2015/08/10 のログ
ご案内:「第一演習場」に相楽 満さんが現れました。
■相楽 満 > さて、本日の相楽満は。
少々いらだち、気が立った様子で現れる。
手早く演習場のセットを整え、中へ。
「はぁぁぁ……」
準備運動もそこそこに体を動かし始める。
岩の的を思い切り殴り飛ばし、粉砕する。
岩の壁を思い切り蹴り抜き、破砕する。
だが不満そうな顔は消えない。
■相楽 満 > 「……ちぇっ」
いらだたしげに右手を振るう。
それで爆風が発生し、岩がころがる。
何を考えているか。
恋人のことだ。
同時に、風紀委員のことだ。
■相楽 満 > あれだけ恋人が苦しんでいたのを見た。
もう少し『聞こえる』のが遅かったら、手遅れだった。
風紀の仕事とは、そこまでしなければならないことなのだろうか。
あんな女の子が苦しまねば成り立たない仕事なのだろうか。
大事な女性が危険な目に会わなければ守れない正義なのだろうか。
考えるほどに苛立つ。
風紀とは何なのだろうか。
風紀が守るものとは何なのだろうか。
■相楽 満 > そんなくだらないものは壊してしまえ。
声が聞こえる。
胸の奥から、頭の中へ響くような声。
そんなことをすれば、彼女は嘆くだろう。
愛想を尽かされてしまうかもしれない。
同時に、自分が風紀にとって明確な敵になるだろう。
学生としての身分すら剥奪されるかもしれない。
「……だからなんだよ……!」
捨て置けば、恋人の身に危険が及ぶのに、何もしないことが正しいのか。
彼女と共に居たいがために、自分の怒りを押し殺し、自分を偽り続けるのか。
勘違いするな、相楽満。
お前は自分のために霜月芙蓉という女性に恋をしたわけではない。
二度と彼女が悲しまぬよう、笑顔で居られるようにしたいと願ったからだ。
ならば、たとえ彼女に愛想を尽かされようとも、彼女が『今後』幸せで居られるように戦うことは間違いではない。
違うか。
ご案内:「第一演習場」に雪城 涼子さんが現れました。
■雪城 涼子 > 「さて……こっそり、こっそり……と……あら……?」
素人丸出しの自分が訓練、というのもなんとなく気恥ずかしくて、
たまに一人でこっそりやる夜の訓練。
今日もまた……なんて思ってやってきたら先客がいた。
……うーん、考えることはみな同じ、なのだろうか。
さて、じゃあお邪魔にならないように帰ろうかな、と思案したところ……どうも知り合いらしい。
「……満君?」
更に良く見れば、なんだかぼうっとしている様子。
思わず声をかけてみる。
■相楽 満 > 声がかけられ、ばちんと自分の意志が戻ってくる。
眉根に深いしわを刻み、怒りの表情で思案していたが、知り合いの女性が来たらそちらに目を向ける。
少し和らいだ表情になり、薄く笑顔を浮かべる。
「あ、どもッス、涼子さん。
涼子さんもなんか練習ッスか?」
ほんの少し、声に力があるが。
腹の奥底にある怒りは隠し切れないのだろうか。
それでも努めていつも通りに。
■雪城 涼子 > 「あはは……うん、まあ……ちょっとね。」
いい年をしてちょっと素人訓練、とは言いづらく……なんとなく誤魔化してしまう。
人様にお見せ出来るようなものではございません。
そんな事情もあったが、それよりも相手の様子が気になる。
柔和な雰囲気……しかし、先ほどの様子も、今も……
なにか険しい物を感じる。
「それよりさ、満君。大丈夫? なんだか変な感じだよ。」
■相楽 満 > 「いいじゃないッスかー、俺も練習付き合いますよ。
何するんス?」
しゅっしゅっとシャドーボクシングしながら笑いかける。
やる気満々。
だが、変な感じ、と言われるとその手を下ろした。
笑顔はそのままだが、少し困ったように眉の形が変わった。
「んー……ちょっとイライラしてまして。
てーかそんなあっさりバレます?
