2015/06/27 のログ
ご案内:「路地裏」にブリガンテさんが現れました。
ブリガンテ > 学生通りや歓楽街を表と表現するのならここや落第街は裏と呼ぶべきだろう。
人目から離れたここは取引を行うのにおあつらえ向きである。
そんな表の光から隔絶された暗闇の中で動く五つの影。それらは一つの個であるように集団で行動しているのだ。
ふと、その集団の先頭が軽く手を挙げ後続に止まるよう指示を出す。

ブリガンテ > 「アルファよりコマンダー、本日も空振りだ。」

報告を行い、返ってくるだろう指揮官の言葉を待つ。

『……そうか、何でも用意できる商人が居ると噂を耳にしたが
アテが外れたな。』

彼らは武器弾薬を求め、路地裏に居るとされる商人を探しに来ていたのである。
しかもただの弾薬ではない。反超自然兵器<虚弾 ホローポイント>を求めているのだ。

ご案内:「路地裏」にカルマさんが現れました。
ブリガンテ > 不法入島者と区別される彼らに後ろ楯は無く故に補給線も無い。
ほぼ全てを現地調達で賄わなければならない彼らにとって裏の商人達は命綱なのだ。
彼らなくして作戦行動は行えず、彼らなくして情報も得られまい。
アルファは考える、これからどうするべきかを。

カルマ > (落第街において異常発生。実働部隊が駆り出されたのはおもに火事場泥棒や混乱に乗じたテロの事前の制圧。住民の避難だった。
 具体的な発生用件は教わっていなかったが十分だった。
 女は完全武装にて外れにいた。あくまで学園における暴動の監視と万が一の際の鎮圧と言う目的のためであり、まさか武装した集団がいるなどとは考えては居なかった。路地裏に差し掛かりあたりを見回す。)

「平和なもんねえ」

(つまんないと路傍の石ころを蹴っ飛ばす。
 『風紀委員』の腕章がきらりと光る)

ブリガンテ > 路傍の石ころの音に気付きカルマへ振り向く一同。
見られた、しかも風紀委員とは厄介な相手である。
完全武装している様から何かしらの案件で駆り出されたようだ。

「…………。」

その声に応えようとはせず値踏みするように観察をするに留めた。
相手の意思を確認するべきだろうと判断したのである。

カルマ > (5人組。同一の背格好。装備。特殊部隊という単語が頭をよぎる。
 この常世学園において武装した人間など珍しくも無いが、五人もそろっているとなると話は別だった。
 風紀委員の腕章を指で強調しつつ、五人組に歩み寄っていく。)

「はぁーい市民諸君(ジェントルメン)。こんな場所で何かお探し~? いま向こうのほうがドンパチ賑やかだから外出控えろって通達あったじゃない? ちょっと本部のほうまで来て話聞きたいなーっと」

(うそかまことか。女は無言の五人に歩み寄っていく。
 ようは任意同行で引っ張ろうと言うつもり)

「妙な真似してみ。吹き飛ばすゾ」

(両手を「フリーズ」しなさいと指を突きつける)

ブリガンテ > 見たところ武装している点を除けばただの人間のようだが、長年の勘がこいつは危険だと警鐘を鳴らしている。
そして指を突きつけつつこちらに歩み寄ってくるカルマを一瞥し、アルファは全員に手で合図を出した。

「……!!」

カルマに一番近い二人が襲い掛かる。
護身用に拳銃程度は持ってきてあるが風紀委員相手にその手は使えない。それが原因で指名手配なんてもってのほかだ。
故に彼らはナイフを取り出し格闘戦で制圧しようと試みる。
まずは様子見と言わんばかりに柄で肩と足元を狙った。

カルマ > 「お、お?」

(素直に応じてくれたら仕事が楽――楽しくないが――になる。
 五人組に歩み寄っていったところ反応は思った以上に楽しいことになっていた。武装はナイフ。襲い掛かってきたのは二人組。女は口の端をニィと持ち上げてメガネをとった)

