2015/06/23 のログ
ご案内:「路地裏」にアルバート・マグナンティさんが現れました。
アルバート・マグナンティ > 落第街裏路地。
おおよそ英国紳士には縁のないであろう場所に、彼はいた。

「ふむふむ、流石に荒れておりますなこう言ったところは」

背筋はしゃんと伸ばし、決して焦ることも走ることもなく、優雅に歩いている。
その姿は、その場所を鑑みると、明らかに浮いていた。

アルバート・マグナンティ > しばらく歩いていると、路地裏を住みかとしている二級学生達から声がかかる。

『おい、ジジイ!ここはテメェみたいなのが来る場所じゃねぇんだよ!』
『お小遣いくれよ、そんなカッコしてんだから金あんだろ?』
『それよりも、コレどうだい。いいクスリだぜ…?』

明らかに金を持っていそうな、そんな立ち居振る舞い。それは、誘蛾灯の如く人を集める。
それに対し、アルバートは。

「おやおやおや……よくもまあ、お集まりいただきました」

場違いに、微笑んでいる。

アルバート・マグナンティ > 『あ?なんだよテメェ!舐めてんのか!』
『いいから金よこせよ金!』
『買ってくれよ、なあ…?』

彼の微笑みは、二級学生にとっては挑発的に見えたのだろう。
詰め寄り、金をせびろうと、奪い取ろうとする。
……その、瞬間。

                         ザシュ

その内の一人の、首が飛んだ。

アルバート・マグナンティ > 『は…?』

残った二級学生は狼狽する。いきなり、目の前で、仲間の首が飛んでいったのだ。当然の反応と言えよう。
だが、アルバートは微笑んだままだ。
不気味に、微笑んだままだ。

「ほっほ、よくぞ集まって下さりました。こう言ったところには、活きのいい若人がたっくさんおりますからなぁ」

あくまで柔和に、微笑んだままで二級学生に語り掛ける。

「いやはや、本当に……獲物に困りませんで、助かりまする」

言うや否や、また一閃。ステッキに仕込まれた剣が別の二級学生の首を刎ねる。

『な、え、おい…』
『なんだよ、なんなんだよ…!』

ようやく状況がつかめたのか、二級学生たちが一気に走り出す。

アルバート・マグナンティ > 「おやおや、いけませんぞ。このような老骨相手にそんなにあっさり背を向けては。年上に反抗するのは若人の特権、今使わずしてどういたしますか」

微笑みながら、ポケットから懐中時計を取り出す。

……その瞬間、アルバートの姿は逃げ出した学生たちの目の前にあった。

『ひ、ひぃっ!』
『なんだよこのジジイ…!』
『助けて、助けてくれぇ…!』

突然すぎる出来事の連続に抵抗する気力すらなく、命乞いをする学生たち。
それを…

「なりませぬ。君達は、このアルバートの「獲物」で御座いますからな」

微笑んだまま、鏖殺した。
ステッキが閃き、首が飛ぶ。首だけでなく、四肢も飛ぶ。体がどんどん飛んでいく。
わずか数分で、6人の二級学生の命が奪われた。

アルバート・マグナンティ > 「おやおやまったく……最近の若人は、どうにも気骨が足りない。このようなところで燻っているレベルだからかもしれませぬが、どうにも狩りの充足感が足りませぬなあ」

