2018/08/22 のログ
神代理央 > 「…誰かと思えば、貴様か。気概ある落第街の住民なら手助けしてやろうかと思ったが、興が乗らん。帰――」

視界に映るのは、数度顔を合わせた事のある少女。
一度戦い、その実力も十二分に知る相手でもあった。
彼女なら、此方が加勢するまでもなく対処出来るだろう、と肩を竦めて回れ右しようとするが―

「…待て。こっちに来るな。というか貴様、どれだけアンデッド共を引き付けていた。刀を仕舞わず自分で何とかしろ」

此方へ降り立った彼女を追うように、無数のアンデッドが列を成して此方へ向かってくる。
屠るべき敵を得た異形達は、歓喜の銃声を以てアンデッドを迎え撃つが、結果的に此の場から離れられなくなってしまった。

砲声と銃声が延々と響く路地裏で、呆れた様な瞳で彼女を見下ろし溜息を吐き出す事になる。

「…まあ良い。しかし、貴様がゾンビ退治とはな。今更義侠心にでも目覚めたか?」

と、誂うような高慢な言葉と共に首を傾げるだろう。

柊真白 >  
二度も負けた上に、天下の往来で女の子の服を引き裂いて裸にした男が文句を言わない。

(狙い通りアンデッド共はこちらに矛先を向けてくれた。
 とりあえずは安心してお喋りが出来るだろう。
 有無を言わさぬ口調でぴしゃり。)

仕事。
これが片付かないと本業の方が仕事にならないし。

(答えながらスカートをたくし上げて中を探る。
 そして数本の柄付手榴弾を両手の指に挟んでずるりと引き抜く。
 戦場でポテトを潰したとかしてないとか言う話のあるそれのピンを全部まとめて引き抜き、アンデッドの群に投げ込む。
 数秒後、炸裂音が連続して響いた。
 風紀委員を集めると面倒なので使わなかったが、やり方が派手な風紀委員の彼がいるなら構うこたあるまい。)

神代理央 > 「…誤解を招く言い方をするな。大体、あの時の服はきちんと弁償しただろう。終わった話を蒸し返すものじゃない」

全て事実ではあるが、流石に歪曲過ぎる言い方では無いだろうかと抗議の声を上げる。
全く、と言わんばかりに溜息を吐き出し、戦場へと視線を向ける。
押し寄せるアンデッドを機関砲の弾幕が打砕き、発生源と思われる路地裏の闇に盛大に重砲が撃ち込まれる。
暫くは大丈夫か、と思った矢先、放り投げられた手榴弾と彼女の言葉に視線を戻して―

「それなら、落第街での騒ぎくらい貴様らの様な裏社会の住民で収めて欲しいものだな。我々とて、貴様達の業務を円滑にする為に時間を割くわけにもいかんのでな」

と、些か皮肉めいた口調と共に彼女へ視線を落とすだろう。

柊真白 >  
事実。
それに弁償すれば無かったことになるわけじゃない。

(こんな面白い弄りネタをそうやすやすと諦めてたまるものか。
 アンデッド共はとりあえずどうにかなりそうだ。
 彼の異形により減らされる速度を差し引いても、明らかに減ってきている。)

落第街だけの話じゃないでしょう。
そもそもここに押し込めて外に出さないようにするのが風紀の仕事。
利害が一致しているのだから、協力した方が効率がいい。

(だからこそ自分も掃除を手伝っているのだ。
 余計な縄張り意識は事態の収拾に悪影響を及ぼす、と言わんばかりの口調。)

神代理央 > 「…全く。厄介な女だよお前は」

どうやらこの話題は分が悪い。そして、負け戦に拘る様な性格では無い。
降参だ、と言わんばかりに肩を竦め、安定し始めた戦況に僅かに安堵の息を吐き出す。

「…可愛げのない女だ。だが、事実でもある。どのみち、此方の上層部が排除すると決めたのなら俺の仕事でもある。貴様達を捕らえるのは、死体共を片付けてからでも遅くはあるまいな」

フン、と高慢な口調で言葉ではあるが、彼女の言葉に同意する様に小さく頷いた。
解決が早まるのなら、あらゆる手段を行使すべきであるし、その方が効率が良いのも事実。
落第街がどうなろうと知った事では無いが、一般学生に危害が及ばぬ様に尽力するのも仕事のうちか、とその視線をアンデッドの群れに向けるだろう。