「ほほっーッ!」

(花の咲くような笑みを浮かべて奇声をあげた。
 襲い掛かる二人組みのナイフ格闘のうち、一方を拳で受け流す。足元を掬わんとする一方を膝を跳ね上げて手首をそらすことで完全に勢いを殺す。
 ズダン――地面に小規模なクレーターを穿ち、踏み込む。脚力と重心移動すべてを乗せた背中による体当たりを繰り出し、二人まとめて吹き飛ばさんと)

ブリガンテ > やはり只者ではない、身のこなしや身体の使い方を見て思う。
訓練されている人間を相手に互角に渡り合っているのだから。

体当たりを自らの身体を回転させる事でいなしつつ勢いを利用して肘鉄を繰り出す。
もう一方はいなしきれずそのまま壁へと吹き飛ばされてしまい意識を手放した。

カルマ > (命中。本来ならば相手の体勢を崩し、連続技を叩き込むための伏線に過ぎない。
 「二の打ち要らず」を示す一撃は一人を宣言通り吹き飛ばすことに成功したが、一人にはかわされた。武装と異なった機敏な動き。顔面へと指向された肘鉄が鼻にぶち当たる)

「うぶっ……!」

(出血。制服に血液が滴る。
 距離を取るべく大地を蹴るとコンクリートを盛大に滑りつつクラウチングスタートに近い姿勢で止まった。距離は数十mはあろうか。
 鼻を拭うと、ぽたぽたこぼれる血を指で掬って舐める)

「んもー鼻血なんてカッコワルイことしてくれんね君ら!
 ……うーんゾクゾクする」

(起立。とん、とん。足でリズムを刻み指を相手に向けて挑発のしぐさを取る。
 挑発に乗るような相手とも思えないが)
 

ブリガンテ > 距離を取った判断は正しくさっきまでカルマが居た場所を掌底で打ち抜いた。

「(速い、そして迷いが無い。)」

肘鉄が顔面に命中した後の正確な判断と追撃を許さないその機敏な動きに心の内で賞賛した。
そしてカルマの誘いに敢えて乗り、駆け足で一気に距離を縮めそのままの勢いで正拳突きを繰り出す。

カルマ > 「お兄さん話がわっかるー!
 話って拳同士の言語ね」

(挑発に乗ってきた。乗ったのか、乗ってやったのかはわからなかったが、戦えると言う実感が女に深い幸福感を与えてくれる。風紀委員の仕事が脳内からすっぽ抜ける。
 身を引いたことで敵の攻撃を運よく回避し、)

「っとぉッお気に入りのブッとばしてくれちゃう!?」

(男が肉薄してくる。女は動かない。
 いっそすがすがしいまでの正拳を上半身をそらしてかわした途端に髪飾りに拳がかする。髪飾りが飛ぶ。さらば相棒。
 女の瞳に光が宿った。
 低い姿勢からの半時計回りの強烈な回し蹴りを男の頭に放る)

ブリガンテ > 速さを乗せた正拳突きを紙一重で避けられる。
判断能力、機敏さ、そして胆力それらも兼ねそろえているとは。

「ぐっ!?」

回し蹴りを辛うじて腕で防ぐが、その強烈な一撃に思わず声が出て腕が痺れてしまう程である。
成程、先の肘鉄の返礼というものだろうか。
そしてじりじりと、後ろに下がっていくのだ。

カルマ > 「ちっ」

(渾身の力を込めた回し蹴りを防がれるも、腕にはあたったことは違いなく。すかさずバックステップを踏み構えなおす。お次はおそらくもっとも古い武術であろう「取っ組み合い」に適した体を前傾させた姿勢にて。
 相手が後退していく。追いかけるべきか。追いかけないべきか。
 戦闘の余波か三つ編みに編んでいた髪の毛がブツっと嫌な音を立てて普通のロングヘアへと戻っていく。髪飾りを吹き飛ばす一撃のせいだろうか。
 女は鼻血で酷い顔のまま相手に両手を「歓迎」と言わんばかりに肩の高さで広げて歩み寄っていく)

「カルマさん、屈服させられたらその人に何でもする主義なんだよね。どう、私をボコボコにしてみたくならない? 逃げるならいいよ。風紀委員がこのへんうろついてるから逃げ切れるなら」

