2017/10/27 のログ
ご案内:「スラム」に八百万 頼さんが現れました。
八百万 頼 >  
そんなかっこしとると風邪引くで少年。

(音も気配もなく、彼の隣に姿を現す。
 最初からそこにいたような自然さで妙に人懐っこい笑みを浮かべながら、そんな耳障りの良い言葉を放つ。)

ココ危ないとこやで。
一人でおったら家族の人心配するんとちゃうか?

(迷子にかけるような声。
 にこにこしながら目線を合わせるようにしゃがんだ。)

「お姉ちゃん」とか、心配しよるやろ。

陽太 > 暫くぼんやりと下を流れる川を眺めていたが、
急に現れた気配に思わず肩が跳ねた。

「っ、は...?

.......別に、へいき」

一体どこから、と純粋に驚いて目を丸くする陽太は
男の食えない笑みに既視感と警戒心を覚えた。
油断なく、睨みつけるように見上げながら答えるが...。

「...........へいきだってば」

姉のことを言われれば明らかに敵意を向ける。
【どちら】の姉を指しているにせよ、
こういうタイプはどうもいけ好かない。
.....路地裏で出会った、あの黒い男とは似て異なるが、
抱くのは同じ感情だった。

八百万 頼 >  
平気なわけないやろ。
つーかボクが寒いもん。

(さむ、と大げさに身体を震わせ、どこからともなく上着を取り出し、羽織る。
 あまりにも自然に、だからこそ不自然に。)

そう言われてもな。
最近なんや黒い影に呑まれて消える言う話も聞くし。
通りがかったとこにたまたま居った子がそんな風にして消えた聞いたら、こっちかて良い気分はせぇへんやろ。

(本気で彼のことを心配しているような顔を見せる。
 どう見ても親切心から出ている言葉のように聞こえるだろうし、本気でそう見える顔でもある。
 善意から出た言葉と顔だとしか判断できないような声と顔。
 誰が、どこから、どう見ても。
 こんなスラムのど真ん中で。)

陽太 > 「.....なれた。
だからへいき。貧弱なやつとはちがう」

悴んで末端が赤く染まった素足を晒しながらも、
子供らしくムキになって強がってみせる。
...訳の分からない男だ、となおも小動物のように威嚇しながら。

「.......それなら心配いらないとおもうよ」

影。
恐らくは自分の異能のことだ。
度々暴走させては、スラムの裏にのさばる住民らを
無差別に食らってきてしまったから。

「ほんと.....あんたなんなんだよ」

睨みつける。
それはともかくして、この男の思考も行動もさっぱり読めない。
元々そういうのには疎いが、更に分からない。
手品みたいなことをしたり、自分みたいなのに話かけてきたりするなんて。

八百万 頼 >  
そないな足でへいき言われても。

(へら、と笑いながら彼の赤くなった足を指差す。
 見るからに寒そう、を通り越して痛そうだ。)

まぁそらそやな。
自分の飼っとるペットに食われるバカもそうおらんやろ。

(両手を広げて当然だと言うように。
 その影が出たところに彼が居たという事はとっくに知っている。
 何度も目撃証言のある彼が、たまたま難を逃れたと言うにはあまりにも回数が多いことも。)

さてなんなんやろなぁ。
スラムでぼろきれ着てかわいそうな生活しとる男の子を助けに来た慈善家か。
それともそんな子供を上手く使うて美味しい思いしようと企んでる悪党か。
はたまた単純に二ヶ月ほど前倒しでプレゼント届けに着てしもうたあわてんぼうのサンタクロースか。
――どれがええ?

