて、結局逸らせる事になる。溜息の数だけ幸せが逃げるというが、今日は幸福の王子ばりに幸福が剥がれ落ちているだろう。
「…注文が多いな。とはいえ、約束は約束だ。女性の服の相場は良く分からないが、必要な分だけ金は出そう」
拘りが多いな、と思いつつも、どうせ金は口座で増えるばかり。
僅かに首を傾げて、幾ら必要なのかと彼女に問いかける。
■柊 真白 >
身体の強度と再生力を一時的に底上げしただけ。
――貧血になるから、あまり使いたくない。
(すり抜けたどころか、炎の中を突っ切ってきた。
一応勢いが薄く、放射された燃料の薄いところを選んだのだが、それでもこの様である。
それに耐えられる強化だったので、貧血も酷く視界が狭い。)
事実を口にしてるだけ。
それをどう取るかは勝手。
(ちょっと満足したような雰囲気。
服を駄目にされたのでわざとそんな言葉を選んでいるのは否定しない。)
襲うつもりなら気付かせる前に首を落とす。
(離れたところで血の海に沈んでいる男のように。
一撃で背骨まで断ち切られた男は即死だった。)
金を出す?
何を馬鹿なことを。
一緒に来てもらう。
(店まで連れて行くつもりである。
こんな格好で表の店など行けるわけが無いので裏の店だが。
死んだ男の処理などもあるだろうから、それまで待つなり一時的に離れていたりはするが。)
■神代 理央 > 「底上げしただけ、と簡単に言うが、火炎放射器の炎に耐えつつ再生まで行うというのは中々出来ぬ事だと思うがな。
貧血で済むのなら、是非俺もその力を得たいくらいだよ」
火焔を突破し、肉体を再生し、此方の背後に回り込む。
それを簡単に行ってしまえるのだから、つくづく彼女の力は恐ろしい。
……否定出来ないのが実に無念だな。
言葉の選び方は兎も角、彼女の服を焼き払いあられもない姿にしてしまったのは事実。
苦虫を噛み潰した様な表情を浮かべながら、がくりとうなだれた。
恐ろしい事だ。貴様に狙われる相手は、広範囲の赤外線センサーでも背負っておかねばならないだろうな。
無論、そんなものを始終背負っている訳にもいかないし、彼女ならばそれでも一撃で首を落とすだろうが。
「………なに?いや、待て。その格好の貴様と一緒に歩けというのか?」
金を渡した後、後処理を行おうと思っていたが彼女の言葉に思わず視線を向けて困惑した様に首を傾げる。
■柊 真白 >
――人外へ嫌悪感を持つ人物から日常的に嫌がらせを受けることを受け入れられるなら、便利だと思う。
(人間の括りから逸脱しているのだ。
速度もそうだが、そう言う生き物だから、というしかない。
そう言う扱いも含めて。)
別に私は構わない。
ここならそう珍しい光景でもないし。
(正直な話、嫌がらせのひとつである。
その後しばし考えて。)
誰にも言わない、と約束できるなら、正体を明かしても構わないけど。
――あなたからは私と同じようなにおいがするし。
■神代 理央 > 「今時、人外だ異邦人だという理由で差別するなど時代遅れも甚だしいだろうに。しかし、力を求める者ならばその条件でも受け入れる者は多かろうな」
生まれた時から異邦人だの人外の種族の生物が、父の経営するPMCで兵士として生きている様を見続けている。それ故に種族に対する偏見も無ければ、差別意識も今ひとつ共感しかねるものであった。
差別意識を持つこと自体は理解出来るが、自分はそうではない、くらいの考えなのだが。
「…なら、早く済ませてしまうとしよう。死体の処理は仲間に任せる。店を知っているのなら、とっとと行くぞ」
最早抵抗しても無意味だろう。今夜何回目か分からない溜息を吐き出して、懐から取り出した通信端末のボタンを押した。
詳細な報告は後にして、取り敢えず現場処理だけ任せてしまおう。
「…ほう?確かに、貴様の正体には正直興味がある。
良いだろう。その正体については他言しない。絶対だ。それで良いのなら、聞かせてもらいたいものだな」
同じ匂いがする、という言葉にはどういう意味かと僅かに首を傾げたが、彼女の提案には興味深々といった様子で頷くだろう。
■柊 真白 >
あなたみたいな人ばかりなら、楽なんだけど。
(人の中には自分と違うものを排除すると言う、ある意味で生き物らしい考えを持つ者も多い。
それはむしろ本能と言ったほうが良いだろう。
そう言う意味では、むしろ彼のような考え方の方が異質だ。
どちらが正しいという話でもないが。)
そう。
一応言っておくけど、あなたが他言したと判断したら。
(この先は敢えて言う必要も無いだろう。
羽織った上着から手を出し、仮面を外す。)
――稽古ぐらいなら、いつでも付ける。
気が向いたときに連絡してくれれば良いから。
(いつかの訓練施設での言葉を、もう一度。)
■神代 理央 > 「言っておくが、俺もそういった意識が無い訳じゃない。
決して善人では無いということは…まあ、言うまでもないだろうが」
落第街とはいえ、人の大勢集まる場所で砲撃に火炎放射。
今更善人ぶるつもりも無いし、彼女もそんなことは思っていないだろう。
ただ、差別意識が希薄なだけで、どちらかと言えば自分は悪人の類ではないだろうかという自覚はある。
「判断したら?その時こそ、俺の首を落としに………」
無論、他言するつもりは毛頭ないが、せめて一言くらいは抗ってやろうと思った矢先。
外された仮面の下の素顔と、続けられた言葉に絶句した。
「柊、真白…か。成る程、目で追いかけられない訳だ。図らずも、同じ負け方をした訳か」
自身の携帯電話に登録された数少ない連絡先の一人。
正直、異性に此方から連絡するのも気恥ずかしく、登録してそのままになっていた。
名前の通り、真っ白な少女。既知の人物が眼前に現れた事に、驚いた様な、それでいて納得した様な表情を浮かべた。
「……流石に、2連敗では男が廃るな。近いうちに稽古をお願いするとしよう。
さて、長居すれば俺の同僚がやって来る。他の男共の視線が集まらない内に、服を買いに行くぞ」
自身の強化の為の稽古に、彼女ほどの適任者はいないだろう。
すっかり使用しなくなっていた私用の携帯電話にも、出番がありそうだ。
やがて、少女を男達の視線から庇いつつ、彼女の求める衣服を買うために裏の店を行脚する事になる。
その道中、決して会話は多くなかったかも知れないが、此方から敵意を見せる事は無く、寧ろ知人と知った後は穏やかな雰囲気で、彼女の買い物に付き合った後、帰路につくことになるのだろう。
ご案内:「落第街大通り」から神代 理央さんが去りました。
■柊 真白 >
わかってる。
でもせっかく作ったお弁当に塗料ぶちまけないだけマシ。
(正直あれは堪えた。
とにかくそれは生き物としての本能のようなものだし、無いといわれるよりむしろ信用できるというものだ。)
出来れば知り合いを殺したくは無い。
――こっち。
融通が利く仕立て屋を知ってる。
(そうして先に路地の方へと歩いていく。
そこで本命の服を注文し、とりあえずは既製品を着ておくとしよう。
勿論どちらも彼に買わせるつもりだ。
こちらの様子は相変わらずのままだが、それでも問われれば答えるし、合間に彼をからかうような言葉を発したり。
所謂友人に対する態度と言うヤツで。
後日彼の元に届いた請求書には、服一着にしてはゼロが多い金額が記載されていたとかなんとか。)
ご案内:「落第街大通り」から柊 真白さんが去りました。