2016/05/24 のログ
ご案内:「路地裏」に悠樹臨助さんが現れました。
悠樹臨助 > 「しかし、マジで治安悪いんだなここ……常世に来る前とどっこいどっこいじゃねえか。」

ここも常世なんだけどな、そうひとりごちながら、顎に掌底を当てて昏倒させた男を路地の脇へ避ける。
自分が絡まれたわけではないが、下手をすれば死傷沙汰になりそうな喧嘩が目の前で繰り広げられてたので止めざるをえなかったのだ。
それも一心不乱の大乱闘てとても話など聞きそうにないので実力行使だ。

「能力だけじゃなくてチャカにドス…何組の抗争だよ全く。ともあれ、この島には入手ルートがあるのはわかったな」

そう、わざわざ悪名高い地域に足を運んだ理由は武器の確保——ひいては武器の確保ルートの確認、である。
この島で然る時に引く引き金をいつでも引けるように、備えておく。

「そんな用事、ないに越したこたぁないが……何かと物騒なのがなあ」

例えば今の喧嘩のみたいなのがまたどこで起こるかわからない。
そしてそれを知ったなら自分は動かずにいられない。
機械のように。
機関のように。
動かずにはいられなくなる。
それが唯一の——自分を人間たらしめるモノ(よくぼう)であり、人らしからぬと追放されたモノ(ありさま)だ。

ご案内:「路地裏」に鞍吹 朔さんが現れました。
鞍吹 朔 > 「……また先を越されたかしら。」

路地裏の奥…おそらくは、向こう側から歩いてきたのだろう…から、声が響く。
暗闇の中には、何も居ない……
いや、居る。うっすらと、黒い女生徒の制服が揺れているのが見える。

「こんばんは、いい夜ね。貴方はこんなところで何をしているのかしら。
 返答次第では、ここが貴方の最後の夜よ。」

女生徒の影は、少しずつはっきりとしてくる……
その右手に、クナイ状のスローイングナイフを持っていることも、見えてくる。

悠樹臨助 > 声の鳴る方へ向いた。
建物の間にいるからだろうか。他には何も認識できないからだろうか。
闇の中、その声と、その刃の煌めきが、強くその存在を示している。

出で立ちは、あたかも闇の暗殺者、と言ったところか。

「随分物騒だな。最後ってのはここの土踏むのが…って意味じゃあ無さそうだな。」

無為な諍いも、無為な命の浪費もごめんだ。
処刑対象から逃れる為にも、先ずは彼女の目的を推測しよう。

先を越されたか、彼女はそう言っていた。
足元には物騒な輩が転がっている。
ここは治安の悪い路地裏。

状況証拠から考えて、結論は導かれた。
彼女は——

「必殺仕事人ってところか。恨みをかってない…とは口が裂けては言えないが。やらかした悪さはこっちで償わせてもらう。ああ、これからそういうことをするつもりは毛頭ねえよ。」

鞍吹 朔 > 「…………。」

闇の中、その声と、刃の煌きが

消えた。

何も残さず、その場から消えた。この世に、最初から存在しなかったかのように。虚空へと掻き消えた。
黒い闇の向こうには何もない。ただ、飲まれそうなほど黒い闇が

「嘘は言ってない……とは断言できないわね。
 だったら、貴方は何故ここに?貴方はここで何をしていたの?そして、何をしているの?
 「ソレ」はこちらで処分するつもりだけど。」

声とともに、再び煌めきが現れる。しかし、それは先程の一瞬前より近く。
その目は、白と黒のオッドアイ……
否。右目が、奇妙なほど白く濁っているため、そう見えるようだ。