俺ほんと内緒にするのとか出来ねーなぁ……」
ぽりぽり頬をかきながら呟く。
■雪城 涼子 > 「あはは……私は正直、殴る蹴る、みたいなのはそんなに得意じゃないから。」
気恥ずかしげに笑ってみせるも……
大丈夫か、の答えには、ちょっと小首を傾げてみせる。
「ん、そっか。
うーん……そうだねえ……あ、これなんか絶対変、ってまではいかないけれど……
さっき遠くから見た時は、なんだか凄い顔してたような感じだったし。
そっちはなんとなく、だけれどね。」
ぼんやりしている割には呆けた体でもない顔。
そして意識が此方に向いても声も表情も硬い、となれば。
やはり、なんとなく気になる、というものである。
■相楽 満 > 「んー……なんつったらいいかなぁ。
好きな子がちょっと危ない仕事してんスよ。
んでもその子は仕事辞める気なさそーで、頭抱えてるとこッス」
真実を伝える。
自分の中の煮えたぎるような怒りと破壊欲は語らぬまま。
「正義感強い子ですし、難しいとこなんスけどねー。
でもわざわざ危ないことしないでほしいっつーのが本音で……」
悩ましげに吐息を一つ。
「……涼子さんも、喧嘩とか苦手なら無理しない方がいいッスよ?
ちょっと出来るようになっちゃうと頑張んなきゃいけねーみたいに思っちゃって、結局戦って怪我したりとかってありますから」
■雪城 涼子 > 「……………」
満の説明を聞く。
危ない仕事、正義感……という言葉から想像すると、風紀委員や公安委員のような治安に関する仕事だろうか。
「そうねえ……気持ちはわかるわ。
こっちがいくら心配しても、信念に従って頑張っちゃうのよね……多分。
それで気がつけば、何かに巻き込まれてたりとか、何かに突っ込んじゃったりとか……」
はぁ、と……思わず此方もため息をつく。
色々と、心当たりがありすぎる話だ。
今は……まあ、多分平気だと思うけれど、また何かあればなにかあるんじゃないかな、と思ったりもする。
「じゃあ、どうしよっか。 例えば……その子、縛り上げちゃう?
絶対に安全なように。
……多分、それは違うよねえ」
■相楽 満 > 「そーなんスよねぇ……
怪我してからじゃ遅いんスけど」
そんなことが起きてからでは笑えない事態だ、と思う。
そろって大きなため息をつく。
「んー、それはつまんないんスよね。
多分その子も納得しないですし。
だからけっこー困ってるんスけど」
むむむ、と頭をひねる。
表面上は非常に安全な思考を保っている。
■雪城 涼子 > 「それがもう、怪我してもあんまり変わらないのよね。
……まあ、ちょっとは反省してくれるみたいだけれど。
元々の性格だからねえ……」
困ったものよね、と苦笑する。
そういえば、もう一人……危なっかしい子がいたっけか。
そういう意味ではいいコンビなのかな……と、この場には関係ないことに少々思いをはせる。
「そうね、私もそう思う。
だから、私は……ちょっと無理してでも『出来る』ようになろうとしたの。」
先ほどの満の言葉。
『無理しない方がいい』。そう、それは確かに其の通りなのだ。
だからといって、何もしない、なんていうことはできない。
……いや、実際は、『何もできない』……のだけれど。
■相楽 満 > 「バカは死ななきゃ治らないーとは言いますけどねぇ。
死んで治られても困るしなぁ……」
悩ましい。
芙蓉がもし命を落としたら、なんて考えたくはないが。
そんなことになれば、自分の怒りはどこに向ければいいのだろうか。
「んーんー……
まぁ何もしないよか、大分満たされるとは思いますけど……
そういうときは喧嘩出来る人呼ぶほうがいいッスよ?