(鼻血プラスギラギラとたぎった瞳。髪は広がっており見るものをドン引きさせかねない姿で言う)

ブリガンテ > カルマが両手を広げなおもこちらに歩み寄る姿に不気味さを感じた。
まるで戦い自体を楽しんでいるようにも見える。彼らは無意識の内に彼女に呑まれつつある。
それを理解してなお挑まなければならぬのか。

「…………。」

もはや手段は選んではいられまい、全員で対処するしかない。
様子見していた3人も加わり、カルマと睨み合いを続ける。

カルマ > (魔術は知らぬ。異能など無い。先天的な才能もなかった。
 寄って殴る。たったそれだけで犯罪者を始末してきたのだ。ゆえに相手が大多数だろうとやることはひとつだけ。
 距離を詰め渾身の一撃を叩き込むのみ。
 女は純粋に楽しそうに笑っていたが、眼が据わっている。)

「4対1? 本気でかかンないと怪我するよ」

(構えを変更。右手を前、左手を腰へ。空気を掻く。右足を軸として極低空を跳躍し滑るようにして移動を行う。姿勢は構えのまま、相手にはまるで距離だけが突如変更されたように感じるだろうか。)

「ふふふ………はあああああっ!!」

 勢いをすべて乗せて、一撃を――相手のすぐ前の地面へと放つ。衝撃波により大地がめくれ粉々になった岩礫が4人へと襲い掛かるだろう)

ブリガンテ > 我々を狙う一撃が来る、そう思っているところで意表を突いた一撃。
粉々になった破片に思わず顔を逸らしてしまうか腕で防ごうとする。

カルマにしてやられた、機先を制されたと思った。
少なくとも一瞬……一瞬ではあるものの、隙を与えてしまったのである。

カルマ > (小爆発。岩のシャワーが4人へと襲い掛かる。回避できなかったのであれば礫の直撃を受けることとなり、視界が遮られることとなろう。
 女が知らぬ異能や技術がはたらいていなければ――であるが)

 「――――――シッ!!」

(踏み込み。
 革靴の底が勢いのあまり変形する。砂が衝撃で揺れる)

「刈り取るッ」

(歯の隙間から息を吐くや、敵の真っ只中に向かい右肘の薙ぎおよび左肘の薙ぎのコンビネーションを繰り出さん。全員巻き込めなくてもいい。一人でも昏睡させられれば数的優位を大きく崩せる。)

ブリガンテ > 『刈り取るッ』この言葉を耳にし、防御姿勢を取ろうとするが時既に遅し。
無防備状態の二人が左右の肘を使った薙ぎの犠牲となった。

「がっ!!」 「ぐっ!」

その激しい衝撃で脳を揺さぶられ、あっという間に地に伏せてしまうだろう。
ほんの一瞬がこの事態を招いたのだ。4対1という人数差をあっという間に2対1にしてしまったのである。

カルマ > (3人を撃破。残りは二人だけ。
 攻撃直後の隙を減らすために、肘を叩き込んだ反動でバックステップを踏む。
 構えなおす。反撃があれば話は違っただろう。銃を使えば少なくとも動きが制限されただろう。がよりによって女の得意分野で挑みかかってきてしまっては思う壺だった。
 二人のどちらにしようかなと指で交互に指し示し、こちらから見て右側の人物に人差し指を突きつける)

 「きみに決定。せっかくあるなら銃使えばいいのに」

(腰にぶら下がっているであろう銃をあごでしゃくる。アドレナリンの分泌によって女は酔ったようになっていた。指を右側へと固定して最初と同じように挑発せん)

「こーんな遊んでる間に風紀委員の子達来ちゃうよ。目的なんて知らないけど、いまあの辺の事件のせいでピリピリしてんの。OK?」

(女が示したのは例の大事件があった方角。実動部隊は治安維持のため動いているのだ。きっと徹夜どころの騒ぎではない。不審者へのお調べは普段より熾烈になるだろう)

ブリガンテ > 「…………。」

それでも男達は銃を抜かない。いや、抜けないのだ。
最初から銃で牽制しては撃つ意図がないと見抜かれて意味がなくなってしまう。
かと言って発砲してしまえば十中八九散らばっている風紀が集まってしまうだろう。
要はタイミング、タイミングなのだ。今はまだ、その時では無い。
そして残った片方が指名される。死神に、だ。

