2018/01/13 のログ
■イチゴウ > 後に残るは建造物だった瓦礫と
散り散りになっていった死体のみ。
舗装されていた道路も跡形も無いほど崩れ
辛うじて生活が営まれていたという空気は
完全に消え去ってしまい代わりに静寂が辺りを支配する。
しばらくしてロボットは辺りを見渡し
生体反応の有無を丁寧にスキャンしながら
金属音と共に辺りを適当に歩き回る。
完全に制圧しきったと踏んでいた矢先
突然飛んできた電撃の光線、それはロボットの
すぐ真横を通り過ぎシャーシを擦る。
当たった部位から煙が立つもののそのシャーシには
一切のダメージが認められない。
そしてその無機質な身体を重々しくゆっくりとその場でターンさせる。
目の前で立っていたのは一人の青年、
先程の雨を運よく生き残ったのか自分の足で何とか立っている。
そしてその青年は恐怖を抑え込むように声にならない叫びをあげながら
もう一度手元にエネルギーを凝集させ高圧の電撃を放つ。
だがそれと同時にロボットは空気を破裂させたかの様な音を発すると
まるで押し出されるように脚部と地面との間に火花を散らしながら
横方向へ勢いよくスライドする。
そうして回避された電撃は多脚戦車にではなく残骸のコンクリートへ穴を開ける。
エアスラスターでの回避に成功したロボットは
特徴的な油圧機構の音と共に背部の機関砲をスピンアップさせ
感情などない機械的な視線をぶつける。
それに対する青年は足を震わせ過呼吸に陥り
抵抗することも逃げる事さえも出来なかった。
■イチゴウ > 「ターゲットの生存を確認、排除開始。」
機械的に宣言されたその一言。
何の飾り気も無いその台詞であったが
相対する青年にとっては如何なる挑発よりも暴言よりも
その背中を凍らせるものであった。
殺される。ただそれだけを判断した青年は
まるで自らの体に鞭を打つがごとく無理やり足を動かす。
両足が揃わず絡みそうになりながら必死に逃げる、
傍から見れば滑稽とも取れるような哀れな逃走風景であるが
当人にとっては死ぬか生きるかである。
壊れた居住区に響き渡る乱れた足音と
泣き声が混じりそうなほどの過呼吸音。
しかしそれらは次の瞬間に響く火薬音によって
この世界から消し去られる事となってしまった。
■イチゴウ > 「風紀委員会本部へ。
対象地域の掃討を確認、任務達成と判断し
これより帰投する。」
しばしの静寂の後に淡々と機械的に言葉を並べ
何も残っていない不毛の地を後にしていく。
機械には人間を殺すことに後悔も恐怖も、快感も存在しない。
殺人自体、歩く聞く話すといった行動プログラムの
延長でしかないのだ。殺せと言われれば殺す。
兵器はただ与えられた任務を執行しするのみである。
ご案内:「スラム」からイチゴウさんが去りました。
ご案内:「スラム」にレテリアムス=レイス=アンジェリカさんが現れました。
■レテリアムス=レイス=アンジェリカ > 「平和なのはいいが…つまらないな。もっと荒いものを想像していたのだが…。」
一人でスラムを堂々と歩く。一定のリズムで鳴り続ける靴の音がどこか心地よい。
スラムというのだから争いや裏取引が絶えずもっと荒々しいものを想像していたのだが。運がいいのか悪いのか、そんなものには一切遭遇せずに。少しは自分も風紀委員会らしく役に立てぬかと踏み込んだはいいものも何もなく、目の前の角を曲がれば行き止まり。
「…引き返すか…」
眉を潜めてそう言い小さく短く溜息を吐く。確か所々曲がり角があったな、と淡い期待を抱きー不謹慎だとは思うがー振り返って歩き出す。
その時突然目の前をネズミが通り過ぎる。驚愕に目を見開いて暫く固まる。見た目はただ立ち止まっているだけであろうがかなりびっくりしており。我に戻って周りを見回せばふぅ…と息を吐いて再び歩き出す。曲がり角を曲がり、予想どうりか、こそこそと話す2人と周りにいる護衛らしき5人。全員自分より背が高く見上げる形になってしまう。
■レテリアムス=レイス=アンジェリカ > 「そこの…7人、何をしている?何をしているか我にも聞かせてくれないか?」
無表情のまま金属の棒の1.5mぐらいを手にする。残りは背中にあるまま。今までと同じペースで歩み寄ればやはり護衛なのか4人のうち2人が拳を鳴らしながら近付いてくる。話していた2人と護衛らしき2人は奥の方へと逃げて行く。やはりやましいことをしていたようだ。棒をくるりと回して地面を強く強く蹴って左にいる男の懐まで潜り込む。
