2016/05/25 のログ
■悠樹臨助 > 「そういう場所だ、っつーのは、否定しねぇけどさ」
あぁ、なんなんだろうなぁこいつ。
なんでこんなに頑ななんだ。
いかにも疲れてそうな、そんな風に見えるこの女を見る。
何処かがすでに無理をしてるんだろう。
彼女の持つ機能に合ってない。
彼女の心に合ってない。
硬さ故の負荷が、強靭さ故の反作用が。
こいつにダメージを与えてる。
それはつまり、中身はさほど強靭では無いということだ。
鋼鉄というより、甲冑か。
「……まぁ、なんだ」
甲冑きるなら見合った中身が必要だろう。
背伸びしていきなりガチガチの奴を着込むもんじゃ無い。
「観念も理想も、…あと顔も。
ガチガチ過ぎるぜ、アンタ」
ところで、人を柔らかくするにはどうしたらいいんだろうか。
褒めりゃいいんだろうか。
そう言えば、褒める時はちゃんと褒めろとこの前言われた。
その時は失敗してセクハラに終わったが、そのまま成功を収めず諦めていいものじゃあ、無いだろう。
「アンタ、可愛いんだし、柔らかい表情した方がみんなの受けもいいと思うぜ。」
さぁ、追試の採点は如何に。
俺の鈍い感性が早速赤点を告げてるが、気のせいだと信じよう。
なおそういう本人は終始無表情である。
棚上げもいいところだ。
■鞍吹 朔 > 「………。」
じろり、とその顔を見る。
じろりと睨んだその右目は、白く濁り果てていた。もはや、まともに物が見えているかも怪しい。
それに加え、右目の周りには大小深浅様々な傷跡があった。
「余計なお世話。」
相も変わらず、あまりにも硬かった。
たとえ、鋼鉄の甲冑を着込んでいるだけの少女であっても、その強さが偽りでも。
これだけ頑ななのに、何か理由があったとしても……それを、自らが妥協することは出来ないのだろう。
「名前も知らない人間の顔を評価するなんて失礼な男ね。
練習と採点なら他の人にしてもらったらどうかしら。
私が採点するなら赤点だけど。」
それはともかく、悲しいくらい対応はセメントだった。
■悠樹臨助 > 「不良学生だからな。あと女見たら礼儀としてナンパしとくのがイタリア人を先祖に持つうちの家訓なんだ。気ィ悪くしたなら謝るよ。」
あんまり気に止めて貰わないように、口先で冗談をでっち上げる。悪りぃなイタリア人。
残念ながら赤点だったようだ。
人を褒めるって難しい。
自分がどう褒められたら嬉しいのかも思い出せないのだから、他人を褒められないのは、当然なのかも知れないが。
「つーわけで、お情けで名前の一つも教えてくれねぇか。戦果ゼロじゃ寂しいだろ。
ナンパ抜きで、あんたとはまぁ…顔合わせるのはこれっきりじゃなさそうだ。」
有象無象ひしめくとはいえここは所詮小さな島内。
縁が何かと強くなりやすい。
本人の意志と関わらず、だ。
この鉄筋コンクリート女だって、いずれ誰かと繋がって、またセメントを練り直すのかも知れない。
誰かとは、そうであってほしい、と思う。
■鞍吹 朔 > 「もうちょっとマシな嘘を付けるようになってから口説くようにすれば、少しは難易度が下がると思うわ。
嘘じゃなかったらごめんなさい、イタリア人が先祖に居るとは思えないほど口説きの才能がないようだから。」
普通にバレたらしい。
相も変わらずのセメント対応である。
「……朔。
鞍吹 朔よ。覚えても覚えなくてもいいわ。」
すっかり呆れたように目を閉じて、交番の前に背中に背負った男を放り出す。
疲れたとでも言いたげに、肩を回したり乱れた服を払って直したりしている。
■悠樹臨助 > 「才能ねえか。じゃあナンパはこれっきりにしとこう。」
セクハラといいナンパといい。
俺は人を褒めようとすると女に嫌な思いしかさせないのだろうか。
その気がなかった分タチが悪い。
無邪気な邪気というのは邪悪なもんだ。
「名乗ってくれるんだな。俺は悠樹臨助だ。こっちも忘れても構わねえよ。」
その真っ白なオッドアイを見る臨助の瞳も塗りつぶしたような黒だ。
硬いといえば、棚上げにしかならないような。
客観的に見れば似たような目をしてる…のかもしれない。
■鞍吹 朔 > 「そうしてくれると、私以外の世の女性達も安心するんじゃないかしら。」
そこら辺で寝転んでいる男たちを見て、はぁ、と大きくため息をつく。
その後、ポケットに入った銃弾と銃を取り出し、男のそばに置いた。
面倒を起こしたくないのか、とりあえずさっさと帰りたいという心情が見て取れる。
「……そう。それじゃあ忘れたわ。」
お互いに、何も映さないほどに黒い黒の目を突き合わせて、何も映らない瞳を見る。
いやに、自分と似た眼だと思った。
■悠樹臨助 > 「肝に銘じる。
ワガママに付き合ってもらって悪いな、鞍吹。」
突き出して話をつけるのは、後でこちらがする事だ。
もう夜も更けてしまった。これ以上付き合わせるのも、よくないだろう。
「じゃ、後はこっちでやっとく。そろそろ帰った方がいいぜ、鞍吹。」
■鞍吹 朔 > 「……ええ、そうね。悠樹さんも、面倒なことにならないように早く帰ったほうがいいわよ。
これが終わったら、速やかに。」
仮に、このことがバレでもしたら。
……おそらくは、彼が所属するマフィアたちに、悠樹臨助は狙われることになる、かも知れない。
そうなったら、非常にまずい。一般人を巻き込むわけにはいけない。
「……無茶はしないでね。……それじゃあ。」
ご案内:「路地裏」から鞍吹 朔さんが去りました。
■悠樹臨助 > 「…無茶するな、か。こっちのセリフだぜ、それ」
然るべき機関に、小競り合いとして男達は突き出した。
然るべきというには多くのものを取りこぼした対処が成されるだろう。
生きていれば、そして他の誰かも傷つかなければ満足な程度の意識しかない俺にはそれで十分だった。
何もかもを拾う、それを目指し続けるのが人間にできる関の山。
完全は見えずとも完全の輪郭が見える、それゆえ完全になれない、人間の。
完全じゃなければ無意味なのは、それは人間じゃなくて道具の感慨なのだろう。
「……アンタは人間だといいんだが。」
そうじゃなかったとしても、誰にもそれを間違いなんていう筋合いはないのだろう。
■悠樹臨助 > 流星は無いが、取り敢えず心中で、人間たる事をねがう。
人間じゃ無いと追い出された身だが、届くだろうか。
ご案内:「路地裏」から悠樹臨助さんが去りました。