2015/07/03 のログ
ご案内:「スラム」にルフス・ドラコさんが現れました。
ご案内:「スラム」に石蒜さんが現れました。
ご案内:「スラム」から石蒜さんが去りました。
■ルフス・ドラコ > ごたついてざわついたスラム街、どこもかしこも薄っぺらいか穴が開いてるような壁しか無い中で、鉄筋コンクリートの壁が一つ。
たった今蹴破られた。煙の中から現れるのは、場違いな民族衣装を身につけた少女。
『えー……こちら"ロッソ"、対象を確保。』
手元の小瓶の中には小さな…多分人型だろう。ともかく生命が居る。生死問わずという話だったので生死については特に報告はしなかった。
『指示された建物の中は死体でいっぱい、わざわざ試験終了後に"先生"にしていただいたブリーフィングは全く無駄だったんですが』
■ルフス・ドラコ > ……予定外と答えをいただき、予定通り事を進めるようにとの指示を受ける。
つまり、「対象を連れた状態で適当にその辺りをうろつけ、なるべく関与を疑われないように。」
それはそれで面倒というか、ルフスにはこの辺りで暇をつぶす手段など何もない。仮にも学生、しかも本命の教育学と教育心理学はまだまだ試験が終わっていないのだが、仕方ないことだった。
「適当に歩いてから少しでも睡眠をとるとか、でしょうか」
港までに警備を撒いて辿り着け、とか言われるよりマシである。
■ルフス・ドラコ > てくてくと歩きながら、というには真っ直ぐの道も無いので、大通りに出ないように二度三度と角を曲がっては先程の建物から離れていく。
今回エントリーさせていただいた施設は研究区から廃棄物が運び込まれる施設…廃棄施設と言ってしまえば楽だとは思うものの、
こんなスラム街で偽装できるような大きさの施設の地下に何か埋められるわけもない為、廃棄物を運び込んで何かしていたと思われる施設。
ともかく、研究区にある常世財団の研究所に行くのと比べればホテル最上階のレストランとファーストフードくらいの立ち入り難易度の差がある。
そういうわけで、ファーストフード店に向かったルフスに渡されたのは、しばらく前に入手された(おそらく研究区では既に対策済みの)研究IDと、偽装魔術の掛かった帽子。
あとは教員に紛れていた連絡員によるブリーフィングである。正直言って試験後の休み時間を潰すのはやめていただきたかった。
■ルフス・ドラコ > そういえば、と思いだして帽子を外すとポケットにしまう。
街頭に監視カメラのある区画というわけでもなし、このくらい離れれば問題はないだろう。
逆に何らかの形で知り合いに会ったらどう言い訳したものかとも思うが。
『はっ!この不快な振動はいったい!』
手元がなんだか騒がしいので見てみれば、中のいきものが目を覚ましたようだった。
「この瓶って特に空気穴とか無いんですね、じゃあ何処塞げばいいんでしょう」
『なんか機能を探るふりして今ミシミシ言うほど力を込めてるのですよこの人!』
ほんとに騒がしいと思う、この羽虫。
■ルフス・ドラコ > 「なんか独り言を言ってるようで物寂しいですし、止めましょうこういうの」
『他にやりようもないなのですよ!?』
今こうしてしゃべっている羽虫……妖精か何かのような、小さな存在が確保対象。
どこからどう見ても依頼主に有益なところのない生物のように見えるし、
なにより確保だけしてその辺りをうろつけという指示がおかしい。
例えばルフスがどこかにこの生物を横流ししても構わない、という腹なのだろうか。
建物に入って三番目の扉の更に奥、先に警備室で鍵を拝借しようと思ったらテーブルの上に既にこの瓶があったわけで。
「廃棄されるだけ、のいきものだから適当に扱われてるとか…?」
「あー!薄々分かってたけど助けに来たヒーローとかじゃないのですね!」
それだったらその適当な品物に、わざわざ急を要するつなぎを入れてまで人を働かせるものだろうか。
■ルフス・ドラコ > 疑問が許容量を超え、立ち止まって思案する。
…既に制圧されていた、いや制圧されたばかりで、警備員室の"死体に変わる最中"の人物には助けさえ求められた。その癖、建物の中に別の依頼を受けたものが居たわけでもない…
つまり、制圧してから一度退いたのだ。ルフスに、この瓶を回収させるためだけに一度引き、あの施設でのトレジャーハントを完了させる前に"何か"を待っている。
例えば、この瓶に引きつけられるような何かが、有るとか?