男達は構えを解き両腕をだらんと下げ、カルマへ歩み寄る。
先程までの訓練された格闘術とは違う異質な姿勢、一歩また一歩とその足は速度を増し最終的には駆け出してくるだろう。

カルマ > 「わかりやすいの大好き。愛してる」

(突きつけた指を変更。親指をあげて歓迎する。
 ごちゃごちゃ抜かすより拳で語るほうがわかりやすい。
 二人が一斉にかかってきたが、姿勢がおかしい。言うならば獣のような。真に殺意を持った人間が型を捨てて攻撃を仕掛けてくるような。
 野生の第六感とでも言おうか、危険のにおいを察知する。
 魔術? 異能? 数の利を生かした包囲殲滅か。
 女は構えを解かずじっと待つことにした。息を吸い込みゆっくりと吐き出す。青き瞳を見開いて状況を見極めようと)

「こいっ!」

(さあ、どう来る?)

ブリガンテ > 二人は縦に並び走っている。互いの間合いではない距離で先頭が太もも辺りに収められていた投げナイフを抜きそのまま投擲する。
尚も距離を詰めつつもう一本別の刃渡り20cmくらいのしっかりとした造りのナイフを抜き逆手に持ち横方向に薙ぐ。

後ろについている方は近づいている間右手に拳銃を、左手にナイフを握った。
そして先頭が注意を引いている間に回り込もうとするのだ。

カルマ > 「おっ」

(投げナイフ。金属製のそれがまっしぐらに向かってくるのを見た。かわすことはせず、ナイフの柄を拳で叩いてあらぬ方角へと弾き飛ばす。わずかな隙を見つけ男一人が肉薄していた。逆手持ちの一撃。)

「―――つ、ぅ……」

(左腕が切り裂かれる。血液が玉となりて空中に飛び出す。左腕を大きく振り回すと、反動を利用して右腕を蛇のようにくねらした。狙いはすなわち男の頭部側面からのジャブ。成功してもしなくても、背後に回り込もうとする男への対処にはどうしても時間を要するだろう)

ブリガンテ > 「アアアアア!!」

振り切った腕をそのままに攻撃を避けようともせず、さらなる一撃を与えんと突き進む。
己というものを捨てた姿勢はまるで死兵の様で攻撃を受けた上で肉薄し、逆方向へ腕を戻す。
自然とナイフを突き立てるような形になるだろう。
そして二人目がその横から左手でナイフを突き出す。

カルマ > (ガツン。拳をたたきつけた感触。頭蓋骨の奥まで損傷を与えかねない衝撃が腕に伝播した。たとえ防具があろうとも女の側面からのジャブは正面からやってきた男を昏睡させるであろう。
 迫るナイフ。ほぼ同時に二回攻撃。どちらかをかわさねばならない。対処できるのは一回の攻撃のみだろう。
 女は正面からの攻撃への対処を選んだ。相手の腕の中に強引に腕をねじ込み関節の動きを制御する。武道に置ける『受け』と同じ。ナイフの切っ先は女の頬を掠めるにとどまった。
 ――が。)

「…………っぐ………」

(横合いから伸ばされたナイフが女のボディーアーマーの隙間を縫って腹部へと侵入していた。
 女の姿勢が一瞬よろめくが、)

「お、おおお……いったああああいっ!!」

(逃げ延びる。絶叫をあげてその場から全力で距離を取るべくナイフの刺さっている向きとは逆向きに跳躍した。ナイフがすっぽ抜ける。女はあわただしく受身を取ると、横っ腹を押さえて残る一人へ向き直った)

「ふふ………クソ痛い。でも、まだやられない」

(傷ついた左手で穴の開いた腹を押さえ、右手で構えを取る。血液は手からこぼれ地面へと滴っていく。)