「使う必要もない…か」
棒を持っていない左手でまだ自分の動きに対応できていない男の顎をしたから思いっきり殴る。上に吹き飛んだ男を蹴飛ばしてもう一人の男を睨む。こちらは、いやさっきのやつもだったかもしれないが、手によくわからないエネルギーが集まってこちらへと飛んでくる。左手で一つ金属の箱を手にして全力で投げつける。投げる前に形を棘だらけのものに変えて。エネルギーをしゃがんで回避して。金属の塊が男の腹を貫いて後ろの瓦礫にひびをいれる。
ご案内:「スラム」に狗隠さんが現れました。
■レテリアムス=レイス=アンジェリカ > 「さて、追うとするか」
気絶して動かない二人の男を尻目に金属の塊を回収してもとの形に戻す。先ほど逃げた4人の方へと走っていく。曲がり角を曲がったのを見て金属の棒を刀の様な形へと変えて高熱を帯びさせる。それで曲がり角の死角にむけて金属の棒を突き出す。するとやはり待ち伏せていたか、ぐぁっと声が聞こえてくる。そのまま曲がり角を曲がれば一直線。強く地面を蹴り跳べば護衛がいないことに気づく。さっきは一人しかいなかった。どこにいる?心の中で思いながら着地する。話していた2人を捉えて棒を振り下ろす。と右のあたりから急に消えた一人が現れる。瞬間移動か透明化かはしらないが。ナイフを避けるため左後ろに跳んでその男に棒を振りおろせば男は後ろへと急に現れる。
「瞬間移動か」
足を地面に突き刺してその場でぐるっと回れば目に見えぬほどの速さで回転して棒を叩きつける。男は吹き飛び気を失ったのかのびている。
話していた2人は悲鳴をあげながら逃げて行く。追いかけるのも疲れるな。と思って二つの金属の箱を取り出せば檻のようにして全力で投げる。それは2人を捉えて捕まえて。
「何をしていた?おとなしく答えてもらおうか」
■狗隠 > さて、ボロボロの衣装から卒業したはいいが…執事服姿、という何とも言えない衣装になってしまった。
更に、左腰には刀、右腰にはホルスターに収めた大型のリボルバー式拳銃、ともなれば浮くのも仕方が無い。
(矢張りこの格好ではスラムだと逆に目立ちかねんな…暫くは落第街を拠点に移すべきか…?)
と、考えていれば何やら獣の感覚が騒ぎを捉える。どうやら何処ぞで派手にやらかしているらしい。
面倒事に首を自ら突っ込む趣味はこの怪異にはさして無いのだが…僅か、好奇心が疼く。
それに惹かれるまま、出来るだけ気配やら足音を殺してその騒ぎの現場へと足を運ぶだろう。
――そこで見たのは、頭から左右に銀角を生やした緑髪碧眼の女の独壇場だった。
明らかにこの世界の者の姿でも空気でもない。ともなれば…。
(異邦人…だろうか。しかし、随分と強いものだな)
物陰からこっそりと見学する。流石に割って入るほどに喧嘩や揉め事好きでもない。
■レテリアムス=レイス=アンジェリカ > 「おとなしく答えれば危害は加えないことを約束しよう。まぁ我以外に…はあるかもしれぬがまあ自業自得であろう。さぁ吐け」
檻の反対側に集まってガタガタ震えて怯えている男たちをみて情けないな、と思いつつ脅しのために棒を200度程度まで熱して目の前に突き出す。高温が2人を襲うであろう。高温に耐えられなくなってきたか。片方の男が白い粉が入った袋を差し出してくる。なるほど、と顎に手を当てればもう一人の男が自分の後ろを見つめていることに気づいて振り向く。すると執事服が少しのぞくのが見えて。こんなところで執事服?と思いつつ棒をそちらへと向けて。
「誰だ?何もする気がないなら危害は加えないことを約束しよう。協力するなら協力してくれるとありがたいな」
表情のこもっていない言葉を狗隠れにむけて放って。
■狗隠 > 「……やれやれ、俺の気配遮断もまだまだか…いや、あちらが優れているだけか」
怪異とは流石に勘付かれてはいないようだ。もし勘付かれていたなら面倒だがそうでないのは唯一の幸いか。
とはいえ、執事服で武装している、ともなれば変な目で見られても仕方ないだろうが。
物陰からゆっくりと姿を現す。一応、敵意が無い事を示す為に軽く両手を挙げてみせつつ。
「……協力は構わないのだが、こちとら素人だ。そちらの口ぶりと言い分、相手からして貴女は風紀委員会の者だろうか?」
婉曲よりストレートに尋ねた方が話が早い。そして、今、震えてる男達と明らかに異なる点。
