2018/07/12 のログ
ご案内:「廃棄された研究施設」に神代理央さんが現れました。
■神代理央 > 「……ふむ。思ったよりは荒れていない。資料や研究成果を持ち出した形跡はあるが、全て持ち出せた訳でも無い、といった感じだな。余程慌てて出ていったとみえる」
そこかしこに資料が散逸し、開きかけの扉から見える部屋も引き出しが開け放たれている。
人の気配は無く、磨き上げられた床に打ち付けるのは己と召喚した異形の足音のみである。
「しかしまた…中々雑食に研究していた様だな。異能や魔術の人工発現。無人兵器に合成生物。果ては魔術を利用した装甲兵器か。惜しむらくは、どれも中途半端に終わっているという事だな」
この施設は、委員会の中では所謂『処理済み』に該当するもの。
後は解体工事待ちであったが、その前に最終的な調査を行わなければならない。とはいえ、処理済みともなれば委員会の目も緩い。
なれば、何か面白いモノでもあればと思って調査任務に志願したが―今の所、目ぼしい成果は得られていない。
■神代理央 > 研究物もちらほらと残ってはいるが、処理途中の合成獣や組み立てられていない兵器の類等、今ひとつ興味を惹かれるものは無い。
重要なものは持ち出してはいるだろうが―
「…流石にPCのデータは消去されているか。とはいえ、紙媒体の資料は処分する余裕は無かった様だな」
一際広大な部屋に辿り着くと、散らばった資料や部品を踏みつけながらPCを操作して画面を眺める。
データとしてはろくなものが残っていなかったが、近くのロッカーや机の引き出しにはファイルがそのまま残されていた。
何か有益な情報が無いか、資料を捲りながら内容を読み込んでいく。
■神代理央 > 「研究成果としては見るべきものは無い、か。しかし…」
特段劣っている訳でも、優れている訳でも無い成果の数々。
これだけの研究施設を構えていれば、それなりに研究は出来るのだなと感心しながらファイルを閉じる。
寧ろ、研究成果より遙かに有益なものが、無造作に放置された資料の中に眠っていた。
「搬入予定表、か。此処の担当者は随分とまめな性格をしていたと見える。だが、肝心な時に組織の利益よりも自分の研究成果を取ってしまったというところか。それとも、敢えて残していったのか…」
落第街やスラムに跋扈する違反部活への搬入予定表と納品物の明細。
雑多な部品から合成獣、更にはこの研究施設から派遣された能力者まで様々なモノがこの施設から『出荷』された様だ。
「どうせ捨て置かれるモノなら、有り難く利用させて貰わねばな。さてさて、次はどの地区が消えて無くなるのやら」
こういった資料は、血の気が多く好戦的な上層部の面々に渡せば大概自分にとって良い結果になる。
理性的で穏健な委員達は、資料を提出しても直ぐにどうこうと言うことにはならない。
偶には、屋外で思い切り暴れるのも良いだろうと思いつつ、書類を鞄に仕舞い込んで鼻歌混じりに散策を続けた。
ご案内:「廃棄された研究施設」に---さんが現れました。
■--- >
「みつけるべきものは見つかったかい?」
ふわふわと宙に浮かぶそれはのんびりとした声で問いかける。
一室の天井付近にそれは重力を忘れたかのように浮かび、漂っていた。
目深に被ったハットとその下の仮面により表情は見えないにもかかわらず
相変わらず老若男女の区別がつかない声の調子から、ソレが笑っている事は伝わるだろう。
以前に比べると幾分そこに居るという事を認識しやすいかもしれない。
「やぁ、良い晩だね」
それはくるりと姿勢を変えると幾分芝居がかった様子で空中でゆっくりと一礼をする。
同時に強い風に舞い上げられたかのように周囲に紙束……おそらく研究資料が飛び交うがそれを気にしたそぶりもなし。
「もっとも君にとっては良くない晩かもしれないけどね」
ふと思いつく様な声色で呟くとまた空中で足を組み、ゆらゆらと浮かんだまま
少しだけ首をかしげて眼下の少年をじっと眺めた。
■神代理央 > 「…そうだな。小遣い稼ぎ程度にはなった、とでも言っておこうか」
耳を打つのは、聞き覚えのある性別も年齢も判別し得ない声。
己の魂が狂気に染まりかけた最大の要因。
一瞬腰の拳銃に手を伸ばすが、直ぐに思い直して大人しく相手へと視線を向ける事にする。
そもそも、拳銃等でどうにかなる相手でもあるまい。
「どうだろうな。それは、貴様にとっても良い晩であるとは限らぬ話だ。互いに取って良い夜であると良いのだがな」
空中に浮かぶ相手を見上げ、僅かに肩を竦めて言葉を返す。
以前に比べれば、存在そのものは認識出来る―尤も、相変わらず性別も年齢も判別しにくいが―相手に、僅かに警戒心を滲ませた視線を向けるだろう。