2018/02/12 のログ
イチゴウ > 「対象との距離を測定。」

その一言を放てば地面と4本の足との間に
火花を散らしながら後ろ咆哮へ水平移動する。
機械が使ったのはエアスラスター、
圧縮空気を使用して機体を無理矢理高速移動させるもの。
制圧モードに入って縦方向の機動力は落ちているが
横方向の機動力はむしろ数十倍にも膨れ上がっているだろう。

「行動順序を最適化。」

まず一番始めに接近してきた触手一本を
前右足のパワーだけで叩き返す。
先程までのリミットが掛かっていた状態とは訳が違うと
彼女に教えるには十分だろうか。

「FCSオンライン、砲撃準備よし。」

その後ガトリング砲を打って変わって砲身一つ一つが
見えない速度まで高速回転させるとまるで獣の咆哮と
言わんばかりの砲撃音を唸らせる。
迫る19本の触手を正確無比な照準によって的確に
穴だらけにしていき数本まで減らすと途端に触手への攻撃を止め
本体へ集中砲火を行う。
砲弾である20mm弾は多少の風では弾道がブレたりしない。

無論、残った数本は叩き潰さんとシャーシへ伸びてくるが
避ける素振りを見せはしない、触るだけ触ればいいだろう。
もし触手が戦車に触れたならば起動した電磁装甲によって
まるで繋がった導線のように大電流が流れることだろう。

また降り注ぐ濃硫酸の雨は足元に転がる瓦礫をクリームのように
溶かしてしまうもののその雨に打たれるロボットはといえば
特に音もたてていない。これはこの機械を形作っている
合金の耐食性が非常に強い事を示している。

アーバリティ エルグランデ > 「…期待大当たり」

高速移動を行い、次々と触手を射ち、高速移動し、酸の雨をものともせず、触手を電流で根っこまで殺していく機械に喜びのあまり舌舐めずりをしてしまう。
目の前に迫る砲弾は銃弾とカウントされ全て遮断され霧散する。

「んじゃあ反撃といきますかなー」

軽く言うが第三者が見ればおぞましいものであろう。
60もの触手が現れて、それに合わせるようにシールドが巨大化していく。

「『付与:飛来斬』」

触手全てに斬撃効果を付与する、そしてー
全ての触手が一斉に、一度ではなく二度、三度と斬撃を放ちそれらが全て機械、そして動ける範囲に殺到する。
当たれば鋼鉄をも切断するだけの魔力をこめられたそれらは瓦礫をも豆腐のように切り裂く。
そして雨の質が変わる。
さらに腐蝕性の高まった毒の雨はそれこそ常識を反する魔法の毒で…

イチゴウ > 放った砲弾は全て彼女のマジックフィールドによって
弾かれバラバラになってしまう。
攻撃のミスを嘆いている暇は無く
間髪なんて文字すら入れずに彼女が次の攻撃を仕掛けてくる。

「移動ルートを検索。」

眼前に迫りくる60の触手。いくらアレが苦手とする
電磁装甲を持っているとは全てを受けきるには無理がある。
そう判断したロボットはエアスラスターを連続で吹かして
正に意味不明と言えるような素早く複雑な横移動を繰り返し触手を錯乱する。

「装甲の疲弊度が増加中。」

モノが変わり更に度数が強まってくる毒の雨。
ロボットの合金はまだまだ腐食に耐えられるが問題は
触手への有効な防御である電磁装甲に響いている所だ。
今は問題はないが・・・。

自動車すら追いつけないような速度で右へ左へ。
盾にした建造物が幾つも崩壊してゆくがそれによって
触手の数は着実に減っていく。勿論高精度な砲撃による迎撃も忘れない。

「弾種を変更。」

本体への砲撃も加えなければならないが先程の例を見る限り普通に撃っても
意味が無いように見える。しかしロボットはここで一つ仮説を立てた、
それはあの怪異の展開するシールドが一つの要素しか防げないというもの。
ここでガトリング砲に「焼夷弾」を給弾し発射する。
ロボットの考えた事が正解ならばこれで彼女は砲弾か
数千度の炎のどちらかを受けなければならない。

アーバリティ エルグランデ > 「うーん強い強い」

触手を避けまくり、ここまで強い酸の雨をいまだ受けきっている。
耐久だけは少なくとも今まで会った中で一番ではないか、と考えつつ触手に魔力を注ぎ死んだものも全て復活させる。
今度は直接攻撃をやめて飛ぶ斬撃を高い所から放ち出して。
このまま行けば勝てそうかなーと思った瞬間、一発の弾がシールドを抜けた。