悠樹臨助 > いかなる業(ワザ)だろうか。
或いは闇の中にいるから、思わず夢でも見てるのか。
彼女と自分の間の地が、縮んだ気がする。

三度投げられた声が伝える彼女の在り方から、どうやらそれは目眩ではないらしい。

「なに、探し物だよ。目には目をってな、常世だって物騒だし、もしも危なさそうなのに目ぇつけられたらおっかねえだろ。自衛手段にデリンジャーでも仕入れようかってね。で、そんなとこ初めてくるもんだから、こんな危なさそうなところに迷い込んじまったのさ。」

迷い込んでしまったのは間違いではない。実際このスラムのような地域の右も左も不明瞭のが自分の現状だ。

「そんなわけだから刃を納めてくれないか?そいつで"誰かの肉を切る必要性はどこにも無いだろう"?」

念の為、ここで誰かを殺さないでほしいとも、伝えておく。

鞍吹 朔 > 「………。」

ふぅ、と溜息をつく。
そして、ナイフの握り方を変える。指で挟むようなものから、逆手へと。

「それは信じてあげる。
 迷い込んだのも、自己防衛のために武器が必要なのも。
 私も、このナイフは自己防衛のためって名目で持ち歩いてるわけだから。
 でもね。」

そして、再びその姿が掻き消える。まるで、ぷつんとテレビの電源を切ったかのように、一瞬で。

「"誰かの肉を切る必要性"は、私が決めることよ。」

そして、同じく再びその姿を表した。
地面に転げ気絶した男に、ナイフを突きつけている。

悠樹臨助 > 「………。
……そいつらが何したのか知らねえし、さして興味もねえけど。ましてや庇うつもりもねぇが。然るべき罰ってのは個人が与えて良いもんじゃあねぇんじゃあねぇのか?」

正義なんて形の定まらない刃を誰もが振るうなら、そしてそれを誰もが認めるなら。
誰もが言ったもん勝ちのチャンスを掴もうとするだろうし、そうなれば世が混沌とするのは必然だ。
法が意味を為さないからな。

「ま、多分ロクでもねえことやってるんだろうなって懸念は分かるからよ。その獲物適当に壊して警察組織にでも突き出そうぜ。」

地域そのものを見て見ぬ振りは出来ても、見せつけられた悪まで見逃しては警察組織の信用も落ち、彼らにとっても害となる。

「見た所、あんた多分人殺し慣れてるだろ。容赦なく首に向けられるしな。死んだ人の身体って結構重たいけど、処理するのも慣れてるだろうからさ。それ警察署まで運ぼうぜ。あれ、ここの場合風紀委員か?」

どっちだっけ…などと暫し思案する。

事が起きれば、いつでも動けるように、水面下で構えておきながら。

鞍吹 朔 > 「…………。
 だったら、集団が与える正義の正気は、法の正気は、一体どこの誰が保証してくれるのかしら。
 人を殺し、血肉を喰らい、脳症を啜って生きているような『墨袋』に、処分以外の結論なんて無いわ。」

淡々と言い放つ。その目には、何の光も見えない。
どろどろと濁っているような、ごうごうと音を立てる闇の穴のような。

「そもそも、この落第街は治外法権。ここで起こった事件なんて、証拠がなければ適当に揉み消されて終わるのがオチよ。
 それが許されるのかしら。死と悪を巧妙に撒き散らすゴミ共が許されるかしら。」

しゃっ、と音を立てて反対側の手でナイフを投げる姿勢で構える。
片方は男の喉に突き立てたまま、もう片方は臨助の脳天を見据える。

悠樹臨助 > 「食人鬼かよ、表現まで猟奇的か。」

そんなツッコミはさておき。

「アンタの正気だって何が保証するわけでも無い。正気を保証する正気も、構造もねぇよ。もちろん集団の正義に対してもな。正義は大勢と同義なんだから当然だろ。

こちとらそんなに頭が良いわけじゃねえ、ダブった不良学生なんだ、
面倒くせえ話してないで、さっさとつれてこうぜ。

そんなに殺す必要あるってんなら証拠持ってんだろ?どっかの集団の抗争なら、ま、揉み消されるかも知れないけど。多少物騒なチャチな諍いなら、目の前に突きつけられちゃ見て見ぬ振りしてられねぇだろ。信用が損なわれるしな。常世の警察組織は、武器を持ち出した危ない喧嘩を止めちゃくれねえってな。
……あぁ、最寄りの警察署に連れてくつもりはねえよ。そりゃ多分ムジナだろうからな。」

