2018/09/02 のログ
ご案内:「落第街大通り」に國宏一実さんが現れました。
■國宏一実 > 「オラァッ!!犯罪に手を染めるからこういう目に会うんだよゴミがァッ!!」
殴りかかってきた相手の拳を掴めば、その威力を流すようにコンクリートの地面に叩きつける。
乾いた音が落第街に響き渡り、再び無音の空間が構築される。
犯罪者はこの世から消さなければならない、手段を選ぶ必要もない。少年は薄っすらと笑みを浮かべ、左足を上げる。
「俺の顔を忘れるな、二度と犯罪ができないようにしてやるよォッ!!」
赤黒いその左目をグリグリと動かし、地面に倒れている相手を補足する。
彼の左足は迷うことなく相手の首を踏みつけ、グリグリと踵をこすりつける。
最高の気分だった、これでまた自分の理想に近づくことができると。
ご案内:「落第街大通り」に楊柳一見さんが現れました。
■國宏一実 > 「ハハッ...俺を忘れるな。痛い目に会いたくなければ怯えて家にこもってんだな。」
踏みつけている足をどかせば、憎悪に満ちた表情を浮かべるが、すぐに普段の表情に戻った。
異形が終わったかと言わんばかりに左肩に赤黒いスライムのような形状で姿を現す。
『コレデコノ辺リノ奴等ハ終ワッタノカ?』
「あぁ、まだまだ腐るほどいるがな...。先は長いぞ?なぁッ!!」
不機嫌そうな表情を浮かべれば足元に転がっていたそれの脇腹を思い切り蹴りつけ、吹き飛ばす。
ストレス解消にはもってこいの奴等だ、ストレスの根元でもあるのだが。
異形はその様子をみてダラダラと涎を垂らす。その姿を見て大きく溜息を吐けば。
「殺しはまだ無しだって言ってんだろうが。俺はまだ人間だ。」
『ムムム...。』
居候の我慢も限界が近い。
そろそろ対策を立てなければと、顎に指をあて、思考する。
■楊柳一見 > 「夏休みももうすぐ幕だってのに、息巻いちゃってまあ」
今しがた蹴っ飛ばされたのと同じく、瀕死の明滅を繰り返すネオン看板。
その上に、いつからか腰掛けていた影が気怠そうに洩らした。
「何つうんだっけこう言うの。あー……」
思索を巡らしながら、指先を所在無げな指揮棒のようにふらふらと舞わして。
「――目くそ鼻くそを笑う、だっけ?」
曰く、どちらも犯罪者だと。わざわざ聞こえるような声量で。
見たところ、元気のいい方には風紀の腕章も見当たらない事だし。
■國宏一実 > 「おい居候、周辺の警戒は任せてたはずだが?」
声を聴くと少し驚いたような表情をするが、すぐにいつも通りの不機嫌そうな表情を浮かべ。
異形に対してそう問いかけるが、肝心の異形は『スマン』と一言。
居候が気づかないとは珍しい、そんなことを思いながら声の主へと顔を向ける。
「....あ?」
目を少し大きく開けば、歯をギリギリと鳴らす。
いいことがあればその分悪いこともあるというが、まさかこうも苛立つことが起きるとは。
異形は何かを察したのか、彼の体の中に戻っていく、丁度いい。コイツもだ。
「喧嘩売ってるつもりなら高値で買ってやる。」
赤黒い左目がまるで別の生き物のようにグリグリと動き始め、相手の姿を捉える。
短気な彼はあっさり先程の言葉に反応してしまう訳で。
■楊柳一見 > 彼の左肩から体内へと戻る異形を目端で捉える。
別段珍しいものじゃあない。
その正体はさて置き、憑き物だの変化だのの類はそれなりに見て来ている。
「ケンカぁ? まーさか。これは親切心ってヤツよ」
いきり立つ彼へ向け、大仰に肩を竦めて見せる。
どうみても挑発のポーズにしか見えないって? 御名答。