ブリガンテ > 1対1のサシとなり、互いに正面向き合う。なんて恐ろしい女だ、と心の内で愚痴る。
多少、油断があったとは言えここまで被害を受けるとは。

「……見事だ、その戦いぶりは賞賛に値する。
だが、その傷では厳しいだろう? そこで提案がある。」

初めて口を開き、カルマへ提案を持ちかけるのだ。

「こちらもこれ以上は消耗したくないのでね、痛み分けという事で見逃して貰えないだろうか?
その代わりにこちらからは応急処置できるキットを渡そう。」

カルマ > 「引き分け……? うーん」

(男が始めて口を開いた。傷口のことも忘れて考え込む。
 損傷は左手の裂傷。腹部の穴。ほかになし。が出血は激しく戦闘を継続できるとも思えなかった。相手の数を残り一人まで減らしたことは十分な戦果だが)

「しょうがないなあ………なんかヤバイ事件に関与してる重要参考人あたりとして引っ張るつもりだったけど、お兄さん強いしこの辺にしとく」

(構えを時、さあ早くしなさいと言わんばかりに手を伸ばす。キットをよこせば受け取ろう。出血で頭がクラクラしてきたようで、呼吸が早い。いずれにせよ相手を止めることはできない)

ブリガンテ > 「交渉成立だ、受け取れ。」

そう言って救急キットを投げ渡し、最初の体当たりで吹き飛ばされた兵士を起こす。
そして二人で協力して残りの兵士を抱えカルマの脇を通り立ち去るだろう。

ご案内:「路地裏」からブリガンテさんが去りました。
カルマ > 「サンキュー」

(キットを受け取る。相手が去るまでは何もしないでおく。相手が去るや否やぶっ倒れる。仰向けに)

「くぅぅ……久々にきくぅ……」

(治療しなくては。仲間を呼ばなくては。思いつつも動けないでいた)

カルマ > (端末を取り出して仲間の番号へとセット。通話開始と同時に現在地を調べておく。)

「もっしー。うん。カルマ。妙なのに襲われて刺されちゃった。うん。あーそうね死なないと思うよ多分。あとよろしく」

(通話終了。上半身を起こすと上着を脱ぎボディーアーマーを取る。ビジネススーツのシャツを上に上げる。治療キットの消毒液をとりあえず半分かけて傷口を洗浄し、手早く包帯を巻きつける)

「いてて……」

(内臓には刺さっていなかったようだった。ごしごしと涙を拭う)

カルマ > 「……楽しかった」

(恍惚としたやわらかい笑みを浮かべる。
 強い人にあえてよかったと呟くと治療を再開する。仲間が駆けつけてきたのは数分後のこと。
 負けたならばとにかく、引き分けになった以上事実は報告書としてあげられることになるだろう。)

ご案内:「路地裏」からカルマさんが去りました。
ご案内:「路地裏」に薄野ツヅラさんが現れました。
薄野ツヅラ > ───カツリ、カツリ。
つい先刻失った「彼女」と出会った其処に、彼女は居た。
人通りの少ない朝の落第街の路地裏。
何時だったか、『一般生徒』として公安委員の仕事に茶々を入れようとしていたのを覚えている。

「───随分と昔のことみたいだけど、まだまだ最近なのよねェ」

ぼんやりと呟きながら、廃ビルに足を踏み入れる。
取り壊される寸前のビルの階段を、カツリ鳴らしていく。

ご案内:「路地裏」に薄野ツヅラさんが現れました。
薄野ツヅラ > のんびりと、自分のペースで階段を上る。
さて何段目になったかと云ったところで、目の前の階段は途切れる。
ビルの屋上に続く、鍵の掛けられていない扉。
ギイイ、と独特の金属音を立てながら扉を押し込む。
開いた隙間から、暗いビルに灯りが差し込む。
眩しそうに目を細めて、其のまま一気に力を入れる。

「ンッンー──……やっぱりこうじゃあなくっちゃねェ……
 あくまでボクは"落第街"の人間。
 こう云う場所の方が落ち着くあたり正義の味方なんて向いてないんだと思うわぁ」