彼女の立ち居振る舞いやその強さを見ていても全く動じた様子が無い。肝が据わっているのか鈍感なのか。
ご案内:「スラム」に狗隠さんが現れました。
■レテリアムス=レイス=アンジェリカ > 「別に大丈夫だ。こいつらを運びたいだけだしな。一人では面倒だ」
そう言って檻の中の二人に棒を向けて。スラムの人間(?)にしては協力的だな。と失礼とも当然ともとれる考えをしており。
風紀委員会か?と尋ねられればこくりと頷いて。
「そのとおりだ、まぁ今やってることはただの独断だが…」
風紀委員会と知られて敵対されるかもしれないがまぁ問題ないだろう、と余裕の表情で手伝ってくれ、と手招きして。
■狗隠 > (さて、怪異とバレればまず討伐か捕縛は免れない、怪しまれるのは格好からして致し方ないが…)
と、頭の中で考えながら彼女の頼みと手招きに頷きつつそちらへと歩み寄る。やっぱり執事服が奇妙だがそこは仕方ない。
「…そうか。だが俺は貴女の同僚でも何でも無い。…つまりその独断をどうこう言う気は無い」
敵対する気は男には全く無い、ただ正体がバレると高確率で交戦する羽目になりかねないのが面倒なだけだ。
ともあれ、何だかんだ彼女の隣の辺りまで歩いてくれば男たちを観察して。
「…運ぶのは構わないのだが、何処まで運ぶ?まさか風紀委員会の本部、というのは流石に無いと思うのだが」
素朴な疑問だ。ちなみに、運ぶだけなら実は男一人でも事足りる。風の魔術で浮かせて運べばいいだけなのだから。
ご案内:「スラム」に狗隠さんが現れました。
■レテリアムス=レイス=アンジェリカ > 「スラムの外まででいい。一人なら屋根でも跳んでいけばすぐ出られるだろうが流石に二人抱えては無理だ。抵抗されるかもしれないしな。だから案内してくれると嬉しい。スラムの人間ならどこから出られるなどわかるのではないか?…そういえば名前を聞き忘れていた。名乗ってはくれないか?我はレテリアムス。長ければレテとでも呼べばいい。」
檻の底へと金属の箱をもう一つくっつければ檻の底を作り出す。デカいままでは持ち運べないだろうし必要最低限まで檻を縮小して余った分は箱へと戻して掛け声をすれば持ち上げてみせて。
■狗隠 > 「……構わないが…あと、運ぶだけなら俺一人でも十分だが。一応魔術の類も使えるのでな。
…俺か?…狗隠(クオン)だ。ではレテ嬢……。」
そこで言葉を切れば、微かに吐息を零す。そして、次の瞬間に男の右手がブレた――そして、腰のホルスターからリボルバー拳銃を抜き出し射撃。
ただし狙いは隣の彼女でも、男連中でもない…スラムの崩れかけた壁の一角だ。
と、着弾した所には特に何も無く弾痕が残るだけだったが、その隣からいきなり一人の男が現れる。
どうやら、魔術か異能で迷彩をしていたようだ。いきなりの不意打ちに、あちらは何かガクガクしているが。
「――もう一人追加だ。こういうのは一網打尽にしないと意味が無いのだろう?」
と、軽くレテ嬢へと顔を戻して肩を竦めてみせる。銀色のリボルバーはそのままホルスターへと戻し。
■レテリアムス=レイス=アンジェリカ > 「………気づかなかったな…ありがとう」
とつぜんの狗隠の行動にかなりびっくりして目に見えて驚いており固まっている。もっていた檻を落としてやっと硬直がとけて口を開けば感謝を述べて。その隠れていた男の方へと跳躍すればかかと落としを食らわせてやる。すると男は顔面から地面に突撃して動かなくなって。
「いい腕だな…そういえば狗隠殿は人間なのか?我は見ての通り龍人だが」
角を触りながらそう尋ねれば再び檻を背負って。
■狗隠 > 「…周囲の気配に違和感があったのでな。それを逆算して大まかに位置を特定していただけだ。
特に迷彩の異能や術式というのは姿を隠すのが逆にそこだけ違和感を生み出す事も多い」
と、そう語りながら彼女が早速、男へと跳躍して痛烈な踵落としを食らわせるのを見届けて。
お見事、と呟きながら風の魔術を用いてそのノびた男と他の男二人も纏めて宙に浮かせる。
ついでに、暴れられないように見えない風の縄で纏めて縛っておくのも忘れない。
「…いいや、俺も異邦人だ。訳ありで学園には所属していないが…取り合えず、この武装は自衛手段だと理解してくれると有難い」
と、腰の刀と拳銃を軽く示しつつ僅かに微苦笑を浮かべてみせる。異邦人、というのも実はあながち嘘でもない。
実際、自分はこの世界の死者の想念と、そして異世界の何者かが融合して生まれた怪異なのだから。