「あんまし調子にノッてると、風紀のこわーい連中が出張って来ちゃうかも、なんてねぇ」
身近な風紀の人物が、スラムを根こそぎ整地しかねない奴だったりするモンで。
まあ、親切心ってのもあながちウソじゃあない。
「でもさっきのでそのキレっぷりって事はアレだ。自覚、あったん?」
首を傾げてすっとぼけた問いを投げた。
実際の所、彼が己を正義と断じていようといまいと、どうでもいい。
要は、血の気の多いのをからかうのが好きな性分なだけだ。
見たところ権威もクソも関係ない辺りが、後腐れなくて実にいい。
■國宏一実 > 「風紀の連中は温過ぎる。ゴミ共は徹底的に潰す、結局はこれが一番なのさ。だろう?」
嬉しそうな笑みを浮かべれば、先程吹き飛ばした男を見て更にその笑みを深める。
正義なんてくそくらえだ、自分はただ思うがままに犯罪者を狩りつくすだけ。
そんなことを先程まで考えてはいたが。
「あぁ?そこまで俺は馬鹿じゃねぇよ。逆にその辺に関しては...敏感だッ!!」
大地を蹴り、一気に相手に接近する。
普段は何を言われようがどうだってよかった。
だが一つ気に入らないことがある。俺を奴らと一緒にしたことだ。
「一つ聞いといてやる、お前は犯罪者か?」
接近する足を止め、地面を滑るようにブレーキをかければ、脚に貯めた力を一気に爆発させるように相手の据わっている看板ごと相手を蹴り飛ばそうと。
■楊柳一見 > 「いやあ、アンタがそこんとこ心配する必要もないし、その権限もないよねぇ? 正当防衛なんて、健気なモンでもなさそうだし」
猛獣に襲われたのではなく、その猛獣を狩る立場だ。それも無許可で。
そんな問答繰り返しておれば、一息に肉迫する相手。
その片足が力を解放する前触れの如くブレたのを認めるや、両手でバンッと看板を叩く。
その動きで生まれた気流に乗って、宙へと舞い上がる。
数瞬遅れて、今まで腰掛けていた看板が景気よく蹴り砕かれた。
「返事聞く前にブッこんで来るとかさあ――」
空中でふわりとトンボを切って、
「アンタこそ凶状持ちそのものじゃん。この通り魔野郎ッ」
回転に乗せた蹴りを放つ。それはどう見たって、届く距離ではない。
しかし、蹴る動きにつれて生まれた気流が、カマイタチとなって眼下の相手へ襲い掛かる――!
■國宏一実 > 随分と気に障ることをずけずけという奴だ。
犯罪者は片っ端から潰す、それが自分の生きる意味であり、自分に課せられた義務。
自己満足に思われようが、どうだっていい。これが俺達だ。
「その減らず口、文字通り消し飛ばしてやるよォッ!!」
全力の蹴りは回避される。
宙に浮く相手を見れば、咄嗟に下がり、両足に力を入れ、柔術の構えを取るが。
相手が蹴ったのは自分ではなく空を蹴る。何をしているんだ?そんなことを考えていた中。
「...あ?風..クソッそういうことかッ!!」
風邪による不可視の刃。目に映らないそれは彼には対処ができず、脇腹が切り裂かれる。
刃物の痛み。顔を歪ませ、右手を傷口を抑えれば、左腕を覆うように赤黒い液体が出現する。
「...通り魔?なんとでも呼べ、それが奴らの恐怖と対象になるなら願ってもねぇな。
それにしてもお前の力、暗殺には持ってこいだ。危険で...そして憎い。」
左腕のその液体は瞬時に硬化し、3個程の鏃へと形状を変化させれば、相手目掛け弾丸のように飛んでいき。
■楊柳一見 > 「あらら、口じゃ勝てないからって力尽くとか。ますます犯罪者っぽいね、くわばらくわばら」
くつくつ笑いと共に減らず口がまた嘯いた。
