2016/12/11 のログ
ご案内:「スラム」に隼人さんが現れました。
ご案内:「スラム」に寄月 秋輝さんが現れました。
隼人 > 呼び出された内容はこうだ。

「ナビゲートをよろしく」

端的に電話でそう言われ、メールで追加情報が来た。
これからくる男性を試して欲しい。
その後で以下のことを情報として渡して欲しい、だとか。

「試せ、ちゅうのもよくわからんが……。
まっ、ワシにそういうってこたぁ、そういうことなんやろなぁ」

タバコの煙が天へと昇っていく。
今日も快晴。
綺麗な星空が浮かんでいた。

寄月 秋輝 >  
さっとタバコの煙が歪んだように感じられるかもしれない。
まるで何かが通り過ぎたかのように。
けれど星空は変わらない。

次の瞬間、偏光迷彩を解除し、秋輝の姿が現れた。
数センチほど宙に浮いたまま、目の前のヤクザ風の男に目を向ける。

「……お使いを頼まれたのですが。
 あなたがそのお相手でしょうか」

何か厄介なことに巻き込まれたのだろうか、とも感じた。
しかしあの教師から、わざわざ『寄月秋輝を指名して』こんなところまで送り込んだことには、何か理由があるのかもしれない。
とりあえずは何でもない風を装い、声をかける。

隼人 > 「ん……おぉ」

待ち人来たれり。
タバコを弾くように捨て、踏み潰す。

「ちゅーことは、お前さんが相手か。
”あの人”から話はなんかきいとるか?」

自分より小さい彼を見下ろしながら、しかしわりとフレンドリーな声色でそんなことをきく。

寄月 秋輝 >  
数センチ浮いた程度では見上げる相手だ。
けれど若干小柄な自分にとっては、慣れた体験。

「いえ、何も。
 お使いをこの場所へ、としか」

相手の男の足元に捨てられたタバコを、何の感慨も浮かばぬ顔で見た。
職務中なら回収させただろうとは思うが、今はオフタイムだ。

「一応ただの生徒である僕を、わざわざ名指しで落第街に赴かせたということですから、何か理由でもあるのかとおもったのですが……
 まさかとは思いますが、あなたも何も聞いていないのでしょうか」

返答如何によっては、この場を音速で離脱しなければならない。
変わらぬ静かな瞳で、まっすぐにサングラスの奥の目を見る。

隼人 > 気持ち悪い目つきだ。
少年の目を見ながら、そんな感想を抱き。

「いや、聞いとるよ。
ワシもあんまりこういうことは好きちゃうねんけどな」

ゆっくりとした動作で手をいれ、モノを取り出す。
黒く光るそれは、大体の女性は恐怖するほどに大きかった。

「なんでも、殺しあえとのことらしい」

取り出したモノ――大型の拳銃を構え、躊躇無く彼へ撃った。

寄月 秋輝 >  
まっすぐに、ただじっと見つめ。
拳銃が見えた瞬間、さすがに眉根が寄る。

(……マズい)

口径が大きい。
あれで撃たれたら、エニィの持つ拳銃の被弾とは比べ物にならない被害を被る。

それだけ、考える余裕があった。
拳銃を向けられ、彼の指が引き金を引く間に、秋輝は刀を抜刀した。
閃く銀色の軌跡、銃声と同時に鳴り響く鉄と鉄の衝撃。
迫りくる凶弾をあっさり切り払い、次の瞬間には納刀している。

「……無茶苦茶言いますね。
 生徒を殺人者にするか、スラムの奥地で亡き者にするかの二択とは……」

さすがに怒りがわずかに感じられる声音で呟く。
刀を一度振るったら、もうその意識は完全に剣士のそれだ。
一分の隙もない鋭い目つきと、魔力のフィールドの展開、精神面は明鏡止水、無念無想の境地。
十分な臨戦態勢だ。

隼人 > 歳は分からない。
東洋の人間はどうも幼く見えてしまい、彼もまだ10代のように見える。
そんな彼が、昔、砂漠で見た目を思い出させる。
サングラスの奥で、眼が鋭くなる。

