2018/09/17 のログ
ご案内:「密輸組織の拠点」に神代理央さんが現れました。
ご案内:「密輸組織の拠点」に國宏一実さんが現れました。
神代理央 > 「……ふむ?随分と楽しそうでは無いか。悪者退治が過ぎて、人間を辞めるに至ったか?」

ヒトと呼ぶには余りに変貌した彼の姿に、興味深そうに片眉を上げる。
魔獣を吸収したその様は、貪欲に獲物を喰らう生物の様にも見えた。

「知識…知識ねえ。勉強熱心なのは良いことだが、付け焼き刃の知識が貴様に叡智を授けるとは思えんがな。どうにも、中間考査の教えを乞いに来たわけでも無さそうではあるが」

彼の言葉に小さく首を傾げた後、肩を竦めて首を振る。
その間に、地面から湧き出る様に召喚された金属の異形達は、主を守る様にその無数の砲身を彼に向ける。
今の所敵対行動を見せていないので、警告なしに砲撃する事は控えているが―

國宏一実 > 「誰だお前は...あァ思い出せねェ...。国はどうなった?違う...村は...これも違う!!」

記憶を辿るが自分のものじゃない記憶が次々と頭の中に湧き出てくる。
周囲の倉庫を舐めるように見渡すが、それは初めて見るもののように感じるし、既視感もある。
左半身の異形の腕をコンテナの一つに付着させれば、触れた部分を引きちぎり、吸収する。

「鉄...。あれも鉄?あれも喰えばわかることかァ!!」

目の前にいる人型生物。顔の半分を覆ったゲル状の異形の顔がニタリと笑みを浮かべる。
どの道この生物も自分の腹に収まれば理解できる。
赤黒い左腕は、まるでゴムのように伸びれば、神代目掛けて一直線につかみかかろうとする。

神代理央 > 「悪食は身を滅ぼすぞ。大体、整理出来ていないのなら幾ら知識を求めたところで無駄であろう」

此方へ伸びる赤黒く変色した腕に対して、一斉に異形達の砲火が浴びせられる。
それは質量を以て形成された砲弾のカーテンの様な弾幕と化し、接近する左腕を撃ち砕こうとするだろう。

「思い出せないのなら、思い出せば良いだろう。少し頭を冷やしてからな」

その上でパチリと指を鳴らせば、それまで拠点を制圧していた異形達が後方から重砲を次々と発射する。
本来、建造物やバリケードに向けて放たれる巨大な砲弾は、ヒュルヒュルと風切り音をあげて天空から彼の元へと迫るが―

國宏一実 > 「あぁあぁぁぁ?!餌が喋るんじゃねェ!!俺に喰われろよォ!!」

腕はビチビチと砲弾を受けて飛び散る。飛び散ったそれはシュワシュワと音を立てて消えていった。
異形側の赤黒い瞳をグリグリと回転させ、追撃は来ないかと警戒態勢に入り。

「あばァ...。旨そうなものがァァ!」

上空から降り注ぐその砲弾が来るに合わせて大量の液体を生成し、受け止め、吸収する。
受け止められた砲弾は衝撃すら吸収され、彼本体は無傷の状態だった。

「思い出す?何を?どれを思い出せば...。
これは...鉄の塊?成分の解析を完了、複製、模倣、擬態ィィィ!!」

人間の体のままである右半身の彼は顔を歪め、右腕で頭をおさえる。
どこから思い出せばいい、考えれば考える程頭痛は酷くなる。
一方異形の半身は大量の液体を生成すれば、先程吸収した弾丸と同じ質量、形状の弾丸を生成し始める。

「クソが...。俺はどこにいるんだよ...。
装填完了、行動再現、お返しだァァァ!!」

異形は笑みを浮かべれば、複製した砲弾を一斉に彼目掛けて発射する、というよりも弾き出す。
その複製数、3発。それら全ては直撃させる必要はないと彼の周囲の異形に目掛けて放たれた。

神代理央 > 「器用な事をする。とはいえ、もう少し理性を保てなければ魔獣と大差あるまい……っと」

弾き出された砲弾は、2発が2体に直撃。残りの1発も、至近弾となって複数の異形を巻き込んだ。結果として、直撃した異形はあっけなく消滅。巻き込まれた異形達も、脚部や砲身を損傷し戦闘能力が低下。
肝心の自分は狙われていなかった事と、魔術によって防御力を向上させていた事もあってピンピンしている。とはいえ、飛んできた瓦礫が当たれば痛みは無くとも不快ではある。

「…思い出せぬなら、魔獣に成り果てるのも手だぞ?何なら手伝ってやろう。要するに、貴様の人間体が無くなれば良いのだろう?」

直ぐに追加の異形を召喚するが、拠点制圧に際して大量の召喚を行っていた事もあり、鈍い頭痛がじわじわと己の思考を侵食し始める。
それを振り払う様に表情を顰めると、新たに召喚された異形達は砲塔というには幾分細い砲身を彼に向ける。
それらが金属の身体から生やすのは、敵を焼き尽くす業火を噴射する火炎放射器。砲弾に比べて破壊力は無いが、その真価は破壊力では無く――

