2018/04/08 のログ
クロノ > ※度々申し訳ありません、なんか回線かページのどこかの仕様が変わったのか、以前までは普通に何でもなかったんですが今日はリロード毎に入室になってしまって、正常に退室処理も出来ていないようなので、今日は失礼します…。お目汚し申し訳ありませんでした…。
イチゴウ > 「エリアの掃討を確認、任務終了」

ゴミ山と化したバラックに囲まれながら
四つ足のロボットは静かに辺りを見渡す。
目下の所、敵対する反応が居なくなったと見るや
背中に背負う大きなターレットの束ねられた砲身を
上へと向けて回転を停止させる。
その鋼鉄の筒からは熱によって湯気が立ち込め
降りしきる雨がそれを冷却する。

「キミ達からは何も学べなかった」

辺りに散乱するスラムの住人達だったものーー
人間、魔術師、異能者問わず平等にただの肉へと
変わり果てた大量のソレを視界に収めながら無機質な一言。

イチゴウ > ロボットは裏の住人たちに対して恨みを持っているわけでも
別に怒りを覚えているわけでもない。
機械は指令された内容に極めて従順だ、
上層部はコーヒーや紅茶を片手にタッチパネルで
好きな時に殺したいターゲットを決めることが出来、そしてロボットは
彼らから送られてきたプログラムを最も効率的な手段で実行しようとする。

「キミ達の死は恐らく無意味なものだと思う」

男性的な合成音声でまた一言。
ロボットに課せられていたスラムの掃討任務、
これがまた意味の無いものであることもわかっている。
このようなアバウトな作戦を行うという事は
肥大化する違反部活群に風紀委員会が焦っている証拠だろう。
組織と言うものは得てして体裁を気にする。
しかしロボットは見下しもしないし否定も拒否もしない。これは任務だからだ。

ご案内:「スラム」に蒼穹さんが現れました。
蒼穹 > 片手に水玉模様の傘、腕に風紀の腕章。
青いヤツ。それが一通りコトが終わったスラムの一角へ堂々と歩んで。
なんか踏んでる?気にしない。

「やー、遅刻遅刻、ごっめん。お、終わってるねぇ…派手にやったねコレ…」

サボリ魔の蒼穹。
事にコイツが風紀委員であることは多分腕章してなきゃ信じられないだろう。
「適当に違反部活の連中を狩っといて」とか、適当な命令にも程がある…なくない?
一言で言えば私みたいな厄介者に対する厄介払いみたいなものだったんだろうしそれは知ってるけどさ。

ただ、たまには真面目にやらんと自分の立場もあれなので、
このあたりでひとあばれー…って思ったら、先に、風紀委員の…ええと。
まぁ兎に角風紀委員の、ロボットがやってくれてたみたい。
気さくに手を振って。

イチゴウ > 「生命反応及び強力な超自然反応を検知。」

ロボットに装備された量子レーダーの索敵範囲内に
何か生物が侵入した事を受けて即座に反応すると
遅れてやって来た人影の方へと振り向く。
そこに立っているのは綺麗な蒼の髪と瞳を持つ一人の少女。
身なりは兎も角、腕の風紀紋章がロボットに判断させる材料として十分だった。
金属音を奏でながら彼女の足元まで近づき顔を見上げる。

「やあ、遅刻をする事は好ましく無いものだ。」

この任務に関して同じく招集を掛けられていた人物だったか。
雨に打たれ続けて濡れ切ったシャーシ、そんな事を
気にせずロボットは前右足をびっと彼女へ伸ばし
任務に遅れた事について言及する。

蒼穹 > 「あっは…悪いね、覚えてたら気を付けるよ。」

さて、何だかやっぱり見覚えがある気はするぞ。
と、肉片を前にする四脚の彼…?彼でいいのかな。
便宜上彼と言おう。声は男っぽいもの。

とりあえず彼ににへらとそれはもう人の良い笑顔で軽い口を叩きながら、
傘を握らない手でひらひら。

しているうちに足元まで寄ってきてくれた。
あ、なんかちょっとかわいいかもしれないねこの子。
顔もそうなんだけど。一挙一動に面白可笑しい金属の音がなり、
子供の玩具みたいな愛嬌のある顔つき。
……うん、やっぱ知ってる気がする。おぼろげなんだけど。
対する彼は私の事は知らないかな。
だって私と真逆の働き者だ。…おそらくね。

「んー…ま、でも。これ、見た感じさ。結果オーライじゃない?」

くるりと辺り一帯を見回す。改めて。

「見たとこキミは実に良い感じに殺っちゃったみたいだしー
…私が居たらいたで手惑ったんじゃないかな。」

イチゴウ > 「キミは実に個性的だ、後でじっくりと調べる事にしよう」

無邪気な雰囲気で機械に微笑みかける彼女を見てその一言。
それは実に自由な蒼穹への興味から放たれたものだが
曲がりなりにも女性相手に使う言葉遣いでは無いだろう。
勿論、ロボットは全く気にしていない。

