2018/10/25 のログ
ご案内:「スラム」に神代理央さんが現れました。
■神代理央 > 無法者やアウトローが集うスラムにおいて、銃声が響き渡る事は珍しい事では無い。
違反部活同士の抗争。風紀・公安委員会の摘発。その他様々なろくでもない事案等等。
スラムにとって銃声とは、人々の喧騒と同じ様なものである。
今夜、その銃声はいつもより活発であったかも知れない。
乾いた銃声が何度も何度も響き渡り、金属製の"何か"にぶつかって反響する甲高い金属音が響く。
「……拳銃弾くらいは問題ないな。というよりも、今までの異形で防げていたものは防いで貰わねば困るが」
必死に拳銃を乱射するゴロツキ達と対峙し、召喚した異形との戦闘を見守る。
先日形成に成功した盾を持つ異形の実戦テスト。巨大な二対の盾を門の様に閉じた異形――これを【スクトゥム】と名付けた――は、放たれる銃弾を物ともせずに前進を続ける。
ジリジリと追い詰められるゴロツキ達の背中に当たるのは、立ち並ぶ集合住宅の壁。最早下がる場所も無く喚き叫ぶゴロツキ達に、感情の灯らない複眼を向けたスクトゥムが金属音と共に迫っていた。
ご案内:「スラム」に???さんが現れました。
■??? >
(それは唐突に飛び込んできた。
スラムのビル壁をぶち抜いて、ソクトゥムと彼が名付けた異形へと叩き付けられる魔力の暴風――ドラゴンブレス。
ガラガラと崩れる瓦礫を太い尻尾で薙ぎ払い、鋼の龍が姿を現す。)
グルル……。
(全長が人程度の大きさの鋼龍は、ゴロツキを一瞥する。
そのあとで風紀委員の彼へ視線をやり、)
――ゴアァァアアアアアア!!!
(咆哮。
虎やライオンのような猛獣よりも尚凶暴な叫び。)
■神代理央 > スクトゥムそのものの耐久値がどれだけあろうとも、その質量を超えるエネルギーには単純に重量が耐えられない。
龍の息吹を浴びた盾の異形は完全に虚を突かれながらも踏ん張ってはいたが、結局大きく吹き飛ばされて反対側の壁に激突。力なく崩れ落ちた。
「…いやはや。あちこちに恨みを買っている自覚はあるが、龍に喧嘩を売った覚えは無い……無い筈だが」
此方へ視線を向け、咆哮する龍に僅かに瞳を細める。
パチリと指を鳴らして異能を発動すれば、己の背後に現れるのは無数の砲塔を生やした醜い鋼鉄の異形と、此方を守る様に再び現れるスクトゥム。
「……さて。売られた喧嘩は買ってやるが、言葉が通じるなら襲ってきた理由くらいは話してくれても良いと思うがね。それとも、人語を解さぬ程の低級な魔獣であったか?」
■??? >
(バシンと尻尾で地面を打つ。
何かにイラついているような仕草。
そのまま四つん這いの四肢に力を籠め、)
グ――ぁ、――ガ――
(苦しそうな声を漏らして体を落とす。
両腕の爪を地面に食い込ませ、自身の体を地面へと繋ぎとめるように。)
――ゴォァアアアア!!!
(が、その様子もすぐに失せ、空へ向けて咆哮をあげてから、今度こそ地を蹴る。
地面のアスファルトが抉れ後方へとはじけ飛び、同時に殺人的な速度で鋼の龍が飛び出した。
見た目に違わぬ質量がレーシングカーのような速度でスクトゥムへと叩き付けられるだろう。)
■神代理央 > 「……ふむ?俺を狙っている訳では無いのか…?参ったな、殺さずに捕獲というのは苦手なんだが」
苦しむ様子を見せた龍の姿に怪訝そうな表情を浮かべる。
転移荒野辺りからはぐれて来たのか。何処かの組織から逃げ出して来たのか。或いは、龍人だのなんだのといった類か。
しかし、どうしたものかと悩む時間は与えられない。
「…チッ。言葉を解さぬならば獣畜生と同様か。ならば、多少は躾が必要な様だな!」
凄まじい轟音と共に、スクトゥムはあっけなく吹き飛ばされる。
防御力を高めた異形であっても、速度と重量に乗算した威力を持つ体当たりを受ければひとたまりもない。ひしゃげた金属の塊となって、彼方へ吹き飛ぶ事になる。
だが、その間に背後の異形は攻撃態勢を整える。
貫通力を高めた徹甲弾を中心に、背中から生やした無数の砲塔が一斉に火を吹いた。
ともなれば吹き飛ばされるスクトゥムすら巻き込んで、鋼の龍に砲弾の雨が降り注ぐだろう。
■??? >
(鋼の翼で身体を覆う。
馬鹿正直に盾にするのではなく、角度を付けて弾くように。)
グルル――
(更にひしゃげた鉄くずへとなり果て吹き飛びかけていたスクトゥムを顎でがっしりと咥えこみ、身体ごと振り回すように彼のほうへぶん投げる。
自身の突撃のような速度というわけにはいかないが、彼の上方へ、上から押しつぶすような軌道。)
■神代理央 > 「……獣風情が、私に傷をつけよう等と思い上がらん事だな」
再び指を鳴らし、新たに召喚される二体のスクトゥム。
それぞれが両腕を天高く掲げ、計4枚の巨大な盾は相応の高さから落下する残骸を弾き返した。金属同士がぶつかり合い、鐘が鳴り響くような反響音に顔を顰める。
「…とはいえ、実体弾では千日手か。長引かせるのも好かぬ。出来れば、大人しくしていて欲しいものだが―」
砲撃を続ける異形はそのままに、更にもう一体の異形が召喚される。砲弾ではなく、魔力を収束して放つ異形。己の魔力を吸い上げ、その砲身に光が灯り――
「…殺しはせぬ。が、地に伏して貰うくらいは覚悟して貰おう」
収束した魔力は、光の奔流となって鋼龍に放たれた。
■??? >
(スクラップの鉄くずを投げ上げた後、自身も突撃をしようとする。
が、新たな異形を見て立ち止まる。
その間も徹甲弾は翼の外殻で火花を散らし、しかしこちらが削られるようなそぶりは一切ない。)
――グルル……。
(そして放たれる魔力の閃光。
その奔流はまっすぐに鋼龍の顔へと飛び、)
ゴォアアアア!!
