2018/08/24 のログ
■國宏一実 > パンパンと先ほどの着地で付いた泥を払い落としながら笑みを浮かべる。
「なんだ?辛そうだから助けてやるって言われたいのか?お前さんはそんなナヨる奴じゃねェだろ。」
この男は果てしなく高慢な男だ。交わした言葉は少ないがそれだけは分かる。
それに、どの道目の前にいるこいつ等を潰すことに変わりはないし、楽ができる。
なのだが、そんな思いは一瞬で砕かれ。
「おいおい、楽できると思ったが...。変にやり辛い注文つけやがって。オイ居候!オーダーは聞いたな?」
『アァ俺達2人デアレバ、可能ダ』
ゲル状の液体に口が浮き出れば、轟音の中でもはっきりと聞こえるカタコトでそう返してくる。
同時に腕以外に纏っていた液体全てが薄い膜のように展開され、ビルを隠すように配置される。
防御は居候に、そして支援は...。
「ルァッ!!さっさと片ァつけるぞ!!」
声を張り上げ、爆風でこちらに飛んできたアンデッドを回し蹴りで打ち返し、神代の付近へと瞬時に移動。
近づいてくるアンデッドを殴りつけ、頭部を破壊する。
飛散する瓦礫は異形が受け止め、防ぎきる。
この調子であれば安定して殲滅はできるだろうか。
■神代理央 > 「言うではないか。ならば望み通り、今此の瞬間のみ風紀の犬となるが良い。精々こき使ってやろうじゃないか」
フン、と尊大な言葉を吐き出しつつ、視線を僅かに彼に向けた後再び戦場へとその視線を戻す。
接近する異形への対処は既に行っていない。近接戦闘に長けた者がいるのだから、此方は十分な援護を貰って敵を殲滅する方が効率が良い。
「便利な能力だな。スライムにも見えるが…まあ、今は詮索している場合でも無いか。火力を上げる。粉塵には気をつけ給えよ」
ビルに飛来する瓦礫は、尽くが薄い膜に弾かれて辺りへと転がっていく。
その様を面白そうに眺めていたが、直ぐに表情を切り替えると異形達へと思念を飛ばす。
異形達はその砲身をより高く掲げ、遠くから接近するアンデッドへとその射線を向ける。そして、一瞬の静寂の後、耳を劈くような轟音が周囲に響き渡るだろう。
ありとあらゆる火力が、問答無用に死体の群れに叩き込まれる。接近するアンデッドとビルの守りを彼が引き受けてくれた事もあって、存分に火力を振るうことが出来ればみるみるうちにその数は少なくなっていくだろう。
■國宏一実 > 「ハッ、可愛気のねぇ奴だなァッ!!」
接近してくるアンデッドを処理しながら余裕の表情でそう返す。
異形による筋力の向上と自在な形状に変化させることのできるこの能力があれば、アンデッドの体など容易く屠れた。
一方防御を担当している居候はどうかというと。
『俺ハスライム等トイウ下等デ脆弱ナ存在デハ無イ!俺ハ世界スラ...』
「そっち一匹吹き飛んだぞ居候!」
『ムム...。』
吹き飛んだアンデッドは薄い膜にぶつかると同時に、まるで吸い込まれるかのように吸収され、姿を消す。
それからはいじけた様に黙りこくってしまって。
「粗方片付いたか?」
近辺にいた最後のアンデッドの頭部を踏みつぶせば、大きく背伸びする。
彼の圧倒的な火力のおかげで、近づいてくるアンデッドは数えるほどまで減っていた。
血の付いた靴を見て露骨にいやそうな顔をすれば、大きなため息をついた。
■神代理央 > 「可愛げとやらで問題が片付くなら幾らでも媚を売るがな。そんなもの、血生臭い戦場では必要あるまい?」
愉しげに笑みを浮かべつつ、異形達に前進の指示を出す。
最早蹂躙と化した戦場では、アンデッドの尽くが砲弾によってミンチと化し、近付くことが出来たモノは彼と、彼の居候――という認識で良いのだろうか――によって屠られる。
「…そうだな。ちらほら取り零しはいるかも知れんが、風紀の増援も此方に向かっている。此方の仕事は大体片付いただろう」
既に周囲の異形は、撃つべき敵を失ってその砲塔を沈黙させている。
その様を眺めながら、彼の言葉に頷いて制服についた埃を払うだろう。近接戦闘の一切を彼に押し付け――もとい、任せていた己の制服は、多少埃がついている程度で実に綺麗なものだった。
■國宏一実 > 「ははっ、違いねェ。それにお前のそんな姿見てられねぇしな。」
赤黒く変色していた半身は徐々に元の色を取り戻し、健康的な肌へと変化する。
背後に展開された膜は戦いの終わりを察したのか、彼の体に戻り、消えていく。
「風紀委員とやらも随分と足が遅いことで...。」
彼の右側に立てば、ニヤニヤと笑みを浮かべ、そう言ってみせる。
彼と違い、埃と土や血液でまみれた顔を拭いながらふぅ、と一息を吐き出す。
ここのアンデッドは全滅、市民は助かり、大団円ってやつかと満足気だった。
■神代理央 > 「違いない。我が事ながら、想像しただけで身震いするわ」
主の思念に従い、跪いた異形達を眺めながら肩を竦める。