(にんまりと。
 怪しさの欠片も見当たらない笑顔を作る。)

陽太 > 「う、うるさい!」

頬を膨らませて視線を逸らす。
あっという間に、かつ単純にご機嫌斜めになってしまった。

「.......!!
...ペット、なんかじゃない...。そんなかわいくない...」

見破られていた。
その事実にもはや恐怖さえ感じる幼子。
推理と言うのにも烏滸がましいほどの推測だということを、
この子供はやはり理解できなくて、強がるしかできなかった。

「.......ぜんぶやだ!!」

そうきっぱり叫ぶ。
慈善家も、悪党も、サンタクロースも。
全部嫌いだと拒絶するように。
...いくつか分からない言葉もあったが。

八百万 頼 > そやでー。
大人は口うるさいもんなんやでー。

(むくれる彼の言葉を適当に流し、その頭に毛布をばさりと被せる。
 おひさまの匂いのする、ふわふわの暖かい毛布。)

ま、ペット言うよりは過保護な番犬言うた方がええやろ。
どう見ても少年の言うこと聞いてへんようやしな。

(集めた情報と実際に会った印象からすれば彼はまだまだ普通の人間だ。
 多少こじらせているところはあるだろうが、それでも殺人鬼のような壊れ方はしていないように見える。)

そやろな。
同情されるんは腹立つやろし、良いように使われんのも面白ない。
サンタクロースとか言うて誤魔化されんのも詰まらんやろ。
――せやけど、ほんなら何がええんや。
実は生き別れた兄ちゃんとかか。
それともただ少年を殺しに来た暗殺者がええか。
ただなんとなくたまたま見かけたから声掛けただけの通りすがりの一般人か。

(真面目な顔で選択肢を増やしていく。)

ヒーローでも悪党でもその辺のモブでも、少年が好きな設定選べば良いけどな。
それがホンマのことかどうかなんてボクにしかわからんのやで。
そんなんやったら、ボクが誰かなんてどうでもええやろ。
時間の無駄や。

陽太 > 「なんかこどもっぽいけ、
...........いらない。返す」

子供っぽい、と嘲ろうとしたところで
ぱさりと被された毛布は柔らかくて暖かくていい匂いがする。
それをまるで親の仇のように睨みつければ、
ぐいっと押し付けるように相手に返そうと。

「.....おれ、こいつきらいだし。
聞いてくれないのはトーゼンなんじゃねーの」

荒い口振りで自らの陰を見下ろす。
別に今は好き勝手動かない陰ではあるが、
自らの陰がいつもは一番動いているので異能の象徴となりつつある。

「.....??
なにいってんのか、さっぱりわかんねぇ」

まず自分が問うたことだとも忘れて怪訝そうに。
なんだかうまく丸めこまれた気がする。

「おれにはなしかけた方がじかんのむだだとおもう」

そう付け加えて、陽太はあからさまに敵意を剥き出しにする。

八百万 頼 >  
ボク同じモンいくつも持っとるし。
貰えるもんは貰っとき。

(そう言ってボロボロと同じものをいくつも取り出してみせる。
 自身以外は知る由も無いだろうが、それらはただ似ているだけのものではない。
 毛布を作る糸一本一本の染め具合からふかふかの毛の長さや太さ、もっと言えばそれらを構成する分子構造まで寸分の狂いも無く一致した、「正真正銘全く同じもの」である。)

そうか。
自分のこと嫌いか。
そんなら言うこと聞かんでもしゃーないな。

(肩を竦めながら。
 彼の言うとおり、それは当然だと言うような顔。)

何言っとるんかさっぱりわからんのに、それをわかるように言うとるやつは信用すんな、言うことや。
それをわかっとらな食いモンにされて終いやで。
それにな、誰かとオハナシすることに無駄言うことはあらへんのやで。

(にんまりと笑って押し付けられていた毛布をもう一度頭から被せる。
 何枚も何枚もどさどさと。)

