2017/08/08 のログ
HMT-15 > 「さっきはさっきだ。それはそうと
アレがキミの異能か。どうやらそれなりの
口径の火砲を搭載しているようだが
弾種も制御できるのか?
さっき発射していたのは榴弾か?」

警戒状態の事についてはサラリと流し
ロボットは一瞬周りの惨状を見渡してから
眼前の金属の塊へと目を移し
好奇心からか質問をぶつけていく。

「不格好か。そんなに気にすることか?
戦闘に使うものだろう。
性能の方が重要だと判断する。」

火砲を備えた彼の異能を一種の兵器と見なしたのか
機械ゆえの当たり前な兵器観から
目の前の金属の塊について意見する。

神代 理央 > 「…そうだな。砲塔そのものに合わない弾種を発射することは流石に不可能だが、口径さえ合っていれば弾頭そのものはある程度任意で発射可能だ。尤も、成形炸薬弾やら、劣化ウラン弾の類は試した事が無いし、それを試す場所も機会も無いがね」

機関銃サイズの榴弾を撃つことは不可能だが、迫撃砲や重砲、戦車砲の類を異形が備えていれば弾種に制限は無い。と彼の疑問に答えてみせる。基本的には重機関銃か機関砲クラスの砲塔で対処可能なので、極端に高威力な砲弾は試したことがないが―と注釈を語りつつ。
己の異能を曝け出す事に抵抗と猜疑心が無いわけではなかったが、極端な話「ある程度の火力を持ったモノを召喚出来る」というコンセプトが露わになった以上、隠し立てするよりは正直に答えておいた方が良いだろうという打算もあったのだが。

「確かに戦場ではそうかも知れないが此処はあくまで平和な学園だろう?身体強化や見栄えの良い魔術・異能に比べれば、私の能力は中々見苦しいものでね。正直、制御訓練等は肩身が狭いよ」

自分の異能は基本的には後方支援。そして召喚するモノは金属の異形。敵陣で暴れまわる英雄的かつ前線向きな能力では無い為、正直同級生受けは余り良くない。
彼の言う通り単純な火力として評価してくれるのなら話は別だが、中々そういう訳にもいかないのだと、諦観じみた笑みを浮かべるだろう。

HMT-15 > 「なるほどな。口径にあっていれば
ある程度の融通が利くのか。
因みにボクは量産機のようにアルミ装甲ではなく
複合装甲だから大口径の榴弾がいくら当たろうが
ダメージは無い。またHEAT弾にも高い耐性がある、
ダメージを与えるならAPFSDS弾が有効だ。
まあPMC関係者には余計なお世話だったか。」

相手が情報開示した見返りなのか
自分の装甲の情報についても言及する。
さらにこの少年についての下調べも終えているようだ。

「見栄えの良い物がかならずしも強いとは限らない。
例えば戦艦は存在意義を失って消えたし
今主流のステルス爆撃機はのっぺりしていて
一般的に言えば不格好だ。それにボクからすれば
使えないのに虚栄を張る方が見苦しいと考えるが。」

戦場を生きていた兵器にとって
実際の性能以外での評価というのは難しいのだろう。

神代 理央 > 「有益な情報有難う…と言いたいところだが、私の異能が君に対して火を噴く事は無いだろう。訓練ならまだしも、風紀委員会に楯突く様な真似はしないよ。…しかし、一度会った相手の情報くらいは取得済みか。隠し立てしている訳でもないし、調べれば分かることではあるがな」

余程の事が無い限り、眼前のロボットと敵対するつもりはない自分に取っては、彼の装甲材質は知的好奇心を満たすだけのもの。だが、実家にとってはそうではない。この情報は、秘匿されがちなHMTの情報の一つとして調査される案件になるだろう。
それを理解した上で語った事なのだから、調べても大した情報は出てこないだろうとは思うのだが、小遣いせびりも兼ねて報告くらいは父親に上げてやろうと思ったり。

「そう考えれば、無人兵器が戦場を駆け回るこのご時勢に、ミサイルではなく砲塔を召喚する私の異能は巨砲主義の遺物と捉える事も出来るな。
…とはいえ、そうして性能や機能で異能を評価してくれるのは素直に嬉しいよ。まして、HMTのAIに評価されたとなれば、それは素直に戦場で多少は有用なんじゃないかと僅かな自信もつく」

