2016/01/13 のログ
ご案内:「研究区通路」に寄月 秋輝さんが現れました。
■寄月 秋輝 >
担当されている研究所での調査の帰り。
澄ました表情で、刀を左手に携えて歩いている。
「……まったく……」
いまいちな表情だ。
ご案内:「研究区通路」にリビドーさんが現れました。
■リビドー > 「おや、随分と具合が悪そうだが。」
寄月の歩く先、通路に寄り掛かってスマートフォンを叩いている年若き風貌の男性。見覚えの有る顔だろう。
普段と違う点を挙げるとするならば、白衣を着用している所だろうか。
■寄月 秋輝 >
「……リビドー先生。お疲れさまです」
ちょっとだけ調子の悪い表情で、ぺこりと礼をする。
「いえ、それほども……
少し問診と定期検査が面倒だっただけです」
がりがりと頭をかいて、そう答える。
■リビドー > 「ああ、そう言えばそうだったな。そんな時期か。
キミの研究分野、いや、キミが此処に通う理由は――」
口元を釣り上げ、次の句を継ごうして――考え込む。
「……はて、何だったか。」
神妙な顔で、小首を傾げた。
はて、と、呆けてみせただろう。
■寄月 秋輝 >
「異邦人としての検査ですね。
元居た世界の『魔法』と、こちらで扱う『魔術』の性質が近いので研究されています」
されている、と少々不満感を漏らしながら答えた。
この人が本当に忘れたとも思えないが。
「先生はこれから上がりですか?」
白衣を脱いでいないとはいえ、スマホをいじっている様子からしてオフなのかな、と感じた様子。
■リビドー > 「ふむ。異邦の魔法だったか。
そう言えば昨日の彼女もその辺りを学んでいると聞いたな――
――と、関係無い話だったな。とは言え、キミの魔法も何処かで役に立っていたりするかもしれないよ。」
一人納得した調子で二度頷いてから、寄月を視界に入れなおす。
「ああ、大体そんな所だよ。
帰る前に少々スマートフォンを弄くっていた所でね。
いやはや、此処から覗けるコンテンツも馬鹿に出来ない。つい覗いてしまう。」
調子良く聞かれてもいない事を喋り立てた後、スマートフォンを胸ポケットに仕舞った。
■寄月 秋輝 >
「役に立てばいいんですが……」
研究者というものを心底から信頼出来ない、とは言えず、口をつぐんだ。
今はそうあることを願うばかりだ。
「便利ですよね、最近の携帯電話。
ちょっと複雑すぎて僕には扱えませんでした」
そう言って、通話機能だけ付いた一昔前の携帯電話を取り出して見せた。
■リビドー > 「役には立つさ、役には。」
表情から不信を察し取る。
其れを汲み取れば、曖昧に返すだろう。それでいい、と、不信を煽る様な口ぶりだ。
「全くだ。下手を打てば現実を凌駕しているよ。
……ふむ、そうかい。異邦人にはややっこしいか。
ボクからすれば魔術と大差ない様に思えるが、そうでもないのかい。それ……と、キミのは魔法だったな。」
手のひらで一昔前のそれを指し示せば、何気なく問う。
……きっと、"魔術"ではなく"魔法"と紐解き訳される様に、何かが違うのだろう。
リビドー自身も問うたものの、内心ではそう評しているのかもしれない。
■寄月 秋輝 >
なんと答えていいものか、口をまたしてもつぐんだ。
だがそれを信じるしかない。
「……いえ、昔からです。機械に弱くて。
それに魔法と言っても、魔術と本当に大差ありませんよ。
こちらの世界の魔術と、本当に。
おそらく世界ごとの呼ばれ方に差異があるだけでしょう」
そう答えた。
きゅっと手を握りこむと、その手首のあたりに魔法陣が浮かぶ。
それは文字通りの学問によるものに近く、ぱっと見ただけでもその術式は魔術的である。
■リビドー >
「そうかい。となると、キミの世界にも機械が有ったのだな。
