2017/03/11 のログ
ご案内:「路地裏」に百鬼さんが現れました。
百鬼 > 今夜もやる事は変わらない。殺して、殺して、ただ殺す。殺人鬼と何ら変わりは無い。
強いて違いを挙げるのならば、依頼人が居て金を貰うか否か、という程度か。
殺しに誇りも無ければ厳格なポリシーがある訳でもない。唯一、あるとすれば仕事以外の殺しは避けるという事。

――もっとも、それもただ面倒だからという理由で殺す事に躊躇などは微塵も無い。

路地裏の一角、辺りに散乱する首と胴体を断ち切られた死体の数々。
それを作り出した張本人は軽くその光景を眺める…黒い革手袋に握るのは刃の無い柄と鍔だけの刀。

「………こんなものか」

依頼主から聞いていたより数は多かったが…オーダーは皆殺しだ。それはきっちり完遂した。
死体を処理する前に、懐から携帯を取り出してカメラで死体の群れ…と、リーダー格の男の首を撮影。
送信を手早く完了し、携帯を懐へと収める。…しかし、後処理が面倒だ。

ご案内:「路地裏」に百鬼さんが現れました。
百鬼 > 「………面倒だ」

口癖になりつつあるその一言を、仮面の奥で漏らしながら死体の群れに左手を向ける。
無造作に何かを払い除ける仕草をすれば、急激に死体が干からびたように水分が失われていく。
物の数秒で全ての死体がミイラの如き有様になれば、最後に指をパチンと鳴らす。
次の瞬間、全てのミイラ化した死体が一瞬で全て砂の如く崩れ去ってしまう。
地面や壁にべったり付いていた血痕すら跡形も残らず消えており。

「………。」

仕上げに、クイッと左手の指先を上に向ければ、元・死体だった砂塵が舞い上がり夜空へと拡散していく。

…後には何も残らない、何時もの路地裏の光景がそこにある。
証拠隠滅は本当に面倒だが、この程度は徹底しておかないと足が付くと面倒なのだ。

ご案内:「路地裏」に柊 真白さんが現れました。
柊 真白 >  
(そこに居合わせたのは偶然だった。
 ちょうど死体が塵になるまさにその時、路地裏の奥から顔――白い面に覆われて顔は見えないのだが――を出す白い影。
 その光景を眺め、次に視線は一人残る彼の方へ。)

――。

(異様なまでの気配の少なさ。
 目を離せば忘れてしまいそうな存在感。
 それらは自身のものとよく似ており、だからこそ、)

――同業者?

(そうだとわかった。)

ご案内:「路地裏」に百鬼さんが現れました。
百鬼 > 「………。」

全身を外套で覆い、フードを目深に被る姿はまるで隠者か死神のようで。
フ…と、白い面で覆った顔がそちらへと向けられる。
慌てるでもなく、何時もの調子で仮面は淡々とした物腰のまま一言。

「………その面…成る程、意外と出回っているらしい」

まるで独り言のようにボソリと、仮面の奥でくぐもった声を発する。
認識阻害の面の効果もあり、男か女かいまいち把握できない声だ。
声の高い男性のようにも、声が低い女性のようにも聞こえるかもしれない。

柊 真白 >  
(性別がどうにも判別しづらい声。
 その気持ち悪さに面の下で僅かに目を細める。
 どうにも気持ちが悪い。)

この街に来てから、依頼が被ることが多い。
――あなた?