────雲一つない晴天。
真っ青な空が近くなったように感じる。
落第街の廃ビルの屋上で、薄野ツヅラは上機嫌に空を仰いだ。

薄野ツヅラ > そんな正義の味方に成り切れない彼女は、歌うように言葉を紡ぐ。
今はもう居ない「彼女」に届けるように。

云いそびれた「ありがとう」と一緒に。
「彼女」から受け取った魔術の欠片を、風に乗せるように。
さながら吟遊詩人のように目を瞑って言葉を綴る。


其れは、呪文であり────祈り。

ご案内:「路地裏」にスラッシュさんが現れました。
薄野ツヅラ >  
 
        『───巻頭歌』

     『───胎児よ 胎児よ。』
 
      『───何故躍る。』

 『───母親の心がわかっておそろしいのか。』

   『───お前の母は、人を喰らった。』

   『───為らばお前も人を喰えよう。』


───ジャラリ、左手には漆黒の鎖が。
 
       
                       

スラッシュ > 扉に手をかけたところ、先客の存在に気付いたのか、踵を返してその場から去った。
ご案内:「路地裏」からスラッシュさんが去りました。
薄野ツヅラ >   
  
        『───幕間歌』

    『───ああア──アア──あああ。』
 
     『───右や左の御方様へ。』
            
   『───右には彼女の愛した秩序を。』

   『───左には彼女の犯した叛逆を。』

  『───堂々巡りの思考の海に目眩を落として。』


───カチャリ、右手には純白の鎌刃を。


                       

薄野ツヅラ > 謳うように言葉を紡ぐ。
「彼女」が振るう大鎌程ではないが、其れを幾らか小さくしたような純白の鎌刃と漆黒の鎖。

両手を大きく広げて、安心したようにふんわりと笑顔を浮かべる。
「彼女」のオリジナル、『万物を切り裂くアダマスの鎌』を思い浮かべながら。
彼女の双眸が、「彼女」の双眸と同じように赤く、血のように赤く輝く。

───「彼女」の奇跡を喰らったんだ、出来ない筈がない。

薄野ツヅラ >  
 
        『───巻末歌』
              
 『───顕現せし万物を喰らうクロノスの鎖よ。』
               ドグラマグラ
     『───言葉を綴るは堂廻目眩。』
            
    『───胎児は果たして夢を見るか。』

  『───アア、《私》はいったい誰なんだい。』

『───教えておくれよ、《彼女》がそうして呉れたように。』


───ゆらり、幽鬼の如く。
   ────白い死神のように、血のように紅い双眸を煌々と煌めかせる。
       ────白い死神の名を冠した、彼女の置き土産たる其れを振るう。

────『万物を喰らうクロノスの鎖』
 
 
                       

薄野ツヅラ > 詠唱を、終える。

彼女が振るうことでしか為し得なかった正義を、自分は縛ることで為す。
見た目以上に、彼女の武器はものを云う。

『万物を切り裂くアダマスの鎌』を親に持つ『子』は、徐々に彼女の手に慣れていく。
ずっと前から傍に在ったかのように。
大粒の涙を溢しながら、今日も彼女は笑う。


「アァ───出来たよ、お嬢さん」


昨日から幾ら泣いたのかも数えられない。
されど、どうしても「彼女」を思えば胸が苦しくなって。
其れ故にこうして、見ているかも解らない「彼女」に話しかける。

薄野ツヅラ > 屹度、其れももう最後であるのだろう。
十分もう「彼女」に届いていると思った。

「彼女」が憧れた公安委員に。
法の番人として、「世界」を守るような存在に。

───屹度もう、為れると思ったから。

召喚した鎖を、屋上から地面に放り投げる。
落ちる直前で其れは、ふわり風に呑まれた。

薄野ツヅラ >  
 
 ────公安委員会直轄第二特別教室所属『前室長補佐代理』

        ────活動名『クロノス』


消えた彼女の残滓は、遺志は。
今も、彼女のことが大好きだった後輩に。
世界で二番目に彼女のことが大好きだった後輩の中に、今も生きている。

                              
                             

薄野ツヅラ >  
 
 
  「おやすみなさい、先輩」



カツリ、杖を鳴らす。
廃ビルの屋上を、早足で後にする。公安の業務はまだまだ残っている。
大好きな先輩が暴れたせいで書く羽目になった始末書も2割も終わっていない。

終わったのは『クロノス』の物語だけだ。
他の組織はまだまだ息をしていれば、何一つ解決していない。

────其の終わりの先を、薄野ツヅラは、綴る。

薄野ツヅラ >  
 
 
────物語は、未だ始まったばかりなのだから。


                        