俺とかも呼んでもらって構わないんで」
■雪城 涼子 > 「そうねえ……死なれちゃったら、私も困るわね。」
もし、そんなことがあったら……なんて、想像するまでもない。
……あの時の悪夢が少しだけ思い出された。
「あはは、そうね。
するだけ無駄。やっても邪魔。ただの自己満足。
……かもしれないわね。」
苦笑する。
持っている異能も戦い向きでなければ、基本的な能力も一般人並。
これで戦える、なんて思うのは流石の楽天家の自分でも無理がある。
「でもね、それでも……大切な人のため。
何かあった時に、少しでも寄り添ってあげたいのよ。
ひょっとしたら、居るだけでもいい、なんて言われるのかもしれないけれどね。
だから、半分は意地みたいなものかもしれないわね。」
■相楽 満 > 口をつぐみ、目の前の女性を見つめる。
無駄。邪魔。自己満足。
それでも、意地で。
「……そうッスね。わかります。
その気持ちは大事だと思いますよ。
でも多分、涼子さんが怪我したら、きっとダリウスさんとか氷架さんも悲しみますから。
それだけ忘れないでおいてあげてほしいッス。
その上で、ちょっとでも頑張りたいってんなら……俺、応援します」
ふっと笑顔を浮かべて言い放った。
きっとこの人の気持ちは、自分の持つ焦燥感に近いのだろう。
■雪城 涼子 > 「ん……まあ、そう……そう、ね。」
"怪我をしたら"……そう、彼は言ってくれる。
そうだろう、おそらくそうなったら悲しませる……
けれど、それはもう……
一瞬だけ、表情を曇らせる。
「ん、ありがとう……って、あれ。
満くんの悩みを聞いているはずだった気がするんだけれど、私が応援されちゃってるね。」
気恥ずかしそうに、苦笑する。
これではまるで逆じゃないか、と。
「まあ……でもね。なんだかんだいって、一番大事なのはよく話すこと、だとは思うわ。
それでも、妥協できないところはお互い有るだろうから……まあ、私はこんな小さな意地を張ったりしているんだけど。」
■相楽 満 > 「ん、あー……」
表情が曇ったのを見て迷う。
彼女の体質のことに関して、触れてはいけないところに触れてしまったのだろうか。
やらかしたな、とばつが悪そうに目を逸らした。
「あ、あーいえ。
俺はまだ迷ってますから。
涼子さんはやるって決めてることがあるんスから、それでいいじゃないスか」
笑って手をぱたぱた振る。
「んー、話した結果がお互い思いっきり妥協になったってーか……
難しいとこッスね。
俺もちょっとくらい意地通してもいいんスかねぇ……」
困ったように笑う。
意地を通す。
それは並大抵のことではなくなってしまうだろうから。
■雪城 涼子 > 「そう、ね……ふふ、ありがとう。」
くす、と笑ってみせる。
いけないいけない。
気を使わせてしまったなら、私の失策、みたいなものだ。
「妥協になるのは、まあ仕方ないかもしれないわね。
お互いに、譲れないものがあるのはそうだし……
ただ、根気よく、話し合ってもいいとは思うわ。
言い過ぎないように気をつけないとだけれどね。」
心配なんて、し始めたらきりがないわけで。
それを乗せて話し合いを始めたら、どこまでもエスカレートするのは目に見えている。
加減の難しいところだ。
「ん……そうね。意地を通すのも悪くはないと思うわ。
ただ満くんの場合、私と違って力があるから……だから、そこは私と逆の意味で気をつけたほうがいいかもしれないわね。」
■相楽 満 > 「んー……そうッスね。
もうちょっと話をしてみてもいいかもしれないッス。
……そればっかりってのも気が滅入るだろうし、たまにッスけどね」
うんうんと頷きながら。
「えーと、やりすぎないようにってことッス?
そこはいつも気を付けてるから大丈夫ッス」
ぐっとガッツポーズしながら答えた。
大丈夫、と言い切る。
その目に偽りは無い。
■雪城 涼子 > 「まあ……たまには喧嘩してもいいかもしれなけれど、ね。
そうすることで、お腹に溜まったものをお互いに出し合えることもあるし。
なんだかんだいって、たとえ家族でも違う人間だからね。
本当のほんとうのところで、理解するのはなかなか難しいわ。
勿論、お互い仲良く、が一番なのは否定しないけれど。」
悩ましいものよね、と苦笑する。
出来れば喧嘩などせずに平穏に暮らせるのが一番なのだ。
「そうね。やり過ぎないように……っていうのもそうだけれど……
意外と、これ、忘れがちなんだけれどね。
力があるからって、力だけで解決しようとしないこと……っていうのも割と大事よ?