(依頼を受けた配意が、既に標的が死んでいた。
 そう言うことが何度かあった。
 これまでの街でもそう言うことはあったのだが、この街はそれが少し多いように感じる。
 とは言えこれだけの闇がある街も珍しい。
 そう言う意味では仕方が無い事なのだろうと思いつつも、彼がそうなら何かしらの対策は必要だろう。
 その対策がどちらに転ぶかは彼次第ではあるのだが。)

ご案内:「路地裏」に百鬼さんが現れました。
百鬼 > ゆらり…と、体ごと完全にそちらへと向き直る。白面、そして黒い外套。
それぞれに特殊な術式が施され認識阻害や気配遮断の効果が付随している。
それを差し引いても気配や存在感は薄い。見た目だけならこれ以上ないくらいに特徴的、ではあるが。

「…………さぁな。ただ、こちらも標的が既に始末されている事が何度かあった。
………ならば、お互い様という事だろう」

同業者である事は察している。それに別に隠す理由も無い。
面倒なのは、この後の流れ次第で今ここで殺し合いになる事だ。

…報酬も無い無駄な殺し合いなど、それこそ面倒でしかないのに。

柊 真白 >  
そう。

(やはりそうらしい。
 自身だけでなく彼――彼女かもしれない――もそうだったと言うのなら、彼の言うとおりお互い様なのだろう。
 元より彼に責任を、と思っている訳ではない。
 むしろ依頼をブッキングさせた誠実で無い依頼者が悪いのだ。)

なら、今後そう言うことが無いように決めておいた方が良い。
――あと、あなたにその気があるのなら、私とあなたの両方に依頼を出した依頼者の名前も聞きたい。

(今後そう言うことがあっても困る。
 ならば依頼を受けた時点で連絡すれば良いだけの話だ。
 また依頼者の名を聞くのは報復のため。
 舐めた態度を取る輩には、それなりの対応をしてやらねばなるまい。
 ――もちろん、彼にそう言うつもりが無いのなら無理にとは言わないが。)

百鬼 > 「………。」

白い少女の提案に、右手に握ったままだった柄と鍔だけの刀を外套の裏に仕舞い込む。
態度は物静かで、仮面で表情も伺えないが…少女の言葉を検討しているかのようで。

「…………いいだろう。依頼被りで報酬がパァになるのはこちらも困る」

数秒の沈思黙考の後、徐にそう静かな…矢張り男女どちらとも付かぬ声で提案を呑む。
依頼者については、リスクとリターンを仮面なりに頭の中で秤に掛けていく。…結論。

「……前提条件が一つ。教えても構わないが報復には私も噛ませて貰う。
……スラムを拠点に活動している組織…『百鬼夜行』のリーダー…『黒鵺』という男だ。
最近落第街にも麻薬取引などで勢力を伸ばしている新興勢力だ……覚えは?」

もし、彼女に覚えがあるならブッキングさせた張本人であるのは確定だ。
こちらとしても、このような事態が続くのは避けたいのもあり報復するなら協力はする。

(………この少女なら単独でも不可能ではないだろうが、ヤツも慎重な男だ…)

なら、頭数は多い方がいいだろう。

ご案内:「路地裏」に百鬼さんが現れました。
柊 真白 >  
提案。
連絡先を交換する。
お互いにヘルプを要請する事も可能になる。

(どうやら話の分かる人物らしい。
 ならばと早速その手段についての提案を。)

構わない。
――頭目の名前に覚えは無いけれど、その組織から仕事を請けたことはある。
他には?

(被った仕事は幾つかある。
 こちらも被った仕事を請けた人物や組織の名を二三挙げ、情報交換を。)

ご案内:「路地裏」に百鬼さんが現れました。
百鬼 > 「………ああ、構わん」

本来は依頼主などとしか連絡は取り合わないのだが、今回は貴重な例外だ。
それに、殺し屋同士で情報を共有するのはブッキングを避けるのも含めてメリットは大きい。
後は、まぁこの白い少女がどの程度信用できるか…で、あるが。

(………まぁ、裏切られてもそれはそれか)

裏切りなどこの業界では珍しくも無い有り触れた日常なのだから。
ならば、と連絡先を交換するためにか懐から携帯電話を取り出して。

「……他には……歓楽街にも手を伸ばしている『薔薇十字』……武器密輸組織の『INFERNO』…それと――…」


そうして、彼女とおそらくブッキングしたであろう組織をザッと伝えていく。
少なくとも、この少女との依頼被りはそれなりの回数があると見た。
実際、こうして名前を羅列して彼女に覚えがあるなら地味に高確率で仕事が被っていた事になろうか。
逆に、彼女から告げられた組織の名前に覚えがあるのか緩く頷いてみせる。

