2018/08/28 のログ
ご案内:「スラム」に柊 真白さんが現れました。
柊 真白 >  
(先日パンデミックが出現し大暴れしたスラムの一角――だったところ。
 今はその面影もなく、怪獣でも大暴れしたのかというありさまだ。
 実際怪獣みたいなやつだった、と聞いている。)

――やっぱり、何も残ってない。

(聞いた話ではパンデミックは死ねばドロドロに溶けるものの、消滅するわけではないらしい。
 が、それは風紀委員が回収したのか、崩れ落ちた建物などを除けば綺麗なものだ。
 あわよくば死体を回収して少し調べてみよう、と思ったのだけれど。)

柊 真白 >  
(しかし。
 瓦礫よりも目を引くのは弧を描いて抉れた地面。
 調べた限りではまさに怪獣のように熱線だかなんだかを吐いていたらしいが、それにしたってこの破壊力は尋常ではない。
 よくもまぁこれだけの被害で収まったものだと感心する。)

アンデッド、死体に感染……。

(効率よく死体を増やす方法を学習している、ということだろうか。
 最終的にウィルス兵器か何かを媒介にしだすのではないか、とまで思えてくる。
 とりあえずしばらく本職の方は休んだ方がいいだろう。
 悪戯に被害を増やすだけになる。)

ご案内:「スラム」にラフィニエレさんが現れました。
ラフィニエレ >   
見た目だけならこの場所にそぐわない姿の少女が興味深げに見分しているその頭上を小さな影が通り過ぎ、
ドンと言う鈍い音と共に近くの路地の壁へととりついた。
人と言うには歪な造形のそれはその巨碗で壁をがりがりと削りながら地面へと降り立つ。
荒い着地と見た目以上にある質量のせいで幾分重い音と共に砂ぼこりが立った。

「……ぅー」

長すぎる髪の合間から除く顔は無表情ながらも狼のような不機嫌な唸り声が喉から漏れる。
質量にも拘らず普段はほとんど音を立てずに移動するが今日はだいぶ乱暴な移動
今日……というより最近はなぜか苛々する事が多い。
特にこんな場所なら尚更だ。

柊 真白 >  
(音。
 そちらを見れば、女性が壁に張り付いていた。
 それがずるずると壁を削りながら落ちてくるのを目で追う。)

――何?

(まるで獣のような唸り声。
 着地時の様子から見た目以上に重いらしい。
 人、ではなさそうだが、彼女の目的が分からないので首を傾げて問うてみる。)

ラフィニエレ >   
この場所はなんだか凄く不快な匂いがする。
更に気味が悪いのはその香りが明らかに死臭であるにもかかわらず
明確な意識の流れを感じる事だ。
グールや死霊術師なんかがよくこんな香りを纏っている。

「ぅ……」

声の方向にゆっくりと顔を向ける。
そこには死臭漂う中に平然と立って此方を眺める小柄な人影。
その体には見知らぬ場所に居るような緊張などは感じられない。
色素の薄い手足をしており腕もどちらかと言うと細い位。
体格も自身と同じくらい小柄。……一部を除いて。
けれど表情は……よくわからない。
どうやら認識を阻害するタイプの術式でも使用しているようで
普段なら読める”意識の流れ”も読みにくい。
少なくともこんな場所に居る事が違和感の塊。
そしてわかることが一つある。

『……ヴィンターレ(吸血鬼)?』

小さく祖国語でつぶやく。
僅かに、僅かにそんな香りがする。
狩人と言うには染み付きすぎたヒトの血の香りを纏う……
……あちらでは随分と”世話になった”種族の匂い。

「……ばぁんぴーる、追って、キた?」

成程、あの種族ならこんな匂いを纏っていても可笑しくない。
あいつらはよく眷属で戦争ごっこを仕掛けてくるから。
ゆっくりと片足を引き、姿勢を低くしながらねめつける。
その髪の毛にばちりと紫電が走った。

柊 真白 >  
(彼女の髪が放電。
 ヴィンターレ、という言葉は聞いたことがないが、もう一つの言葉は、確か。)