少し物足りなそうに、仕込み剣に付いた血を拭いながらごちる。
一切の抵抗なく殺せてしまったことを惜しむかのように。

「この学園ならば、気骨のある若人もたくさんおると思いましたのに……おや」

言いながら懐中時計を見る。結構な時間だ。

「おやおやおや、少しばかり楽しみが過ぎましたかな。しかして狩りは定期的に行わねば鈍ってしまいます故、難しくもありますな」

こんな時間になるまで獲物を探していたという事に少し驚きつつも、そのまま剣をステッキにしまい、とん、と地面を叩く。

「英国紳士たるもの、時間には厳しくありませぬとな」

そう言った瞬間、アルバートの姿はそこから消えていた。
……その場には、「狩り」の跡だけが残っていた。

ご案内:「路地裏」からアルバート・マグナンティさんが去りました。
ご案内:「路地裏」に道鉄さんが現れました。
道鉄 > ……はぁ……

深い溜息をついて、ゆっくりと歩く。
ゆらゆらと
じゃらじゃらと、手錠の音を鳴らしながら。

「……んぁ……もう無理、だめ、死にそう……」

つぶやきながら、”前に食事した”場所をあるく。

ここ最近まともな”食事”をしてない。
サプリメントは手に入るが”それだけ”だ。
栄養だけとって、満腹感なんて微塵もない。
ただただ。摂る。それだけの行為。

「なんも、嬉しくない」

しかし、ちょっと前に派手にやりすぎた。
おかげでよって来る奴は減った。
なかなかありつけなくなった。
この見た目にも、そこだけは感謝してたというのに。
やはり、我慢は、よろしく、ない……

道鉄 > どさりと、ゆっくり何も入ってない鉄製のバケツに
腰掛ける。ばこんっべきんっという音。
ギリギリで”椅子”として機能したそれ。
踏ん張って頑張って、”耐えている”バケツに
道鉄(タオティエ)は興味すら抱かない。
……じゃらっと、いくつもの手錠。
しっかりと拘束されている両手を上にあげて
足を縮めて、その輪っかで止める。
いわゆる体育座りだ。

「あぁ……本当に……」

――お腹がすいた……

道鉄 > 圧殺(たべたい)

絞殺(たべたい)

刺殺(たべたい)

惨殺、斬殺、撲殺、刺殺、欧殺、毒殺、薬殺、扼殺、轢殺、爆殺、鏖殺、焼殺、抉殺、誅殺、溺殺、食べたいタベタイたべたい他部截医……

五臓六腑に染み渡るそれを――


      食べたい


ただ、それだけを願って。
にじみ出てしまっている殺気も隠さず。
見えない、”空”を見上げる。

「……――はぁ……」

その思考は島を覆い隠し。
誰か気づいてと懇願するかのような
子供の癇癪のようにも見えて。
とても純粋な、殺意(しょくよく)だった。

そして。ひときしり”発散”すれば
幽鬼のようにふらふらと
落第街のどこかに消えていった……

ご案内:「路地裏」から道鉄さんが去りました。
ご案内:「路地裏」に磐野 州子さんが現れました。
磐野 州子 > 「これとそれとあれと―――
 後、そのパーツもお願いするです」
路地裏にある露店というのは掘り出し物も多ければ盗品紛いのものも多い。
大体州子の資金不足はここの露店の足元を見ている値段設定のせいでもある。
ただ州子は自分の研究の為には食費をも削る勢いでもある。実際に今回の買い物で2日分の食費が吹き飛んだ。

州子は自分の財布を開き、店主が設定している通りの資金を払う。
店主は何かを企んでいるかのような悪い顔をしてその資金を受け取り、
それを懐に突っ込むと州子の頼んだ商品を州子に軽く投げ飛ばす

「っとと、あぶねーですね。仮にもてめーの商品ですから大事にしやがれです」
機械のパーツと何かの鉱石を受け取ると表の商店街で買った商品が入っている紙袋に突っ込む

磐野 州子 > 店主は州子が商品を受け取ったのを見ると店じまいだ、と言って商品を風呂敷に包んでどこかへ去っていく。
州子自身今のところ欲しい物は揃えた為店主が去っていく事に何の疑問を持っていない

因みに州子は今両手紙袋装備という、いかにも買い物を楽しんできた、という見た目である
ただこれだけあるならば今の異能チェッカー君ゼロ号をイチ号にするぐらいは余裕で出来る。
その試験結果によってはすぐにニ号に出来るぐらいの材料も揃っている。

「…流石に疲れたです。」
そんな事を呟くと路地裏に良くあるポリゴミ箱に腰かけて今回の戦利品を確認する。

ご案内:「路地裏」に狭間操一さんが現れました。
磐野 州子 > 「…そういえばアレはまだ捕まって無いんでしたっけ。
 えーと、グエンです。
 この前の落第街の大通りで大乱戦してたみてーですけどピンピンしてるみたいですし、
 我妨げる者無しって感じです…流石にこの辺りでピンポイントで襲われねーですよね」
いつぞや端末から見たとこにゅーというサイトで大男の事を取り上げていたが十中八九虞淵のことだろう。
動画で見た多くの人が立ち向かっていてもあしらわれていく動画はどこか虚しさを感じる程であった