ご案内:「路地裏」から薄野ツヅラさんが去りました。
ご案内:「路地裏」にスラッシュさんが現れました。
スラッシュ > 「はぁ~あ、別に落第街って第3演習場じゃないんニャけどニャ~…。」

昨夜の惨劇の後を通り過ぎ、暗い路地の中へ、ムラサキの縦ロールの女がトランクを引きながら歩いてきた。

「ったぁく、この街に面倒ゴトば~っか持ってくる。ま、ウチとしてはこういうバトルモノみたいなメチャクチャな展開は大歓迎だけどニャ☆
…これで正義のワンコ共が増えなきゃいーんだけど。」

1人でわんわん、と鳴いておどける。
夜の落第街、どこかから聞こえる喧嘩の声に紛れて古いビルの壁に響いた。

スラッシュ > 突如立ち止まる

誰に突っ込まれるでも無く

「む、虚しくなんて無いし。」

とポツリと呟く。
珍しく羞恥心を感じたようで、少し頬を赤らめる。

人がいないか周りを確認すると、また当てのない散歩を始める。

スラッシュ > 「しっかし大人しくしてろ~ってゆーから大人しくしてるってのにぃ、自分がおとなしくしてニャーとは中々なヤツだニャ。」

この間、公安に言われた言葉を思い出し、なんだかむかっ腹がぷんすか。
尻尾を掴まれたからこそ、現在は縮小営業はおろか、最早ただのお話相手探しのお散歩だ。

「やれやれ、やっぱやってらんねーのニャ~」
とタバコを咥える。

ご案内:「路地裏」に洲崎さんが現れました。
洲崎 > おやぁ猫ちゃぁん、暇そうだねぇ♪

【タバコを吸っている紫髪の少女に声をかける
何だか見るたびに色の変わっている髪の毛が最近面白く感じてきた】

どーしたんだい猫ちゃん?
僕ではよくないだろうけど話は聞くよ♪

スラッシュ > 声がすればくるりと回って洲崎さんを見る。
「ナァ~ンダ、洲崎かニャ~??」
お呼びじゃない、とでも言いたげな渋い顔をして、いつものトランクに腰掛ける。

「あ、でぇもぉ~、この間のデートは、す~っごく、感謝してるにゃん♡」
とウィンク。
媚び売りまくり。

洲崎 > それは良かった~♪
ホントに……

【あの後の生活費集めを思い出し少し溜息】

あれだけ払ったんだから、もう2,3回はデートしてもらうよ♪

スラッシュ > 「もちろん☆
何回でも行ってあげるのニャ~♡」
猫の様なポーズをして、笑って見せる。

「金さえ出ればニャ♪」

洲崎 > あんなに払ったのに酷いにゃ~ん…

【悲しそうな声で答えながら】

猫ちゃんはそんなにお金集めてどうするの?
欲しい物とかあったり?

スラッシュ > 「ひっひっひ~、こっちも払わなくてもい~や~なんていわれちゃったら困るのニャン☆」
けらけらと笑いつつ、今更タバコに火をつける。

「金を集める理由ぅ~~?
そんなもん、理由無しで集めちゃいけないモンかニャ??」
と紫煙と共にだるそうに吐き出す。

洲崎 > 料金設定が高すぎるよ~

【ぐすん、と目元をこするような動きをして】

猫ちゃんって漠然と欲しいから集めてるって感じがしなかったからさ~

リスクを冒してまでお小遣い稼ぎなんて、珍しいなぁって思ったんだ♪

スラッシュ > 「別にそんなこた無いニャ。
金さえあれば何でもできるなら、とりあえず持っておきたいってダケだニャ。
少なくとも今は理由何てないニャ~」
ふー、と洲崎さんの顔に向けて煙を吐くだろう。

「料金設定はぁ、アレはトランクの修理代だーって言ったはずだニャ?
デート代は10分の1くらいのお値段だから何度でも頼むがいいニャ♡」
打って変わっていつもの営業スマイル。

