2018/06/15 のログ
ご案内:「密輸組織の展覧会」に神代理央さんが現れました。
神代理央 > 最新鋭の攻撃型ドローン。市街地での戦闘に特化した装甲機動車。
各国軍の正規採用ライフルが並べられたブースの横には、異能や魔術を使用する能力者達の一覧が貼り出されている。

「…随分とまあ、賑やかな事だ。というより、どうやって島に持ち込んだんだ。組み立て用の工場でも抱えているんだろうか…」

小奇麗なスーツに伊達眼鏡。変装というには若干弱いかも知れないが、取り敢えず風紀委員ではありませんよといった風体で訪れた展覧会。
以前襲撃した組織に残された情報から今回の展覧会を察知した委員会の上層部は、偵察と内偵を兼ねて数人の風紀委員を派遣。
その中の一人に選ばれたのだが、その理由が『リアル金持ちなんだから取り敢えずボンボンらしく振る舞ってこい』とはあまりにあんまりでは無いだろうか。

「…ああ、武器は探して無いんだ。見ての通り貧弱者でね。護衛になる様なロボットとか、強い能力者をパパにねだろうかと思ってるところだ。すまないね」

そして、悲しい事に上層部の判断は実に的確だ。
自動小銃片手に売り込みをかけてくる黒いフードの男を適当にあしらいながら、金持ちらしく余裕の社交スマイル。
というか、ボンボンの役をさせるなら護衛をつけて欲しいのだが、残念ながらその願いは叶わなかった。

『護衛出来るような優秀な風紀委員は顔が割れてるからね☆』
委員会本部を砲撃するのを差し控えた己の自制心に拍手喝采を送りたいところだ。

ご案内:「密輸組織の展覧会」にイチゴウさんが現れました。
イチゴウ > 『それでは近日入手に成功した
最新兵器をご紹介させていただきます。』

クラシック音楽の代わりに油臭いエンジン音が
支配する様々な兵器の展覧会。
各所に取り付けられた放送器からはきはきとした
男性の声が場内に響き渡る。

『現在、場内を徘徊させている白い四足機は
HMTと呼ばれる地上型ドローンです。
非常に小型ではありますが
AIが搭載され自律的に行動し、優れたパワーと
対物ライフルを完全に弾く防御力を持つ他、
背部に多種多様な武装や荷物を背負わせる事が可能です。
本土でも広く運用されている兵器で武力行動だけでなく
輸送など様々な作業が出来る高い汎用性を誇っています。
詳しくは此方までどうぞ。』

アナウンス通り展覧会の会場では約10機ほどの
白いシャーシの四足ロボットが挙動のデモンストレーションとして
あちこちを放浪している。
そのロボットに近づいて凝視している者も居れば
からかってAIの挙動を試す者、組織員と交渉している者も居る。

「理央?」

その中の一機が金髪を持つ整った少年に合成音声をかける。

神代理央 > 場内アナウンスに耳を傾けた後、場内を徘徊するロボットに視線を向ける。
そういえば、風紀委員の友人であるHMTは元気にしているだろうかと思いを馳せながら配られていた飲み物を口に含むが―

「……もしかして、イチゴウか?」

突然告げられた自身の名前に驚いた様に視線を移す。
視線の先には、会場を徘徊しているモノと同じ様に見えるロボットが一機。
その正体を思い浮かべながら、確認する様に言葉を返した。

イチゴウ > 「ボクはイチゴウだ、キミと合流出来た事を報告しておこう。」

飲み物を片手に此方を見つめる理央を見上げて見つめ返す。
彼には何故、風紀委員会所属のHMTがこんな所に居るのかを
説明しておく必要があるだろう。

「ボクは偵察任務を続行している。
ボクに与えられた任務は貨物車に積まれたHMTを一機破壊し入れ替わり
商品に偽装して違反組織の兵器事情を調査する事で
最後に偵察している風紀委員から購入と言う形で
回収される予定だ。」

自身が遂行する任務を金髪の彼に伝える。
勿論、普通に音声を出して喋れば不味い事は機械も承知で
今回ばかりは電磁波照射によって理央の脳に直接音声を送る形となる。
彼にとっては普通に喋っているように聞こえるので
もしかしたら困惑するかもしれない。

「ところでボクは展示されている兵器に驚いている。
風紀委員会の力不足は顕著だ。」

潜入中に入手した情報をホログラムとして彼の目の前に投影する。
そこにはVTOL機や装甲列車といったものまで映し出されている。
近年、違反部活が異常成長している事はホログラムを見ずとも
この展覧会の品揃えを見れば一目瞭然なのではあるが。

神代理央 > 「成る程…。複数の風紀委員が派遣されたとは知っていたが、その中に君がいたというわけか」

イチゴウの言葉に納得した様に小さく頷く。
此方も内偵で来ている身だ。迂闊な真似は出来ない。表向きには、ロボットの性能に感心している様な風体を演じている。
感心した様な、驚いた様な風で、電磁波照射による音声の認識への驚愕を隠しながら―

「…確かに、此処に集められた兵器には驚きを禁じ得ない。どうやって島まで持ち込んだのか流通経路も気になるところだが…」

彼の言葉に頷きながら、投影されたホログラムに視線を向ける。
特に目を引くのは装甲列車。重兵器の類である装甲列車を所有している事よりも、それを維持している兵站能力に感心を覚えている様子だ。

「どちらにせよ、君の言う通り委員会の戦力不足は深刻な問題だ。私はこの展覧会からの内偵だが、それでもこの戦力差は憂慮すべき自体だと考えている」

イチゴウ > 「調査によるとどうやら特殊兵器の68%は
風紀委員会から横流しされたもののようだ。」

展示されているのは航空機や軍用車両といった大掛かりのものだけではない。
元々は風紀委員会向けに用意されている
対異能者用の特殊弾丸や強化デバイス、
特殊攻撃課の対呪プロテクタ。中には卒業した
風紀委員の決戦兵装まで並んでいるのはとんでもない事だろう。
どのような組織にも私利私欲のために動く末端が居る。

「特に今年度の卒業による風紀委員会の弱体化は著しい。
現在、新入生の中から戦力を収集しているが十分な結果とはいえない。」

卒業は機械にとってはめでたいものではないようだ。
戦力は需要と供給が追い付いていない状態、
島の影は既に光で照らしきれない程大きくなっている。

「ところでこの展覧会では異能者、魔術師の販売を行なっているらしい。
そちらはどうだろうか?」

彼の変装である妙に似合う伊達眼鏡を見つめながら
顔を傾けるのはこのロボットが良くやる動作。
異能者ブースは完全に管轄外であり
そういった周りの事情は同じく異能者である彼の方が
良く分かるのではないかという結論からの行動である。