となると単純にセンスの問題かな。まぁいい。にしても"呼ばれ方の差"――か。」
言葉と魔法陣を視界にすれば、暫し考え込む。
少しの間を置いてから、口を開く。
「一理あるかもしれないな。
しかし、ふむ。それなりに学問寄りの、式――ある種のプログラムめいた"魔法"を扱うと言うのに、
機械は苦手かい。不思議なものだ。」
■寄月 秋輝 >
「多分、そのセンスだと思います……
本当に機械が苦手で、元居た世界での仕事で配布された端末もまるで扱えなくて……」
申し訳なさそうに顔を伏せた。
若いのに扱えないことに多少負い目を感じてはいる様子だ。
「はい、学問的……数学的ですね。
なので多少は得意だったのですが……
どうも機械には嫌われているようでして」
きゅん、と魔法陣を消した。
■リビドー > 「……そうだな。得意不得意はある。
そう悲観することもないだろう。」
苦笑を浮かべてフォローを回す。
"その分魔法が使えるだろう"――と、一言加えもするだろう。
「こんなご時世ではあるが、まだまだ魔法や魔法を扱える人間の方が少ない。
キミの魔法は、そのマイナスを補って有り余るものではあるんじゃないかい。
――多少機械を扱える程度では、珍しくも何とも思われないからな。」
■寄月 秋輝 >
「……そうですね。
まぁちょっとだけ、情けないイメージがあるだけでして」
携帯も仕舞い、一つ息を吐いた。
「そう、かもしれませんね。
結局魔法にも異能にも助けられていますから。
これ以上欲を言っても仕方ありません」
少しだけ柔らかい笑顔になり、そう答えた。
■リビドー > 「そう言う事にしておくと良い。
――と、そう言えば、だ。ついぞ見かけたあの彼女は何者だい。
そうだな、何者なのかとても気に掛かるよ。」
いじわるそうに口角を上げて、問う。
あの時、見た限りは――
「随分と、何て言ったか。……ああ、そうだ。常在戦場が板に付いていたが。」
■寄月 秋輝 >
「あぁ、彼女ですか。
スラムで拾ったので、正直僕も彼女の素性については知りません」
しれっと言い放った。
何も気にした様子が無い。
「詮索するつもりで家に招き入れたわけでもないのですよ。
ただ少し気になって拾っただけですから」
■リビドー > 「全く。気が抜けていると言うか、お人好しだな。
彼女とキミを足して丁度良いと言うべきか、やはりお似合いだな。」
特に気にする素振りを見せない彼を、からかうように笑ってみせる。
「しかしアレだな。そうだな。捨て猫を拾う感覚で女の子を拾うものだ。
だからと言ってキミが彼女を軽んじているとは決して思わないが、
同じ境遇の様な子を見かける度にその調子で拾うのかい。刺されるなよ。」
戯けた声だ。とても真摯に忠告しているようには聞こえないかもしれない。
■寄月 秋輝 >
「お人好しではありませんよ。
少し思うところがあっただけの偽善者です」
からかうような笑みに、真顔を向けて答える。
「誰を救うか、誰のために戦うかは僕が決めていいです。
救えない誰かを悼むより、目の前の誰かを拾う。
……それが僕が生きてきたうえで、学んでしまったことですよ」
忠告に耳を傾けたとは言い難い返答。
ただ強い決心はあるらしい。
■リビドー >
思う所があるのだろう。睨むとまでは行かぬものの、見据える風に目付きを鋭く尖らせる。
「ああ、そりゃお人好しではないな。お人好しの方がまだ無害だ。
そうやって目の前の誰かを救う為に身を削る。其れでも足りなければ救わなくて良い何かを削る。
そうやって一度決めたものは絶対に救う――んだよな。」
口調はやや尖ったものだ。が、怒気と言うよりは真摯さを孕むものだ。
「例えそれがチェリー一つでも取りこぼさない!
