2017/01/12 のログ
ご案内:「路地裏」に常夜 來禍さんが現れました。
常夜 來禍 > (白の少女と静寂しか存在しない、しなかったはずの路地裏。そこに一匹の『獣』が飛び降りる。
 壁の上から肉片の流す血溜りへと降り立つと、周囲と獣の赤銅色の体毛に飛沫が散る。
 体の造形は確実に狼。だが、その生態に見合わない巨躯と、熱気とも感じるほどの体熱。人がこれをただの動物でないと理解するのに、秒すら必要としないだろう。)
 
(狼は地鳴りのような唸り声を発して、少女を睨み続けている。なにやら彼女を『獲物』にふさわしいか、品定めでもするようにして。)

柊 真白 >  
(すん、と鼻を鳴らす。
 この島は匂いが多すぎる。
 他に類を見ないほど様々なモノがいるらしい。)

――血の匂いに寄ってきた?
食べるのは良いけど、身元が分かるようにして。

(そこへ降り立った狼へと顔を向ける。
 品定めのような視線はさらりと流し、今しがた死体に変えた男を指差して。
 せっかく終えた仕事だ。
 死体の身元が分からなければ、その苦労が台無しになってしまう。)

常夜 來禍 > (少女の指差す方向は狼の後方、両分されて間もない屍肉。
 彼女の指につられてそれを見やると、狼は先ほどから漏れていた粘り気の強い唾液をさらに口から垂らして眺む。
 
 そして、勢いよく喰らいつこうとする。もちろん、彼女の都合など構うわけがない。
 静止を受けなければ、骨の髄、否骨までを平らげるであろう。)

柊 真白 >  
(狼が飛びつこうとした瞬間、その進路上へと刀を割り込ませる。
 並の動体視力では抜刀の動きを捉えることは出来ないであろう速度で。
 抜き打ちを掛けるためのものではなく、ただその動きを遮るための抜刀なので、刃は狼の方へは向けていない。)

待て、ステイ。
――全く、躾のなってない野良犬じゃあるまいし。

(両者の間へ身体を割り込ませ、狼の頭を軽く撫でようと手を伸ばす。
 その後で死体へと歩み寄り、刀を振るって納刀。
 神速とも言える速度で振るわれた刀は、死体の首を上半身から綺麗に切り離した。
 それを脚で横合いに転がし、それを隠すように自身の立ち位置を変える。)

よし。
食べていいよ。

常夜 來禍 > (餌を見つけた狼の爛々とした眼に、一筋の剣閃が映りこむ。
 そうして狼は静止する。はっはっと息を荒げて。
 ―――つまり、彼にはその一太刀が見えた。と、言えるのだろうか。
 
 伸びた手をまじまじと見つめ、眉間の上部にそれが触れるや否や、目を細める。
 そうして一連の解体作業を尾を振り首を振り、「よし」とコールがかかるなり死体にかぶりつこうとする。)
 
(もし何ら障害なく完食ができれば、狼のくすみのある赤銅色の毛は徐々に落ち、鋭く尖った爪や牙は縮んで、
 人間らしい色をした肌や、牙とは呼べるべくもない犬歯に変化することになるだろう。)

柊 真白 >  
(室外機に腰掛けて、文字通り貪るように死体を食い荒らす狼を眺める。
 さぞかし腹が減っていたのだろう。
 見る見るうちに男の死体は頭を残して綺麗に無くなった。)

野良犬にしては匂いが混ざってると思ったら。
――話、出来るの?