――違う。
吸血種だけど、吸血鬼じゃない。

(血は吸うがそれで命をつないでいるわけではない。
 眷属――と似たような存在は一人いるが、追っているのは彼ではない。)

それと、あなたと争う理由はないしその意思もない。

(鞘に納めている刀を左手から右手に持ち変える。
 言葉からして外国の出身のようだから伝わるかはわからないけれど、敵意のないことを示すしぐさ。
 ついでに右手も挙げておこう。)

ラフィニエレ >   
「ぅ……」

戸惑ったような唸り声が喉から漏れる。
幾ら苛立っていたとはいえそこに居る事に気が付かなかったというのは
並の気配の消し方ではない。
明らかに表舞台で生活するような生活はしていないだろう。
しかも吸血種であることは確からしい。
そう考えるとこの島基準でも欲に忠実な可能性は非常に高い。
なのに襲ってこない上に争う気が無い?何故?
吸血鬼にとって魔種、特に自分はご馳走だろうに。

「……どゆ、こと?」

吸血種=即襲ってくるヤツという認識から大幅に外れた対応に
それはもう疑問符がたくさん出そうなレベルで戸惑っていた。
とりあえず少しだけ力を抜くと小首をかしげて再び相手を観察する。
……うん、訳わからん。認識阻害はやっぱり厄介。

「きゅーけつ、しゅ、ぁのに、襲わなぃ、の?」

全く表情に出ない代わりに耳がピコピコと不規則に動く。
よく狐や犬が困ったときにやるアレ。

柊 真白 >  
――私は血を吸って生きるんじゃなくて、血を吸えるだけ。
吸った相手の能力を一時的に使えるようにはなるけど、別においしいとも思わないし。

(話しながらとりあえず近づいてみる。
 わざと足音を立て、引き続き敵意がないことを示す。)

誰彼構わず襲い掛かるような野蛮な真似はしない。
なにより、仕事以外の殺しは私の信念に反する。

(彼女のそばまで近付けたら、彼女の姿を観察。
 目を引くのは獣の耳に馬鹿でかい腕と爪、手の甲についた――宝石?
 うん、やはり人ではないようだ。)

――お手?

(ぴこぴこ動く耳がなんか犬みたいだ。
 思わず左手を出してしまった。)

ラフィニエレ >   
とりあえず敵意はないアピールにささくれ立っていた感情が少しだけ収まる。
いや、自分でもどうしてこんなに苛々するのかはわからないのだけれど
流石に戦う気の無い相手に襲い掛かる程野蛮でもない。
何方かと言うと自称穏健派である。
荒れていさえしなければ大抵の事は諦めて譲ってしまう様なタイプ。
……戦争ごっこ自体は大好きだけど。
それはあくまで同意の上での事。

「……んー?」

とりあえずわざわざパタパタ足音を立てるあたり
本当に敵意はなさそうだ。
意識の流れが読みにくい相手ではあるものの
獲物に向かうような流れはとりあえず感じられない。
抜刀術の使い手なら厄介だけど、まぁ一太刀程度なら何とかなる。
そんな事を考えながら近づいてくる姿を眺め……

「わぅ」

反射的に片手を相手の左手に乗せる。
オテ、と言う意味が分かるわけでもないのに思わず手を乗せたのは
言語と習慣の壁を越えた奇跡かもしれない。
ただ単に無意識で意識の流れを読んでいただけかもしれないけれど。

「……わゃー」

そしてその行為に自分が一番驚くという。
因みに片手だけでも20㎏を超える重さを誇っていたりする。

柊 真白 >  
(どうやら敵意がないことをわかってくれた様子。
 正直少し緊張していたのだが、とりあえず一安心。)

――!?

(したのもつかの間、乗せられた腕の思わぬ重さに体が傾ぐ。
 とっさに体ごと沈み込んで衝撃を逃がそうとするが、間に合わなかった。
 左腕の肩と肘が嫌な音を立てる。)

っ、――!

