2015/06/24 のログ
ご案内:「スラム」に道鉄さんが現れました。
道鉄 > ……今日も食事にありつけなかった。
時間は23時……
今日もディナータイムはおあずけ。
だかたさすらう、スラムを。
少しでもこの空腹を満たすために。
理性を張り詰めて……
本能を煮詰めて……

ご案内:「スラム」から道鉄さんが去りました。
ご案内:「スラム」に磐野 州子さんが現れました。
磐野 州子 > ガサガサ、と誰かが忍び込んでいるような音を立てている。
それは本当に忍び込んでいる訳ではなく、ただの紙袋が擦れている音である。
ただボロボロになった紙袋は非常に持ち難い。
普通だったら紐部分を腕にかけるだけでいいのだが、紐部分が吹き飛んでしまっては両脇に抱えるしかない。

「…疲れた、です」
付け加えたかのようにいつもの語尾を加えて、
その辺りのプレハブに体重を預けてするりするりと今日の疲労を表すように地べたに座る。

血まみれの白衣。血まみれの顔。そして自分の人相の悪い顔。
この3つがあるならばどこへ出ても通報される、そんな自信がある。
そんな事を考えながら上を見上げる。
真っ白な月。汚れを知らないが、ただ人の動きを知っていながら傍観を続ける無責任な生き物。

ご案内:「スラム」に薄野ツヅラさんが現れました。
薄野ツヅラ > ────カツリ、カツリ。
もうすっかり人通りの少なくなった落第街の外れのスラム街に、乾いた杖の音が響く。
赤いジャージにヘッドフォン、其れから──左腕に公安の腕章。
ぼんやりと歩みを進めつつ、日々のルーチンワークの消化。
普段なら大通りや路地を中心に活動している彼女だったが、
今日は珍しくスラム街まで足を伸ばしていた。
其れに思惑があったのかなかったのかは本人しか知り得ないが、果たして。

血に塗れた「其れ」を視界に捉えれば、幾らか早足で近寄る。

「やァ、随分とご機嫌なようですね」

曖昧な笑顔を浮かべながらジイと目を細める。
彼女の目を覗き込むようにして、意地の悪い笑みを浮かべた。

磐野 州子 > 「これでご機嫌と見れるとは随分とそちらの頭がご機嫌のよーですね。
 それとも何か笑い話に出来そうな物を見つけてご機嫌なんですかね」
厄介なものに遭遇してしまった。と心底自分の不幸を呪う。
ただ州子は立ち上がる事なく意地悪い笑みを浮かべる廿楽に対して、
何の感情を動かすことなく真顔で言葉を返す。

「折角ですけど、事後なので放っておいて貰えるです?
 州子は、疲れてるです」
はぁ、とため息をついて荷物をどさりと雑に落とす。
大事なパーツでもあるのだが、今となってはそこまで思い入れが無くなってきているようだ

薄野ツヅラ > 「あっは、随分と嫌われたものねェ」

からからと楽しげに笑う。
自分が嘗て公安や風紀に遭った時も確か似たような反応を返していたな、とふと思案する。
自分も疎まれる側になるなんて、と喉を鳴らす。

「『一般生徒』がこんな時間にこんな場所にいるものじゃあないわよぉ?
 最近の落第街は厭に賑やかだし取って食われてもおかしくないわぁ」

笑みを湛えたまま、のんびりとした口調で話しかける。
荷物をちら、と見遣るものの興味を失くしたように直ぐに視線を戻した。

磐野 州子 > 「別に、州子は人に会いたくねーだけです。
 てめーが公安でも風紀でも一般人でも似たようなこと吐いてやるですよ。」
目が悪いのか顔は良く見ていないし、公安の腕章も良く見えていないようだ。
ただ声で誰なのかは大方把握している様子である

「…こんな状態見て『一般生徒』って言える神経がどーかしてるです。
 別に落第街が賑やかとか州子にとってはどーでもいいですよ。
 ただ単純にここは『そういう所』で『何が起きてもおかしくない所』なんですから」
何がおかしいのだろう。
襲うにはぴったりの相手に見えるのだろうか
そんな事を考えると同時に州子は口を開く

「で、殺りに来たんです?
 その杖で、ボコボコに殴って、優越感に浸るんです?」

薄野ツヅラ > 「ンッンー……別に嗜虐趣味はないからその必要はないんだけどぉ」

優越感、と云われれば如何でも良さそうにカツカツと杖を鳴らす。
見るからに『何かに巻き込まれてきました』と顔に書いてあるような
発言を繰り返す彼女を見遣れば、うーんと首を捻った。