「いたいけな一般市民からも怖がられりゃあ、もう言い逃れようもない犯罪者だけど。
そこんとこどうよアンタ?」
彼に宿る何某かの能力か。奇妙な液体から成る鏃の飛来を認めるや、くるりとターン。
撓らせる肢体の舞線は、こちらを鎧う風の障壁となる。
ただ飛んで来るだけのものならば、こいつで籠絡して跳ね返してやろう。
しかし、『暗殺』ねえ。
まあ便利だったよ、そこそこには――。
■國宏一実 > 「そっちの方が後腐れなくゴミ掃除ができるだろう?なぁ?」
右手の指に力を入れ、そのまま指を曲げればパキパキと音を鳴らす。
相手の力は未だに未知数、だったらこちらも出せるカードを一気に出してしまうに限る。
「俺は恐怖の対象であればいい、そうすれば犯罪者は一時的だろうが消える。
居候、半分くれてやる。どれだけ持つ?」
相手の様子を見れば、虚空に向けてそう声を掛ける。
その声に反応するかのように左腕に纏う液体にむき出しの歯が特徴的な口が形成され。
『長クハ持タナイトダケ...コチラデ調整シヨウ。』
「あぁなんだ。お前も犯罪者か、だったら全力でぶっ潰す。」
左目の赤黒い目を中心に、半身全てを覆うように血管が、皮膚が、赤黒く変色していく。
それと同時に左腕に纏っていた液体は全身を漂うように生成される。
時間がない、流れ込んでくるこの記憶に押しつぶされるまでに決着をつけて見せよう。
「豆鉄砲が駄目なら...これならどうだァッ!!」
地面を蹴り、跳躍し、相手を同じ高度まで瞬時に達する。
それとほぼ同時に背の方からジェット噴射の要領で相手に急接近すれば、硬質化したその液体でコーティングされた右足で相手の腹を蹴りぬこうと。
■楊柳一見 > 左腕に形成される異相の、音とも声ともつかぬ奇妙な響鳴。
言葉振りからして、共生関係にあるようだ。
イカレた魔物憑きと言う訳ではない。しかし――
「――差し詰めアンタは憎悪の怪物、かな」
いずれ呑まれてしまえば、憎くて憎くて――何がどうして憎かったかも忘れ果てた暴威へと成り下がるのだろう。
噴進弾の如く急迫する相手。
その速度は正直、予想の範疇を越えていたモンで。
「やっば――」
咄嗟に両手をクロスさせ、防御態勢を取った。
しかし風の練りが甘い。
ここまで直截的な攻撃を防ぐには、出力が足りなさ過ぎる。
「――ぐうっ!?」
骨だの筋だのが軋む手応え。鈍痛と衝撃。
それらを土産に抱えながら、路地の壁へと背中から突っ込んだ。
「っぎ、ぃ……!」
――子供に弄ばれるスーパーボールってこんな気分なんだろうな。
そんな埒もない考えが湧いたのも一瞬で。
地面に転がって、背中の痛みやら息の出来なさやらでやるかたなく這い回るしかなかった。
■國宏一実 > 「怪物?あぁ、それでもいいかもしれねぇなぁ。まだどの道ッ...!!」
確かな手ごたえ。
命中すると同時に足に纏っていた赤黒いそれは砕け散り、自身もその反動で体か軋む。
着地は異形のサポートにより難なくできるが、それよりも時間がない。
「俺はこれしか手段をしらねぇ。犯罪者の屑共が俺を恐れさえすればそれでいい。
お前は俺を恐れるか?」
半身は赤黒く変色し、人としての名残が人型であるということだけとなったこの醜い姿を相手はどう思うだろう。
左腕に液体を纏わせ、獣のような爪へと形状を変化させる。
先程かまいたちで負った傷は既に生成された液体によって止血されており、まるでそれは蚯蚓のように蠢いていた。
「痛いか?苦しいか?怖いか?犯罪者がいる限りその恐怖は消えない。
だが俺がそれすら超える恐怖になればそれは消える、最高だと思わねぇか?」