柊真白 >  
誉め言葉として受け取っておく。

(飄々と返答。
 異形の隙間から見えるアンデッドにナイフを投げて。)

ふふ、少しは近接戦闘の腕は上がった?
――これ、何。
パンデミックって名前とか、最初は転移荒野にいたとかしか話が出てこないんだけど。

(頼もしい言葉に思わず笑いが漏れた。
 そうしてこちらもアンデッドの群に注目。
 異形の向こうはまさに戦場だ。
 瓦礫と死体が折り重なってえげつない光景になっている。)

神代理央 > 「…別に褒めた覚えは無いがな。まあ、好きに捉えると良い」

額にナイフを受けて倒れ伏すアンデッドを眺めながら、僅かに肩を竦める。

「自衛出来る程度には、な。取り敢えず、死なない程度には努力している。
――何、と言われてもな。映画さながらに感染者を増やし、素体となったモノのスペックをある程度引継ぎ、理性を残した変異体の様なモノの報告例もある死体。
此方とて、詳細な情報がある訳では無い。情報があれば、こうやって後手後手に委員を派遣などしておらんしな」

戦場に向けていた視線を彼女に向け、暫し考える様な素振りを見せた後に言葉を返す。
結局の所、風紀委員会とて未だ情報収集の真っ最中。彼女の問いかけに答えられる様な情報は得ていないのだ、と先程までとは違い幾分真面目な表情を浮かべて答えるだろう。

柊真白 >  
(彼の語る「パンデミック」とやらの特徴を聞いて眉間に皺を寄せる。
 ――と言っても面のおかげでそれは見えないだろうけれど。
 ともかく、なんというか――)

趣味が悪い。
誰かが作ったものにしては意図が見えない。
死体に寄生するのもいちいち効率が悪い。
寄生虫やウイルスの類なら生物を媒介にした方が。

(口元に手を当ててぶつぶつと呟く。
 アンデッドの血でも摂取してみれば何かわかるかもしれないが、流石にリスクが高すぎる。)

神代理央 > 「効率など、求めていないのでは無いか?これが造られたモノならば、死者の数より恐怖を与える事を優先しているやもしれぬ。
自然発生したモノであれば、アンデッドとは死者を媒介に同族を増やすのだから奴等の行動は奴等なりに理に適っている。
まあ、死体を造ろうとする奴の思考も、死体共の本能も理解したくは無いがね」

彼女の呟きに己の意見を返すも、それが聞こえているかどうかまでは判断がつかない。
その白い仮面の中で何を考えているのやら、と再び視線を戦場へと戻して―

「…大分数は減ってきたな。あと数体異形を召喚すれば、此の地区は片がつくだろう」

尤も、それは此の辺り一帯を瓦礫の山どことか更地にしながらではあるが。
追加の異形を召喚しようと意識を集中しつつ、砲撃を続ける異形達はその攻勢を強めていくだろう。

柊真白 >  
だから趣味が悪い、と感じた。
そういう生き物――生き物?――なら尚更性質が悪い。
もし意図的なら――楽しんでるようにしか。

(勿論そういう生き物であると言う可能性もあるのだけれど。
 どちらにしても迷惑な話だ。
 何より爆発的に数が増えていくと言うのが厄介である。)

――それにしても。
戦い方、もう少しどうにかならないの。

(あまりにも酷い。
 破壊力があるのは羨ましい、もとい結構だが、周囲の地形への被害が大きすぎる。
 端的に言って美しくない。)

神代理央 > 「造られた生物であるなら兎も角、自然発生した種族であるなら我々がどうこう言える立場でもなかろう。大体、質の悪さで言えば、人間とて良い勝負をしているとは思わないのか?」

クスクスと面白そうに笑いながら彼女の白面に視線を向ける。
他種族を排し、同族を殺し、生存の為では無く思想や憎悪に依って争い続ける人間は、蠢く死体とどちらが厄介なのだろうか、と。

だがその含み笑いも、次いで彼女から投げ掛けられた言葉によって、些か不思議そうな表情で上書きされる事になる。

「火力と質量を投射するなら、これが最善だと自負しているが。別に競技大会に出ている訳でも無し。周囲の被害を留意する状況ならまだしも。現在の状況なら問題はあるまい?」