「まぁ、襲われても道連か重傷ぐらいにはしてやるですけどね」
そんなことを言いながらポリバケツで足をパタパタさせている

狭間操一 > 「………なぁ、君。」
ヒビの入った武骨な暗視ゴーグルを目に付け
あまり機嫌の良くなさそうな足取りで歩いてきては、周囲を散策していた男が一人
目に留まった磐野に目を向けると、ゆっくり歩いてきて、声をかける

「自分凄いパンクなメイクしとるなあ、ああ…
 この辺にジャンク屋、いてなかった?探してるねんけども」
不機嫌そうな態度も、話しかけた瞬間軟化し
そんな軽い調子で尋ねる
先程までここで営業していた店を探しているようだ

磐野 州子 > 狭間に声をかけられるとポリバケツから飛び降りて、
はい?と返事はするものの怪しい物を見る目でそちらに視線を向ける。
路地裏で声をかける人なんて早々まともな人はいないからである。

「あぁ…このメイクは落ちる事を知らないメイクです。質の悪いメイクですよ」
とどこか表情を強ばらせながらケラケラと笑い、狭間の質問に対して少し考えを巡らせる。
きっと先程自分の利用したジャンク屋の事なのだろう。
ここは素直に返事をしておいて損はないだろう…と州子は判断する

「あぁ、さっき州子を最後に店終いって言ってどっか行ったです。
 商品とかはそれなりにまだ残ってたですから、ここの住人特有のイヤナヨカンって奴を察知したんじゃないです?」

狭間操一 > 「そうか、トんだかぁ…しくじったなぁ…あの野郎…」
ガリ、と爪を噛む、その素振りは、何かしらの用事があった事を思わせる
少なくとも、穏便な用件ではないだろう

「そっかぁ…この辺はあまり法律さんの言うとおりに商売してない人もおるからね
 ちょっと今日はそういう業者さんに用事があって来たんやけども……
 ところで、君は…まともな学生さんなのかな?」
まあ、いないものは仕方がない、爪を下ろし
ゆっくり磐野に向き直ると

「あ、自分な、この辺でスカウトとかやってる者やねん
美人さん見かけたら、とりあえず声かけぇ言われてるねん、君、芸能とか興味ない?」
ニコ、と口元を緩ませて、アルカイックスマイルを装い、そんな風に続けた

磐野 州子 > トンだ、というのはきっと業界用語なのだろう。
州子は全く意味を理解することは出来ないが少なくともこの男はそういう業界に位置している、と見て良さそうと判断する

まともな学生?と聞かれると少し首をひねて少し考えた後口を開く
「今のところはまともな学生です。
 格好は格好ですが、まだまともに学校通ってるです」
これも素直に答える。
別に詳しい内容さえ話さなければ問題はないだろう
ましてや異能関連の研究をしているとバレたらこの男から話が広まり、目をつけられかねない。

「…は?芸能?」
美人と言われて悪い気はしないが顔が顔である為にまともに言葉は受け取れない。

「いやまぁ、スカウトっていうのは分かるです
 芸能っていうと…そのテレビとかそーいうのです?」
念のために目の前に男に確認を取る
芸能というときっとテレビに出ている芸能人の事なのだろう、と州子は考えているが、
勘違いだった場合は恥ずかしさで逃げ出してしまいそうなので目の前の男に確認を取る。

狭間操一 > 「そっかあ、いや…あまり普通っぽい服装ではなかったもんやからね
 失礼な事聞いてしまったかな、まあ気ぃ悪うせんといてな」
ごめんごめん、と手をひらひら振って謝る
謝るといっても、その顔には張り付いたような笑みだ
特に疑問は持たない、人の詮索なんてこの町で一々していたらキリがない