「……成る程、……矢張り、君との依頼被りはそこそこ多かったようだ」

柊 真白 >  
顔を見せておく。
――あなたがどうするかは、任せる。

(面を外して素顔を見せ、すぐに面を戻す。
 認識阻害はその行動で解除されるだろう。
 裏の仕事は顔で売っているようなものだ。
 個人的に裏切りなど信用問題に関わるので論外なのだが、相手がそうとも限らない。
 ならば顔を見せるのが一番信用を得やすいだろうとの判断だ。
 彼はその辺りの方針が違うかもしれないので、強制はしない。)

――はもう報復済み。
それとこの――はあちらの手違い。
言えば違約金をもらえると思う。

(彼から告げられる組織名はどれも聞き覚えがある。
 その内幾つかの組織とは既に「話し合い」が済んでおり、その辺りの情報も交換。)

――あと、まだこれの操作に慣れてない。

(こちらもスマートフォンを取り出すが、いまだに登録方法は分からないまま。
 任せるというようにそれを突き出した。)

ご案内:「路地裏」に百鬼さんが現れました。
百鬼 > 「………済まないが、こちらは完全に顔を見せるのは控えさせて貰う」

男か女か未だに曖昧な仮面越しの声色。ただ、少しだけ申し訳なさそうな調子で。
彼…彼女かもしれないが…に、しては珍しい声。
この仮面の場合、むしろこの姿で名を売っているのだ。
それでも、ギリギリの妥協点で仮面を僅かにズラして、フードの奥から赤い瞳を見せる。
顔立ちはおぼろげな輪郭しか見えないだろうが、人型なのは分かるだろう。
もっとも、矢張り男女どちらかは分からない。そのまま仮面を元に戻し。

「………成る程、ならば――」

白い少女からの情報提供を頭の中で整理していく。報復する組織は一握り程度で済みそうだ。
そして、差し出されたスマートフォンを受け取り、淡々と番号などを登録しておく。
名前の欄は「百鬼」と律儀に登録されていた。自然と名乗らずともこちらの名前は知れるだろう。
先程出た百鬼夜行と名前が被るが、そもそもその百鬼夜行のボスが適当に名付けたのを都合がいいから使っているのだ。

「………これでいいだろう。余計な事だろうが、少しは扱いに慣れた方がいい」

柊 真白 >  
別に構わない。

(元よりそう言うつもりではない。
 彼が彼だと認識できればそれで良い。)

ありがとう。
どうも、こういうのは慣れない。

(返されたスマートフォンを確認して、そのアドレスにこちらの番号と名前をメールで送っておく。
 「ひいらぎましろ」とひらがなで書かれたメール。
 機械はどうも慣れない。
 仮面の下で苦い顔。)

――ところで。
どれだけ動けるか、見ておく?

(ヘルプに入る場合、それがわからないとやりにくいだろう。
 腕を見ておく必要があるかどうか試すのならば構わないと言うように、左手に携えた長刀を掲げてみせる。)

ご案内:「路地裏」に百鬼さんが現れました。
百鬼 > 「……話が早くて助かる」

誰も彼もがこうやって簡潔に済ませてくれるならこちらとしても面倒が無くて楽なのだが。
と、こちらの携帯に連絡が来たようだ。確認すれば、「ひいらぎましろ」と書かれたメール。
これが白い少女の名前なのだろう。手馴れた動作で番号を登録しておき。

「………そうだな。軽く互いの腕前を見ておくのもいいだろう」

白い少女…マシロの提案に緩く趣向し、右手を懐に突っ込んで例の刀を取り出す。
鍔と柄だけしかないそれ…刀身が透明、とかそういう感じでもなく本当に刃が無い。
それをダランと右手に提げたまま、何時でもというように自然体で佇み。