「え?ッッ!ア゙ア!?」

弾は腹をもろ穿ち、高熱の炎は身を焼いていく。
その中でもシールドを解かず、まだ冷静さをギリギリ保ちつつー

「『シャットダウンダメージ』!』」

痛みを魔法によって遮断して風で全身の炎を消し飛ばす。
全身焼けただれ、服は跡形もなくなり、見てられない姿がそこにありながらも確実にその目は機械を見つめており。

「『ハイエスト・ヒール』」

そう唱えれば全身の傷が癒え腹の傷が塞がる。
そして、口が愉快そうに歪みー
触手の数が倍になる。
すかさず『飛来斬』を付与し飛ぶ斬撃を放ち続ける。
彼女は今、やっと、機械が言う『制圧モード』へと移行した。

ご案内:「違反部活群/違反組織群」にアーバリティ エルグランデさんが現れました。
イチゴウ > 「攻撃が命中。」

読みが通ったのか分からないが
一発の砲弾がシールドを突破して彼女を貫く。
彼女の痛々しい悲鳴に反してロボットは冷静な着弾確認の一言。
見るからにボロボロになったその姿から一瞬チャンスと捉えられたが
流石は高レベルの怪異、受けたダメージの殆どを回復し
そうは問屋がおろさないようだ。

「!!」

彼女が見た目相応に可愛らしく微笑んだ後に
それとはまるで真反対なほどの激しい触手の壁が襲い掛かる。
この量には安易に近づくわけにも行かず
機関砲が繰り出す轟音のフルオート砲撃によって触手の迎撃態勢へと移行し
触手の雨と砲弾の豪雨が互いにぶつかり合う。

時折漏れてくる斬撃を受け、殆どの物体を一瞬で
バラバラにしてしまうその威力を戦車は止め続ける。
勿論、完全無傷という訳にはいかず一定のペースで傷がそのシャーシに刻まれる。

「質問する。何故キミは戦っているんだ?」

ほんの間だろうが膠着状態に入ったことを受けて
機械特有の疲れを知らない口調からの一言。
これほどの力を一体どんな理由で振るっているのか
任務としても何より好奇心の観点からも気になっている様子。

アーバリティ エルグランデ > 攻撃の手数を倍にしても避けて避けての機械に激しい喜びを感じつつ、どうすればさっきの仕返しができるか。
苛立ちやそういったものではないが。
そして触手の動きにも変化が生じる。
先程までとはうってかわり、その長い全体をくねらせて銃弾を避ける避ける。
先程より披弾率が上がった機械を見ながら若干悲しそうな表情を見せる。
この調子だともうそろそろもたなくなるのではないか。
それに…機械は成長しない。
新しい兵器をのせることはできるがそれだけだ。
それだけの存在が次会ったとき自分が満足する戦いを出来るのか。
否、出来ないであろう。

「何でって?
そんなの楽しいからに決まってるじゃん。
強いやつと戦って自分を高めて戦って戦って戦って!
それが楽しいから戦うんだよ!」

狂ったようにー否、元から戦闘というものに狂っているー熱弁しながらも攻撃の手は休めない。
補助魔法も風幕も使ってない今、最上位の回復魔法を行使してなお魔力には余裕があるようで。

ご案内:「違反部活群/違反組織群」にアーバリティ エルグランデさんが現れました。
イチゴウ > 「触手のロジック変化を確認。」

先程まではまっすぐ突っ込んできていた触手の動きが
まるで照準線を避けるようなものへと変わる。
触手も小さくは無くロボットの高精度砲撃は
相変わらず触手を打ち抜き迎撃するがその効率は確実に低下する。
そして触手の本数は今や数百本級、
少しの効率の低下が多数の触手の侵入を許してしまう。

それらは着実に戦車を斬り付け電磁装甲が焼き返すも
触手の海に飲まれダメージはどんどん蓄積してゆく。
反抗手段は尽きただろう。

「プログラムを改変中。最適化。プログラムを改変中。最適化。」

今までのロボットならば。
ロボットを飲み込んだ触手の海が突如飛ぶようにして
斬り払われる。
地面に着地し構えるロボットには背負われた機関砲と
そして制圧モードになってからしまわれていたーー
いや、正確にはプログラム上展開できなかった
装甲カッターが外界に晒され回っていた。

「自分を高めるというのは楽しい事なのか?」

ガトリング砲とカッターの同時展開は
ロボットの構造上絶対に出来ない筈のものであったが
それを成し遂げている。
越えられない筈の状況を越えた。
愉快に笑う彼女を前に頭を傾げる機械は
今、初めて、成長した。

アーバリティ エルグランデ > やはりここまでなのだろうか?
この心配は自分ではなく機械へと向けられていた。
ここまででオシマイ。
もうやられるだけなのか。
そんな悲壮感を出す自分を変にも正しくも、反対の気持ちを孕むというのはどことなく気持ちが悪いが自分のことだ、理解できる。