「そうそう、芸能。ちょいと今女優さん探してるんやけどもね
 君みたいな子でも結構喜んでくれる人おる思うねん、興味ない?」

男は風俗やデリヘル等に女の子を仲介するスカウトマンだった
芸能、聞こえはいいが、要はAVなどに誘う為の常套句だったりする

「女の子によってモザイクとかNGの幅があるねんけどもね?
 君のような子やったら、お兄さん見積もって、一本で50万ぐらいは稼げる思うわ」
ニコニコとした顔で、スカウトのセリフを続ける
50万、と言って指を5本立てて見せる

磐野 州子 > 「しょうがねーです。
 そもそも白衣一枚だけで生活するようなバカなんてそーそーいねーですから
 州子も慣れてるですからそんなに気にしなくていーですよ」
特に動じる事も気にすることもなくどこか鬱陶しそうで慣れたように男の言葉を流す。

「あーモザイク…あー…」
何かを察したかに引き攣った笑み。
但し50万ともなると州子の中では魅力的な額でもある訳だが、一つ問題があるとするならば…

「悪いですけど、州子がそういうの参加すると…なんというか、可哀想な事なるですよ?」
何がどう可哀想になるかはまだ話さないでおくことにした。
これで引き下がるならそれはそれで済む話である

狭間操一 > 「一枚なん?それはちょっと…変わっとんなぁ…うん
まあ人それぞれ…なのかな?」
流石に白衣一枚はどうかな…という気もしないでもない
でも、そういう人も居る、この町では突っ込みは野暮なのだ

「うん、大体話は通ったかな、君が契約して、稼ぐたびに
 僕にバックが10%、君の取り分が60%、残りが事務所で…」
細かなマージンの話などを進める、好感触ならどんどん押し込んでいけ
というのがこの道のやり方なのだが
ふと歯切れの悪い言葉を耳にしては

「かわいそう?それは…体のことかな?大丈夫大丈夫、君も十分女の子として良い体してると思うし
 むしろそういう跡が良いってお客さんも……それとも、何か別の事なのかな?
 そう、例えば…何か体質的な…原因があるとか…」
少し、ここで探るような声色
何かあるのかな?と、例えばそう、何か異能力がある…であるとか…だ

磐野 州子 > 「ま、その辺りの話はアンタに任せるです。
 そういう業界用語はどーしても州子には頭が痛くなる話ですから」
やれやれと言った所で男が州子の言葉が気になった様子を見るとため息をついて説明口調で話し始める

「その体質と白衣一枚なのは関係あるです。
 そもそもわざとぶかぶかな白衣を着ている時点で色々と察して欲しいものですけど…
 と、その体質、というより州子の異能を見てみたいなら州子と距離開けた方がいいですよ?
 …多分、これを見たらこの話というより州子とやりたい、って人はいねーでしょうし」
予め州子の持っている荷物をポリバケツから離した後に、
ぶかぶかの右袖を左袖越しに引っ張り、生々しい火傷痕のある右手を見せる。
離れるなら丁度座っていたポリバケツが標的になるだろう

狭間操一 > 「お金の話やね、大丈夫、そんなに難しい事ないわ
 んだけども…そやね、ちょっと話聞きたいな、君の事」

ふうん、とその様子を見て何事か思ったか
目元を覆っている暗視ゴーグルに手をかけた

「へえ、見せてくれるん?君の異能……良いね
 僕なあ、人の能力とか見んの好きやねん…」

グッ、とゴーグルを外した
左目は黒い皮の眼帯に覆われているが、残った右目は
オニキスのように漆黒の瞳だ、まるで空洞であるかのように
ぽっかりと深淵めいて覗く黒い瞳

磐野がポリバケツに視線を移す前に、この瞳と視線を合わせたなら
自分の思う出力に制御する事はできないだろう、つまり、暴走させるのだ

精神力で耐えられる人間も、あるいはいるかもしれないし
視線をそもそも合わせようとしなければ、意味はないのだが

磐野 州子 > 「おー、おー、人の異能見るのは好きなのは構わないですけど、
 自分の異能を好んでいる人だけがこの島にいるとは思わねーことですよ。」
特に男のゴーグルを外す様子だけは見るが視線を合わせず、州子の無防備な背中を見せる形になるか。