陽太 > 「っ、だから、いらないって.......」

一体どこから、といくつもの毛布を見ながらも
ぶんぶんと頑なに首を振って振り払う。

「.....しかたないんだよ」

はぁ、と溜息を付いてゆらゆらと揺れ始めた陰を無感情に眺める。
だから今これが、この男を食らっても仕方ない。

「.....??
じゃああんたのことはしんようすんなって?
...さいしょからしてないけど」

食い物にされるのは嫌だ、と思いつつも
少し不思議そうに首をかしげながら。

「...わっ.....、でも、おれなんかとはなしても...」

頭上から降ってくる毛布を咄嗟に橋から落ちないようにしながら、
陽太はそれでも納得できなかった。

八百万 頼 >  
ええから。
いらんなら欲しがっとる誰かに売るなりやるなりすればええ。

(いらないと我を張る彼を見て笑う。
 出した毛布は、一つを残して残さず消した。)

自分の異能が嫌いかどうかは人それぞれやけどな。
少なくとも認めてやらんとどうにもならんと思うで。

(それが彼の異能だと言うのなら、それは彼自身にも等しい。
 そうして間違いなく彼の一面として発言している異能を否定していては、言うことなど聞いてくれるはずも無い。
 制御したいのならば、好きになるとまでは言わずとも、それを自分の一部だとしっかり認めてやることが大事なことだと語った。)

信用出来んやつから信用すんな言われて信用せん言うんか。
おもろいこと言うなぁ。
信用出来んやつから信用すんな言われたら、信用するんがスジとちゃうの?

(おかしそうにへらへらと笑う。
 こんなものは言葉遊びでしかない。
 結局のところ、信用出来る出来ないは自分で判断するしかないのだから。)

陽太 > 「.....売る。
きもちわるいおっさんにうってやる」

頭に被さった毛布1枚を握りしめるようにして、
訳の分からない嫌がらせをしようとする。

「.....みとめる...」

この男の言うことを聞くのは癪だが、正直一理ある。
本っ当に心の底から腹立たしく、苛立たしい話だが
この憎い異能を少しは認めてやるべきなのだろうか。

「.......しんよういっぱい言いすぎていまいちわかんねぇって」

苛立ったようにそう唸る。
信用がゲシュタルト崩壊、と言いたいらしい。
でもなんとなくわかったので、言い返せず不満げな顔をする。

「おれがたしかになって思ったからそうしてんの」

絞り出すように、そんなふうに言って
じろりと男を睨む。

八百万 頼 >  
それは少年にあげたやつや。
好きにしたらええ。

(ひょいと肩をすくめ、好きにすれば良いと。
 彼がその毛布をどうするかなど、気にもしないと言うように。)

好こが嫌おが、それは少年の力なんやからな。
それを認めて受け入れな、その内少年が食われてまうかも知らんで。

(自身の力を拒否した結果、逆に食い潰される。
 珍しい話ではない。)

あっはっは。
そらすまんかったな。
――そういうこっちゃ。
誰とどう関わってどんな関係になっても、自分のことはちゃーんと自分で決めなアカン。
覚えとき。

(そう言ってくるりと背を向ける。
 橋をすたすたと歩いていき、途中で振り返る。)

――なんぞか困ったことあったら、鋼の両翼ちゅートコ頼り。
やさしーい半龍の姉ちゃんが助けてくれるわ。

(そう言い残して消えた。
 元から誰もいなかったかのように、綺麗さっぱりと。)

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陽太 > 「.......じゃあうるから」

冬の備蓄には丁度困っていた。
せいぜい肥やしになってもらおうと。

...こんな力に食い潰されるのは御免だ。
いやはっきり言って、死にたくない。
男の言葉を聞きながら、そう決意を固める。

「いわれなくてもそうする」

最後まで意地を張り、そう硬い声で返す。
そして告られた組織名に、小さく眉を顰め。

「...またへんなのがでたな...」

裏生徒会に、次は銀の両翼。
自分はどんどんまずいとこに足を突っ込んでいるような...。
嫌な予感を覚えながら、陽太はとりあえず毛布を畳み、
とびきりクズで気色の悪いおっさんに売り払うため歩き出した。

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