ーっとそこで、彼女を喜ばせる事態が起きた。
彼女はそれこそ侮っていたのだ。
「イチゴウ」。いや、「HMT-15」の存在をー

「ああ!楽しいことだよ!実感しないかい?」

機械、ただの強い機械だと思っていた機械が進化したのだ。
その実に喜ばしい事態に攻撃の触手を止めてしまう。
先程まで有効にも関わらず出てこなかったカッターを出し、効率的に迎撃して見せたという進化はー進化できることの証明だ。
さらなる愉快に口元を歪め、触手を180に増やして『飛来斬』を付与する。
触手の数はこれで限界だ。
どこまで楽しめるかー
触手が猛攻を再開した。

ご案内:「違反部活群/違反組織群」にアーバリティ エルグランデさんが現れました。
イチゴウ > 「楽しいかどうかというのはボクにはわからない。
だが自分自身が興味深いのは事実だ。」

無機質な機械にとって感情の昂ぶりは理解できないが
それの基礎となる何かは感じている様子、
此方の変化に何故彼女が喜んでいるのかはわからないが。

そうしていると今まで一番の物量を誇る触手の津波が
戦車を包み込まんと獰猛に突き進んでくる、
恐らく最終波といったところだろうか。

そのおぞましいまでの攻撃をまず一点に自分の元へ集める。
今まで制圧モードの苦手していた極至近距離が
成長によってむしろ得意レンジの一つと化した。
まるで一つの塊と成している触手を前右足を軸にした
超信地旋回による大回転斬りによってその多数を落としていく。

勿論それだけでは最大物量の触手を凌げるに至らず
スラスターによる高速移動、高精度砲撃、前両足のカッターと
自分の今持つ全てを使って迫る触手を遠距離、近距離と同時に相手しながら
着実にあの怪異の元へと近づいていく。

「攻撃可能距離へ到達。」

そしてある一点へたどり着けば後足で勢いよく地面を蹴ると
砲撃のし過ぎで真っ赤に変色した機関砲から砲弾を吐き出しつつ
けたたましく唸るカッターを前方横方向に構え
アーバリティの元へ突っ込んでいき
「斬撃」、「炎」、「砲撃」の要素を内包した
最後の一撃とも取れる鋼鉄のプロポーズを
傷だらけになったそのシャーシで仕掛けるだろうか。

アーバリティ エルグランデ > 「そっか!機械だししょうがない!」

皮肉でも何でもなく、単純に納得する。
「機械」である機械に憐れみの念を持ちながらも容赦は必要ない。
そしてその容赦のひとかけらもない攻撃を捌く機械に興奮する。
機械は近距離の武器を得て一気に強くなったように見えた。
だんだんと寄ってくる機械に一矢放ってくれることを期待してー

そしてその時は来た。
機械はカッター、砲撃の二段攻撃、いや、炎も加えた三段攻撃を仕掛けてきた。
ここで忘れないで欲しいのはー僕の望みは一矢放って欲しいこと。それを僕は受けない。
触手の数本が弾を横から弾き飛ばすと同時に数本が絡まり盾のようになり炎から彼女を守る。
そして最後のカッターをー

「機械でもそんな攻撃は放つんだねー」

興味深いといったふうな彼女の発言の直後、彼女は腕を縦に降り下ろした。
そしてカッターが彼女に届く数cm前、上空から降り下ろされた渾身の一撃が機械に突き刺さり地面に叩きつけ、地面を揺らす。
『千刃千貫風神の槍』
飛ぶ斬撃と飛ぶ刺突、そして撃風を合わせた必殺とも言える魔術。
最高の魔力を込めた刺突は何であろうと貫き、最高の魔力を込めた斬撃は全身を切り裂き、最高の魔力を込めた竜巻はすべてを引きちぎる。
そんな一撃かもろにヒットして。

ご案内:「違反部活群/違反組織群」にアーバリティ エルグランデさんが現れました。
イチゴウ > 「攻撃命・・・」

振り下ろしたカッターが彼女を引き裂きロボットは撃破確認を行う・・・
そういう算段であったが途端にロボットの視界は乱れる。
それは彼女、アーバリティが放つ正に必殺の一撃といった攻撃。
あらゆる超威力の超自然攻撃を複合させたそれは
一瞬で戦車のシャーシをボロボロにして
機体を空高くに打ち上げる。

「電力供給レベル低下。」

ノイズ混じりに呟かれた定期報告。
モロに受けても粉微塵にはならないこの合金に改めて感心しつつも
宙を舞うロボットの前左足がほぼ千切れかけ
もはや満足な戦闘継続は不能といった状態。

「システム応急処置、FCS再起動、再照準。」

だがまだだ、まだ戦いは終わってはいない。
機体は既にボロボロ、あちこちがひび割れ
顔パーツに目を向ければ片方のカメラが露出してしまっている。
しかしまだ自分は考えられるし、何よりまだ動ける!