州子の異能を使う時に必要な事。それは対象に触れるだけ

荷物を爆破で巻き込まないだろう、という位置に置いた後州子が座っていたポリバケツに近付き、
ただ、少女が鍋の蓋を気にするかのようにポリバケツに触れる。
すると州子の右手が輝いたかと思いきや火薬が爆ぜたかのように辺りに爆破音が響く。
爆破音が響き終わる頃にはそこにはポリバケツだったもの、とその中に入っていたゴミが散乱している。
勿論州子の右手も焦げ臭い匂いを放っている

「…どーですか。これでもまだ州子をスカウトするっていうんです?」
ただ振り返らずにどこか悲しげに男に話しかける

狭間操一 > 「そうね、見るのは好きやね、面白いよ、人の能力って
 なんて言うたらいいかな、とても、面白いんや…フフ」
思い出し笑いをするように過去を思い出す
苦い過去もあるけれども、皆学生だ
自慢の能力を見せてくれと言ったら、反応は悪くないものだ

この少女は…どちらかというと必要だから見せている、という感じだが

「へぇー…こら確かに危険やね…それて、自分では制御できん感じやの?
 けったいな体質やなあ…今まで、苦労してきたんや…君も」

うんうん…と頷く、その為に手をすっぽり覆っていたとすれば、納得がいく
得心行ったように、近付いて
「わかる、わかるよ……制御できない能力なんて、呪いと同じや…
 どっか行ってくれと何度思ったかわからんやろな…
 無理言うて悪かったな……君の気持ち、僕はようわかるわ…僕は気にせんよ…顔上げて…な?」
慈愛を込めるような声色で、そんな言葉を落とした
危険な黒の瞳を、煌々と光らせたままで

磐野 州子 > 「他人の異能を見る分には楽しいかもしれねーですよ。
 ただその人の苦労もあるっていうのも考えて欲しいです」
はぁ、とため息をついて焦げ臭くなった右手をぶかぶかの白衣の袖に隠す。

「自分で制御出来ねーですから被害が拡大しないように異能が反応しない白衣を着て、
 こうやってぶかぶかな袖で誤魔化してるんです。
 苦労っていってもこの異能を貰ってから1年と…少しです。流石に慣れたです」

「まぁ、いまさらどっか行った所でこの痕も罪も消える訳じゃねーですから、とことん付き合わせるつもりです。
 …そういう事ですからそっちの仕事の話は……と?」
ふと男が近づいてくる気配を感じたのか急いで振り返る。
その振り返り際に男の、その常人ではあり得無さそうな瞳を見てしまう

狭間操一 > 「そうやね、この島には色んな能力持った人がおる
 能力持つっつーんは、プラスな事ばっかりやないわ、持ってしまったからこそ
 気味悪がられる…そういう事もある、人は自分と違うものを怖がるもんやからね」
それは、わかる、それは飾らない心だ
だけど、その苦労ってのが知りたい

能力で悩む人を見るたびに、どんな苦労をしてきたのか
思い出して顔を曇らせるたびに、何ともいえない充足感を感じられるのだから

「そうか……罪、重ねたんだ、大変やったなぁ……」
視線が…合った
ここでその瞳が、その精神に訴えかける
能力が勝手に暴発するのか、あるいは
過去に遭った自身のトラウマなのか
「どんな罪なのか…是非聞かせて欲しいわ」

この目は、それを強制的に引きずり出し、思い出させる

磐野 州子 > 「プラスな事ばかりに使ってる奴は羨ましいです。
 そのまま健康的な生活を送ってほ、しいです…?」
男と視線が合うと州子の表情がすぐに曇っていき、眼鏡の向こうの瞳もあちらこちら、と視線が定まらない状態になる

「罪…罪…いや、あれは事故です…薬を飲まされて…州子の母さんの身体が吹き飛んで…
 その様子を見て父さんが州子を抑えこもうとした拍子に抵抗して父さんの頭が…ア、アァァァッ!
 違うの州子は…悪くなんか、悪いのは薬を作ってきた男で…」
ぽつりぽつりと州子の記憶の中を吐き出すようにトラウマを呟いていき、
力無くその場で膝をついてうわ言のように違う、違うと呟き続ける。