さて、あんまり回らない口も頭もこれでもかと回転させた。
まあまあ納得できる理由だって述べられたと思いてえけど…この前も自信満々でセクハラしたしやっぱり自信はねえな。

行き過ぎちゃいるがこいつは正義感に溢れたいい奴…なんだろう。
これで刃ァ納めてほしいもんだ。

鞍吹 朔 > 「…………。」

胸ポケットから、手帳を取り出す。
それをぱらぱらと捲り……ある一ページでそれを止めた。

「薬物の販売、及び購入。暴力団への加入。幼児から青年への暴行、等。
 ……仮に、警察組織が腐ってるようなら…賄賂や、権力に屈するような警察組織なら、そこから出てきた直後に殺す。
 それが飲めるなら連れて行ってもいいわ。」

口調は硬い。
おそらく、正義感にあふれているのは間違いない。
良い奴なのも疑う余地はないだろう。
だが、心が鉄なのだ。硬すぎ、また強靭すぎる。やり方に妥協がなさすぎる。

悠樹臨助 > 「精々、善良な警官であることを願うよ」

彼女の提案に承諾する。
しかしまた、絵に描いたみたいな裏の住人だなこいつら。

「最悪、武器の不法所持で月出せるように獲物も持ってこうぜ。よっと…」

男ども担ぎながら、自分も提案する。

鞍吹 朔 > 「……そうね。本来なら私のような存在が居ないことが一番いいのだもの。
 ここの警察は有能だけど、きっとこっちにはもっと有能な『墨袋』がいるんでしょうね。」

どこか皮肉っぽい口調でそう言って、身長の問題でずるずると引きずるように男を運ぶ。
途中で男の靴が脱げた。

「その時は指紋がつかないようにね、面倒だから。
 とはいえ、こいつらが無能力者だったら正当防衛のために武器を持つことは許可されてるし、あんまり期待はできないわね。」

妙に実感の篭った言葉を吐きながら、そのへんの銃を掴む。
念のため銃弾は抜いて、ポケットに仕舞っておく。
ちなみに手には革手袋が。

悠樹臨助 > 「あ、そんな法もあるんだったか…」

よく考えりゃ、異能が使えるんならそっち使って抗争してるわな。
戦闘向きじゃ無いが異能を持ってるかも知れねえが、まぁそれでもだろう。

「なら嵩張るだけか。つってもほっとけねえしぶっ壊しとくか。」

鞍吹 朔 > 「逆に言えば異能持ちだった時の物的証拠にもなるから、持っていくのは正解だけど。
 その時は殺す時の無力化の手間が省けたと思いましょう。」

どうにも剣呑な思考である。

「お好きなように。
 ただし適当に貰っておくなんて言うのは却下するわ、窃盗罪だもの。
 たとえここが治外法権だとしても、ね」

悠樹臨助 > こっちとしては殺さず危険分子の処理ができればいいので、ぶっちゃけ捕まえるだけの罪さえあれば余罪の追求は必ずしも必要じゃねえんだが…それはこちらの都合だ。
この鋼鉄の刃のような女はそれを許さないだろう。

「人を見たらコソ泥と思えってか?随分と教育が行き届いてるみたいだけど疲れないか?心配しなくても盗らねぇよ。」

鞍吹 朔 > 「ここはそういう場所だし、私はそういう人間だから。
 人を見たらまず疑ったほうが、後々面倒がなくて済むわよ。」

ふぅ、とどこか疲れたようにため息を吐く。
ずるずる、ずるずると表の交番へと運び、そのうちたどり着くだろう。