(その直前で形を崩す。
光の奔流は魔力の形へ戻り、大きく開かれた龍の口内へと押し留められる。
その「奪った」魔力へ更に自身が魔力を込め、――否。
周囲のありとあらゆるものから魔力を奪い取り、口内で濃縮。
そのまま先ほどの比ではないドラゴンブレスを放つ。
不自然に首を捻じ曲げ、誰もいない空へと。)
■神代理央 > 「…龍種を甘く見過ぎたか。流石に一人では分が悪……?」
あっけなく飲み込まれた奔流に顔を顰め、収奪の力を持つ己の魔術を発動させようと構える。
――しかし、そのブレスが天空に放たれたのを見て、虚を突かれた様にきょとんと瞳を瞬かせた。
「……解せんな。此方を害するものばかりかと思っていたが。……まあ、駄目で元々。やってみる価値はあるか」
異形による砲撃を停止させ、己を守るスクトゥムから離れて鋼龍へと歩き出す。
悠々と。無警戒に。武器も持たず異形も引き連れず。
気に食わないなら殺せば良かろう、とでも言わんばかりに、傲慢なまでの態度で静かに歩み寄るが―
■??? >
グァ、が、ギ――
(ブレスを放った直後、その場に崩れ落ちる。
過剰出力の反動――という風にも見えるだろうが、暴れだすのを必死でこらえているようにも見えるはずだ。)
ガ――み、し――グゥウウ……!
(呻き、近づいてきた彼へ右拳を伸ばす。
爪ではなく、「拳」。
その拳を彼の腹へと当て、軽く右足で地面を踏み込むような動き。
それだけで、彼の腹にずしりとした軽い衝撃が来るだろう。)
グ……そ――が、ァ――オォオォォォオオオオ!!!!
(その一瞬だけは、こちらの目――赤い、爬虫類を思わせる瞳には理性が残っていただろう。
だがすぐにその光も消え、彷徨を上げて。
直後、地面を抉りながら先ほど崩壊させたビルだったものへ突っ込んでいった。
そのまま瓦礫をまき散らしながら、破壊音は遠ざかっていく――)
ご案内:「スラム」から???さんが去りました。
■神代理央 > 此方に伸ばされた龍の"拳"に反応したのは、己よりも異形の方だった。スクトゥムは駆け出そうと脚に力を込め、異形はその砲身を軋ませる。
だが、予想よりも遥かに弱い――と言っても、華奢な己がたたらを踏んで後ずさるには十分――な衝撃に驚いている間に、鋼の龍は破壊を撒き散らしながら立ち去っていった。
呆然とその後を見送り、此方に駆け寄ってくるスクトゥムにも意識を向けず、僅かに息を吐き出す。
「……あの龍。俺の名前を呼んだ……?」
拳を伸ばす直前、龍が発した言葉は己の名前だった様な気がする。その後、龍の瞳に見た理性の光に、考え込むように視線を落とし―
「……風紀、公安、違反部活のデータベースを探ってみるか。流石に、名前を呼ばれたとあっては、捨て置くのも目覚めが悪い」
聞き間違いや、勘違いだったのかも知れない。
しかし、己を知る者だとすれば、敵にしろ味方にしろ、先ずは情報を集めなければならない。
苦しんでいる様子でもあったし、気が向けば助けてやっても良い。気が向けばだが。
「……やれやれ。とんだ実戦テストだ」
最後にそうぼやいた後、制服を翻して瓦礫の山から立ち去った。
戦闘の様子を目の当たりにし、運良く逃げおおせたゴロツキ達は、以後真っ当に生きようと決めたとかなんとか―
ご案内:「スラム」から神代理央さんが去りました。