■レテリアムス=レイス=アンジェリカ > 「我は魔術が使えない…いや不可能に近いのでな、あまり知識がないのだ。学ぶだけ無駄なのでな。
…檻は必要なさそうだな…」
狗隠の魔術に驚きつつも檻を元の3つの金属の箱へと形を戻す。金属の棒は握ったままで。
「そうか、では同じだな。それ程の実力があるなら風紀委員会にでもなればいいだろう…きっと歓迎されるだろうな。その服装も好印象を与えるだろうしな。」
なぜ学園に来ないのか、と少し考え始めて。
■狗隠 > 「レテ殿…と、いうより龍人というのは魔術が使えないのか?いや、こちらの世界の魔術と相性が悪いだけかもしれないが」
そもそも、異邦人とはいえそれぞれの世界はバラバラである。彼女の世界では龍人とは魔術が使えないという可能性もある。
檻に関しては、「折角用意して貰ったのに済まないな」と一応謝っておく。
「……いや、秩序や治安維持というのは俺の柄ではないし堅苦しいのは苦手だ。
…服装に関しては、まぁ不本意だがこれしか無かったのでな」
と、少し何とも言えない表情で執事服姿の自分を見下ろす。言葉遣いや所作を覚えれば執事も似合いそうではある。
「…それで、スラムの出口まででいいのか?レテ嬢。歩くより矢張り屋根伝いに跳んで行く方が早いとは思うが」
案内は構わないが、普通に歩くのは矢張り手間と時間が掛かる。そう提案しておこう。
■レテリアムス=レイス=アンジェリカ > 「使える者もいはしたが…ほんの一握りだったな…それにあまり強くはなかった。相性は…わからないが」
狗隠の異世界はどんなところなのだろうか、とわずかに興味をわかせれば自分の故郷を思い出す。まだ耐えてくれているだろうか、みんな生きているだろうか、と少し回想に浸る。狗隠の言葉に少し遅れて気にしなくてもいい、と答えて。
「そうか…我としては気にしてはいないな」
そんなに面倒なのだろうか。少しやればなれる。柄でもない、というが手伝ってくれるのだからそんなこともないだろうしと疑問に思って他の理由を考え始めて。
「できるならそれの方がよいな。外までで大丈夫だ。では行くか。」
と言えば上を見上げて地面を蹴って跳躍すれば屋根へ足をつける。
■狗隠 > 「…とはいえ、貴女の戦闘能力は十分に高いとは思うが。覗き見をするつもりは無かったが、偶々通り掛かったのでな」
実際は好奇心に負けて自らやってきたのだが、そこは黙っておくとしよう。
さて、レテ嬢は素直にそう評してくれているが、怪異が風紀委員など笑い話にもならないだろう。
それに、風紀委員会も一枚岩でないと聞く。変な諍いに巻き込まれるのも面倒なのだ。
「…分かった。最短、と言えるかは分からないが案内しよう。こっちだ」
そうして、こちらも彼女に負けない身体能力で跳躍し、足音も立てずに屋根へと着地。
ちなみに、男の上には風の魔術で縛られた男3人が浮かんでるシュールな光景があったりする。
ともあれ、そのまま先導して屋根から屋根を跳躍して道案内をしよう。スラムにまともな地図など無いので、こういうのは土地勘が求められる。
とはいえ、スラムと隣接しているのは主に落第街なので案内するのはその境界線辺りとなるのだが。
そうして、十数分程度跳躍を繰り返し、やがて落第街の外れにしてスラムの出口へと到着する。
「……着いたぞレテ嬢。ここが落第街とスラムの大体の境目だ」
■レテリアムス=レイス=アンジェリカ > 「そうか、そう言われると嬉しいがまだまだ未熟だ。」
ありがとう、と言って狗隠について行く。なぜこんな人物がスラムなどにいるのだろうか、などと考えながらもスラムの風景を眺めており。狗隠に遅れを取らずについていけば境界のあたりまで来ており。
「ここがか…ありがとうな、手伝ってくれて。」
少し笑みを見せれば男三人を縛るために金属の箱を一人一つずつ押し当てて拘束する。正直言うともう少し手伝っては欲しいがあまりわがままいうのもあれだろう、と思って。
「そういえば…つまらないことを聞くが…狗隠殿…怪異だったりしないか?どうも狗隠殿の様な人物がこんなところにいることに納得できなくてな…風紀委員会でなくとも学園に通うことはできそうだしな…」
少し疑いの目線で狗隠を見る。
■狗隠 > 「…そうか?まぁ、何事も道は果てが無いとも言うし、貴女が言うのならそうなのだろう」
無表情でこくり、と頷く。仮に彼女と戦ったとして優位に立てるだろうか?
