2018/11/16 のログ
ご案内:「スラム」に神代理央さんが現れました。
■神代理央 > 違反薬物。新たなアンデッドの進出。
各部署が対応に追われる中、自らの立ち位置は正直余り変化が無い。
物量と質量。そして火力に優れ、ある程度攻撃目標が大雑把であり、広範囲であっても単独で対応出来る。しかし、情報収集や調査・解析等は全く不得手。
とどのつまり、与えらた区域を殲滅する何時もと変わらない任務となる。何時もと異なるのは、任務での出撃回数の増加と、正体が掴めない故の攻撃範囲の広さ。そして、煩雑な命令系統が増えた事。
「……既に私の召喚物は砲撃体制にあり、命令が下れば該当区域は5分で灰燼と化すでしょう。多少は生き残るでしょうが、それなりに区域内の敵も殲滅出来る。にも関わらず待機命令と言うのは、このまま敵に発見されて不利な戦闘を行えと言うことでしょうか?」
スラムを見下ろす小高い瓦礫の山にずらりと並んだ鋼鉄の異形達。その異形達に守られた陣形の最奥で、通信機相手に淡々と言葉をぶつけていた。
違反薬物の流通している地区を丸ごと焼き払えという雑な命令を下した過激派の上層部に従い出撃したは良いものの、穏健派の横槍が入り砲撃数秒前で待機命令が出されてしまった。
中止なら中止で構わないのだが、どうにも揉めているらしく次の指示が下りてこない。
どうしたものかなと溜息を吐き出し、懐から取り出した温い缶コーヒーを口に含んだ。
ご案内:「スラム」にレイヴンさんが現れました。
■レイヴン >
(スラムに響く水冷DOHC4バルブ直列4気筒の轟音。
それが徐々に近づいてきて、ヘッドライトが彼の姿を捉える。
フルフェイスのヘルメットを脱ぎ、バイクのエンジンをかけたまま降りた。)
ったく、最近のガキは物騒だなオイ。
(あたりに並ぶ異形たちを見渡し、ため息。
どこを狙っているのかは知らないが、あんなもので砲撃すればボロい建物などひとたまりもないだろう。
煙草に火を付け、彼のそばへ。)
■神代理央 > スラムに不釣り合いなエンジン音に、異形達の砲身が軋む。
だが、その砲身が咆哮を放つ前に、その正体を視認して召喚物の行動を止めた。
――流石に、教師を撃ったとあっては色々と言い訳出来ない。
「…今晩は。良い夜とは言い難いですが、こんな日にこんな場所でツーリングですか?それとも、加減を知らない風紀委員に御説教でしょうか?」
まさかこんな場所で教師に遭遇するとは思っていなかったが、最近の落第街近辺の騒ぎを考慮すれば有り得なくはないかと内心嘆息する。
さて、大凡己にとって良い流れでは無い予感を孕ませつつ、取り敢えず作り慣れた”良い生徒”としての笑顔で彼に声をかけた。
■レイヴン >
いやな、別件で動いてたらどーにも気になる予測がチラチラ見えちまってな。
んで、辿ってみたらこの有様だ。
(手近な異形へ左手を付く。
動かないようであれば、それにどかりと腰を下ろそう。)
風紀委員にセンセー如きが意見なんて恐れ多いっつーの。
お前がそれでイイならそうすりゃいいさ。
(ふう、と煙を吐き出す。
この島では教師よりも風紀の方が権限が強い。
それに彼の方から相談されていない以上、自分が口を挟むわけにもいくまい。)
■神代理央 > 「意外ですね。こういう時に教師に声をかけられるとなれば御説教かと身構えましたが」
彼の言葉に嘘偽り無く意外そうな表情を浮かべて言葉を繋げる。
実際、傍目から見て悪役じみた事をしているのは自覚がある。必要だから行っているだけで気にしてはいなかったのだが―。
「……とはいえ、此方も指示待ちで動けない有様でして。宮付えというのは面倒事ばかりですよ。全く」
彼の態度からそこまで堅苦しい言葉遣いは必要無いだろうかと僅かに言葉を崩し態度を軟化させる。
今頃、風紀委員会の本庁ではしょうもない過激派と穏健派の舌戦が繰り広げられているのだろう。
待ちぼうけを食らった此方としては、苦笑いを浮かべて彼に肩を竦めてみせるしか無い。
■レイヴン >
まぁお前さんがただのグレた不良ならゲンコ落として説教の一つでもするんだけどな。
お前さん風紀だろ、ならそこまでメチャクチャはしねーだろうよ。
(あまりやりすぎると風紀から追い出されるだろう。
彼も風紀にいる以上、何かしらの目的があるのだろうし、それまではあからさまな無茶はしないだろう、という読みだ。)
あーそりゃ面倒なこったな。
勝手に帰るっつーわけにもいかねーしな。
(彼とは違うが自分も似たような立場だ。
教師も風紀も勤め人であるという点では違いがない。
とはいえ他人事のように煙草の煙を吐き出した。
実際他人事だ。)
■神代理央 > 「まあ、そういうグレた不良を補導するのがお仕事ですしね。此方が御説教されては風紀の威厳にも関わりますよ」
クスリと笑みを浮かべつつ、冷めた缶コーヒーを飲み干す。
このまま待ちぼうけを食らうくらいなら帰投しようかと悩んだ矢先、短い電子音と共に己の通信機がメールの着信を伝える。
僅かに視線を落としてその内容を確認した後、何事も無かったかの様に端末をしまい込み―
「…どうやら、仕事の時間の様です。先生、そこ危ないですよ?」
まるで明日の天気を告げる様な気軽さで彼に声をかけると同時に、彫像の様に鎮座していた異形達が一斉に駆動し、その砲身を天に掲げる。
その目標は眼下に見えるスラムの一角。冷え込み始めた秋の夜を凌ぐ為に身を寄せ合う住民達が眠る、廃屋の街。
そこに照準を合わせる様に、全ての異形が軋む様に動き始めた。
■レイヴン >
ま、説教させるようなマネしなけりゃ説教しねーさ。
(言われた通り腰を上げて偉業から離れる。
眺めていれば、どうやら眼下の廃屋を狙っているらしい。
煙草の煙を吸い込み、吐き出す。)
――右から二番目、下に二度修正。
左端は左に三度、上に五度だ。
その隣は角度そのまま右に五センチ。
そうすりゃ右から三番目と一つ開けて隣二つは要らん。
(指示を出す。
角度を見て異能を使えばどれを狙っているのかはわかる。
指示通りにすれば、もっと効率よく建物を倒壊させられる、と。)
■神代理央 > 紫煙と共に流れてきた言葉。
それは此方を咎める言葉では無く、業務的な通達事項を告げる様な指示。それに異論も疑問も発する事無く、思念を飛ばして異形達にその指示を飛ばした。
彼の言葉通りに身を軋ませた異形達が、再び静止して―
「ご助言有難うございます。謝礼はお酒の方が宜しいですか?」
砲撃を放つ前から既に成功を確信して彼に緩く笑みを向ける。
その言葉が終えると同時に、異形達の砲塔が一斉に火を吹いた。
爆音と黒煙がその場を支配し、一瞬の静寂が訪れ――
彼の助言どおりに微調整した異形達の砲弾は、吸い込まれる様にスラムへ直撃し、その地区を轟音と共に灰燼と化した。