あはは、解決のために力をつけようとしてた私のいうことじゃないのかもしれないけれど。」
■相楽 満 > 「あ、はい。それはまぁ確かに。
たまにはガツンと言ってやらないと、あんまりエスカレートして怪我されちゃっても困るし……
……その上で仲良くできれば、それがいいッスよね」
よくわかってないが、喧嘩するほど仲がいい、に近いのだろうか。
いや、喧嘩しても元の仲を継続出来るような関係が素晴らしいのだろうか。
「ん、そうッスね。
話し合いとかで解決するんならそれが一番ッスから。
……その話し合いも平行線になったりすると、また大変ッスけどね」
■雪城 涼子 > 「ガツンと、か……うん。ちょっとだけ気をつけてね。
自分の気持ちをぶつけることと、相手をねじ伏せることは別だからね。
別に、好きな子をいじめたいわけじゃないでしょ?
気をつけないと、体じゃなくて心を縛るだけ……か、大きな亀裂をつくるだけ、になるかもしれないから。
お互いを尊重する気持ちを持っていればきっと大丈夫だけれど。」
お互いがお互いを想って、出来るだけいいようにする……というのは理想的な関係だ。
意外とこの子、亭主関白な素質が有るんじゃないかしら、と一瞬だけ心配する。
「うん、平和的な解決っていうのが一番よね。
でも……なによりも、ね。満くん。
一度壊れたものは、どんなに頑張って直したとしても……やっぱりそれは、一度"壊れたもの"なんだよ。
力っていうのはそういう"壊れたもの"を簡単に作れちゃうんだってこと、覚えておいて欲しいな。」
■相楽 満 > 「そこまではやらないッスよ。
……けど、命取られる寸前になるような仕事を、意地で続けたい……なんてのは黙って聞いてやれないってだけッス。
その子らしさも大事だと思いますけど、そのせいで縛る前に心も体もボロボロになられた日には、俺はどうしようもないッスから」
口を小さく尖らせ、呟く。
想像しただけで怒りが募る。
「う、ん……ん?
……はぁ、わかりました」
どう見てもわかってない表情で、ひとまず頷いた。
■雪城 涼子 > 「そうねえ……それなら、いっそ満くんも一緒にお仕事してあげるっていうのも良いかもしれないわね。
勿論、お互いに命は大事だから無理はしないことが前提だけれど。
一緒にやってみることで、其の子の見ている世界が見えることもあるかも知れないし。
……勿論、強要はしないわ。」
心配なのはよくわかる。
命がかかっているとなればなおさらだろう。
ならば、お互いの妥協点を何処に取るか、が全てだろう。
少しでも理解し、歩み寄れる物があるなら、ソレが一番ではないか。
「ん、まあ……なにを言っているかは、わからないかもしれないけれど、ね。
そうね……前、アリスさんに言ってた"力の責任"の延長線上にあるものだと思って。」
二人が一緒に会った、不思議な子。
そういえば、あの子にも似たような話をしたな、と思いだしていう。
■相楽 満 > 「うえー……いや、それは無理ッスよ。
俺には明確に信念とか無いッスし、多分何か守る前にその子だけ守りたくなっちゃうんで。
……まぁ危ないとこ行く前に必ず連絡しろって言いましたけど」
それもまた彼の示した妥協点の一つだ。
同時も彼女は妥協点を提示したが……それに完璧に納得したかというと、そんなはずもなく。
「……はい。責任は確かに考えてます。
でも俺は自分がどんだけ間違ってても、必要があったら力を振るいます。
もし自分や好きな子の身を守るのが間違いだとしても、俺は間違い続けます。
……バカげてるかもしれないッスけど、これも俺の意地ッス」
笑みが完全に消えた。
危険な考え方かもしれないが、迷いも何もない。
たとえ何度間違おうとも、彼は曲がらないだろう。
■雪城 涼子 > 「感性の違いは、しょうがないわね。
それなら……納得はできなくても、理解は深めてあげられるといいわね。」
それ以上のことは言わない。
後はおそらく、二人だけの問題だろう。
「ん……それは、いいんじゃないかな。
私だって、正直、私の家族と他の誰かを天秤にかけろって言われたら、
どんな状況でも家族を選んじゃうと思うし……
だから、どうしてもダメなときは覚悟を決めて力を振るえばいいわ。
ただ、他にやり方があるようならそれも考えればいいかなってくらいのお話。
ほら、極端な話だけれど、其の子のお仕事が心配だからって、お仕事そのものを無くしちゃう、じゃあなんだかめちゃくちゃな話でしょ。