不意に後方から風が吹き抜けた。先ほど角を曲がったばかりで立ち止まったのだから、勿論風の吹くようなスペースはない。
生ぬるい、人の髪の毛が漕げるような臭いをした風が吹く。
振り返ったルフスの目の前に、そいつは居た。件の施設から一直線に道を…いや空間をつかむようにしてこじ開けたのだと目の前で証明する、てらてらとした黒の皮膚を持った生命体。
眼と鼻はなく、口だけが四国四十八ヶ所を高速で唱えている。そいつが、その手を大きく振りかぶるとルフスに叩き付けた。
「ああ、なるほど廃棄物はみんなこうして消滅を…」
ご案内:「スラム」からルフス・ドラコさんが去りました。
ご案内:「スラム」に九耀茉莉さんが現れました。
■九耀茉莉 > 夜のスラム、廃墟の一角。
誰も近づきそうに無いその廃墟に、人の気配がする。
更に近寄れば、くぐもった声らしきものも聞こえて来る。
「…どうしたのですか? 言いたい事があるなら、はっきり言ってくれないと。」
そして、楽しそうな少女の声も。
■九耀茉莉 > 廃墟の中には、見るからにガラの良くなさそうな男と、黒づくめの少女がいた。
男は、両手両足を大の字に広げて、動こうとしない。
――否、動けない。
光で出来た鎹のようなもので、両手両足を壁に縫い止められている。
それを見ながら、黒い少女は穏やかに微笑みを浮かべている。
「言う事が何も無いなら、そろそろ続きに戻りましょうか?」
■九耀茉莉 > 男は必死で首を左右に振り、何事かを訴えようとする。
だが、意味のある言葉が出せない。
やはり、口に光る猿轡のようなものが噛ませられていて、意味ある言葉を男が放つ事を妨げている。
「では、次の一本。さて、何本目で「本当の事」を言ってくれるのかしら?」
微笑みながら少女が手を翳すと、その手に赤く光る光で出来た剣が現れる。
ただの光の剣ではない。剣の周囲が、陽炎のように揺らめいている。
――縫い止められた男を良く見ると、腕や足に何かに貫かれた傷跡が幾つかある。
しかし、そのどれからも血は一滴も流れていない。
血が出るより先に、傷口が焼き塞がれているのだ。
■九耀茉莉 > 男の必死の努力も虚しく、出るのは呻くような声だけだった。
微笑みながら、少女が無慈悲な宣言を下す。
「では、次は此処にしましょうか。」
視線が捉えたのは、左の二の腕。
まだ、傷がついていない。
『――――――!!!!!!』
くぐもった悲鳴が、響く。
その悲鳴を上書きするように、楽し気な笑い声が木霊する…。
■九耀茉莉 > ――――どれだけの時間が過ぎたのか。
もう、悲鳴は聞こえなくなっていた。
男は束縛から解放され、大の字で地面に横たわっている。
しかし、解放されても男はぴくりとも動こうとしない。
涙と冷や汗と涎でぐしゃぐしゃになった顔は、恐怖の表情のまま凍り付いている。
そして、それを冷やかな微笑みを浮かべて見下ろす、黒ずくめの少女がひとり。
「……本当に馬鹿な人。くだらない嘘なんかつかなければ、もうしばらくは長生き出来たかも知れないのに。」
男の腕と脚には、多数の傷が刻まれていた。
そのどれからも、血は出ていない。
「――次に尋ねた方は、正直に答えてくれるといいのだけれど。」
微笑みながら、少女は横たわる男に背を向ける。
■九耀茉莉 > かつり、かつり。
小さな足音を立てながら、少女は歩き去っていく。
後に残されたのは、無惨な有様の男の亡骸だけだった。
ご案内:「スラム」から九耀茉莉さんが去りました。