と、少し考えてもみるが負けはしなくとも勝てる気は正直しない。男はまだ発展途上だ。
――無論、それは彼女とて同じなのだろうが。正直、彼女も含め風紀委員会はやり合いたくない相手が多い気がする。
「…このくらいなら特に問題は無い。流石に学生街とかあちらまで、となれば悪いが断らせて貰ったが」
と、肩を竦めてそう答える。落第街やスラムから積極的に出る気はあまり無い。
もっとも、彼女が手伝いを頼めば落第街を出る辺りまでなら案内や手伝いくらいはするつもりだが。
「……怪異?いや、異邦人ではあるが違うな。まぁ、勘違いされる事はあるが。」
と、特に表向きは冷静に否定するが、内心では相手の勘の鋭さに冷や冷やものだ。
もっとも、彼女の気質からしてこちらが怪異と断定されたとして直ぐに捕縛、という事にはならなそうだが。
それに、討伐される感じでもない…ただ、矢張り風紀委員の関係者に怪異だと白状する気にはなれない。
まぁ、ともあれその態度は冷静で動揺した様子も無ければ、内心の焦りなどに勘付かれる事は無い…と、思いたいが。
■レテリアムス=レイス=アンジェリカ > 「…そうか。まあ狗隠殿の様な人物が怪異というのも…考えにくいしな…つまらないことを聞いたな、すまない」
ぺこりと頭を下げて謝り。これで動揺を出そうものなら怪異なのだろうがそのような様子はあまり見受けられない。よって違うと断定すれば男三人を両腕で抱えて落第街の方へと体を向けて。
「ありがとうな。付き合ってもらって。また会えたらその時はちゃんとお礼させてもらう。ではさようなら」
そういえば落第街の屋根へと飛び移りながら遠くへと去って行った。
ご案内:「スラム」からレテリアムス=レイス=アンジェリカさんが去りました。
■狗隠 > 「…いや、気にしないでくれ。勘違いされる事も偶にあるのでな。ああ、帰り道は気をつけてなレテ嬢。」
ともあれ、男三人を抱えて落第街へと去っていく風紀委員の龍人を見送り軽く会釈を。
やがて、彼女の後姿が見えなくなってから、珍しく盛大に溜息を一つ吐き出した。
「…矢張り、怪異の気配とは隠せないものなのだろうか…こればかりは仕方が無いとはいえ」
彼女の勘が鋭いだけかもしれないが、何時ぞやの風紀委員会所属のロボットにもあっさり断定された気がする。
矢張り、怪異特有の何かしらがあるのかもしれない。異邦人だと今回はお茶を濁せはしたが。
「…それに、レテ嬢やまたあのロボットとやり合うのは勘弁願いたいものだ」
心底本音の呟きだ。怪異としてはどちらかといえば温厚、というよりかなり人間臭い。
実際、死者とはいえこの世界の人間の想念が己を形成している、と言えなくも無いのでその影響だろう。
「……中々に怪異らしく、とは行かないものだな」
それは優しさか単なる甘さなのか。怪異らしくない、とは我ながら思うのだけれど。
やがて、男も踵を返してスラムへと再び屋根伝いに跳躍しながら戻っていくだろう。
ご案内:「スラム」から狗隠さんが去りました。