砲弾によってコンクリートのオブジェと化していたビルが、轟音と共にアンデッドを巻き込んで崩れ落ちる。
その様を背景に、悪意も傲慢さも無く、何が問題なのかと小さく首を傾げてみせた。

柊真白 >  
――まぁ、確かに。

(そう言われてしまえば確かにそうだ。
 死体が動くか生き物が動くかの違い――と言うにはさすがに違い過ぎるが。)

無駄に被害が拡大する。
ここだから良い、と言う話ではなく。
競技大会と同じことを実戦でも出来ると言うのは、そのまま余裕に繋がる。
それに仮にも風紀なら、そう言うことに配慮するポーズぐらいは取った方が良い。
――何より、私の主義に反する。

(崩れ落ちていく廃ビル。
 それを見て、大きなため息。)

神代理央 > 「…まあ、お前の言わんとする事も分からなくもない。だからこそ、こうして俺達が掃除に明け暮れているわけだ。身勝手な人間として、精々死体狩りに勤しもうじゃないか」

少し意地の悪い事を言い過ぎたか、と僅かに困った様な笑みを浮かべる。
結果、仕事に勤しもうと彼女に言葉を投げ掛けたのだが―

「被害を考慮する様な場所ではそもそも俺の異能は不向きだ。だからこそ、そういう場では俺も違った戦い方をするか、そもそも異能は使わん。
風紀だから、というのは一考に値するが、落第街で何を配慮する必要があるのか理解出来ん。
――別にお前の主義についてどうこう言うつもりは無いが…結局相手に勝利しなければ意味がない。其処に至るまでのやり方において、俺はこういうやり方が効率が良い。それだけだ」

己と彼女の意見が微妙に食い違うのは、此の落第街という場所をどう見ているか、に繋がっているのかもしれない。
少なくとも己に取っては、此の場所は極端な話荒れ地や平野と大差無い。したがって、存分に壊し、存分に力を振るうだけである。
彼女はそうでは無いのだろうか、と首を傾げたままその表情は興味を讃えた色に変化するだろう。

柊真白 >  
死体狩り、ね。

(なるほど文字通り死体狩りだ。
 思わず小さく笑い声が漏れた。)

無理なら無理にとは言わないけれど。
――君の話はよく聞く。
ここに住むもののことを人とも思わない傍若無人な帝王サマだ、って。
そういうことを続けてると、大事な時に協力を得られなくなるよ。

(風紀委員とここは確かに相容れない存在ではあるけれど。
 それでもここで生きている人間は確かに人間なのだ。
 やむを得ず住むものもいれば、自分から好んで住んでいるものも居る。
 どちらにしても、彼らにとってここは大事な住処なのだ。
 それを壊されて、協力的な態度を取れと言う方が無理だろう。)

神代理央 > 「無理では無いが、此の場所で気を遣う理由が思い当たらない。
――傍若無人な帝王サマ、か。随分と過分な仇名をつけられたものだな。だがまあ、大方その評価の通り、此の街において俺の行いは傍若無人では済まされぬものだろうよ」

他の風紀委員に比べると随分と悪役じみた仇名だな、と僅かに苦笑いを浮かべつつ、更に言葉を続ける。
彼女に向き直った己の表情は、淡々と、しかし強い意思を持ってその視線を向けているだろう。

「壊されたく無いのなら連中は抗うべきだ。武器を手に立ち向かうも良し。自分達で風紀委員の入る隙も無いような治安を守るも良し。法や同情に訴えるも良し。きちんと手続きをとって、正規の学生になるも良し。俺は破壊を振りまくが、此処の連中からそういった自由を奪った覚えは無い。
――抗う自由を行使せぬなら、怠惰な不自由と共に死すのは当然だろう。そんな連中の協力等、はなから必要無い。俺は、俺の力だけで戦い抜く自信があるからな」

高慢でも傲慢でも無く、其処にあるのは満たされぬ闘争心。
彼女の様に慈悲の心――と認識して良いのだろう――では無く、欲するのなら闘争すべきという苛烈な本能。
それを滲ませた言葉には無意識に力が籠もるが、直ぐにらしくない感情を吐露したとばかりに表情を背けるだろう。