「一般生徒でも一般生徒じゃあ無くてもこんな時間にうろついてたらいろんな意味でマークされるわよぉ?」

ポシェットからチュッパチャップスを取り出して、乱暴に包みを剥ぐ。
片手では上手く剥がせなかったのか、歯に包みを引っ掛けて無理矢理開ける。

「───まァ、心配して云ってるっていうのが云わなきゃ伝わらないかしらぁ?」

其処まで莫迦じゃあないでしょう、と張り付けた笑みを消した。

磐野 州子 > 「杖術の達人でカツアゲをする、と言っていた割にはまともな事言うんですね」
ふっ、と微かに笑みを浮かべる。
この前言っていた事は事実ではないだろうが、少なくともカツアゲをするような奴ではない、と州子は分かったようだ

「悪いですけど、州子はこの辺彷徨く常連です。
 故にマークされていてもおかしくはねーですし、州子はそもそも公安とか風紀にマークされてるですよ」
ガサガサ、という包みを剥ぐ音は聞こえるが何を剥いだかは知らない。知っていても何の得にもならなさそうだが

「心配して、州子を助けてなんか得になるような事出来ると思うです?
 ――自己満足をぶつけられるのはもう結構」
ひひ、と引きつるような笑い声を上げている。
自分何か助けても何か得になるような事が出来るを自信もない。

薄野ツヅラ > 「どっちらかっていうならカツアゲされる側だしぃ──……」

困ったように頬を掻く。
其れで居て事実カツアゲに遭ったことはないのだが、苦笑する。
自分の気まぐれにせよ、随分と丸くなった、と一人ごちながら口の中の飴を弄んだ。

「マークされてるなら気を付けたほうがいいと思うわぁ?
 焼死体になって発見されたくなけりゃさっさと学生街にでも家を借りるのをお勧めするわぁ」

にこり、小さく微笑む。

「ン───、得は一切存在しないわぁ。
 ただ自分の自己満足で、自分のエゴで目の前の不審者を掬いあげたいだけ」

気紛れなんだから其処まで考えないほうがいいわぁ、と笑う。
偶然気分が良く、偶然この手を引き上げてやろうと偶然思っただけにすぎないのだから。

磐野 州子 > 「カツアゲされる側ならそっちのほうがここを彷徨いている方があぶねーですよ。」
カツアゲされる側ならば何故こんなところを彷徨いているのか、気になるが気にしない方がいいのだろう。きっと

「悪いですけど州子の家はこの辺りにあるのと…後最近のだと研究区の研究室借りてるです。」
曰くつきらしいですけど、と付け加えてため息をつく
焼死体になる、というよりは意図的ではないにしろ焼死体を作る方が多いかもしれない。

「…めんどくせーやつです
 それとも、この後こき使わせる予定でもあるって言うんです?
 それだったら州子は全く働けないですから駄目ですけどね」

気まぐれで助けられるというのはなんともやりにくさはあるらしく苦笑を浮かべる

薄野ツヅラ > 「如何もこの腕章は便利でねェ、此れ一つで話し掛けてくる輩も随分減るのよぉ」

じわり、先刻のように目を細める。
自分の左腕に巻かれた其れと目の前の少女を交互に見ながら飴を噛む。
ガリ、と歯が擦れる音がする。

「この辺りに家があるならさっさと帰るのをお勧めするわぁ、
 もうじきに向こうの混乱がこっちまで来ると思うしぃ」

つけていたヘッドフォンを外して首に掛ける。
一瞬顔を顰めるも、直ぐに普段通りの不敵な表情を作る。

「こき使う予定はないわぁ、自分のことくらいは自分で出来る訳だしぃ
 
 ───気が変わらないうちにさっさと帰んなさいな、"上"に報告するわよぉ?」

あくまで気紛れだ、と。飽くまでに大人しく従いなさい、と。

磐野 州子 > 「家といってもただの箱、です。
 何の家具もなく何の寝具もないただの箱です」
寝具はもともと何も無い。
家具は足がつかないように何も使ってない。ただ都合の良い倉庫程度ぐらいである

「腕章……あぁ、風紀か公安。
 なら話は早いです」
目を凝らして腕章をジッと見て納得したような声を出した後、深呼吸をする。
呼吸を整える意味でも心の準備をする意味でもあり、そして口を開く

「州子、いや、磐野州子は二級学生かだれかは知らない男を殺したです。
 故にてめーには州子を罰する権利が生じるです」
別に上に報告される程度どうでも良い、と言った雰囲気に自分の罪を告白する。