相手の傍らに立てば、どこか悲しみを含んだ表情を浮かべた。
■楊柳一見 > 「っは……、そう、ね……」
痛みに霞む視界と意識に喝を入れ、傍らに立つその姿を見る。
狂えるヒンドゥーのミニアチュールじみたその有様は、凡百の目で見れば確かに醜怪だ。
「――更生施設に、ホーンテッドハウスでもあれば、人気者になれるんじゃね…?」
けひひひはは。
しわぶくような笑い声洩らしながら、そんな答えをくれてやる。
誰が思い通りに恐れてなどやるものか。
恐怖の対象を除く代わり、自らそれにとって代わろうなんて滑稽者を――。
「はっはは――あ゛ー、腹痛てえ」
へそが茶を沸かそうと言うモンだ。
背中の方が痛いけどな。
■國宏一実 > 「こんなになっても口数が減らないなんてな...まるでアイツみたいだ。」
アイツ。そんな人間を彼は知らない。異形が蓄積してきた記憶と自身の記憶が混濁した結果だった。
それでもどこか懐かしく、忘れられない大切な記憶。
絶望というものを知らない強い心、信念だろうか、どうして相手がそれを持ち合わせているのかが気になった。
「笑うか、それがお前の回答ということか。だったら...おわ・・・・あ?」
ボトボトと鼻から流れ出る血液。それと同時に赤黒かった半身は元に戻る。
半身が痺れる、気分が悪い。俺は俺だ。俺は俺だ。俺は俺だ。
膝をつき、息を荒らげながらも膨大な記憶の中から自分を見つけ、縛り付ける。
「...カハハ。時間切れかよ...。」
落第街に二人の笑い声が共鳴する。
■楊柳一見 > 「――あら、ざーんねん」
流血して膝をつく相手。その姿は元の真っ当な人間体に戻っている。
笑い合うさなか、不意にくたばってた両足を上げ――ぶんと地面へと戻す。
起こる風圧が、匙のように体を掬い上げ、まるでフィルムの巻き戻しの如く身を起こす。
ちっとばかし背筋やらに響いたが、まあ問題はない。
「いい事教えてあげるわ、恐怖の大王志望者さん」
屈み込んで、跪く相手の目線に目を合わせる。
相も変わらず不敵なにやにや笑いを浮かべながら。
「相手の力も測り切らんうちから、アクセル全開吹かしてたら体もたないわよ?」
耳元に触れそうなほど唇近付けて、こしょこしょと囁きを落とした。
■國宏一実 > 「なんだよ、ピンピンしてんじゃねぇか。」
結局体張ったのは俺だけか?なんてことを考えているうちに気分の悪さは回復する。
異形はいつものように左肩に姿を現し、彼女を見据える。
「くっくく...悪人が俺に助言か?笑わせる...だがその通りだ。
居候、撤収だ。」
耳元で聞こえるその忠告を聞けば、ゆっくりと立ち上がる。
異形は彼の言葉を理解するように頷けば、彼に付着している血液を吸収すれば、再び体内に戻っていく。
「今回で俺達は学習した。次会うときにはその口を縫い付けとくんだな。」
次に生かすことができる。そんな歓びからか彼はどこか楽しそうだった。
彼女の唇に指を当てればそう宣言し、そのままその場から立ち去っていった。
ご案内:「落第街大通り」から國宏一実さんが去りました。
■楊柳一見 > 「んやぁ、痛みは本物だしね。痩せ我慢よ、実際」
いやこれはホント。
こっから第二ラウンドとかマジ勘弁。
「んむ――」
指で唇塞ぐ相手に、抗議がましいジト目を向け、去りゆくその背を見送った。
「――冗談。アタシが口閉じる時ゃ、寝てる時かくたばる時よ」
そんな悪態投げ寄越せば、こちらもまだ痛む背を労わりつつ帰路へ着こうか――。
ご案内:「落第街大通り」から楊柳一見さんが去りました。