男性的な肉体を誇る彼とは違い、フィジカル面で今ひとつ軟弱な自分は彼と並ぶとその小柄な体躯が一層目立つ…様な気がする。
その事に幾分むすっとした表情を浮かべながらも、誰が悪い訳でも無いので深い溜息を吐き出すに留める。
「全くだ。というよりも、絶対的な数が足りん。こうもあちらこちらで騒ぎが起こっては、対処するだけで精一杯だろうしな。
……そうだ。何なら、お前も風紀委員に入ってみないか?どうせ力を持て余しているのだろう。実力も折り紙付きだ。さぞ歓迎されるかと思うが」
横に並んだ彼に視線を向け―というより、見上げて―ふと思いついたという様に首を傾げてみせる。
これは単純に彼の戦闘能力を欲したこと。また、その体躯は風紀委員会の宣伝材料として中々の好材料であることを加味してのこと。
彼が望めば、わざわざ自分が推薦せずとも委員会は彼を歓迎するだろう。
自分は距離を置いているが、特別攻撃課といった戦闘部門にも通用する実力だ。
もとより、自身の戦闘能力については過小評価を下している己としては、彼の様な優秀な近接戦闘要員には是非入って欲しいものだが―
■國宏一実 > 理由は分からないがむすっとした相手の表情を見れば、薄っすらと笑みを浮かべる。
この男のこんな顔が見れるなんて割とレアじゃないか?と思いながら話を聞いていると。
「.......は?俺が?」
拍子の抜けた顔をすれば、側頭部を掻きながら大きくため息をつく。
考えてもみなかったことだ、自分が風紀委員?場違いにも程がある。
少し間をあけて、少し大きく息を吸えば。
「俺は正義の味方じゃねぇ。崇高な目標もなければ大義なんてもっちゃいねぇ。
...俺は悪の敵だ、俺はこの憎悪を消す為だけに戦ってるに過ぎねぇ。だから入ることはできない、風紀委員にはな。」
拳を見つめながら半ば自分に言い聞かせるようにそう相手に伝える。
自分は社会的には犯罪者だ。そんな人間が風紀委員に入ってしまえば風紀そのものが崩壊する。
だから自分は代案を出した。
「だが、今のところは利害が一致してる。
だったら協力はしてやる、お前らの戦力の一つとして数えてもらっても構わねぇ。」
自分は彼らのように称賛されるような人間ではない。
そう思ったからこその提案だった。
まぁこの提案が飲まれようが飲まれなくともやることは変わらない、自分の行動が効率的になるか、それだけだ。
■神代理央 > 「ふむ。それは残念だ。目標も大義も持たぬからこそ、仮初の大義を持って合法的に悪を裁くというのは良いものだと思うのだが。…まあ、お前の思想や信条に口出しはせぬ。その信念を貫く自由が、お前にはあるのだからな」
拳を見つめる彼に、肩を竦めて淡々と答えてみせる。
もとより予想していた、という具合の返事であったが、僅かに残念そうな口ぶりであるだろう。
しかし、次いで彼から投げ掛けられた【代案】に耳を傾けて―
「…成る程。取り敢えず、この死体共は討つべき共通の悪という訳か。良かろう。この騒ぎが収まるまでは、風紀委員としてお前の処遇には善処しよう。尤も、お前が問題を起こさなければ、ではあるがな」
自分が属する派閥に話を通し、彼が風紀委員と共闘しやすい様にする。多少の現金をばら撒けば、容易な事だろう。
…血気盛んな風紀委員個人個人については、流石に対処しようはないので口を噤んだ。それくらいは、彼の実力ならどうとでもなるだろうし。
「…さて、そろそろ鈍足な同僚達がお出ましの様だ。私は事後処理を行わねばならん。延々続く事情聴取に付き合いたければ、別に居ても構わんが…今夜は、素直に身体を休める事を勧めるがね」
遠くから聞こえるサイレンと自動車のホイール音。
風紀委員の増援が駆け付けた事を察すれば、制服を翻して彼に背を向けるだろう。
そのまま鷹揚な足取りで彼の元から立ち去ろうとしたが―
「…神代。神代理央だ。別に覚えても覚えなくても構わんが、また会う時まで創建にな」
最後に彼に自身の名前を告げると、高慢な、しかし穏やかな笑みを浮かべてその場を立ち去った。
ご案内:「スラム」から神代理央さんが去りました。
■國宏一実 > 「敵の敵の味方って言うしな、この間だけは味方として、よろしく頼む。」
相手から目を逸らしながらそう言葉を紡ぐ。
仲間の存在など考えたことのない自分にとってはどこか恥ずかしいところもあって。
「事情聴取なんてつまんねぇこと付き合えるか。帰るぜ、居候。」
『俺ハスライムジャナイカラナ!』
異形は肩の上にスライムのような形状で姿を現し、そう叫ぶ。
どこからどう見てもスライムじゃねぇか。なんて考えながら、自分もそそくさと立ち去ろうと歩みを進める。
「國宏一実だ。お前こそ、俺の敵にならないように精々気を付けるんだな、神代。」
ご案内:「スラム」から國宏一実さんが去りました。