そういうこと。あんまり難しく考えなくていいわ。」
■相楽 満 > 「たとえば」
口を開き、言葉を切りだす。
「そんな涼子さんは、ダリウスさんがもし、仕事を続けてたら確実に命を落とすってなったら。
ダリウスさんはそれでも辞める気が無いってわかってたら。
どうします?」
自分がその極限状態に立たされているに近い。
似たような状況を想像し、問いかける。
「俺なら、仕事を壊します。
仕事そのものを無くすように動きます。
それで好きな相手に嫌われるとしても、そうします。
力があるとか無いとかじゃなくて、俺は俺が納得するためにそうします」
ぽつりぽつりと言葉を紡ぐ。
初めて自身の破壊的な欲求を、わずかにさらけ出して。
「壊して、その子に嫌われても。
その子が安全になるなら、それでいいんス。
俺はその子のそばに居たくて、好きになったわけじゃないんで」
涼子に背を向ける。
強すぎる信念と、力を持ってしまった者の責任。
その両方が、少しずつ捻じ曲がったまま。
まるで獣のように鋭い目で、出口を見据えた。
「……じゃ、お先に帰ります。
無理しないようにしてくださいね、涼子さんも」
そのまま演習場から出て、かばんを拾う。
今までで一番深い怒りを露わに、立ち去った。
■雪城 涼子 > 「それ、は……」
答えようと、思った……思ったが、続く満の言葉に絶句する。
そして……自分に浮かび上がった答えにも……
ゆがんでいる……おそらく、どちらも正しくはないのかもしれない。
「私は……」
ぽつり、と口にする。
自分に背を向けて歩き出す少年に向けて。
いや、誰ともなしに誰に聞かせるでもなく……自分に聞かせるように。
「私は、愛する人と一緒に居たい。共に歩きたい。
……もう、それはかなわない願いだけれど……
でも、そうね。もしそういう状況になったなら……」
いくら止めても、聞いてくれないというのなら
どうやっても、止まらないというのなら
「きっと……一緒に、命を落とすんだと……思うわ。」
それが愚かな行為だとしても。
それが報われない好意だとしても。
そのまま、満の背中を見送る。
ご案内:「第一演習場」から相楽 満さんが去りました。
ご案内:「第一演習場」から雪城 涼子さんが去りました。
ご案内:「第一演習場」にダリウスさんが現れました。
■ダリウス > ゆったりとした足取りで、誰もいなくなったばかりの演習場へと現れる男
眼鏡なおしつつ、その耳からジャックを外す
「強すぎる力も強すぎる信念も、かつての病気以上にあの少年を蝕んでいるのかな」
カツカツと床を鳴らして歩く
それまで二人が会話していた、その位置へ
「にしても、涼子も…思いつめやすい性格はまるで昔から変わらないな。
……叶わない願い、か……果たして本当にそうかな」
■ダリウス > 「人間は危機や難題に直面した時、物理的にも精神的にも硬くなってしまうものだからね」
演習場にある観測用の端末をたたくと、
今日利用した者達の演習を記録したデータが羅列されていく
「異能力というこんなにも柔軟な土壌が集まるこの場所に生きているにも関わらず。
やっぱり人は人の範疇を出ない限り、常識に縛られてしまうものなんだろうね」
誰ともなしに呟きつつ、差し込んだメディアにデータを記録していく
■ダリウス > 「(そういう人間こそが、僕の研究のテーマには必要なんだけど)」
データのコピーが完了したメディアと取り出し、白衣のポケットへとしまう
■ダリウス > 「(そう、この島とて常識に囚われている)」
超常を常とし、神にも等しい力を持つ者が闊歩するこの島ですら
人が人として生きて行ける場所として存在し続けている
それはなぜか、答えを求めるならばそれは簡単だろう
「そう、不完全ということかな」
踵を返し、私設の入り口へ歩みながらぼそりとそう零す
■ダリウス > この島に来てから集めたデータの中にはありとあらゆる異能の力が記されている
物理法則を無視する力
分子法則を制御する力
精神世界を覗き見る力
別の世界へと足を踏み入れる力
自身のスペックを大きく超える身体能力を得る力
世界自体と繋がる力
そのどれもが強大で、不完全だ
「これらの力を全て内包した力こそが、完全と呼ぶに相応しいのでしょうね」
口の端に小さな笑みを浮かべ、男は私設を後にした
ご案内:「第一演習場」からダリウスさんが去りました。