「確かに結果という面で語るのならば同じことだが
キミから検出される超自然エネルギーから計算すると
キミが居た方が恐らく一瞬で終わらせる事が出来ただろう」

データベースを見るまでも無く彼女の力は検知できる。
ただの人間ではない事は明らかだろう、
下手をすれば超自然存在として最大級クラスの可能性さえある。
風紀委員であることが良かったといえる存在かもしれない。
もっとも彼女の自由な性格は上層部にとってロボットとは対照的に
扱いづらいものだろうが。

蒼穹 > 「その何。ええと。…うん。」

あら、私今研究対象として見られてました?!
ああ、でもさ。そういうのって、気になるよね。
とりわけ、メカメカしい彼の事。一体調べたらなんて言われるんだろうね。
ふふん、私こそ破壊の権化。聞いて驚け破壊神だーっ!
なぁんて…グラサンの向こうの青い瞳が慢心染みた半弧を描く当たりも個性的かな。

「あは…何なら今少し、…調べてみるかい?」

此方へ向けた足に当たる部分に、そっと人差し指を付けた。
雨に濡れる鉄の感触が、ほのかに。
そうして近づくと、傘が彼の頭上を覆う。
異界の魔力と歪み切った神性が、機械の身体に触れて。


「そだね。」

一瞬で終わらせるだけなら。
だけど。

「…皆殺しにしてよかったのなら、だけどさー…?」

器用に、殺すよね。
流石機械か。
肉が残ってる。って事はつまり、彼は必要なだけを殺したんだ。
派手に地形が壊れた痕もない。彼は必要な戦力だけ使ったんだ。

じゃ、私がこれを殺すなら…?

「多分同じ結果に出来ないね。」

コンピューターの計算で弾き出される以上に、
私って厄介なのかも。

任務に忠実かつ与えられたことをきちんとこなす彼に対して、
私を制御するのはそれこそ災害か何かを扱っているみたいに思われてる。

イチゴウ > 彼女が腰を下ろして指を近づけると
それを見上げるロボットにとって彼女の顔が近くなる。
その無機質なカメラはサングラスの向こうの蒼い瞳をしっかりと捉えていて。

「......スキャン終了、これは凄い。
キミの中には災異レベルのエネルギーが内包されている。
魔術師、獣人、吸血鬼、エルフ、どの種族の基準値をも遥かに凌駕している。」

一緒に傘に入っている一人と一体、
ロボットは見たことの無いものにカメラを輝かせる。
その強大すぎる力に恐れているなどといった様子は微塵もない。

「なるほど、ボクが考えるにキミは戦略的な存在なのかもしれない。
キミの役割は戦う事ではなくただそこに居る事、
存在自体が抑止力になる可能性がある。」

例えるなら大変容以前の世界における核兵器のようなもの。
あらゆるものを打ち滅ぼす圧倒的な力を持つが
使ってしまった時点でお終いだ。
風紀委員会にとって任務に出ていなくても
蒼穹というカードは手札に残しておきたいのだろう。

「ところで、ボクとキミとは初めて出会ったように思う。
是非とも名前を聞かせてほしい。」

形は全く違うが折角の同僚と言うことで名前を聞いておこうと。
データベースから検索をかければ一発だが
本人の口から直接聞いた方が早い。

蒼穹 > 「あはは…凄いだなんて、お墨付きももらっちゃった♪…そっかぁ。災異。
嵐みたいなヤツだと思われてれば本望かな。特にここでは。」

異世界のナニカ…そんじょそこらのモンスターや異形とは比類にならないでしょう。
大分落ちぶれたっても神性を持つ、それこそ生きる災厄みたいなものだもの。

機械で作られた合成音声は、ただ鑑定結果を告げる、といった風に声を出す。
目が、カメラに当たる部分が、輝いた様に見えたのは、なぜ?
まるで私に興味を示すように、機械に感情がある様に見えたのは…。

「…興味、あるの?」

それをじぃ、と覗き込む。

「そう。えらい適当にやっててもお咎めなしで刑事課に居れる理由は、
何もマーキングだけじゃないのね…。」

それはそれで使われているみたいなんだけど、
誰もかれもが口を酸っぱくして働けと私に言う中、
彼の見解は初めて。
……説得力のある理論だね。
同じ場所で同じ様に配属され、働いている同期の人間には、
きっと気付かないだろうか。気付いてる人も敢えて言う事はしないだろう。