大負けに負けて大枚を叩いている癖に、何度もジャック・ポットを取り逃す癖に、狙ったものだけは必ず拾う!
――そう云う奴は嫌いじゃない、だがそうだな。からかいたくなる。
見ていて飽きんし、何より人間臭くて――実に妬ましい。ボクにはないものだ。
ボクのような奴では絶対に持てん気質だ――敢えて言おう、お前のような馬鹿が妬ましい。」
強く言い切ってみせた後、途端に肩を竦めて力を抜く。
大きな溜息が漏れ出ただろう。
「……ま、キミに八つ当たりをしても仕方がないか。すまないな。」
■寄月 秋輝 >
「かつて救えなかった。
だから次こそは救うんですよ。
救えないものがあるなら、まず自分の命を削ることからですね」
淡々と述べて、目を伏せた。
「人間臭さなら、お互い希薄だと思いますよ。
僕らは足りないものが多すぎる。
いえ……捨てたもの、と言った方がいいかもしれませんね」
首を横に小さく振り、何かを否定した。
その目は変わらない光を帯びていた。
「僕も先生がうらやましいです。
そうやって、妬ましく思って言葉に出来る強さが」
■リビドー >
「むぅ、だから人間臭いと言っている。そうやって積み上げてきた者を泣かせるんだ。
確かにお前は人間から見れば死なんざ怖かねぇと言わんばかりの向う見ずな特攻野郎だ。
ボクから見ればその突っ走りっぷりが人間臭くて<羨ましくて>仕方がない。
普通の奴らから見れば、どっちも人間味の薄い化物かもしれないな。」
どこか落ち着かない素振りで鼻を鳴らし、眉を顰める。
淡々と述べる寄月とは対照的に、非常に強く感情を露わにしている。
「ボクのような輩は口は出せるが手が出せん。出してはいかん。
口では人間以上にくだを巻いても手は慎むべきだ。
いや、出してしまうこともあるが、それは大人気なさ過ぎる。やった後は何時も自己嫌悪だよ。
……教師としては大人気ない事は慎むべきだからな。と、言う事にして貰おうか。」
己はそうでない、を、そうでないべきだと置き換えているのは意識的にか無意識的にか。
……いずれにせよ、露骨に何かを含む言葉と、それを誤魔化させる物言いだ。
■寄月 秋輝 >
「……なるべく積み上げないように気を付けたつもりでしたけれどね。
最も、化け物に見えるであろうことは確かですね」
静かに呟き、首を横に振った。
まだ、この世界に未練はない。
「僕は先生のような方が手を出したとしても、それを悪いことだとは思いませんよ。
生徒たちではどうしても対処出来ないことも多いです。
それを救えるのは先生や……かつて僕が所属していた『部隊』の隊長たちのように、僕らよりずっと強い人たちです」
その目を向ける。
信頼と理解を示し、肯定する。
■リビドー >
「積み上げないと言う癖には拾っているじゃないか。全く。
で、だ。……そう言うものなら大手を振って対処出来るのだがな。
生憎と、生徒で手が余るようなものはボクでも手に余る。と言うか、腹が立つ。
そして教師でも駄目ともなれば、それこそお前のような向う見ずな生徒が全部投げ打ってどうにかするんだよ。
教師では出来ない無茶と偉業をしでかす事はお約束だ。」
目頭を抑え、大きく溜息を吐く。
「ま、ボクも他のことを言えん。ボクはボクに腹が立つ。正義の味方と言う訳ではない。
寧ろ人間側から見れば、倒されるべき悪かもしれないぜ。
……キミの言う『部隊』も『隊長』については知らないから、何も言えないが。」
そこまで言えば、壁から背を離す。踵を返す。
「つい話し込んでしまったな。
まぁ、良いか……ボクはそろそろ行く。また会おう。」
何も無ければ、そのまま立ち去るだろう。