「人間でいたいのなら、精々足掻け。化物と成り果てる様な闘争心の無い奴は好かぬ」

放たれた火焔は、彼の右半身に集中する。
それは、賭けというにはお粗末であり、別段根拠があるわけでも無い。
ただ、人間としての意識を持っている様に見える彼の右半身を危機に晒せば、彼程の男ならば気合で何とかするのではないか、くらいの考えであったが―

國宏一実 > 「俺は...どこにいる。ここも違う...!!」

無数にある記憶。異形に飲み込まれる村、国、星。
どこにも自分が見当たらない、記憶と経験が一致しない。
息が上がる、自分の中にも黒いそれが流れ込んでくるのを感じる。

「ここだけは...守らなきゃなァッ!!
さっさと半分寄越せェェ!!お前さえ喰えればこの国ごと食えるのにィィィ!!」

左半身がゲル状の液体を正面に展開し、火炎放射を防ぐが、熱に弱いのか、硬化したそれは少しずつであるが溶けてきている。
その間異形側は人間側を乗っ取ろうと浸蝕を進めてはいるが、どうにも半身以上は進まない。

「母さん...父さん...。これだ!!
クソクソクソ!!折角でてこれたのに...邪魔するナァァァ!!!」

熱されて半分ドロドロになった防壁を左腕で吹き飛ばし、散弾のようにその破片を目の前にいる相手に向けて放つ。
この男の妨害さえなければ、異形はギリギリと仮面から浮き出ている歯を鳴らす。

神代理央 > 「邪魔をして欲しくないのなら、十全の状態で私と対峙すべきだったな。宿主一人モノに出来ぬ分際で、この私に挑む等片腹痛いわ。大体、貴様よりその男の方が強いし面倒だ。暴れるだけなら、虫にも出来るぞ?」

放たれた弾丸は、己の服を引き裂き、肩を刳り、掠めた頬を切り裂く。防御に回している魔力を別のことに転用していれば、己がダメージを負うのは致し方無い事だった。

そして、傷を負いながらも高慢に、傲慢に笑みを浮かべて背後に控えた異形に指示を出す。
ソレは、己の魔力を糧に魔力の光条を放つ異形。防御に回していた魔力の殆どを注ぎ込んだ異形の砲身は、蓄えられた魔力によって淡い金色に光り輝いている。

「貴様は闘争に値しない。私が対峙するに値するのは、貴様の宿主の方だ。……或いは、貴様が宿主を飲み込めたのなら、また話は違うやも知れぬが」

金属を擦り合わせ、引きずる様な不快な金属音と共に砲身が僅かに動いた後、魔力の奔流が彼に放たれた。
周囲の物をその膨大なエネルギーで消し飛ばしながら、単純な魔力の塊となったその光条が彼に迫る―

國宏一実 > 「餌風情がァ!!俺等はお前の願いを最短で叶えてやれる唯一の存在なんだぞ!?やめろオオオオオアアアア?!
うるせぇんだよ居候にもなれねぇカス風情がァッ!!」

異形側の動きがピタリと止まる。
その瞬間、今まで動くことのなかった右腕が、顔の半分に張り付いていた異形の仮面を引きはがす。
それを正面から迫りくる魔力の塊に投げつけ、それは歪な叫び声と共に光に包まれる。

「チッ...最悪の気分だクソッ!!」

正面から迫りくる魔力弾に舌打ちをすれば、左腕にまだ張り付いていたゲル状の液体を籠手のように変質させれば。
普段と同じように拳を構え。

「八つ当たりには丁度いいよなァ!!」

自分がとったのは受けの構え、体制を低くし、魔力を逸らすように籠手で受け、全力で弾く。
ガリガリと籠手が削れていくが構いはしない、鬱憤を晴らすかのように力を込めれば、それを斜め後ろに流した。

「けっ、よう。神代。」

神代理央 > 受け流された魔力の光条が僅かに残っていた倉庫群を薙ぎ払う。
怒声も悲鳴もぱたりと止んだ空間で、ジロリと彼を睨み付ける。

「よう、じゃないわ馬鹿者が。突然現れたかと思えば出来の悪いホラーゲームの敵キャラみたいな成りになっているわ、此方に襲いかかってくるわどういう事…っつう…」

破片の欠片に刳られた左肩からの痛みに顔を顰める。
幸い出血はしていない様だが、鈍く続く鈍痛と異能・魔力を消耗した疲れで思わず座り込んだ。

「……折角の制服もボロボロだ。全く、こんな組織相手に苦戦したと勘違いされるのは実に癪だな」

鈍い頭痛と肩の鈍痛を耐える様なしかめっ面を浮かべながらも、その高慢な態度は変わらずフンと小さく鼻を鳴らすだろう。