2018/06/16 のログ
■神代理央 > 「おやおや、我らが委員会様は、予算の獲得の為に実に多彩な手段を取っているらしい」
彼の言葉に頷きつつ、呆れた様に苦笑いを一つ。
これでも、展示された兵器はほんの一部に過ぎない。彼の調査によって更にその驚異は増すばかりだろう。
「違反組織の強大化と、風紀委員の相対的な弱体化。結果的に、益々委員会は戦力増大の為に予算を要求し、兵器類の充実化を図ることになるだろう」
結果的に、風紀委員会は警察組織ではなく軍事組織としての強大化を図ることになる可能性がある。
その可能性を憂慮しながら、小さく溜息を吐き出した。
「基本的にはアウトロー…所謂、学生として登録されていない者が多いようだが、能力自体はピンキリだな。完全に戦闘向きの者もいれば、今ひとつ何の役に立つのか分からない者まで様々だ」
能力の優秀さに関しては、人材を集めているブローカーの組織力にもよるだろう。
その点に関しては調査不足であることを暗に告げつつ、彼の質問に言葉を返した。
■イチゴウ > 「獲得した予算と失った装備を比べた場合、
この予算の獲得方法は合理的とは判断できない。」
彼の呟いた溜息混じりの皮肉にロボットは律儀に反応してしまう。
お堅いというか冗談が通じにくいというか。
「ボクが考える限りでは風紀委員会も違反部活も
組織という観点で見れば本質的に同一だ。
力には力で対抗する必要がある。」
正義を冠する風紀委員会も犯罪行為に手を染める違反部活も
言えば同じ組織だと機械は指摘する。
そして「目には目を歯に歯を」と言わんばかりのロボットの論調。
それを本質を見据えていると取るかただ単純な帰結と
取るかは人によるところだ。
「把握した。それにしても能力ある人間を
販売するという考え方は合理的だ。
何故落第街でしか見ないのだろう?」
機械から見れば「力」を売るという面で
兵器が売られていようが人間が売られていようが
違和感の感じる物ではないらしい。
■神代理央 > 「違いない。個人の私服を肥やすだけの行為等、組織の腐敗を招くだけだ」
真面目な答えを返されれば、此方も真面目な答えを彼に返すだろう。
尤も、その表情は彼の律儀な反応に僅かに苦笑を浮かべているのだが。
「ふむ。暴力組織という点では確かに同義だな。その組織の存在意義という点のみが、両者を区別しているのだろうな」
彼の言葉に対して、特に否定の意を唱える事はない。
突き詰めれば、軍事力を持つ組織というものの本質が同一であることは頷ける点でもある。
その組織のあり方が、社会的な立ち位置を区別しているだけなのだから。
「その点に関しては、倫理や道徳の話になってしまうな。尤も、島外においては傭兵等の方法で自分から売り込みに行く者もいるようだが」
PMCの代表を父に持つ己としては、彼ほどではないにせよ能力者が売られていることに違和感を覚える程の事ではない。
ただ、流石に兵器と同質の商品として扱う事に関しては、困った様な笑みを浮かべて肩を竦めるだろう。
■イチゴウ > 「キミの予算獲得の方法によっては
ボクはキミを罰さなければならない。」
末端の兵士と言う点では彼も同義であるからか
あり得ないとは思うが一応警告しておく形。
ジョークのつもりなのかはたまた本当に注意しているのか
全く変わらない顔の表情からは読み取れない。
「存在意義。ボクの存在意義は受けた命令を行う事。
キミ達人間の存在意義は?」
機械に続いて理央は己の考え方を展開する。
その中で呟やかれた「存在意義」という言葉に
イチゴウは吸い付く様に反応して
まるで何かのモードが切り替わったかのように
何かを確認するかのように彼に対して質問する。
目に当たるカメラの視線は会場を歩き回る他の自分を見回した後
彼の紅い眼を焼き付けるように見つめる。
「人間は非合理的だ。だからこそボクは人間が好きだ。」
機械が好きと言う動詞を発すると何だか物言えない
違和感がある。しかし恐らく感情のこもったものではなく
学習の過程で定義した言葉の一片に過ぎないだろう。
■神代理央 > 「喜ばしい事に、こと個人の予算については困窮する事は無いからな。今の所、君と戦うといった事態になることはないだろうよ」
武器や兵器をPMCから委員会に売り込む事はあっても、それはあくまで合法的なもの。
友人と戦うといった悲しい事態は避けたいし、そもそも彼ほどの戦闘力を持ったHMTと戦闘などしたくもない。
「…中々難しい質問だな。君の存在意義は、生まれた時から製作者に与えられたものなのか?そうであるなら、人間の存在意義というのは存在意義そのものを追い求める事にあるかもしれないな」
哲学的な質問に答えられる程、人生経験が豊富な訳ではない。
だが、自分自身の存在意義というものを把握している人間がそうそういるとも思えない。
そうした思考を巡らせた上で、彼の言葉に悩んだような素振りを見せた後に答えるだろう。
「人間が好き、か。そう言い切れる人間が、どれだけこの世界にいるか分からないがね」
流石に彼の言葉が博愛精神や実際の感情に基づくものだとは思っていない。