寧ろ、実際の性能で評価された事が少ない自分に取っては、彼の評価というのは入学以来初めてと言っても良い程の高評価である。
少し気恥ずかしそうに頬をかき、ニコニコと笑みを浮かべて多脚戦車に礼を告げる少年という、前時代のSF小説の一場面の様な光景がそこにはあるだろう。

HMT-15 > 「そうだな。
ボクもキミの異能とは出来れば相対したくない。
120mm以上の砲による徹甲弾など
あまり受け続けたくないからな。」

彼の天敵の一つは遠距離からの大口径対装甲弾、
相手せずに済むならそれに越した事はない。
またHMTはその汎用性から多くのPMCに
利用されているであろう兵器。
しかし最新型のしかも技術実証機のHMT-15となれば
情報が無いどころかこの島に転がっている事自体
軍事分野ではちょっとしたニュースだろう。

「そうとも限らんぞ、ミサイルは高いからな。
それなりに安価で高い火力を出せる砲は
まだまだ捨てたものじゃない。
それとその言い方だとキミの異能は
それほど評価されていないのか?」

気恥ずかしそうに照れる少年を
まっすぐ見上げながらそんな事を。
実際様々な種類、口径の砲塔から
多種多様な弾頭を発射できる、
それは戦いにおいて大きなアドバンテージを
持っている事を意味しているだろう。

神代 理央 > 「寧ろ、君と私が手を組めば大概の敵勢力は殲滅出来ると思うがね。雑魚は私が効力射で制圧し、撃ち漏らしや砲撃による殲滅が困難な個人を君が殲滅する。人的資源を必要としない、コンパクトな戦争が可能じゃないか」

半ば冗談めかした口調で語りかける。
因みに、少年が届けた情報は彼の予想通り実家――正確にはPMC日本支社のみならず本社まで――巻き込んだ大騒動に繋がるのだが、少年は其処まで知る由もない。
それが少年に与えられた任務の色合いを微妙に変化させることにもなるのだが―それは後日、少年が頭を抱える話である。

「評価されていない、とまでは言わないが…そもそも此の島では制圧火力を効率良く訓練する環境に乏しいからな。対個人戦の訓練では絶望的に間合いが取れないし、そもそも少数相手では私の異能は十全に発揮しない。
その結果、戦闘訓練では微妙。制御や召喚数で評価を稼ぐというのが常さ」

訓練施設で1対1の戦いになれば、負けはしないがスマートに勝つ事も出来ない。召喚した異形がひたすら相手を機関銃で追い詰めていくだけでは、弱者を甚振っている様で級友受けも悪い。
結局、戦場ではなく決闘に近い訓練や講義では評価され難い異能なのだと、自嘲めいた笑みで肩を竦めた。

HMT-15 > 「非常に合理的な戦術だ。
ならばここは一つ風紀委員会への所属を
推しておく。情報によればキミはまだ
委員会未所属だったはずだ。
とくに特別攻撃課は使える戦力を
常に求めているらしい。」

こちらも冗談なのかきちんとした結論なのかは
わからないが風紀委員会への所属を提案してみる。
その声はいつもと変わらぬ機械音声だが。

「なるほど適した局面に中々出会えない訳か。
ただこの島においては強力な異能者との
通常の戦場ではありえない1対1の戦いも
十分に起こり得る。そこが難しい所だ。」

異能や魔法といったものが蔓延して以降
それこそ決闘のような
既存の型に当てはまらない戦いが
増えてきた。だからこそ大変容直後、
現代兵器はこれらの存在に大苦戦を強いられた。
その点では彼の異能は本当に
兵器としての性質に近いのかもしれない。

神代 理央 > 「風紀委員会、か。確かに、所属を検討している委員会でもある。
戦力として私が有用になるかは疑問だが…うむ。近いうちに、所属願いを出しに行くとしよう。その時は、君の事を先輩と呼べば良いのかな?」

彼の提案は、正に渡りに船と呼ぶべきものであった。
風紀、公安の何方かで悩んでいたのは確かだが、少なくとも見知った相手――それがロボットというのはさておき――がいるとなれば、所属希望の際に面接などがあっても答えやすい。
自分の異能を十全に、そして合法的に発揮出来る場所を求めていた事もあり、彼の提案に前向きな意欲を見せるだろう。

「そういう事だ。そう考えると、私の異能は大変容後に活躍の場を失いつつある火砲達の嘆きの声、かもしれないな。或いは、砲兵達の怨念とかな」

本来、投入する鉄と火薬の量で戦場の趨勢は決まるものだった。英雄的な個人ではなく、物量・兵站・システムによって戦場の勝者は決定していた。それが今では能力者個人が戦術レベルで高い戦闘能力を持ち、一騎当千という言葉が現実に起こり得る世界となっている。
かつて戦場の神と呼ばれた砲兵達の無念が己に宿ったのでは、などとオカルトじみた冗談を飛ばしつつ、こういう冗談は彼に通用するのかと内心で首を傾げた。