(ギリギリのところで脱臼はしなかったが、左腕に力が入らない。
 乗せられた彼女の腕を取り落とすようにだらんとぶら下がる。)

、びっくり、した。

ラフィニエレ >   
「……ぁー」

自分では重いとは思っていないのでよく忘れがちなのだけれど
そういえばこっち基準でも自分の手はかなり重いんだったと
今更ながら思い出して反省する。
軽く載せると大惨事になりかねない。特に小柄な相手には。

「ぅ―……」

とはいえ、脱臼した場合は自分の場合叩いて嵌め直してしまう。
なのでこういう時どうすればいいのか全く分からない。
表情は全く変わらないものの明らかに困った様子で右往左往し始めた。

「だいじ、ぶ?」

既に敵意とか警戒心は綺麗さっぱり吹き飛んでいた。
怪我をするよりも怪我をさせる方が苦手。
自分だったら適当に放っておけばいいが他人だとそうはいかない。
しかもこんな死臭漂う場所での怪我は下手すれば大事になりかねない。

「い、どー」

咄嗟の判断で手を伸ばし、胴体を掴もうとする。
掴めたならそのまま跳躍し、ひとまず近くの一番高い建物の上まで跳ねていくだろう。
幸いにもヒト数人程度なら動きに支障が出るほどの重さでもない。
視界も気流も悪い場所は怪我人に良くないという本人なりの真心のつもり。
……突然掴まれる方には驚き以外の何物でもないが。

柊 真白 >  
だいじょ、――っ、!

(左腕を動かして――みるまでもない。
 少し力を入れるだけで関節がねじ切られそうな痛み。
 これは少なくとも数日は日常生活に影響が出そうだ。)

気にしないで、私が迂闊――?

(がっしりと。
 細い胴体をわしづかみにされた。
 敵意も何もなかったので、至極あっさりと。
 そして、)

!?

(視界が高速でぶれる。
 高速移動は慣れているが、自分の意志とは関係なく動かされることは、やはり違う。
 それはいいのだけれど、慣性で急に力のかかった左腕がとんでもなく痛い。
 けれどそれは顔には出さず、ひたすら耐えた。)

ラフィニエレ >   
これ振り回される方が痛いよねとか何処かの教師なら絶対突っ込んだ。
そういうところがなんだかんだ抜けていると言われる所以なのだろう。

「こ、こなら、すこしぁけ、ぁんぜ、ん」

そんな事は露知らず近くのビルの上にまで瞬く間に駆け上がると
そっと掴んでいた相手を下す。
少なくともここなら死臭はかなりマシだし、
死霊術師がいたとしても強襲されにくい。
以前地面を突き破って強襲してきたのがいた気がするが破砕音で丸わかりだった。

「ぅ―……」

とは言え治療に魔術を使っていいのかわからない。
基本的に吸血種に治療なんてした事がないからだ。
ヒト種なら有効な治療でも別種族にとっては致命的な追撃になったりするのだから
解析系に長けているわけではない自分は安易に術式は使えない。
固定などをしようにも固定できるようなものも持っていない。
ただ困った雰囲気を漂わせながら右往左往する。

「……」

実は一つだけ方法を思いついている。
それは彼らが実に好む方法で、ほぼ確実に治療にはなるはずだ。
……けれど、少し悩む。

柊 真白 >  
ぅ――

(屋上に降り立つ。
 左腕の痛みに顔――面で隠れているからわからないだろうけれど――を歪めた。
 ただ腕を下ろしているだけでも、重力に引っ張らるだけで激痛。)

……、あ。
大丈夫。
治るから。

(そこで彼女の顔を見れば、わかりやすいぐらいに落ち込んでいた。
 迂闊なことをしたのは自分だが、自分に怪我を負わせたのは確かに彼女だ。
 気にするのも当然だろう。
 長刀を脇に挟み、右手をひらりと振って見せて。)

っ、ぐ……。

(スカートの下からナイフを取り出し、震える左腕を持ち上げ、掌を切る。
 それをさらに持ち上げ、仮面の下半分を下ろす。
 そのまま長い時間をかけて口につけ、流れる血をぺろりと舐める。
 途端、自身の存在感が跳ね上がった。
 先ほどまでとは真逆の、強烈という言葉すら生ぬるい威圧的なもの。)