洲崎 > そーなんだ、じゃぁ良かった♪

えー…そのトランクどんだけ高いの~?
頑丈だとは思ったけどパッと見どこにでも売ってそうなんだけど…

あ、じゃぁまた頼もっと♪

スラッシュ > 「まーいわゆるマジックアイテムだしぃ、防弾機能やらもろもろついてるからお高くなってもしかたねーニャ。
コイツのおかげでボクも命救われてんだニャ。しかたね~にゃ~~」
やれやれ、のポーズ。

「ま、またアタシのトランクを盾にでもしなけりゃお安くしといてやるニャ♡」

洲崎 > やっぱ、気にしてたのね…

【苦笑いをしながら答える、あの時盾に使ってたのがばれてたか…
と思いながら】

うーん…そういえばさぁ、猫ちゃんって普段どんなもの売ってたりするの?

スラッシュ > 「気付かない訳ねぇのニャ。」
チッと舌打ちすると、洲崎さんを睨む。

「あと、その話題は今タブーだニャ。
公安に尻尾掴まれたらしーしニャ。」
苛立ちが伝わるだろう。

洲崎 > 公安に?

ハハ、そんなの放っておけばいいさ♪
公安なんてもう沈みかけの船みたいなもんだしね、容疑者の脱走に昨日の大規模テロ。
ホント、そのうち潰れちゃったりしてね♪

【公安を恐れるスラッシュを見て面白そうに笑う】

スラッシュ > 「昨日幹部が原因で戦闘やらかしたって噂は効いたけどニャ。
容疑者の脱走?
・・・ふふふ~、意外と会えてよかったのかもしれないニャ~洲崎さん♡
詳しく聞かせるニャ、場合によってはデートの2回くらいはタダにするニャ♡」
今までの何処か影の在った表情は吹き飛んだ。
新しい玩具でも買ってもらえたような、無邪気な笑顔を見せている。

洲崎 > 詳しくかぁ…でもまぁ、デートができるならいいかな♪

ちょっと前にさぁ、研究区で頬の巨人が暴走するって事件があったんだけどね?
その時に元ロストサインの大物を逃がしちゃったみたいでさぁ♪
僕も最初に聞いた時は焦ったよ…それに、最近ここら辺にも元ロストサインがうようよしてるって話だよ♪

スラッシュ > 「ゲ、ロストサイン…。言ってオレ様も詳しくは知らないんだけどニャ。」
ロストサイン、入学してしばらくで滅んだ違法部活・・・だったか。

「もしかしてそれ、公安がロストサインっていう面倒なヤツらにおきかわっただけじゃないかにゃ??」

洲崎 > それはどうかなぁ…僕としてはロストサインと言うより、西園寺ちゃんも
クロノスちゃんも自分の意思で動いた気がするんだよねぇ♪
でもどっちも少し誰かがちょっかいかけたっぽいけど…
元ロストサインのやり方にしては少し大人しいんだよね♪

スラッシュ > 「正直どっちだろーと商売ができりゃ関係ないんだけどニャ。
で、何が言いたいんだニャ。
ロストサインが陰で動いて危うそうって話か、
公安が内部で問題起こしてるって話か。」
小難しい話は苦手だニャ、と腕を組み上から目線。

洲崎 > そうだなぁ…じゃぁわかりやすく言うとね…

公安は公安で、そしてロストサインはロストサインで危ないって事かな♪

【とてもあいまいな答えを述べる】

今も落第街で元ロストサインの…うーん、たぶん殺刃鬼の子だね♪
それが暴れてるらしいし?
公安も公安で何かを隠してるみたいだし…やっぱり自分の身は自分で守らないとなぁ♪

【スマホを取り出して楽しそうに眺めている】

スラッシュ > 「じゃー結局アブねーってコトじゃねーか!!
何も嬉しくないのニャ!!
ざっけんじゃねーのニャ!!」
何だか全然期待してない答えにツイツイ声を荒げる。
まだ冗談混じりだが。

「コレで公安も風紀も人数が減ればいいケド、どうせ警備がふやされるってだけのオチにゃ!!
やってらんねー!!!」