柊真白 >  
違う、そうじゃない。

(言いたいことがイマイチ伝わっていない。
 身体ごと彼の方に向き直り、まっすぐに目を見る。)

ここがそういう一種の独立国家のようになるのはお互いにとって不都合しかない、と言うことを言っている。
ここと風紀が決定的に対立すれば、ここの住人は間違いなく表へ「侵攻」する。
そうなれば、真っ先に犠牲になるのは何の罪もない普通の学生たち。
ここを知っているなら、わかるでしょう。
それを望まないものもここにはそれなりにいる。
だからここだけで完結させていると言う面もある。

(何も落第街の住人の心配をしているのではない。
 彼らはなんだかんだ自分たちだけで生きていける術を持っているのだ。
 その善悪は別にして。)

君がやっているのは、学園都市全体の秩序を乱す行為。
それは、よくない。

神代理央 > 「…ふむ?良いぞ、言ってみろ」

そうではない、と告げる彼女が何を言うのかと喜色を滲ませた言葉で促す。
そして、その言葉を咀嚼し、思案し、理解した時、浮かべていたのは僅かな驚きと大きな興味を覚えた様なモノ。

「…意外だな。お前の言葉は理に適っているし、俺が考えていた事とほぼ一致する。ただ、唯一違いがあるとすれば―」

そこで小さく息を吐き出し、此方を見据える彼女に視線を合わせる。

「…俺は、はなからそのつもりなんだよ。此の落第街は、学園都市が黙認したゴミ箱だ。何が起きても、誰が死んでも、此の街は学園都市としてカウントされない。そんなモノ、国家という概念においては非効率的だ。
学園都市がこの街を黙認しているのは、結局の所大きな問題が発生せず、奇妙な沈黙を保っているからだ。違反部活も、学園都市そのものに喧嘩を売るような真似はしないしな。
―だが、お前の言うように此の街の住人が表へ侵攻する等という暴挙に出れば、学園都市は手を打たざるを得ない。風紀・公安では手が足りぬ。場合に寄っては、国連軍等島外の軍事力を島に呼び寄せる必要があるだろう。
だが、そこまで大事になればこの街の存在は許されない。学園都市は、総力を挙げて落第街という存在を抹消せざるを得ない。違反部活や二級学生といった【組織に属さない者】を排除しなければならない。
……そうやって、落第街を消滅させる事こそ、風紀委員として尤もやりがいのある仕事だと思うがね?」

学園都市を一つの国家とみなし、国家の中に存在する異物を排除する。
己が父親から受けた歪で苛烈な教育は、そうした思想とそれを実行する為の様々な力を己に与えてきた。
そうした事情を彼女が知る由も無いのだが、少なくとも、己にとって今行っている行動は己の理想と思想に基づくもの。
だからこそ、強い意志と僅かな愉悦を含んだ笑みで、彼女の視線を受け止める事になるのだろう。

柊真白 >  
――。

(ゴミ箱。
 彼がそう言い放ったのを聞いて、ほんのわずかに目を細める。)

――――そう。

(そうして長い沈黙のあと、その一言だけ吐き出して。
 くるりと彼に背を向け、)

歯を食いしばれ。

(認識不可能な速度で刀の鞘を彼の顎へと叩き込んだ。)

神代理央 > 「…痛いじゃないか。そんなに気に障るような事を言った覚えは無いがな」

元より、反射神経等が常人より優れている訳ではない。
彼女の放った一撃は、実に呆気無く己の顎に叩き込まれるだろう。
それでも高慢な態度を崩さないのは、別に彼女の一撃に対応出来たからでは無い。
任務中常時発動している魔術――嘗て彼女と戦った時は持っていなかった力――である肉体強化によって、そのダメージを軽減していたからだ。
とはいえ、数歩たたらを踏んで後ずさる事にはなるのだが。

「…悪口のつもりは無いんだがな。落第街は、学園都市にとって都合の悪いものを押し込めたゴミ箱。不要なモノ、切り捨てられぬモノを取り敢えず纏めただけの地区。それが間違えているとは思わないが、同意は得られない様だな」