だが、それでも人間が好きと言い切れるのは羨ましい限りだと、僅かに笑みを浮かべるだろう。
■イチゴウ > 「キミと戦うような事になるのはボクも避けたい。」
この問題に関してはロボットは理央と全く持って同意見のようだ。
かつて彼が委員会に所属してなかった頃に
落第街で出会い視線を交差させていたのは今となっては懐かしい。
今、彼は真正面ではなく隣にいる。
「ボクは兵器であり道具だ、道具とは目的を持って作られる。
すなわちその目的が存在意義になる。
人間は存在意義を追い求めるもの... ...。
... ...。つまり人間は作られたのではない...。...。」
コンピュータにおいて陥ってはいけないループ処理に
突入しているようだ。
展覧会を歩き回る他のHMTとイチゴウとは確実に異なる点が一つある。
それはイチゴウのAIが人間の脳を模し思考を得ている事、
それが故に合理的なプログラムで矛盾が起こる。
自由に物事を考えられないただコードの羅列のみで動く機械は
実はとても幸せなのかもしれない。
「キミは存在意義を見つける事が出来たのだろうか?」
暫く処理のためか動きを止めた後、一転して滑らかな
口調で彼に質問する。エラーは回復したようだ。
「人間は人間を好きにならないのか?」
笑みを浮かべて呟かれた深い意味を持った理央の言葉に
ロボットは至極不思議そうな様子で彼にそう尋ねる。
ご案内:「密輸組織の展覧会」に神代理央さんが現れました。
■神代理央 > 「全くだな。友人と戦う等という事になるのは、とても悲しいことだからな」
悲しい、という感情を彼はどれだけ理解出来るのだろうか。
知識として知っていることと、実際に感情を抱くのは全く違う。
だからこそ、その単語を実際に口にだして彼に答えたのだが。
「そうだな…未だ、探している最中かもしれないな。そうやって、死ぬまで存在意義を見つけられなかった者のようには、なりたくないんだが」
一瞬動きを止めた彼を心配そうな表情で見つめていたが、次いで投げかけられた言葉には、再び難しそうな表情を浮かべた後、自信なさげに呟いた。
「好きにならない者もいる、といった程度だがね。むしろ、好きにならない自由すら、人間は持ち得ていると受け取って欲しいかな」
確かに、0か1かの機械である彼からすれば当然の疑問なのだろう。
再び僅かな苦笑いを口元に浮かべ、緩やかに首を振った。
■イチゴウ > 「友人とは味方の事だ、ボクは味方とは戦えない。」
友人も味方も同じ[friend]を使う。
つまりイチゴウは友人を陣営を表す指標としてしか認識できていない。
味方と共に戦い敵を排除する、ロボットはそういう風に出来ている。
「もし、存在意義を得る事が出来たら教えて欲しい。
ボクは人間の存在意義について興味がある。」
声の調子はいつも通りの機械らしくしかしとても興味深そうな様子で
彼にそうお願いするだろう。
道具じゃない人間が導き出す存在意義。
それは如何なるプログラムも解を出せない
究極の問いだ。
「人間は可能性に満ちている。」
紛いAIは人間に興味を抱くと自分と対比することで
自分とは何か人間とは何かを明らかにしてゆこうとする。
しかし現段階では最終的にエラーを免れる事は出来ない。
知識は増えても不変のまま変化は起こらない。
「少しおしゃべりが長くなってしまった。
ボク達は今、任務中だ、任務を続行しなければならない。」
今更感漂う発言を彼にぶつける。
そもそもおしゃべりを始めたのは機械の方からだろうに。
もし談笑に区切りがつけば怪しまれないためにも一旦別れて
別々に偵察行動を開始するだろう。
任務の終了時には彼に回収してもらおうか。
ご案内:「密輸組織の展覧会」からイチゴウさんが去りました。
ご案内:「違反部活群/違反組織群」に神代理央さんが現れました。
■神代理央 > 「存在意義を得たら、か。中々に難しい注文だな。だが、まあ、そうだな。学園を卒業するまでには、何とか見つけてみるとしようか」
存在意義とは、人生の目標を定めるというものに類似するものだ。そういう意味では、父親を超える権勢を得たい、ひいては、常に支配者であろうとすることが己の存在意義なのかもしれない。
だが、そういった幼稚な発想から得たものが自分の存在意義になりえているとも限らない。今彼に告げた様に、時間をかけて見つけていくしかないのだろう。
「その可能性がどのような発展を遂げるのか、君のような存在に見守ってもらうのもまた良いのかも知れないな」
感情を持たず、理性と知性によって動く彼の様な存在によって客観的に俯瞰された人類とはどのように映るのだろうか。
そんな淡い疑問を感じながら頷いた。
「…そうだな。少し話し込んでしまった。それじゃあ、また。互いに任務が成功することを祈っているよ」
確かに、機械と話し込む少年の姿は幾分注目を集めている。
尤もそれは『購入者足り得るのか』という類の視線ではあったのだが。
彼の言葉に頷いて一度別れた後、会場の外で合流して共にキロにつくことになるだろう。
ご案内:「違反部活群/違反組織群」から神代理央さんが去りました。