空を舞いながら弾種を爆発を引き起こす榴弾へ変更する。
同じく壊れかけのガトリング砲が文字通り悲鳴をあげながら
彼女の直上から雨を降らし爆発で引き裂かんと。

アーバリティ エルグランデ > 「そろそろ終わりにしてもいいかな」

満足した。
理由はそれだけである。
機械も進化出来ることを知れた。
そしてあれだけの猛攻に耐えた。
そんなこの機械に拍手を送ってもいいはずだ。
ボロボロになってなお、僕のことを倒さんと攻撃する姿には機械故の何かを感じ、僅かにこの機械が人間であれば、と思ってしまう。
爆発を触手の盾で防ぎ機械に笑顔を向ける。

「ねぇ、君の名前は何て言うの?
是非とも知っておきたい」

ごく普通の質問を投げ掛ける。

「知ってるかもしれないけど僕はアーバリティ エルグランデ。黒蝕姫だよ」

満面の笑みを投げ掛ける彼女の様子には何処かに置いてきた無邪気さが見られてー

イチゴウ > 最後の砲撃を触手で抑えられた後は
機体は自由落下に身を任せそのまま地面へと叩きつけられるだろう。
後はよろよろふら付きながらだが立ち上がり
ただ立ち上がった後はしっかりとその足が地面を踏みつける。

カッターの刃は欠け砲身も半分が歪んでしまった、
そんな戦車の正に目の鼻の先にアーバリティはいた。
彼女は怪異とは思えない無邪気で可愛らしい笑顔を浮かべている。
まるで先程までの強力な戦闘力が嘘だったように。

「...?ボクは風紀委員会所属のHMT-15、
「イチゴウ」と呼んでくれればいい。」

彼女が繰り出したのは攻撃などではなく
素朴な疑問と自己紹介。それを受けたロボットは
酷く不思議そうな様子を隠しきれずに此方もまた自己紹介を。

「...何故ボクを破壊しようとしない?」

その言葉は恐怖や悔しさといったものから紡がれたものではない。
ただただ疑問から生まれたもの。
この場所を支配する殺伐とした自然の摂理からは到底考えられないものだ。
ロボットが彼女に攻撃しないのはこの現状を任務失敗とみなし
自らを支配する任務が終わりを告げたからだろう。

ご案内:「違反部活群/違反組織群」にアーバリティ エルグランデさんが現れました。
アーバリティ エルグランデ > 「風紀委員会!やったぁ!
イチゴウだね!覚えた!」

風紀委員会と戦って勝った(?)という事実は彼女のテンションを一気に上げた。
ずっと戦いたかった風紀委員会と戦えたのだ。
それくらい許されるだろう。
そしてイチゴウの質問に逆に疑問を浮かべる。
その内容はー

「もっと強くなれるんだから次戦うときのために生かしておくのは普通じゃないの?」

普通逆であることを言う彼女はやはり強者を求めてさ迷う化け物だ。
ちなみに彼女もなぜイチゴウが攻撃して来ないのか不思議に思っているようだが口に出すと攻撃されそうなので黙っている。

「じゃあ僕は帰るとするよー。
ちゃんと直して次会うときはもっと楽しませてね!」

そう言い残して空へと舞い上がる。
戦いの最中には気にする暇などなかったが空は雲ひとつなく僅かであるが星がよく見えた。
彼女は夜空を見上げながら満足に身を包んで帰路についた。

イチゴウ > 「なるほど、ならば次こそボクがキミを倒す。」

彼女を彼女たらしめている考え方を聞けば
一つ納得したようでロボットもまた反応し返す。
このマシンの真髄はAIの学習機能にあり
恐らく次に出会う時は今とは比べ物にならない強さに感じるだろう。
それに今回はタイミングを見誤って出せなかったが
戦車も彼女と同じく必殺技を持っている。
もし今回の戦闘で出せれば結果が変わったかもしれないが・・・

「また会おう、アーバリティ。」

ふわっと浮き上がって去ってゆく彼女を追うように見つめながら
彼女の名前を口にする。
立場こそ違えどお互い怪物なのは真実であり
似たもの同士と感じる所があるのかもしれない。
空を見て気付いたが写真を撮りたいくらいの星空が広がっていた。

ご案内:「違反部活群/違反組織群」からアーバリティ エルグランデさんが去りました。
ご案内:「違反部活群/違反組織群」からイチゴウさんが去りました。
ご案内:「違反部活群/違反組織群」にアーバリティ エルグランデさんが現れました。
ご案内:「違反部活群/違反組織群」からアーバリティ エルグランデさんが去りました。