「なんや、慣れとるように見えたがちゃうんか!
一人殺すぐらいなんともないとおもっとったが。
実はお前さん、優しい人間か!?」

大声を張り上げながら、剣の間合いに入らないよう下がりつつ撃ちまくる。

寄月 秋輝 >  
払う、払う、切り払う。
一発たりとも逃さず、自分の体に当たる弾は打ち払う。
リロードの合間に真上へ飛び、月を自分の体で隠すように、距離感を殺すように舞った。

「人を殺すことに慣れていたとしても、無益な殺生を好む人間はそう多くありませんよ」

目を細め、本気を出す。
強い相手を殺さないように立ち回るには、二回り以上圧倒するしかない。

(力を見せつけろ、人の分を越えたそれを振るえ)

(己の正義を通すには、相応の力が必要だ)

(人を殺したくないという正義を通すならば、なおさらに)

(この日のために得た力だ)

急加速。
隼人の真後ろに飛び、次は右前方、再び真上。
隼人を覆うように周囲を音速近い速度で飛び回り、少しずつ距離を狭めていく。
刀の届く距離まで、包囲を縮めていくのだ。

隼人 > 「ハエみたいに動きよって!!」

拳銃は遠距離からでも相手を殺せる。
その代わりに、一定回数でリロードが必要なのと、狙いを付けにくいこと。
当然のように弱点を突かれ、未だ致命の一撃を入れられず、苦い顔をする。
力があっても、当てられなければ意味が無い。
もし懐に入られれば、一閃の一撃を受けることは間違いなしだ。

「しゃあないのぉ!
ちぃと、潰れてもらうか!」

もう一度懐に片手をつっこむと、何かを引き抜く行動。
そして隼人の足元に、転がす。

「サングラスは、こういうののためにつけとってのぉ。
眼、潰れるなよ?」

それは、フラッシュバン。
直後、強烈な光が一帯を襲う。

寄月 秋輝 >  
悪態に眉一つ動かさず、少しずつ距離を縮めていく。
そんな中、相手の動きも当然のように見えた。

(閃光手榴弾……)

普通に戦う分にはいい選択肢だ。
自分にはダメージを与えず、周囲全てを制圧する。
同じような手をとった者も居ないわけではない。

しかし次の瞬間、隼人の目の前。
左手で逆手で刀を抜き、隼人の首に押し付け。
右手で銃口を逸らすように、全力で握り止める。

「残念ながら、僕にそれは通じないんです。
 異能のおかげで」

王手をかける。
少し腕を引けば、相手の首を飛ばせる位置。
そこでぴたりと動きを止めた。

隼人 > サングラスをつけていても、全く問題が無いわけではない。
一瞬だけ眼をとじ、そしてすぐに眼を開ける。
ほんの数瞬。1秒も満たない世界で

「……おいおい、異能異能と。
こちとらただの人間やぞ?
こないなバケモンにどう勝てっちゅうねん」

ため息。
首に感じる冷たい感覚と、手首を握られ銃口をそらされている感覚。
この体勢から首を跳ね飛ばされることはない……だろうと考え、しかし確実に血の噴水は避けられない。
早とも、魔術文様を背中に刻んでおり、その効果ですぐに死ぬことはない。が、手当てをしなければ数分で死ぬし、その手当ての道具もここにはない。
最悪、死んでもいろんな意味で問題は無いが……。

「詰んだの~……。
あー、ワシの負け負け。
参りました、せやから剣と手ぇ離せ」

銃を捨てるように落し、自由の利く片手は首の後ろに回しておく。

寄月 秋輝 >  
「僕もただの人間ですよ。
 剣術を納め、魔術も鍛え、異能も磨いた。
 持って生まれた才能を、今日に至るまで十全に高めただけの、普通の人間です」

何のことは無い、といった具合に呟いた。
バケモン、といえる存在に鍛えられ、人間の範疇で可能な限りの戦いをこなしてきたからよくわかる。
自分はどうしようもなく、ただの人間なのだ。