「―…さて、服に煙の匂いが染み付いてしまうのも嫌だし、そろそろ退散するとしようか。もし良ければ、頼りがいのある風紀委員会のHMT殿に学生街までの護衛をお願いしたいところだが―?」

気付けば、自動車から上がっていた黒煙も燻りつつある。
そろそろ自室のベッドが恋しくなってくる時間でもあるし、彼にスラムからの退去を提案する。
ものは試しとばかりに尋ねてみた護衛をもし彼が受けてくれれば、学生街に至るまで気ままな雑談――その中身は非常に鋼鉄と火薬の匂いがするものだろうが――しつつ帰宅する事になるだろう。

多忙な彼が個人の護衛をする時間的余裕が無いと告げれば、少々残念そうな表情を浮かべながらも縋る事はせず、異形を護衛代わりに学生街へと歩み去る事になる。

何方にせよ、今宵彼との会話で得た情報と所属する委員会の方針を得た事は非常に有意義なものだった。
翌日は、眠そうに欠伸を噛み殺して夏期講習を受けながらも、普段よりご機嫌な金髪の少年の姿が教室にはあっただろう。

ご案内:「スラム」から神代 理央さんが去りました。
HMT-15 > 「呼び方は好きなものでいい。
それにキミの面制圧力は目を見張るものがある、
きっと有用な戦力となるさ。」

彼の異能は兵器に近いが
兵器のように弾薬を消費する訳ではない。
その点で言えば実際の兵器よりも
優れているかもしれない。

「戦場は常に時代と共に変化しているようだ。」

不意にイチゴウはそう呟く。
無論戦場が変わっていけば兵器も変化する。
HMT-15という兵器は一騎当千が現実になった
時代の変化に対する一つの解答だろう。

「頼りがいがあるかどうか定かではないが
一般生徒の護衛くらいは構わない。」

一応正当でない暴力から人間を守るのは
このロボットの基本ルールの一つ。
1人の人間と一体のロボットは
鉄臭い雑談を繰り広げながら
この薄汚れた地を後にしていく。

ご案内:「スラム」からHMT-15さんが去りました。
ご案内:「スラム」にオカ魔術師さんが現れました。
オカ魔術師 > 「むふ…むふふふっ。死体よ、死体!一杯あるわぁん!!」

一つの争いが終わった後のスラム街で、奇妙な仮面を付けた人物が闊歩している。
甲高い男の裏声が大変に耳障りに街路に聞こえる。
死体がほうぼうに転がる場所を彷徨している。
鼻歌でも聞こえてきそうな程陽気だ。

「んっふっふっふ。イキが良い死体ねぇ…昨日死んだってトコかしら?
むふふふ…、良いわ、良いわよぉ…アタシが全部有☆効☆利☆用してあげるからぁ!」

オカ魔術師 > 「……さぁ、憐れで惨めな死体ちゃん達ぃ~♪
喜びなさい…むふふふっ……」

その人物がしゃがみ、あたりに転がる死体を見定めてから血濡れの肉片へと手を掛けて
くるり、指先を回して掴み取る

「この魔力を経て、アタシの奴隷(スレイブ)になりなさぁいっ♪
んふっ!むふっ、むふふふふふっ!!」

一言、まじないを唱えれば死体の一部や全部が砕けて消えて…
代わりに、薄紫色の不気味な魔力を放つ霊魂の様なオーラが魔術師へと流れ込んでいく。
辺りに不吉な雰囲気を撒き散らす異様な存在がスラムの荒廃した街路を闊歩していく。

オカ魔術師 > 「んん~っ♪やっぱり死にたての死体は良い物ねぇ…むふふっ。
ま、こんなゴロツキにケダモノ共のタマシイでも使いようは幾等でもあるわ!
なんてったって新鮮だものね♪ネクロマンスする時が楽しみだわぁ…♪」

その存在が清掃ボランティア活動の類ではないだろう事は一目瞭然だった。
死体を拾いながら響く陽気な裏声は、何処とない不吉な雰囲気をまき散らしながら、
暫くスラムをウロウロと動き回っていた事だろう。

ご案内:「スラム」からオカ魔術師さんが去りました。