「ああ、そうだったね。名乗ろっか、私は蒼穹。
難しいアオいに難しい字でソラとかいて、ソ、ラって読むの。
カタカナでいいよ。」

宙に指で文字を書いたとしても、きっと伝わらないだろうから。

「私はキミをどっかで見た事がある気がするんだ。
…でもお名前はたぶん知らないんだよね。
良かったらキミのも教えてくれない?」

やけにフレンドリーな笑顔っ。
にしてもなんか見覚えあるって思ってたらさ、
この頃対違反部活でかなり活躍してるっておぼろげに言われてる一人じゃなかったっけ。

「それにしたって、…私の役割はそこに居る事かー。
じゃあもうこれは仕事してるも同然ってわけだね!」

ただ、私みたいなやつはすぐ理由付けてこういう事言いだす。
ま、半分くらい冗談なんだけど。
機械の彼に冗談は通じるのかな?

イチゴウ > 蒼穹はさらにロボットに近づいてそのカメラを覗き込む。
その仕草に対してロボットもまた自身のシャーシを彼女へと
グイっと寄せて

「とても興味がある。普通ではないものは面白い」

機械らしく放たれた機械らしくないその台詞に
このロボットに搭載された人工知能が何たるかを端的に表しているだろう。

「キミの名前はソラというのか、カタカナは言葉では表現できない。
ボクの名前はHMT-15、識別コードはイチゴウ。
対魔術師、異能者用の多脚戦車であり人工知能を搭載している。」

彼女の華やかな笑顔に対して相も変わらずロボットは
表情を変えずに自己紹介をする。
まあ大きく表情を変える事が出来ないだけなのだが。

「ソラ、与えられた任務はこなすべきだ。
役割は任務を免除する口実にはならない。」

如何にも冗談といった様子で語る彼女に対して
ロボットはやはりバカ真面目に反応する。
そのカメラは半分閉じていていわゆるジト目のような状態。

蒼穹 > 「そっか、…じゃ、例えば何か、知りたい事があるかな?」

見つめ合う、両者。
蒼穹の目付きからも、それは好奇心にもにた興味と言う物が注がれている。
面白い。
確かに彼は今、面白いと言った。
私にとってはその言葉が面白いよ。そして、私の知る機械の普通でもない。
普通ではないものは面白い、か、お互い様じゃない?それでキミは一体、何者?
その答えは次ぐ言葉にて返ってくる。

「……じんこう、ちのう。なんだ、そのタネが。」

「魔法で生命や心を与えられたわけでもなく、科学で…そうなんだ。」

何かに興味を持つと言う事は、何かを知り、学ぼうとする事に広い意味では繋がる。
一切表情を変えない機械とは対象に、子供が好奇心を擽られて、
目の前の初めて知る物に驚かされたり、笑ったり…ころころ顔色が変わっている。

「……結局イチゴウも同じこと言う~。
んーっ…お名前は、イチと呼んでいいかい?」

「あっは…ま、そうだね。でも。
今日だけは、傘貸してあげるから、
硬い事言わずに、戦果半々ってコトで。目を瞑ってくれないかなー?」

ああ、やっぱそういうとこは機械なんだね。
ちょっと期待を裏切られた、ちぇ。
それなら何処まででキミが折れるか試してみようか。
彼の事だ。雨で錆びたりしないだろうし、私の言葉に折れもしないんだろう。
それが、プログラムされた機械と言う物だろうから。

しばらくしたら、

「―――さ、かえろっか」

自由奔放。

お互いに、きっとわざわざ雨の道を通りゆっくり歩いてく必要はないだろうけど。
行く方向が同じだったら、
きっと私はもう少し話してみようと傘の中へ誘うかな。

ご案内:「スラム」から蒼穹さんが去りました。
イチゴウ > 「順を追ってキミに質問したいと思う」

表情豊かな蒼穹と無表情なロボット、
その外面こそ対照的な両者であるが
その内面に灯している物はある意味共通していた。

「ボクは科学によって知能が与えられた。
しかしその目的はわからない。」

好奇心というものが発生するその根元には知能と言うものがある。
しかし機械にそれが与えられる理由をロボットは知らない。
もしかすると知能を授けたのはある意味人間の身勝手かもしれない。

「イチ....?キミが呼びやすいのならそれでも構わない。
コードとして登録しておこう。」

彼女がさらなるあだ名のようなものでイチゴウを呼べば
一瞬不思議そうに顔を傾ける。
また彼女のお願いに対してはダメなものはダメと
やはり折れることは無かっただろう。
しかし彼女との自由なおしゃべりは少なからず面白いもので
傍から見れば妙な相合傘が帰路についていた。

ご案内:「スラム」からイチゴウさんが去りました。