打たれた顎を摩りながら、クツクツと高慢な笑みを浮かべてみせる。

柊真白 >  
(なるほど、以前あった時から精進しているようだ。
 それはそうだ。
 男子三日合わざれば、と言うやつか。)

別にあなたがここのことをどう思おうと勝手にすればいい。
私もよそ者だ、別にここにそれほどの愛着があるわけじゃない。

(更に、もう一回。
 今度は反対から、彼の脇腹へ鞘を叩き込む。)

だけどそうなればどれだけの人が命を失うのか、わかって言っているの。
表も裏も関係なく、ただ必死に生きているだけの人が――

(仮面の下で、歯が砕けんばかりに食いしばり、)

――あなたは、人の命をなんだと思っている!

(叫ぶ。)

神代理央 > 「愛着が無いのなら、何故憤る?情に絆されているというのならまだ理解出来るが」

脇腹に叩き込まれる一撃。それを避けようともせずその身で受けるだろう。顎に一撃叩き込まれた時点で、攻撃に回すべき魔力も全て防御用の魔力へと変換している。
硬質化した魔力が鎧の様に己の身体を守り、鞘とぶつかって硬質な音を立てるだろう。

「…ああ、成る程。人命の尊さは理解しているさ。俺だって、別に無秩序な殺戮を好む訳じゃない。生きる為の努力を行う者を尊敬だってする」

感情を露わにして叫ぶ彼女に緩やかな笑みと共に言葉を返す。
そのまま、ゆっくりと足を進め彼女に近づいて―

「命を何だと思っているか、だったな。別に何とも思わん。死にたくなければ足掻け。豊かに生きたいなら努力しろ。
国家という組織を構成するに値しない者は、抗えぬなら逃げおおせるか死ぬか選ぶ自由くらいはあるだろうがな」

そして、彼女との距離があと1,2歩というところで足を止めると、無感情に言葉を告げた。

柊真白 >  
――。

(睨みつける。
 いつの間にかアンデッドは一匹残らず消えていて、後には大量の瓦礫と肉片が散らばっているだけだ。)

――――あなたは。
もう少し、優しい人だと思っていた。

(曲がりなりにも風紀委員として活動しているのだ。
 人を守るために活動しているのだと思っていた。
 そう思ってしまっていた。)

人の命を大事にしない奴は、嫌いだ。

(そう絞り出すように言い残し、背を向けて歩いていく。
 信じていた何かに裏切られたような、そんな背中を向けて。)

ご案内:「路地裏」から柊真白さんが去りました。
神代理央 > 「……そう思われていただけでも光栄だな。だが、俺は所詮こんな人間だ。幾らでも幻滅すると良いさ」

小さく、本当に小さな吐息を吐き出した後、高慢な口調と共に肩を竦める。
他者に評価され、自身でもそう思う。自分は結局、優しい人間になどなれない。
権勢と政権を追い求め、浅ましく生きるだけの存在でしか無い。

「………そうか。なら、俺の首でも狙ってみると良い。少なくとも、俺が死ねば落第街で人が死ぬ機会は減るだろうよ」

背を向けて立ち去る彼女に言葉を投げ掛けた後、制服を翻して此方も立ち去るとしよう。
瓦礫と屍肉を踏み砕く異形の後に続きながら、懐から取り出した飴玉を口に放り込む。

「……甘く無いな。不良品でも掴まされたか」

何時もと同じ飴玉の筈なのだが。
ころころと飴玉を口内で転がしつつ、そんな独り言を夜空に吐き出して、瓦礫の山から立ち去っていった。

ご案内:「路地裏」から神代理央さんが去りました。
ご案内:「路地裏」にパンデミック(スカイシャーク)さんが現れました。
パンデミック(スカイシャーク) > 落第街に出没する赤ゾンビ…パンデミックの数は、昨今の風紀公安両委員会や、
他の者たちの活躍でその数を減らしていた。

パンデミック(スカイシャーク) > パンデミックの行動理念。
それはより多くの殺戮と、
そこからより多くのパンデミックを産みだす事にある。

パンデミック(スカイシャーク) > 路地裏に現れた、スカイシャークのパンデミックは、
悠然と空を遊泳しながら荒れ果てた街を見下ろし―――
肉片となった同胞をどういう目で見ているのか。