「後帰れって言われても州子はもう暫くは動けねーですし」
けけ、と目の前にいる廿楽にざまぁみろ、と言ったような笑みを浮かべる

薄野ツヅラ > ───ヒュン。
暫しの瞑目の後、逡巡することなく廿楽は横薙ぎに杖を振るった。
金属製の前腕部支持型の手に馴染んだ杖で、動けない州子を一思いに殴打した。
其れは全く以て杖術などが見て取れない乱暴な一閃だった。

「あっそ、別にボクは誰が誰を殺そうが関係ないわぁ
 ただボクの──トバリの見える世界が面白くさえあれば何でもいい」

後半はやや独り言のようにぼそぼそと。
じわり、不愉快な笑みを浮かべたまま体重を杖に掛け直す。

「まァ、自分の罪として認識出来てるならアンタは十分一般市民よぉ──……
 ボクらがどうにかしないといけない人種は自分が殺した人間のことなんて覚えてない。

 ───勿論ボクも、私利私欲で撃ち抜いた人間の顔なんて誰一人覚えちゃいない」

ニイ、と口元を吊り上げる。

「今ので贖罪は終了よぉ、『監視番号279』。
 次から気を付けることねェ──……屹度次はお嬢さんに見つかるわぁ」

(クロノスお嬢さんが、名前で呼ばない理由が厭に解った、ような)

かつり、杖をつきながら踵を返す。

磐野 州子 > 「…弱いなぁ」
痛い。ただ痛みが頭部に集中する。
頭部を一撃殴打されただけで火傷痕をなぞるように血が頭から頬、首へと流れていく
そんな中ぽつりと廿楽に言ったのか州子に言ったのか分からない一言を呟く。

「はは、公安らしからぬお言葉だ。
 …ま、貴方は普通の、人間らしい人ね。
 撃ち抜いた人の顔なんていちいち覚えていたら、気にしていたら生きていけないもんね…」
一撃殴打された後とは思えないぐらいにくくく、不気味な笑いを浮かべる

「…何であれ州子は暫く動けねーですから、暫くここにいるですけどね。
 オジョーチャンも気をつけるですよ」
仮面を被ったかのように笑みを止め、血を流している自分より立ち去ろうとする廿楽を心配する
この辺りを彷徨くぐらいだから隠れ道ぐらいはいくらか知ってはいるだろうから大丈夫だとは思うが…

薄野ツヅラ > 「寧ろ此れが"正しい公安"の在り方だと思うわぁ
 人が法に則って人を裁くのが公安。
 
 裁く側が人間らしくなくなったら其の正義は衰退するものなんだゾ──……☆」

振り向くことなく、楽しげに呟く。
其の正義は誰が為か、州子の与り知らぬところであったが、廿楽は初めて"正義"を語る。
誰に云うでもなく、其れは独白のようでもあり。

「他人がどうなろうが関係ないのよぉ、
 『愛すべき一般市民』の為に動いたって構わないしぃ───」

其れに落第街はボクの街だ、と。
愛おしそうに、恍惚とした表情を湛えて廿楽は嗤う。

「だからアンタが落第街に居る限りは。
 『愛すべき一般市民』である限りは。
 少なくともボクが敵に回ることは無い筈よぉ───……

 お互い制御不能の異能なんて難儀なモン抱えてる訳だしぃ───……☆」

────カツリ。
州子をちらりとも見ずに、背中を向けたままゆっくりと歩いていく。
白み始めた落第街の朝。其のまま少女は姿を消した。

ご案内:「スラム」から薄野ツヅラさんが去りました。
磐野 州子 > 廿楽が立ち去った後に白みかかった空を見上げ、独り言を呟き始める

「人間らしさ、ねー……」
島だからこその生徒の自治領みたいなものなのだろう。
そこに法律らしさがあるかと言われれば何もなく、先程の私刑も後から考えれば納得出来るような気もする

「一般市民…か。
 やることはテロリストそのものだけどね。
 素直とは得であるとは誰かの言葉だったかも」
そんな事を呟きながら火傷まみれの右手と綺麗だった左手を見る。

「…ま、公安様が贖罪完了って言ったならもうこれで自首するのはやめよ。
 がっこは……あー、間に合わないし、このまま帰ろ。たかが一日空いたぐらいじゃ、州子の単位は揺るがねーです」
そんな事を呟きながらゆっくりと照らされる暗部の街で州子は仮眠を取る
身体が動かないなら寝てしまった方が効率的である。
常に州子は効率的に、損得で動いていく

ご案内:「スラム」から磐野 州子さんが去りました。