「お疲れさまです。
 ……それで、本当に受けた内容は何ですか?」

あっさり手を離し、刀を逆手に握ったまま鞘に納める。
殺すつもりはない、相手も詰んだと言ったからこちらを殺しはしない。
たとえ狙われても、魔術による対処は可能だ。
今これ以上戦う必要はない。
それよりも、次の情報を得ることの方が急務だ。

隼人 > 「アホ言うなぃ。
ただの人間は魔術も異能ももっとらんわ。
戦う力かて、もっとるか怪しいもんやぞ」

まったく、と呟きながら手首をふりふり。
拳銃を回収し、懐に収める。

「あー、えっと?
なんでもお前さんを試して、死ぬようならその程度やし、死なんかったら次に行く先を教えたれ、とはメールに書いてあったな」

ほれ、と携帯を取り出しメールを見せる。
内容は簡単だった。
【そちらに少年を送った。
適度に遊んで試してやれ。
もし遊びに興じれたなら、次の場所を教えてやれ。
常世○○○××× △-△-△】
最期に住所が書かれており、そこが次の目的地だろう。

寄月 秋輝 >  
くす、と小さく笑った。
ただの人間が、銃をそこまで扱えるようになるだろうか。
フラッシュバンを携帯するだろうか。

見てきた世界と常識が違うだけなのだ。
ここではすべてが平等に、ただの人間となりうる世界であるというだけのことだ。
それを知っているか、知らないかの話であり、この学園で学ぶことがそれなのだろう。

「……また曖昧な内容ですね。
 あの先生の差し金でしょうか……
 こんな殺伐としたわらしべをさせて、何が目的なのやら」

メールを見て、面倒そうなため息をついた。
自分の端末も取り出し、その目的地をぱたぱたとメモしておく。

「……ということは、すぐに行けってことでしょうね。
 仕方がない、もう少し付き合いますか……」

肩をくるりと回し、ふわりと浮いて。
思い出したように振り返った。

「……あなたも、お疲れさまです。
 こんなことに巻き込まれて」

隼人 > 「おう、お前さんもご苦労さん。
あん人は……まぁ、マシなほうやけど……。
っと、ちと待て。
噂をすれば、や」

寄月へ、待て、の合図をだしつつ携帯を耳に当てる。

「はい。
……ええ、予定通り。
……あ?……はい。
……はい、伝えておきます。

――おい、お前さん、寄月ちゅう名前でええねんな?」

寄月 秋輝 >  
「……まぁ、マシと言えばマシですが……」

もっととんでもない人は居るものだ。
そういう人に鍛えられたからよくわかる。

静止されれば、飛び上がるのをやめて地表近くまで降りてくる。
そこで浮いたまま待って。

「はい、間違いありません」

何か指令の追加だろうか。
ドッキリカメラでも回っているのだとしたら、さすがにキレそうだが。

隼人 > 「『妖怪というのは物理的に害をなす者もいれば
とりついて害をなすのもいる。
退魔の巫女といっても、所詮は人間だ。
未知には勝てんものだな』
……やったか?
なんか、んなこと伝えておけといわれたが、わかるか?」

どこまで正確に伝えたかは不明だが、しかしそのようなことは言われたのだろう。
隼人は意味がわかっておらずにいるが。

寄月 秋輝 >  
話を一通り聞いて、また眉根を寄せた。
こめかみに指を当て、苛立たしげな様子。

「……ええ、まあ。
 何故オレにそんな言葉を届けたかはわかりませんが」

少しだけ、語気が荒くなる。
一人称が狂う。

そうして上から見下ろしているタイプが、一番嫌いだ。

「すみません、やはり急ぐ必要がありそうです。
 僕はこれで……あなたも、今後は気を付けてください」

今度は静止されたとしても聞かず、思い切り飛翔するだろう。
そして指定された場所へ、すさまじい速度で飛んでいった。

隼人 > ナビゲーターというのか、道しるべというのか。
カカシの自分には内容もなにもわからないが、

「おう、なんや知らんが、駆けろ少年」

飛び去る彼に、届かぬ言葉を投げかける。

ご案内:「スラム」から隼人さんが去りました。
ご案内:「スラム」から寄月 秋輝さんが去りました。