(座ったまま脚で男の頭を踏み付けながら、人の姿へ代わっていく狼――狼男へ声を掛ける。
 話が通じるか通じないかは大事だ。
 暗殺なんて事を仕事にしているが、争いごとはあまり好きではないのだから。)

常夜 來禍 >  
(四足歩行から、二足でのしゃがみ体勢へ。狼頭は眉間に皺の酔った青年顔に。
 だが、唇や歯に付いた人血はそのままに。人一人を呑み込んだ巨躯の赤狼が彼であることを示している。)

―――あぁ。最悪の気分だが、どうも喋れるようにしてくれて、ありがとよ。
いきなりで悪ィが……水、持ってねえか。嗽をしねえと、喉がイガつくんだ。

(右の拳を力なく額に当て、機嫌悪そうに目を強く閉じる。
 人の身ではないとはいえ、死肉をひとつ残らず喰い尽した。その事実は変わらない。
 嗚咽を堪えながら、青年は少女に水をねだる。)

柊 真白 >  
水。
――待ってて。

(室外機から立ち上がり、通りの方へ。
 確か路地を出てすぐのところに自販機があったはずだ。
 そこで水を買い、戻って彼へ差し出す。)

はい。
――食べたくないなら、食べなきゃいいのに。

(無表情のままこてんと首を傾げる。)

常夜 來禍 >  
(戻ってきた少女から水を受け取り、大きく広げた口の上でひっくり返してはそれを吐き出し、を三度繰り返す。
 そして獣の体毛交じりの腕で口を拭い、一息つく。)
 
食べたくなくても食うんだよ、俺の『餓狼』は。
空腹が俺の意識を上回って、ただの獣に成り代わられる。そういうヤツなんだ。

(ふん、と鼻を鳴らして無表情の顔から目線を逸らす。)

で、お前はそのおっさん、どうして殺った?

(少女の足という支えを失い、室外機の前にごろんと転がったシャレコウベを顎で指し、殺生に執着しない、無感情な声で尋ねる。)

柊 真白 >  
ふうん。
その割には、躾がなってた。

(止めればちゃんと止まった。
 詳しくは知らないが、その餓狼とやらの度合いによるのだろうか。)

仕事。
組のお金を使い込んで逃げてたんだって。

(頭の元へ戻り、それをサッカーボールのように踏み付けてゴロゴロ転がす。
 首から下は無くなってしまったが、首から上があれば問題あるまい。)

常夜 來禍 >  
曲がりなりにもヒトなモンでね、エサにできる相手は選んでるんだろ。
その刀がわが身に届く限り、簡単にゃ喰い殺せない、とでも思ったんじゃ? なんてな。

(くくくと底意地の悪い笑い声をあげ、残りの水を飲み干して立ち上がる。)

ほー。依頼されたのか。いいね、信頼があって。
―――さて、水ありがとな。まだ腹減ってるし、そこらの奴を喰い殺さねェうちにとっとと出ていくよ。水の借り、またどっかで返すわ。

(じゃ、とだけを残して、血の滴る路地裏を抜けようとする。)

柊 真白 >  
人の殺し方は良く知ってるけど、狼の殺し方はあまり知らない。

(どこかずれた返答をして、立ち上がる彼を見上げる。
 立ち上がった彼とは頭一つ分以上の差があるのだ。)

それで食べてるから。
信頼は大事。
――じゃあ、何かあったら頼る。

(立ち去る彼には目もくれず、死体の頭を蹴って血だまりの真ん中へ。)

常夜 來禍 >  
ん、それはそう、だろうな……。

(狼の殺し方か、それとも彼女の仕事への信頼の話についてか。対象が曖昧な納得をする。)

そうしてくれ。用ができたら転移荒野を訪ねろ……つっても、見つからないことのが多いがな。

(半笑いのまま戯言をほざく。
 そして、後ろ向きに手を振って路地の暗がりを抜け、彼は明るみへとその姿を消していく。)

ご案内:「路地裏」から常夜 來禍さんが去りました。
柊 真白 >  
転移、荒野――わかった。

(頭の中にこの島の地図を思い浮かべる。
 ぼんやりとしか思い出せないが、なんとなく場所は分かった。
 そうして去っていく彼を見送り、改めて血の海に転がる頭へと目をやる。
 このままにしておけばまたどこの誰に食べられてしまうか分からない。
 スカートの中からスタングレネードを取り出し、ピンを抜く。
 後ろに放ると同時に跳躍し、壁を蹴ってスタングレネードの効果範囲から逃れて。
 爆発音を聞きつけて風紀委員が来る頃には、自身は現場から離れているだろう――。)

ご案内:「路地裏」から柊 真白さんが去りました。