パンデミック(スカイシャーク) > ……先に述べた通り、パンデミックの行動理念は、
殺戮と仲間を増やす事だ。
路地裏を品定めする様に見下ろすスカイシャークは、
やがて、
そんな荒れ果てた路地裏の街の復興の兆しが見える一角、
人が集まり出した場所へ―――

「ギャオオオオオーーーッッ!!」

情け容赦なく、
純魔力を口に溜めて破壊光線を吐き出し、薙ぎ払う。
崩れる街は、荒れ果てて肉片が転がるすぐそばの、
パンデミック大量討伐が起こった場所と何ら変わらない、
壊れた死の街へ変わり果てる。

パンデミック(スカイシャーク) > そして、殺した人々を目掛けてスカイシャークは空を泳ぎ、
陸へ降り立つ。

そして、スカイシャークがその死体へ触れたり、キバでトドメを刺す事で…

「うぁぁあああぁ…」
「ぐうううがぁぁあ…」
「んびいいいぃい…」

新たな人型感染者が生まれる。

パンデミック(スカイシャーク) > ―――だが、これはあまりにも効率が悪い。
派手な魔法を打ち、わざわざ降りては数を増やす。

パンデミックは知能が低い。

しかし。

学習能力がないわけではない。

スカイシャークや、パンデミックの人型はどうすれば、
もっと殺し、仲間を増やせるのか。
それに向いた種族はいないのか―――。

赤色の人型ゾンビは小集団を作り、路地裏の徘徊を始めた。

ご案内:「路地裏」からパンデミック(スカイシャーク)さんが去りました。
ご案内:「路地裏」にニコラスさんが現れました。
ニコラス >  
(半ば崩れたビルの最上段からあたりを見渡せば、地獄のような光景が広がっている。
 瓦礫と化した建物。
 蠢くゾンビ。
 おそらく時間が経ってパンデミック化せずに済んだ死体。
 まさに地獄。)

これは……。

(思わず顔をゆがめる。
 以前から勧誘を受けていた風紀委員の手伝いとして、パンデミック退治にやってきた。
 場合によっては人に弓を向けることもある風紀委員に入るつもりはないが、こんな被害を放っておけるほど能天気でもない。
 とりあえずバイト代も出ると言うことで、こうして落第街までやってきた。)

――あー、こちらニコラス。
指定ポイントに到着、始めていいか?

(首元のスロートマイクを押さえ、無線を飛ばす。
 イヤホンからは出入口は押さえておくので存分にやれ、との指示。
 了解、と返事を返し、左腕に取り付けたデバイスからドローンを飛ばす。)

ニコラス >  
(ドローンには小型のカメラが取り付けられている。
 その映像は左腕に装着した小型モニターで確認出来るので、物陰に隠れた獲物も見付けられる、と言うわけだ。
 弓を引いた体勢でも確認でき、しかも弓を撃つ邪魔にならない。
 とは言え今は見える範囲に居るパンデミックから始末していくことにしよう。
 やや大型のコンパウンドボウに矢をつがえ、引き絞って放つ。
 無造作に放たれた矢は空中で加速し、ゾンビの頭部を貫いた。
 同時に発火、ゾンビが炎に包まれてのたうち回る。)

……あんま気分のいいもんじゃねぇなぁ。

(バケモノとは言え人の形をしたものだ。
 胸の前で十字を切って、次を狙う。
 路地裏のあちこちで歩く死体が燃える。
 「魔弾の射手」に負けないのではないか、なんて言葉がイヤホンから聞こえてくる。)

ニコラス >  
(とりあえず見えるところのゾンビはあらかた処理した。
 まだ残ってはいるが、まぁ風紀委員が片付けてくれるだろう。
 左腕の小型モニターに視線を落とす。)

ここのビルの影と、あそこにも二匹か。
あと――

(ドローンを操作し、周囲で死角に居るゾンビの位置を確認。
 とりあえず手近なやつから排除しよう。
 弓を引き、放つ。
 矢は障害物を回り込むような軌道を描いて、やはり途中で急加速。
 モニターに映るゾンビが燃える。)

しかし、つくづくサメに縁があると言うかなんというか……。

(いつか見たサメ映画を思い出した。
 一緒に見ていた彼らは元気にしているのだろうか。)