2016/02/16 のログ
ご案内:「路地裏」にラウル・ゲレロさんが現れました。
ラウル・ゲレロ > 歓楽街から東へと入れば、そこは常世島の闇。
そして、ただでさえ危険とされる落第街、その大通りから外れた
路地裏ともなれば、そこは幾多もの悪意渦巻く伏魔殿にも等しい。

「あいよ確かに。ほら、こいつだ。
 ニューデリーの闇市が出どころの上物だ。」

そんな一角で、見るからに危険なタトゥーだらけの半裸の男が、
常世学園の生徒らしき少女から金を受け取り、紙袋に入った何かを代わりに手渡す。

「あんまり一気にヤるなよ。ケツから血が出てバレるぞ。」

ほんの1分ほどの短い取引が終わり、一目を気にしながら去る少女の背中に声をかければ、
返ってくるのは『うるせー、バカ』と、かわいげのない返事。

「はァー、まだ半分もサバけてねえや。
 こりゃあオーストラリアあたりの市場に持ってったほうがまだマシかねェ。」

ラウル・ゲレロ > 「しっかしこの所、久々に捌いてんなァ。
 ガキの頃を思い出すぜ。コロンビアの裏路地もまぁ、こんなだったやな。」

『本国』ではある程度の地位を得て、手ずからブツを捌くなどといった
アシのつきやすい行為はいつごろからかしなくなったが、まだカルテルの勢力が
及んでいないこの常世島では別だ。

とにかく、人でも銃も、商品ですらたりない有様。
立っている者は親でも使え、という言葉もある通り手が足りない以上、自分も動く必要がある。

「あーあ、クアラルンプールとか……バンコクあたりにいきたかったねェ。
 そうすりゃ今頃もっと楽だったろうに……。」

この常世島への『出張』は異能持ちの自分を危険視した体のいい厄介払いなのだろう。
海を越えて東アジア方面へと手を広げるならばバンコク、クアラルンプール、ホーチミン、ホンコンなど
いくらでもよい商売どころがあったはずだ。

(ま、気楽でいい……と思う事にするかね。)

しかし実際、こちらでは『本国』の目も届かない分やりたい放題ができる。
常世の風紀警察どもはそれなりに厄介だが、やりようはいくらでもあるだろう。

ご案内:「路地裏」に風間理音さんが現れました。
風間理音 > 普段はあまり着ていないせいか、ほぼ新品の制服を身に纏い、
異能を使って姿を隠しながら、ふらりと路地裏へ入る少女。

周囲を見回し、人影が無いことを確認してから異能を解除すると、
ゆっくりと歩き出し。

「―――げっ」

道を曲がったところで、見るからに怪しい男の姿に気付き。
一瞬、こちらを見たような気もする。
だからといってここで引き返し、不審に思われるのも面白くない。
制服の上着のポケットに手を突っ込みながら、何食わぬ顔で通り過ぎようとするものの。

周囲のガラクタでただでさえ狭くなった道に、男が絶妙な位置に立っているせいで、通りにくい。
その上、男は動く気配もなく。

「…そこ、通りたいんだけど」

仕方なく、そう声を掛けた。

ラウル・ゲレロ > 「あ~、なんだってェ~ッ?」

柄にもなく、過去の事を思い出し思索にふけっていると
ふいに女の声が聞こえた。最初は、先ほどブツを捌いてやった少女が
戻ってきたのかとも思ったが、そちらに目を向ければ別の日本人が、
こちらを見ている。

「つまりこういう事か?俺が邪魔だ、と。んで、ここをどいてほしいと。」

どいてやってもよかったが、
自分より二回りは下であろう小娘の言葉をほいほいと聞くのも、
それはそれで情けない。

「それなら、俺はこう答える。シンプルな答えだが、ヤだね。」

大人げない答えかもしれないが、知った事か。
俺は、俺のやりたいようにやるのだ。

風間理音 > 大人げない。実に大人げない。
返ってきた言葉に対し、露骨に面倒そうな表情を浮かべると、近くの木箱に寄りかかり。

分かりやすく「欧米人のはぐれ者」といった風体の男の姿を眺め、口の中のアメを転がし。
特に何かをするわけでもなく、暫しその場に居座ると、

「じゃあ、どうしたらどいてくれる?」

どうせ目的地に着いたところで、何をするわけでもない。
危ない目に逢うのかも知れないが、すっかり感覚は麻痺してしまっている。
少し挑発的な笑みを浮かべながら、男の顔を見やり、小首を傾げて見せた。