柊 真白 >  
――わかった。

(取り出された刀――いや、刀身がないものを刀と呼べるかは微妙だろう。
 柄としか呼べないそれを見て首を傾げる。
 が、いかにも慣れていると言ったその立ち振る舞いは、それは間違いなく彼の得物だと言う事を告げていた。
 ならば遠慮することもなさそうだ。
 そのまま無遠慮に歩を進めて。
 足音少なく敵意もなく。
 その場を立ち去るような足取りであっさり間合いまで入り、右腕を突き出した。
 そこにはすでに長刀が握られている。
 まともな動体視力では残像すら捉えられないであろう速度で抜き放った長刀は、急所を避けて彼の右肩口へと真っ直ぐ走る。)

ご案内:「路地裏」に百鬼さんが現れました。
百鬼 > 「………。」

本来、仮面は自身の使う得物に大したこだわりや執着を持たない。
コレも基本的な戦闘スタイルに都合がいいから使っているだけだ。
それに、外套の裏側には予備が大量にある。破壊されても大した問題にはならない。

無造作に距離を詰めて来た少女を、仮面越しに淡々と眺める。
そして、音も敵意も殺気すらも無く、あっさりと間合いに入った少女が右腕を突き出す。
いつのまにか握られていた長刀、右肩に吸い込まれた一撃は…しかし、忽然と左手に握っていたもう1本の柄と鍔だけの刀で阻まれる。
強度はあるのか、ギリギリと鍔の部分で真白の刺突を受け止めながら。

「――…」

右手がブレる。次の瞬間、見えない何かが彼女の胴体を真一文字に切り裂こうとするだろう。
もっとも、彼女なら難なく対処するだろう確信はあったが。

ご案内:「路地裏」に百鬼さんが現れました。
柊 真白 >  
(常人ならば不意を突かれて貫かれていたであろう刺突をあっさりと受け止められた。
 続いて彼の右腕が動く。
 受ける――否、物理攻撃で無いなら意味が無い。
 飛び退く――否、間合いが読めない以上危険すぎる。
 ならば。)

――。

(パチリ、と言う音。
 ほぼ同時に彼の頭へ右手を乗せ、跳び箱の上で側転をするように彼を飛び越えた。
 ついでとばかりにその右手の人差し指で二度、トントンと彼の頭を軽く叩く。
 この状態からでも余裕がある、と言う事を示す合図。
 首を捻るなり、そのまま後頭部へ膝を叩き込むなり出来る、と言うことの意思表示でもある。
 右手に握られていたはずの刀は、抜き放たれた時と同じように、いつの間にか鞘へ納まっていた。)

ご案内:「路地裏」に百鬼さんが現れました。
百鬼 > (――成る程)

心の中で呟く。悪くない。そもそも仮面の斬撃はまず間合いは「関係ない」し、「物理」とも言い辛い。

同時に、パチリ、という男が一つ。結果的に空振りした一撃。こちらの頭をフード越しに右手を乗せられて側転で飛び越えられる。
おまけに、人差し指で二度軽く頭を叩かれる。その意図は直ぐに察せられる。
純粋な速度だけならこちらが負けているかもしれない。技巧も……だが。

「………一応引き分け、が落しどころか。良い腕前だ」

そう、仮面の左手に握っていた刀が無い。先程刺突を受け止めた方だ。
何処に行ったかといえば……何と彼女の髪の毛に絡みつくように引っ付いていた。
タイミング的には、彼女が飛び越しざまにトントンと指先で叩いてきたのとほぼ同じ。
左手の手首のスナップだけで、彼女に悟られない角度で刀を髪の毛に「挟み込んだ」。

ともあれ、腕前は分かったし、彼女に軽く詫びつつ髪の毛に絡みついた刀は返して貰おうと。

柊 真白 >  
(着地。
 ふと、頭が若干重いことに気が付いた。
 髪から外してみれば刀の柄。
 なるほど、暗殺者だ。)

――あなたも。
不意を突かれたのは久しぶり。

(それを差し出す。
 まともにやっていたら、こちらが彼の首をねじ切ると同時に、こちらの首が落とされていただろう。
 出来れば標的にはしたくない相手だが、だからこそ手を借りる相手には申し分ない。)

――お眼鏡にかなった?

百鬼 > 「………細かい差異は勿論あるが、君とは若干戦い方の傾向が似ているからな」

速度と技巧中心の殺し業。速度は若干彼女に負けるが、その分技巧でカバーした。
結果的に様子見程度の軽い手合わせ、とはいえ相打ちには持ち込めたようだ。
差し出された、矢張りそれ自体は少し頑丈な程度の刃の無い刀を受け取り。
右手に握ったままのそれと合わせて懐へと戻していく。

――無論、標的にしたくないのはこちらも全く同感であった、

「……十分だ。少なくとも報復を完遂するまでの相棒としては文句は欠片も無い」

緩く頷いてみせる。淡々とした口調ではあるが言葉に嘘は無い。

ご案内:「路地裏」に百鬼さんが現れました。
柊 真白 >  
動きが同じならいろいろやりやすい。

(お互いをカバーしあう方戦法の方が汎用性はあろうが、自身等は暗殺者だ。
 汎用性より一点特化した方が色々と便利である。
 相性が悪い相手とは戦わなければ良いだけの話なのだから。)

それはなにより。
――詳しいことはメールか電話で。
報復が終わっても、仕事の手伝いぐらいはする。

(一人でやるより二人でやった方が色々とやりやすい。
 複数対象の暗殺も単純に労力が半分になる。
 取り分は減るが、別に金に困っているわけでもなく。
 こちらとしては組まない理由は無いのだ。
 勿論、彼の方に理由があるのなら別だが。)

ご案内:「路地裏」に百鬼さんが現れました。
百鬼 > 「……そうだな。お互いの次の行動を読んで合わせる事も可能だから楽でいい」

噛み合えば、それこそ言葉もアイコンタクトもいらない阿吽の呼吸で合わせる事も不可能ではない。
身近に自身と似た傾向の者があまり居なかったので、こういうのは少し新鮮だ。

「……分かった。報復については私がなるべく君の都合に合わせよう。
……ふむ」

打ち合わせについては了解した、と首肯しながら少し考えるように間を置く。
彼女と組んだ場合のメリット・デメリットを吟味してから緩く一つ頷いて。

「……では、報復後も互いに時々手を貸すという事にしよう」

この真白という少女の腕前は超一流だ。自分と似た系統なので動きも合わせやすい。
組んだ場合報酬は半々だが…まぁいい。結論としては、柊真白と組むのは悪くない。

柊 真白 >  
さっきも、あなたがいればもうちょっと楽に済んだ。

(つい今しがた片付けてきた仕事は対複数相手の仕事だった。
 一人でもやれると判断したから受けたのだが、彼がいればもっと楽だっただろう。
 後始末に関しても。
 現場はそれほど遠くなく、風向きによっては血の臭いがここまで来るかもしれない。)

じゃあ、何かあったら連絡して。

(そう告げて歩き出す。
 足音は異様に小さい。
 彼の側を通り過ぎる際、ほんの僅かな血の臭いを残し、路地を後にする――)

ご案内:「路地裏」から柊 真白さんが去りました。
百鬼 > 「………まぁ、手早く楽に済ませるに越した事はないだろうな」

フと鼻腔を掠める血の臭い。風向きが偶々、こちらへと向いてきたからだろう。
今しがた、仕事をしてきたばかりなのだろう…この血の臭いを作り出したのはこの少女か。

「………ああ」

短く答えながら、歩き出す白い少女を見送る…すれ違う寸前、血の臭いを感じ取りながら。

「………。」

仮面の殺し屋も、そのまま少女と反対方向に歩き出す。こちらも一切の足音も無い無音。
やがて、その姿は幻の如く路地裏の闇へと消えていくだろう――。

ご案内:「路地裏」から百鬼さんが去りました。